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文人画の近代−鉄斎とその師友たち

会期: 1998(平成10)年1月27日(火)〜3月1日(日)
月曜日休館
午前10時−午後5時(入館は午後4時30分まで)
会場: 東京国立近代美術館
〒102 東京都千代田区北の丸公園3
(地下鉄東西線竹橋駅下車、1b出口より徒歩3分)
お問い合わせ先:03-3272-8600(NTTハローダイヤル)
東京国立近代美術館ホームページhttp://www.momat.go.jp/
主催: 東京国立近代美術館、京都国立近代美術館
協力: (財)堂本印象記念近代美術振興財団
観覧料:
一般 830円(560円)
高校生・大学生 450円(250円)
小学生・中学生 250円(130円)
* 消費税込み( )内は20名以上の団体料金
● この展覧会は京都国立近代美術館企画の展覧会の巡回展です。
京都国立近代美術館での会期:
1997(平成9)年12月9日〜1998(平成10)年1月18日


“文人画”と近代

元来、文人画は中国の士大夫階級の人々の余技として行なわれたものである が、それが日本に移入されたのは江戸時代の中期以降のことであった。戦国の 世が終わり、平和が長く続くうちに、幅広い層に芸術文化が浸透していったた め、中国の詩文をたしなむ人々を中心に、文人の自由高雅な生き方への憧憬が 高まり、祇園南海、柳沢淇園、池大雅、浦上玉堂など、すぐれた文人画家が輩 出した。そして武士や僧侶、富裕な町人たちの間では、文人画は彼らが身につ けるべき教養の一つとして流行した。しかし、この詩、画、書一体の絵画形式 は、幕末の激しい動乱期を経て日本が開国し、西洋の文化が浸透してゆくにし たがって次第に衰えていった。心境に遊ぶといった東洋的な生き方は、いつの 間にか知識階級の中から消えていったのである。

文人画最後の巨星、富岡鉄斎

富岡鉄斎は徳川幕府の封建体制がようやく揺らぎ始め、時代が大きく転換し ようとする19世紀の半ば、天保7年(1836)に京都に生まれた。当時は未だ太 平の眠りの中にあった京都であったが、鉄斎が青年期を迎える頃には、勤王運 動の中心地として、改革を目指す血気旺んな人々が全国から集まり、古都は動 乱の渦に巻き込まれていた。鉄斎もまた、人後に落ちない勤王家であり、同じ 志を持った人々と交わった。鉄斎は学問を修めるかたわら、絵を描いたが、生 涯、自らを儒生(儒学を修める学徒)と呼び、自分の絵には師匠も弟子もなく、 胸中の想いを托するための余技に過ぎないと語っている。しかし彼の遺した絵 は、水墨による山水画をはじめ、豊かな彩色による大和絵風、琳派風、大津絵、 道釈画などと実に巾が広く、多彩である。

鉄斎の時代を生きた文人たち─その世界を一堂に観る好機会

この展覧会では、鉄斎の作品と共に、彼とほぼ同時代を生き、鉄斎の生涯に 何らかの関わりを持った多くの文人たちの中から、貫名海屋(ぬきなかいおく)、 小田海僊(おだかいせん)、 田能村直入(たのむらちょくにゅう)、浮田一 惠 (うきたいっけい)、藤本鉄石(ふじもとてっせき)、山中静逸(やまな かせいいつ)、江馬天江(えまてんこう)、村山半牧(むらやまはんぼく)、 板倉槐堂(いたくらかいどう)、祖門鉄翁(そもんてつおう)、木下逸雲(き のしたいつうん)、さらに徐雨亭(じょうてい)ら5人の来舶清人らを選び、 彼らの遺した作品を展示し、従来、類例の無い強い個性を持った孤峰と見られ 勝ちであった鉄斎の芸術が、これら同時代の文人たちとの交流の中から、豊か な養分を摂取しながら形成されていったものであることを、明らかにしてゆき たい。彼らの作品をまとまって見る機会は、これまでほとんどなかったと思わ れる。例えば、フェノロサが「つくね芋山水」と揶揄したように、幕末明治初 期の文人画は、近代化、欧風化のなかで排斥され、等閑視されて、押し入れの 奥や博物館の収蔵庫の中に、空しく眠ることになったからである。たしかに、 これらの作品は最早、私たちの目には「古臭い」ものと映じ、現在の生活に何 の接点も見つけることが出来ないかも知れない。しかし、これらの作品の中に 潜む力が、やがて今日の閉塞した文化や芸術の状況に、新たな示唆を与える時 がくる可能性を、私たちは否定することはできない。その証しを、私たちはす でに鉄斎の中にしばしば見いだすことができるのだから。

出品作品数 鉄斎の作品約100点、 その師友たちの作品約100点(会期半ばで展示替え)

この展覧会は初期を中心とした鉄斎の作品約100点とその師友たちの作品約100 点を展示するものである。この展覧会によって鉄斎の生きた時代の文化、芸術 の状況を、より明らかにすることができれば、私たちの意図は達成されたと言っ てよいだろう。

[主な出品作品]

富岡鉄斎 「妙義山図・瀞八丁図」(明治38/1905)
「夏景山水図」(明治45/1912)
「艤槎図」(ぎさず)(大正13/1924)
小田海僊 「漁楽図」(文政8/1825)
貫名海屋 「芦汀晴秋図」(慶応2/1866)
藤本鉄石 「十六羅漢図」(万延元/1860)
村山半牧 「柳郷清暑図」(文久元/1861)
山中静逸(信天翁) 「天保九如之図」(明治9/1876)
浮田一惠 「白川尚歯会之図」
呉昌碩(ごしょうせき) 「藤花爛漫図」(大正5/1916)

常設展:近代日本美術の名作
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