渡辺力:リビング・デザインの革新
開催趣旨:
渡辺力(1911‐)は、1950年以降、家具やプロダクトで日本のモダン・デザインを代表する作品を発表し、戦後日本のデザイン運動を牽引してきたデザイナーの一人です。デザインという言葉が日本社会にいまだ十分に定着していなかった戦後間もない頃、いちはやく確固たる自覚と主張をもって登場しました。
1930年代、今日一般にバウハウスやル・コルビュジエに典型的な思想と作品が見出されるとされるモダン・デザインに触れた渡辺は、機能に裏打ちされ、かつ日本の生活に立脚したかたちを追求してきました。床座を旨とする日本の住生活に、西洋の生活様式の構成要素であるイスを見事に融合させ、近代日本の生活スタイルを明快に表現した初期の《ヒモイス》(1952年)⇒写真2 や、伝統的な素材である籐をデザインのプロセスで捉えなおした《トリイ・スツール》(1956年)は、日本のモダン・デザインを体現するものとして国内外で高く評価されています。その後も長きにわたり、住宅建築や企業のビル、大規模なホテルで総合的なインテリア・デザインを数多く手がけ、室内空間から発想し、生活を取り巻くものが生き生きと存在する場を時代のなかで生み出すというデザインの姿勢を貫いてきました。
こうした実践に加え、日本インダストリアル・デザイナー協会(JIDA)や、手仕事の発掘と普及をめざしたクラフト・センター・ジャパンの設立、そのほか多くの批評活動をとおして、いまだ黎明期にあった日本のデザイン運動に方向を与えその発展に尽力したという点でも、重要な役割を果たしました。
本展は、およそ半世紀におよぶ渡辺力の活動の歩みを代表作で回顧する初めての展覧会です。機能と日常に対する透徹した意識、量産を前提とした合理精神がときに禁欲的なまでのフォルムに宿る渡辺のデザインをとおして、日本のモダン・デザインに胚胎した思想を探ります。
概要:
| 【タイトル】 | 渡辺力:リビング・デザインの革新 Riki Watanabe:Innovating in Modern Living | ||||||
| 【会期】 | 2006年1月13日(金)〜3月5日(日) | ||||||
| 【開館時間】 | 午前10時〜午後5時 *金曜日は、〜午後8時 (入館はそれぞれ閉館30分前まで) | ||||||
| 【休館日】 | 月曜日 | ||||||
| 【主催】 | 東京国立近代美術館 | ||||||
| 【協力】 | セイコーエプソン株式会社 | ||||||
| 【協賛】 | セイコーウオッチ株式会社 | ||||||
| 【会場】 | 東京国立近代美術館 ギャラリー4(2F) 〒102-8322 東京都千代田区北の丸公園3-1 東京メトロ東西線「竹橋駅」 1b出口 徒歩3分 | ||||||
| 【観覧料】 | 一般420(210)円 大学生130(70)円 高校生70(40)円 小・中学生・65歳以上無料 *( )内は20名以上の団体料金 /いずれも消費税込 *無料観覧日は、第一日曜日(2月5日・3月5日) *「近代日本の美術」、工芸館「近代工芸の百年」もご覧いただけます | ||||||
| 【お問合せ】 | 03-5777-8600 (ハローダイヤル) | ||||||
| 【トークイベント】 | ◇対談
渡辺力×山本章(プロダクトデザイナー) 2月11日(土) 15:00〜 ◇学芸員によるギャラリートーク
1月21日(土) 15:00〜16:00 2月18日(土) 15:00〜16:00 *いずれも、展覧会会場にて | ||||||
| 同時開催 |
|
略歴:
| 1911 | 東京・白金に生まれる |
| 1936 | 東京高等工芸学校木材工芸科卒業 …その後群馬県工芸所に入所し、工芸指導にあたっていたブルーノ・タウトの薫陶を受ける |
| 1940 | 東京高等工芸学校助教授に就任 |
| 1943 | 東京帝国大学農学部林学科選科(森林利用学)修了、同大学助手(航空研究所出向) |
| 1949 | 渡辺力デザイン事務所を設立(東京・銀座) |
| 1951 | 新制作展で《ハサミ材による家具》が新建築賞を受賞(東京都美術館) |
| 1952 | 新日本工業デザイン展で《ヒモイス》を発表(日本橋三越・毎日新聞社主催) ⇒写真2 日本インダストリアルデザイナー協会(JIDA)が設立され理事に就任 清家清設計「齋藤助教授の家」(東京大田区)の家具を担当 ⇒写真3 |
| 1953 | 国際デザインコミッティー(現・日本デザインコミッティー)を勝見勝・剣持勇・丹下健三・柳宗理らと設立 |
| 1953 | 廣瀬鎌二設計「SH‐1」の家具を担当 |
| 1954 | 清家清設計「数学者の家」(東京目黒区)の家具を担当 |
| 1955 | 銀座松屋にグッド・デザイン・セクションが誕生、《ヒモイス》が選定される |
| 1956 | 財団法人日本生産性本部の要請で、工業デザイン専門視察団の一員として渡米 …アメリカの工業デザイン、工場、デザイン教育施設等を視察し、その後単身ヨーロッパをまわって帰国 |
| 1957 | 《トリイ・スツール》がミラノ・トリエンナーレで金賞受賞 |
| 1959 | クラフト・センター・ジャパンを勝見勝・加藤達美・菱田安彦・藤森健二らと設立 |
| 1960 | 世界デザイン会議のセミナー総会(テーマ「個性」)で副議長を務める 《リキベンチ》(天童木工) 国産旅客機「YS-11」のインテリアを担当、モックアップを制作 (〜1962) |
| 1962 | 清家清設計「島澤先生の家」(東京品川区)の家具を担当 |
| 1965 | 《キャスロン401》(コパル) ⇒写真1 |
| 1966 | 東京造形大学室内建築科が開講し教授に就任 《リキスツール》(十条製紙) ⇒写真4 |
| 1967 | 第13回毎日産業デザイン賞を受賞 |
| 1971 | 《小さな壁時計》(服部時計店) ⇒写真5 京王プラザホテルのメインバー「ブリアン」のインテリアを担当 |
| 1972 | 《ポール時計》(第一生命ビル・日比谷) ⇒写真6 |
| 1976 | 紫綬褒章を受賞 |
| 1984 | 《リキロッカー》(インテリアセンター) |
| 1982 | 清家清設計「軽井沢プリンスホテル南館」のインテリアを担当 |
| 2005 | 《腕時計 アルバ》(セイコーウオッチ) |


