ここでいうオブジェとは、工芸の伝統的素材や技法を使ってつくられる、 用途をもたない造形作品のことです。 彫刻でも置物でもないオブジェの制作は、 もちろん工芸分野や日本にかぎった現象ではありませんが、 茶碗、漆盆、青銅花瓶などの器物づくりから作家活動に入った工芸家が、 あるいは、器物づくりを続けている工芸家が、 オブジェの制作にも挑戦しているのは日本的な光景です。
工芸のオブジェにも、大別するとこれまでのところ三種類あります。 ひとつは、昭和初期にアール・デコ彫刻から学んだ幾何形態をアレンジした作品。 もうひとつは、戦後、日展を中心にして発表されだした、 花瓶や箱などの実用器物を不定形にゆがめた作品。 そして最後は、走泥社などの前衛的工芸団体や個人作家が切り拓いた、 主観的表現のつよい抽象的フォルムの作品です。
工芸家は、なぜ、用途のない作品を作りはじめたのでしょうか。 これまでのところ、オブジェをつくりはじめた工芸家の衝動に共通していたのは、 作品に使われる素材や技法それ自体を作品の見所にしようとすることでした。 工芸品を実用の束縛から解放させることで、 工芸家は用途の影に隠れていた素材や技法の魅力を表面化させようと考えたのです。
実用からの解放は、同時にまた、工芸が美術に似ていくことでもありました。 工芸オブジェには西洋美術の様式が引用されていますし、 さらに、作者自身の主観も込められるようになりました。 しかし、そうした現象も、つねに素材や技術の再解釈と同時進行してきました。
このことは、工芸オブジェが近代美術の「主観的表現」に吸収されるものではなく、 かといって、 工芸の「伝統的職人技」に沈潜するものでもなかったことを示しています。 つまり、工芸オブジェは既成の枠組みには収まりきらないのです。 そのため分かりにくさもあるのですが、一歩踏み込んでいえば、 工芸オブジェとは素材や技法の特性から誘発される心境を 表現しようとする試みだったといえるでしょう。
今回の展示作品は、主に当館のコレクションから選ばれましたが、 一部は作者自身や個人所蔵家から拝借しました。ここにお礼を申し上げます。
| 会期 | 平成11年7月17日(土)〜9月5日(日) | ||||||||||||||
| 休館日 | 毎週月曜日 | ||||||||||||||
| 会場 | 東京国立近代美術館工芸館 〒102-0091 東京都千代田区北の丸公園 1-1
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| 開館時間 | 午前10時〜午後5時まで (入館は午後4時30分まで) | ||||||||||||||
| 主催 | 東京国立近代美術館 | ||||||||||||||
| 料金 |
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