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中原悌二郎(なかはら ていじろう)
1888-1921
《若きカフカス人》
1919年/ブロンズ/42.5×20.2×23.5cm
東京国立近代美術館
Teijiro NAKAHARA
1888-1921
Young Caucasian
1919/bronze/42.5×20.2×23.5cm
The National Museum of Modern Art, Tokyo
コーカサス生まれの亡命ロシア人ニンツァをモデルに、中村彝のアトリエで制作されたものである。事情があって2週間ほどで制作は打ち切られたという。その意味では未完成ともいえなくもないが、《憩える女》とともに第6回院展に出品されている。確信に満ちた断定的ともいえるモデリング、それが生み出す厳しいまでの線と面、そしてそれらによって構成される立体の極めて強固な構造性は、むしろこの世のすべての絆やしがらみをそこからくる感情とともに一切断ち切ったところにある、孤独でありながらなお厳然とした存在である人間そのものにまでこの作品を高めているようだ。ここにはロダンや荻原守衛にあるダイナミックに躍動する生の流動感はもはやない。溢れ出る量塊を凝縮したものの本質ともみえるような造形には、立体の構造の解明を通じて構成を追求した悌二郎らしさが窺われる。それはロダンや守衛に対する悌二郎の解釈であったが、同時に守衛のほどきかけた糸口を更にときほぐしながら、その先にある日本の近代彫刻の系譜につらなろうとするものであったともいえよう。(M.O.)