工芸用語集
あ
/ か
/ さ
/ た
/ な
/ は
/ ま
/ や
/ ら
/ わ
新着語(2003.2.12):
青貝(あおがい)/
沃懸地(いかけじ)/
梨子地(なしじ)/
梨子地漆(なしじうるし)
あ
- 青貝(あおがい)
- 鮑(あわび)の貝殻の玉虫色に輝く部分を選び、薄くし、その破片を大小にふるい分けて、それぞれ意匠にしたがって蒔き、あるいは置く。このうち特に美しく玉虫色に輝く僅かな部分からとった青貝のことを玉虫貝といい、これは蒔かないで、主として置き並べて文様をつくる。
- 沃懸地(いかけじ)
- 地蒔(じまき;文様部分以外の空間、いわゆる地を蒔き飾る技法)の一種。器面全体に漆を塗り、それがまだ乾かぬうちに鑢粉(やすりふん)を全面べた一面に蒔きこみ、乾いた後その上に漆を塗って粉固めし、それが乾いてから表面を磨きあげ、全面金色地に仕上げる技法である。この技法は平安時代後期の遺品に見られるが、後世には粉溜地(ふんためじ)といい、近代では金地と呼んでいる。また、時代が下るにしたがって使用する金粉が細かなものとなっている。
- 色絵(いろえ)
- 色を使った陶磁装飾のうち,上絵付,つまりすでに釉をかけて焼きあげた器の上に色絵の具で絵付し焼付けたものを,一般に色絵と呼んでいる。素地の性質によって色絵陶器と色絵磁器があり,前者は京焼などの例があり,後者は伊万里,柿右衛門,色鍋島,九谷などがある。色絵の技法は中国で発達したもので,赤,緑,黄などがその主な色である。かつては赤絵の呼び方が一般に行われていたが,現在は色絵とするのが普通である。絵の具はガラス質の粉(白玉またはフリット)に着色剤を加えた透明感のあるもので、和絵の具または硬彩といい,伝統的な技法である。明治期になって伝わった西洋絵の具は不透明であり,洋絵の具または軟彩と称され,産業的な陶磁器の絵付に多く用いられている。
- 江戸小紋(えどこもん)
- 小紋染は型紙を用い,生地に防染の糊をおき,細かい模様を染め出してゆく模様染で,桃山時代からこの技法は行われていた。(川越喜多院の職人尽絵屏風に描かれている。)江戸時代には主として武家の裃に用いられていたが,繊細巧緻な作風が江戸人の粋な好みに投じて衣服の模様染としても賞美された。生地半反を約三間の張板の上に延べて張り,これに片端から渋紙に紋を彫った型紙をおき糊をおいて行く。細かいものになると一寸角に七八百の角や丸の模様や,一寸幅に二十数本という細い縞模様を一分一厘のズレもなく送りながら糊置きをする。
江戸小紋という名称は、昭和30年2月、小宮康助(1882-1961)を重要無形文化財保持者に認定するに際し、小宮康助が江戸時代に隆盛を見た裃小紋の伝統をふまえて衣料を染めている特色をとらえ、当時の文化財保護委員会が使用した名称である。
か
- 乾漆(かんしつ)
- 木または土などで型をつくり、これに漆で麻布を貼り重ねて器形をつくり、乾
いてのちこれを型から抜き、その両面に漆を塗り重ねて仕上げたものをいう。
古くは「即」(そく)・「夾紵」(きょうちょ)と呼ばれ、唐代において仏像
制作の技法として盛んに行われた。その影響によってわが国でも奈良時代にこ
の技法による仏像が作られたが、漆器としては正倉院宝物中にも見られる。平
安時代のものとしては京都仁和寺の三十帖冊子箱(国宝)がある。
- 金・銀彩(きん・ぎんさい)
- 本焼した器や、一度赤を焼き付けた器面に,金・銀泥で模様を描き、再び窯に入れて焼き付ける場合と,漆で模様を描き,その上に金箔を貼りつけ,200度くらいで焼き付ける方法とがある。焼付後、とくさ、めのうの棒、鯛の歯などで磨いて艶を出す。富本憲吉の金銀彩は,前者の方法によるが,錆びやすい銀の代りに銀・金・白金の合金による銀彩を工夫した。
さ
- 染付(そめつけ)
- 素焼した素地に呉須(酸化コバルトが主成分)で模様を描き,その上に透明釉をかけて本焼きすると藍色に発色する。日本の染付は江戸時代の初め,佐賃県有田近辺で渡来朝鮮陶工によってはじめられた。なお中国では染付のことを「青花(せいか)」といっている。
- 青白磁(せいはくじ)
- 白磁,青白磁(はくじ,せいはくじ)参照
な
- 長板中形(ながいたちゅうがた)
- 長板中形は今日一般に行われている手拭染または注染に対して,長い板の上に生地を張って仕事をする伝統的な浴衣染の方法。中形は元来小紋よりもやや大柄な模様の型なのでこうよんだものであるが,今日一般には浴衣染の柄として用いられるようになり,中形といえぱ型染浴衣を意味するようになった。特長は,生地を半反ずつ長さ約三間の張板に張って,これに型紙をおいて片はしから順次に糊をおいて行くところにある。これは大体小紋と同じであるが,小紋は引き染であるから,片面糊でいいが、長板中形は浸け染をするので,裏面からも糊をおかねぱならない。すなわち片面に糊を置いた生地を乾燥したのち裏がえして裏面から型紙を逆にあてて表の模様と一分のずれもなく合致するように糊を置いて行く。一枚型でも表裏で二回,まして一つの模様に二枚の型紙を必要とする,いわゆる「追っかけ」の二枚型では四回の糊置きを必要とする。したがって普通のものでも一日三反から五反,少し手の込んだものだと一日一反がせいぜいである。しかもこの糊置きしたものを一反ずつ甕につけて染めて行く手のかかる技術である。
- 梨子地(なしじ)
- 地蒔(じまき)の一種。梨の肌に似ているのでこの名がある。器面に漆を塗り、その乾かぬうちに梨子地粉を蒔き、乾いた後に漆を塗って粉固めし、その上に透明な梨子地漆を塗り重ね、粉が漆塗の仕上がり面から露出しないように塗面を研ぎ磨いて艶出しして仕上げる。鎌倉・室町時代頃までは粉が厚く、いわゆる平目粉で塗面に金粉がのぞいているが、その後細かい粉ができるようになり、前述のような仕上げが可能となった。その粉蒔の濃淡によって、濃いものを「つめ梨子地」または「濃梨子地」、淡いものを「薄梨子地」、中間のものを「中梨子地」といい、これらのなかに平目粉を合わせ蒔いたものを「鹿の子梨子地」、刑部平目(ぎょうぶひらめ)を合わせ蒔いたものを「刑部梨子地」という。
- 梨子地漆(なしじうるし)
- 上質の透漆(すきうるし)に雌黄(しおう:硫化砒素を主成分とする鉱物)またはくちなしの実の煮汁を混ぜて練り、透明で黄色味をもたせた梨子地用の上塗漆。
は
- 白磁,青白磁(はくじ,せいはくじ)
- 白磁は中国宋時代の定窯によって代表される。淡いクリーム色がかった白磁胎に流麗な彫文様が施され,古今東西の白磁のなかでも最もすぐれたものである。青白磁は白磁胎に施された釉薬の成分や還元焼成によって,うすい青味を帯ぴ,また彫りくぼんだ部分に釉が溜って青くみえることから,影青(いんちん)とも呼ばれた。
ま
- 蒔絵(まきえ)
- 漆工芸の加飾技法の一つで、その最も代表的なものである。
蒔絵は、奈良時代における末金鏤がその源流とされ、平安時代に純和風となり、
鎌倉時代には技術的な進歩が示された。室町時代には幸阿弥・五十嵐の両家が
でて、江戸時代になると両家の他に古満派・梶川派・琳派などが興ってその技
を競った。明治時代においては柴田是真・白山松哉・川之辺一朝などの個人作
家が著名である。
蒔絵は漆で文様を描き、その漆の乾かぬうちに金や銀などの金属粉・色粉など
を蒔きつけて文様をあらわす技法であるが、その手法によって、平蒔絵・高蒔
絵・研出蒔絵・肉合蒔絵・木地蒔絵の技法およびこれらに附随する各種の蒔絵
の技法がある。
ら
- 螺鈿(らでん)
-
夜光貝・蝶貝・鮑貝の真珠屑を文様の形に切り、これを器体に貼りあるいは嵌
込んで加飾する技法である。
貝殻を文様の形にする手法として、切り抜く法・型で打ち抜く法・薬品で腐蝕
させる方法がある。またそれらを器体に装着させる手法としては、素地に貝を
貼り、漆を塗り重ねて埋め、これを研ぎ出す「埋込み式」、厚塗りした漆面を
文様の形に彫り、貝を押し込む「押込み式」、木地を彫り込んで貝をはめる
「彫込式」の三種がある。