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菱田春草(ひしだ しゅんそう)
1874-1911
《賢首菩薩(けんしゅぼさつ)》
1907年/絹本彩色・軸/185.7×99.5cm
東京国立近代美術館
重要文化財
Shunso HISHIDA
1874-1911
Bokhisattva Genju
1907/color on silk, hanging scroll/185.7×99.5cm
The National Museum of Modern Art, Tokyo
Important Cultural Property
賢首菩薩は華厳宗(けごんしゅう)の第三祖で、華厳教学の大成者として知られる。唐の長安に生まれ、俗姓は康氏、名は法蔵といった。その昔、則天武后の勅問に答えるにあって、庭前にあった黄金の獅子をもって喩えとし、華厳の教観をのべたという話は有名である。この作品では袈裟(けさ)やその他の色面の部分は、すべて点描で隙間(すきま)なく彩色し、その上から細かい描写で模様を描き入れているが、画面における遠近感や対象の立体感は也彩の明暗というより、むしろ全体の微妙な色調の変化によって表現されているようにみえる。その調和のとれた落ち着きある彩色は、垂直線と平行線が強調されることによってもたらされた明確な均衡をもつ構図とともに、この作品に仏画にも似た荘厳な印象を与えている。空刷毛による三次元的な空間の表現を試みた没(もっ)線彩画による描法、いわゆる朦朧体から抜けでつつあることを示してはいるものの、こうした新しい表現は一部では認められることなく、第1回の文展に出品された時に最初選外に分類されたという。(M.O.)