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大ホール上映作品

映画監督 市川崑(1)

Kon Ichikawa Retrospective Part 1

上映スケジュール

 いま、市川崑監督の尽きることのない才能が再び注目されています。この度フィルムセンターは、87歳となった現在も次々と新鮮な作品を送り出している、この多芸多才な巨匠の大特集を行うこととなりました。アニメーション映画の作家から劇映画に転じ、『ビルマの竪琴』(1956 年)、『満員電車』(1957年)、『おとうと』(1960年)、『東京オリンピック』(1965年)などの話題作を常に送り続けてきた市川崑監督は、その大胆な実験精神とスタイリッシュな演出によって戦後の日本映画を鮮やかに刷新してきました。スピーディで軽やかな画面処理、新しい題材への挑戦、その時代の最新技術を駆使した実験など、その映画術は日本映画史のなかでも独自の地位を占めています。本特集は、同監督の特集としては史上最大の規模となり、なかでも初期・中期の作品を主に上映いたします。本企画は、全体をこの第1部と、上映される機会の少ない作品をより多く含む9月2日から10月5日の第2部に分け、約65作品を63プログラムに構成しています。フィルムセンターならではの充実した企画を存分にお楽しみください。

■(監)=監督・演出 (原)=原作・原案 (脚)=脚本・脚本協力・脚色・シナリオ (撮)=撮影 (美)=美術 (音)=音楽 (出)=出演

■本特集には不完全なプリントが含まれています。

■記載した上映分数は、当日のものと多少異なることがあります。

A-1 7/22(火)7:00pm 8/13(水)3:00pm
三百六十五夜[総集篇](119分・35mm・白黒)

主題歌「三百六十五夜」「恋の曼珠沙華」の流行とともに、市川の名を映画界に印象づけたメロドラマの大ヒット作。当初は「東京篇」「大阪篇」の2部作だったが、現存するのはこの総集篇のみ。セットや登場人物の所作にはアメリカ映画の影響も感じられる。

‘49(新東宝)(原)小島政二郎(脚)館岡謙之助(撮)三村明(美)進藤誠吾(音)服部正(出)上原謙、山根壽子、峰秀子、大日方傳、堀雄二、田中春男、鳥羽陽之助、清川荘司、河村黎吉、三村秀子、吉川満子、一の宮あつ子、葉村みき子、二葉あき子、江見渉、三原純

A-2 7/23(水)3:00pm 8/12(火)7:00pm
果てしなき情熱(91分・35mm・白黒)

服部良一の曲を随所に散りばめ、アルコールに溺れる苦悩の作曲家(堀雄二)を描いた初期の野心作で、監督自ら「僕の若さのほとばしりみたいな映画」と語っている。モノローグと回想の多用や、撮影の小原譲治が擬似パン・フォーカスに挑むなどの試みもあった。

‘49(新世紀プロ)(脚)和田夏十(撮)小原讓治(美)小川一夫(音)服部良一(出)堀雄二、月丘千秋、齋藤達雄、江見渉、清川虹子、服部富子、山口淑子、淡谷のり子、笠置シヅ子、折原啓子、鮎川浩、伊藤雄之助、若月輝夫、山室耕、山田長正、山川朔太郎

A-3 7/23(水)7:00pm 8/14(木)3:00pm
銀座三四郎[再公開短縮版](64分・16mm・白黒)

黒澤明の『姿三四郎』と同じく藤田進主演の柔道映画だが、背景はまったく違う現代劇。チンピラを退治する医師「銀座三四郎」の活躍を爽やかに描き、監督にとってむしろ「気分転換」となった一篇。なお、フィルム上の題名は再公開時の「銀座の猛者」。

‘50(新東宝)(原)青柳信雄(初公開時は富田常雄)(脚)八田尚之(撮)安本淳(美)小川一男(音)飯田信夫(出)藤田進、山根壽子、風見章子、志村喬、飯田蝶子、河村黎吉、伊藤雄之助、江見俊太郎、山室耕、岬洋二、清水元、木匠久美子、徳大寺君枝、加藤欣子、花岡菊子、一の宮あつ子

A-4 7/24(木)3:00pm 8/13(水)7:00pm
熱泥池[再公開短縮版](62分・16mm・白黒)

北海道の平原を舞台にしたアクション映画で、様々なジャンルに立ち向かうデビュー期の監督を象徴する作品でもある。藤田進と東野英治郎が取っ組みあいの争いをするのも異色。冒頭タイトルが欠けているが、「現金と美女と三悪人」として再公開された時の版である。

‘50(新東宝)(原)木村荘十(脚)市川崑、板谷良一(撮)横山実(美)下河原友雄(音)伊福部昭(出)藤田進、利根はる恵、堀雄二、東野英治郎、進藤英太郎、田中春男、山本礼三郎

A-5 7/24(木)7:00pm 8/12(火)3:00pm
盗まれた恋(88分・16mm・白黒)

失業したダンサーと、そのファンの銀行家、冴えない画家、という三人が見せる恋の駆け引き。「画面が四角くなくてもいい」とばかりに縦横なワイプ処理を見せるなど、遊び心のある演出が軽快なコメディの路線を拓いた。原作の鏡二郎は並木鏡太郎監督の変名。

‘51(新東宝=青柳プロ)(原)鏡二郎(脚)和田夏十、市川崑(撮)横山實(美)河野鷹思(音)伊福部昭(出)久慈あさみ、森雅之、川喜多小六、志村喬、加藤道子、伊藤雄之助、東野英治郎、清水将夫、北見礼子、木匠久美子、三原純、杉寛、山形勲、久保春二、鳥羽陽之助

A-6 7/25(金)3:00pm 8/14(木)7:00pm
ブンガワンソロ(84分・16mm・白黒)

ジャワ島で脱走した三人の日本兵をめぐる戦争悲劇。その題名は兵士たちの間で流行した歌の名に由来し、音楽は実際に戦時下のジャワにいた飯田信夫が作曲した。久慈あさみ、小沢栄らがインドネシア人に扮するなど、撮影上の苦労も多かったという一篇。

‘51(新東宝)(原)金貝省三(脚)和田夏十、市川崑(撮)横山実(美)河野鷹思(音)飯田信夫(出)池部良、森繁久彌、伊藤雄之助、藤田進、田崎潤、岡龍三、山形勲、久慈あさみ、若山セツ子、小沢榮、高橋豊子、中原謙二、沢村昌之助、水城四郎、山川朔太郎

A-7 7/25(金)7:00pm 8/19(火)3:00pm
結婚行進曲(83分・35mm・白黒)

市川監督の東宝第1作。失業した恋人の復職を訴えたハリキリ女性(杉葉子)が逆に社長(上原謙)に気に入られて大活躍。そこへ社長夫人(山根寿子)が嫉妬に走って一騒動、という軽やかな都会派喜劇。登場人物の台詞を驚くべき早口にしてしまった演出も斬新。

‘51(東宝)(脚)井手俊郎、和田夏十、市川崑(撮)飯村正(美)河東安英(音)仁木他喜雄(出)上原謙、山根壽子、伊豆肇、杉葉子、高杉早苗、越路吹雪、木匠久美子、沢村貞子、浦辺粂子、南美江、長濱藤夫、村上冬樹、龍岡晋、伊藤雄之助

A-8 7/26(土)1:00pm 8/15(金)7:00pm
ラッキーさん(84分・35mm・白黒)

同じ課の女性と元社長の令嬢、二人に思いを寄せられ、出世と恋のはざまに立たされる「ラッキーさん」(小林桂樹)。源氏鶏太の原作をもとにサラリーマン稼業の哀歓を描いた、東宝の名物シリーズに先立つサラリーマン喜劇の佳作である。

‘52(東宝)(原)源氏鷄太(脚)猪俣勝人(撮)飯村正(美)安倍輝明(音)古関裕而(出)小林桂樹、小泉博、島崎雪子、杉葉子、河村黎吉、齋藤達雄、沢村貞子、三條利喜江、千石規子、伊藤雄之助、小川虎之助、石K達也、井上大助、城正彦、片桐恒夫、堺左千夫、澁谷英男、今泉廉

A-9 7/26(土)4:00pm 8/19(火)7:00pm
足にさわった女(84分・35mm・白黒)

女スリ(越路吹雪)と刑事(池部良)と小説家(山村聰)の人間模様が奏でる狂騒曲。無声期にモダンな作風が絶賛された阿部豊作品(1926年)のリメイクで、この市川版も才気ほとばしる演出が評価された。後に自らテレビドラマとしても演出している。

‘52(東宝)(原)沢田撫松(脚)和田夏十、市川崑(撮)安本淳(美)河東安英(音)黛敏郎(出)池部良、越路吹雪、山村聰、藤原釜足、見明凡太朗、伊藤雄之助、岡田茉莉子、沢村貞子、加東大介、村上冬樹、高堂國典、長浜藤夫、柳谷寛、三好榮子、廣瀬嘉子、山本廉

A-10 7/27(日)4:00pm 8/15(金)3:00pm
あの手この手(93分・35mm・白黒)

人気ラジオドラマを脚色した一篇で、おてんばな家出娘アコ(久我美子)を迎えた大学教授夫婦(森雅之と水戸光子)に起こる波紋をコミカルに、時には叙情的に綴る。市川組でおなじみの怪優、伊藤雄之助の演じる口の悪い医者も笑いを誘う。

‘52(大映京都)(原)京都伸夫(脚)和田夏十、市川崑(撮)武田千吉郎(美)西岡善信(音)黛敏郎(出)森雅之、久我美子、堀雄二、水戸光子、伊藤雄之助、望月優子、津村悠子、平井岐代子、毛利菊枝、近衛敏明、荒木忍、南部彰三、原聖四郎、大伴千春、伊達三郎、三上哲

A-11 7/29(火)3:00pm 8/16(土)1:00pm
プーサン(97分・35mm・白黒)

心酔していた横山泰三の風刺漫画を大胆にデフォルメ、やもめ教師プーサン(伊藤雄之助)の悲哀をブラック・ユーモアで包んだ市川監督の出世作。ミス・ガンコ(越路吹雪)が勤める銀行のシーンは日本銀行の本店でロケを行い、札束も本物の紙幣を使用したという。

‘53(東宝)(原)横山泰三(脚)和田夏十、永來重明、市川崑(撮)中井朝一(美)阿久根巌(音)黛敏郎(出)伊藤雄之助、小泉博、小林桂樹、越路吹雪、杉葉子、八千草薫、菅井一郎、加東大介、木村功、藤原釜足、メリー松原、三好栄子、村上冬樹、田島義文、トニー谷、横山隆一、横山泰三、黛敏郎

A-12 7/29(火)7:00pm 8/20(水)3:00pm
天晴れ一番手柄 春錢形平次(93分・35mm・白黒)

自ら時代劇ファンを名乗る監督が手がけた初の時代劇。無名時代の銭形平次という設定をあえて選び、ひも付きの銭を投げるなど、微笑ましい平次像を造形している。ギャグも多いが、監督が阪妻主演の『雄呂血』を意識したというラストの立ち回りも見もの。

‘53(東宝)(原)野村胡堂(脚)和田夏十、市川崑(撮)遠藤精一(美)北猛夫(音)黛敏郎(出)大谷友右衛門、杉葉子、伊藤雄之助、伊豆肇、柳谷寛、石K達也、小川虎之助、見明凡太朗、村上冬樹、市川小文治、恩田清二郎、山本廉、谷晃、山形勲、木匠マユリ、島秋子、和田道子、塩沢登代路

A-13 7/30(水)3:00pm 8/16(土)4:00pm
愛人(83分・35mm・白黒)

高原のロッジへ避暑に訪れた二家族の出会いから幕を開ける、爽やかで洗練された恋愛ドラマの秀作。監督が、かねてより監督が機知あふれるダイアローグに憧れていた森本薫の戯曲の翻案で、若い映画助監督(三国連太郎)をめぐる女心の揺れ動きが繊細に綴られる。

‘53(東宝)(原)森本薫(脚)和田夏十、井手俊郎(撮)玉井正夫(美)村木忍(音)黛敏郎(出)越路吹雪、岡田茉莉子、有馬稲子、三国連太郎、尾棹一浩、菅井一郎、伊藤雄之助、塩澤登代路、石田美津子、澤村貞子、片桐常雄、佐田豊、鴨田清、岡豊、瀬良明

A-14 7/30(水)7:00pm 8/17(日)4:00pm
億万長者(83分・35mm・白黒)

平凡な税務署員の作った、脱税汚職のメモが引き起こす大騒動。目まぐるしい世の中に「僕自身もキリキリ舞いしていた」という監督の心情を反映して、鋭利な風刺に満ちたコメディとなった。結末をカットした配給会社に抗議し、監督は自らの名もフィルムから削った。

‘54(青年俳優クラブ)(脚)安部公房、横山泰三、長谷部慶次、和田夏十(撮)伊藤武夫(美)平川透徹(音)団伊玖磨(出)木村功、原駿雄、春日俊二、岡田英次、久我美子、左幸子、山田五十鈴、伊藤雄之助、多々良純、加藤嘉、信欣三、北林谷栄、原泉、薄田つま子、関京子、橋豊子

A-15 7/31(木)3:00pm 8/20(水)7:00pm
女性に関する十二章(87分・35mm・白黒)

婚約をしたまま、いつしか倦怠に陥ってしまった29歳のバレリーナと銀行員(津島恵子と小泉博)。伊藤整の著した“恋愛講座”を、和田夏十と監督がオリジナル・ストーリーに構成した洒脱な「恋愛指南映画」。原作者自らも「声の出演」を果たしている。

‘54(東宝)(原)伊藤整(脚)和田夏十(撮)三浦光雄(美)河東安英(音)黛敏郎(出)津島惠子、有馬稲子、久慈あさみ、上原謙、小泉博、太刀川洋一、中北千枝子、小泉澄子、三好栄子、伊豆肇、坪内美子、三戸部スエ、三條利喜江、山本和子、村上冬樹、徳川夢声、小牧正英、伊藤整

A-16 7/31(木)7:00pm 8/22(金)3:00pm
青春怪談(115分・35mm・白黒)

市川監督が、製作を再開した日活に移籍した第1作。若い恋人たちと、それぞれの両親の再婚騒動を描いた喜劇。北原三枝の中性的な魅力を活かした役作りが本作を特徴づけている。獅子文六の同じ原作が、日活と新東宝(阿部豊監督)で同じ公開日の競作となった。

‘55(日活)(原)獅子文六(脚)和田夏十(撮)峰重義(美)中村公彦(音)黛敏郎(出)山村聰、北原三枝、轟夕起子、三橋達也、山根寿子、嵯峨三智子、芦川いづみ、滝沢修、宇野重吉、北林谷栄、三戸部スエ、千田是也、高品格、山田禪二、三島謙、宮原徳平

A-17 8/1(金)3:00pm 8/21(木)7:00pm
こころ(121分・35mm・白黒)

陰影に富んだ映像のなかに明治の時代精神を刻印した、漱石原作の映画化。森雅之や三橋達也ら役者陣のアンサンブルに支えられ、市川の正統派としての一面を発揮した貴重な一篇。前作『青春怪談』に続き競作と騒がれたが、松竹の小林正樹版は実現に至らなかった。

‘55(日活)(原)夏目漱石(脚)猪俣勝人、長谷部慶治(撮)伊藤武夫、藤岡粂信(美)小池一美(音)大木正夫(出)森雅之、新珠三千代、三橋達也、安井昌二、北林谷榮、田村秋子、鶴丸睦彦、下元勉、下條正巳、久松晃、奈良岡朋子、山田禪二、伊丹慶治、鴨田喜由、河上信夫、山本かほる

A-18 8/1(金)7:00pm 8/23(土)1:00pm
ビルマの竪琴(116分・35mm・白黒)

戦死した同胞の供養のため終戦後もビルマに留まる若い兵士を描いた感動作。ビルマ・ロケの実現が難航したため臨時で先行公開された第一部とその第二部、当初の企画通りに完成した総集篇の2種が公開された。ヴェネチア国際映画祭サン・ジョルジョ賞を受賞。

‘56(日活)(原)竹山道雄(脚)和田夏十(撮)横山実(美)松山崇(音)伊福部昭(出)三国連太郎、安井昌二、浜村純、内藤武敏、西村晃、春日俊二、三橋達也、伊藤雄之助、中原啓七、伊藤寿章、土方弘、青木富夫、花村信輝、峯三平、千代京二、小柴隆、宮原徳平、加藤義朗

A-19 8/2(土)1:00pm 8/21(木)3:00pm
処刑の部屋(95分・35mm・白黒)

石原慎太郎の原作に独自の解釈を加えて「太陽族映画」ブームに一石を投じた、市川監督の大映移籍第1作。デビュー直後の川口浩が不敵な存在感で登場。睡眠薬で女子大生を眠らせる描写が物議をかもし、上映反対運動や、批評家・井沢淳と市川監督の論争にも発展した。

‘56(大映東京)(原)石原慎太郎(脚)和田夏十、長谷部慶治(撮)中川芳久(美)下河原友雄(音)宅孝二(出)川口浩、川崎敬三、若尾文子、入江洋佑、梅若正義、月田昌也、宮口精二、岸輝子、中村伸郎、南弘二、中田勉、竹内哲郎、大塚弘、伊藤直保、黒須光彦

A-20 8/2(土)4:00pm 8/22(金)7:00pm
日本橋(111分・35mm・カラー)

淡島千景と山本富士子、芸者に扮した二人のスターがしのぎを削る、泉鏡花の新派劇の映画化。書き割りを意識した背景、路地のセットなど、監督の創意と大映京都撮影所の技術力が結集した美術も圧巻。市川監督初のカラー作品でもある。

‘56(大映京都)(原)泉鏡花(脚)和田夏十(撮)渡辺公夫(美)柴田篤二(音)宅孝二(出)淡島千景、若尾文子、山本富士子、品川隆二、川口浩、柳永二郎、船越英二、浦辺粂子、沢村貞子、岸輝子、平井岐代子、潮万太郎、伊東光一、小原利之、高村栄一、伊達正、小杉光史、杉寛

A-21 8/3(日)4:00pm 8/26(火)3:00pm
満員電車(99分・35mm・白黒)

突如白髪になった新卒サラリーマンを主人公に、現代社会の狂態を奔放なイメージと軽快なタッチで描破した風刺喜劇の金字塔。『プーサン』『億万長者』に続き、稀有な喜劇作家として市川を広く認知させた作品だが、封切時には「一人よがりのいや味」と酷評された。

‘57(大映東京)(脚)和田夏十、市川崑(撮)村井博(美)下河原友雄(音)宅孝二(出)川口浩、川崎敬三、船越英二、小野道子、笠智衆、杉村春子、見明凡太朗、潮万太郎、入江洋佑、花布辰男、葛木香一、山茶花究、清水元、伊東光一、春本冨士夫、杉田康

A-22 8/5(火)3:00pm 8/27(水)7:00pm
穴(101分・35mm・白黒)

出版社をクビになったルポライター(京マチ子)が、失踪した自らを探させる懸賞記事を思いつくが…。ミステリー小説の愛好家でもある監督が、久里子亭(くり・してい=クリスティ)のペンネームを用いた最初の映画。歌手に転身した青年作家の役で石原慎太郎も出演。

‘57(大映東京)(脚)久里子亭(撮)小林節雄(美)下河原友雄(音)芥川也寸志(出)京マチ子、菅原謙二、船越英二、川上康子、山村聰、石原慎太郎、日高澄子、早田雄二、石井竜一、潮万太郎、見明凡太朗、浜口喜博、春本富士夫、北林谷栄、小山内淳、浜村純、伊東光一

A-23 8/5(火)7:00pm 8/23(土)4:00pm
炎上(99分・35mm・白黒)

三島由紀夫の「金閣寺」を自由に潤色しながら、小説とは異なる完成度に到達した作品。         時代劇スターの市川雷蔵が頭を丸めて寺に放火する学生僧を熱演し、数々の主演男優賞を獲得した。市川崑初のワイド作品にして宮川一夫と初めてコンビを組んだ作品でもある。

‘58(大映京都)(原)三島由紀夫(脚)和田夏十、長谷部慶治(撮)宮川一夫(美)西岡善信(音)黛敏郎(出)市川雷蔵、中村鴈治郎、仲代達矢、新珠三千代、北林谷栄、信欣三、浦路洋子、中村玉緒、舟木洋一、香川良介、水原浩一、寺島雄作、上田寛、浜村純、志摩靖彦、伊達三郎

A-24 8/6(水)3:00pm 8/26(火)7:00pm
あなたと私の合言葉 さようなら、今日は(86分・35mm・カラー)

男やもめの父と奔放な妹に挟まれ、結婚の夢を捨ててきた主人公。この小津的な主題を、過剰なほど小津的スタイルを踏まえながら描きつつ、一人アメリカへ旅立つ彼女に個人主義の明暗を投影した小品。若尾文子演じるヒロインのメガネが雄弁な小道具になっている。

‘59(大映東京)(原)(脚)久里子亭(脚)舟橋和郎(撮)小林節雄(美)下河原友雄(音)塚原晢夫(出)京マチ子、野添ひとみ、若尾文子、菅原謙二、川口浩、船越英二、佐分利信、石井竜一、柴田吾郎、見明凡太朗、渡辺粂子、倉田マユミ、三好栄子、潮万太郎、星ひかる、桂小文治

A-25 8/6(水)7:00pm 8/28(木)3:00pm
鍵(107分・35mm・カラー)

中年夫婦の面妖なエロスを抉り出した谷崎の原作を、即物的でブラックな「人間喜劇」へと転倒させた意欲作。封切は監督自身「一口では言えないくらい好きだ」という『二十四時間の情事』(アラン・レネ)の1週間後。一部では2本立て興行され、大ヒットを記録した。

‘59(大映東京)(原)谷崎潤一郎(脚)和田夏十、長谷部慶治、市川崑(撮)宮川一夫(美)下河原友雄(音)芥川也寸志(出)京マチ子、叶順子、仲代達矢、中村鴈治郎、北林谷栄、菅井一郎、潮万太郎、山茶花究、倉田マユミ、大山健二、南部彰三、伊東光一、星ひかる、花布辰男、原田侃二

A-26 8/7(木)3:00pm 8/24(日)4:00pm
野火(104分・35mm・白黒)

敗色濃い戦争末期のレイテ島を舞台に、人肉食という極限状況に陥った日本兵を追った大岡昇平原作の映画化。主人公の一等兵を演じた船越英二のゾンビのような身体と、空気の音まで感じさせる芥川也寸志の音楽が、市川の見据えた寂寥感を見事に伝えている。

‘59(大映東京)(原)大岡昇平(脚)和田夏十(撮)小林節雄(美)柴田篤二(音)芥川也寸志(出)船越英二、滝沢修、ミッキー・カーチス、星ひかる、潮万太郎、月田昌也、杉田康、浜口喜博、石黒達也、稲葉義男、浜村純、佐野浅夫、伊達信、伊東光一、飛田喜佐夫、大川修

A-27 8/7(木)7:00pm 8/30(土)1:00pm
ぼんち(104分・35mm・カラー)

大阪船場に四代続いた足袋問屋の一人息子が女系家族の中で悪戦苦闘する様とその多彩な女性遍歴を、豪華な女優陣を配して描く。市川雷蔵自らの依頼により山崎豊子の原作を市川監督独自の美学で映像化。《老け役》を演じる雷蔵が過去を回想する場面は映画のオリジナル。

‘60(大映京都)(原)山崎豊子(脚)和田夏十、市川崑(撮)宮川一夫(美)西岡善信(音)芥川也寸志(出)市川雷蔵、若尾文子、船越英二、京マチ子、越路吹雪、草笛光子、中村玉緒、山田五十鈴、林成年、中村鴈治郎、毛利菊枝、倉田マユミ、北林谷栄、潮万太郎、菅井一郎

A-28 8/8(金)3:00pm 8/30(土)4:00pm
おとうと(98分・35mm・カラー)

複雑な家庭環境の中で寄り添って生きる姉と妹の物語。幸田文の原作に基づく水木洋子の脚本を、念願かなって市川監督が獲得した。大正の時代を表現するため宮川一夫は銀残しと呼ばれる特殊現像処理を試みた。1984年に宮川自身の監修で再現されたプリントを上映。

‘60(大映東京)(原)幸田文(脚)水木洋子(撮)宮川一夫(美)下河原友雄(音)芥川也寸志(出)岸恵子、川口浩、田中絹代、森雅之、土方孝哉、友田輝、岸田今日子、仲谷昇、江波杏子、穂高のり子、浜村純、夏木章、飛田喜佐夫、伊東光一、星ひかる

A-29 8/8(金)7:00pm 8/27(水)3:00pm
黒い十人の女(102分・35mm・白黒)

妻を持ち、さらに9人の愛人を持つテレビの敏腕プロデューサー。業を煮やした女たちは、共謀して男への復讐を図るが…。入り組む人間関係を自在に操る演出の妙が見所。1997年のリバイバル上映で再燃した人気を受けて、昨年自らの手でテレビ版をリメイクした。

‘61(大映東京)(脚)和田夏十(撮)小林節雄(美)下河原友雄(音)芥川也寸志(出)岸恵子、船越英二、山本富士子、宮城まり子、中村玉緒、岸田今日子、永井智雄、大辻伺郎、伊東光一、伊丹一三、倉田マユミ、宇野良子、有明マスミ、紺野ユカ、村井千恵子、森山加代子、ハナ肇とクレージー・キャッツ

A-30 8/9(土)1:00pm 8/28(木)7:00pm
破戒(118分・35mm・白黒)

明治30年代の信州を舞台に、被差別部落出身の小学校教師、瀬川丑松の運命を綴った藤村の名作を、前年に手がけたテレビ・シリーズの好評を受け、雷蔵と藤村志保のコンビで映画化。解放運動家の猪子夫婦を演じた三国連太郎と岸田今日子の存在感も忘れがたい。

‘62(大映京都)(原)島崎藤村(脚)和田夏十(撮)宮川一夫(美)西岡善信(音)芥川也寸志(出)市川雷蔵、長門裕之、船越英二、藤村志保、三国連太郎、中村鴈治郎、岸田今日子、宮口精二、加藤嘉、杉村春子、見明凡太郎、潮万太郎、浜村純、嵐三右ヱ門、加茂良子

A-31 8/9(土)4:00pm 8/29(金)3:00pm
私は二歳(87分・35mm・カラー)

原作はベストセラーとなった松田道雄の育児書。高度経済成長期の日本を背景に団地住まいのサラリーマン夫婦が子育てに奮闘する姿を、幼児の視点を交えながらほのぼのと描き、キネマ旬報ベストテン第1位を獲得。ターちゃん役の子供は3,200人の中から選ばれた。

‘62(大映東京)(原)松田道雄(脚)和田夏十(撮)小林節雄(美)千田隆(音)芥川也寸志(出)鈴木博雄、山本富士子、船越英二、浦辺条子、潮万太郎、岸田今日子、渡辺美佐子、京塚昌子、大辻伺郎、倉田マユミ、浜村純、緋櫻陽子、花井弘子

A-32 8/10(日)4:00pm 8/29(金)7:00pm
雪之丞変化(113分・35mm・カラー)

「長谷川一夫三百本記念」作品。もとになったのは長谷川(林長二郎)の松竹下加茂時代の代表作(1935年)で、伊藤=衣笠の脚本を和田夏十が全面的に書き改めた。市川監督が時代劇の規範からは自由に、照明や色彩、音楽の実験を試み大胆にリメイクした一本。

‘63(大映京都)(原)三上於菟吉(脚)伊藤大輔、衣笠貞之助、和田夏十(撮)小林節雄(美)西岡善信(音)芥川也寸志、八木正生(出)長谷川一夫、山本富士子、若尾文子、市川雷蔵、勝新太郎、船越英二、林成年、柳永二郎、市川中車、中村鴈治郎、中村豊、真城千都世、千葉敏郎、水原浩一

A-33 7/22(火)3:00pm 8/31(日)4:00pm
股旅(96分・35mm・カラー)

*市川監督の選んだオープニング作品

「股旅もの」は、伊藤大輔や稲垣浩といった先達の作品を通じて、監督が若い頃から憧れていたジャンルである。撮影場所に寝泊りし、音楽まで監督が自作するという低予算の中、世の中からはみ出た青年たちを活写し、自ら「映画作りの原点に帰った」と述懐している。

*7/22(火)3:00pmの回では、監督の舞台挨拶を予定しています

‘73(崑プロ=日本アート・シアター・ギルド)(脚)谷川俊太郎、市川崑(撮)小林節雄(美)西岡善信、加門良一(音)久里子亭、浅見幸雄(出)小倉一郎、尾藤イサオ、萩原健一、井上れい子、常田富士男、加藤嘉、大宮敏充、二見忠男、夏木章、坂本長利、野村昭子、黛廉太郎、加茂雅幹、吉田精一