開催中の展覧会

  • 2017.11.14-2018.05.27
  • 所蔵作品展

MOMAT コレクション

MOMAT Collection

2017年11月14日-2018年5月27日の所蔵作品展のみどころ

安井曽太郎 《金蓉》 1934年

高村光太郎 《手》 1918年頃

 MOMATコレクションにようこそ! 20世紀はじめから今日に至る日本の近現代美術の流れを、国際的な関連も含めてご紹介します。けれども、作品がただ時代順にならんでいるだけではありません。

 4階第1室は「ハイライト」。当館選りすぐりの名品が凝縮されています。2室から12室までは、おおよそ時代順ですが、例えば大正時代でも「太陽とわたしと女性」や「関東大震災」など、部屋ごとにテーマをたてて作品が選ばれていますから、ぜひ同じ部屋の作品どうしを比べてみてください。そして作品の時代背景にも思いを馳せていただくと、よりお楽しみいただけるはずです。1階で開催される熊谷守一展(12月1日ー3月21日)、横山大観展(4月13日ー5月27日)と連動したテーマの部屋もあります。

   3階第9室では、近年まとめて収蔵した、アメリカを代表する写真家ロバート・フランクの特集を、2階ギャラリー4では「難民」をテーマとした特集を行います。

   また、今年も桜の季節にあわせて「美術館の春まつり」を開催します。川合玉堂《行く春》(重要文化財 3月20日ー5月27日展示)をはじめとした名作が、みなさまをお迎えします。

今期も盛りだくさんのMOMATコレクション。どうぞごゆっくりお楽しみください。

出品作品リストはこちら

今会期に展示される重要文化財指定作品

 今会期に展示される重要文化財指定作品は以下の通りです。

  • 原田直次郎 《騎龍観音》(1890年) 寄託作品(護國寺蔵)

  • 安田靫彦《黄瀬川陣》(1940/41年) *2018年1月16日-3月18日 展示

  • 萬鉄五郎《裸体美人》(1912年)  *2018年2月20日-5月27日 展示

  • 川合玉堂《行く春》(1916年)*2018年3月20日-5月27日 展示

  • 菱田春草《賢首菩薩》(1907年) *2018年3月20日-5月27日 展示

    画像と解説は、こちら

     

     

展覧会構成

4F

1室 ハイライト
2-5室 1900s-1940s 明治の終わりから昭和のはじめまで

「眺めのよい部屋」

美術館の最上階に位置する休憩スペースには、椅子デザインの名品にかぞえられるベルトイア・チェアを設置しています。明るい窓辺で、ぜひゆったりとおくつろぎください。大きな窓からは、皇居の緑や丸の内のビル群のパノラマ・ビューをお楽しみいただけます。

「情報コーナー」

MOMATの刊行物や所蔵作品検索システムをご利用いただけます。

 

 

1室 ハイライト

安井曽太郎 《金蓉》 1934年

 3,000m²に200点以上が並ぶ、所蔵作品展「MOMATコレクション」。その冒頭を飾るのは、重要文化財を含むコレクションの精華をご覧いただく「ハイライト」です。2012(平成24)年の所蔵品ギャラリーのリニューアルを機に新設したコーナーで、壁は作品を美しく際立たせる濃紺、床はガラスケースの映り込みを少なくするために、艶消しの黒を選んでいます。
 3期に分かれる今会期の日本画では、写実味のある鳥の姿態と装飾性が融合した平福百穂《荒磯》と加山又造《群鶴図》(1月14日まで展示)、源頼朝と源義経の20年ぶりの再会を描いた安田靫彦《黄瀬川陣》(重要文化財、1月16日―3月18日に展示)、桜を詩情豊かに謳いあげた川合玉堂《行く春》(重要文化財、3月20日―5月27日に展示)が見どころです。
 洋画は、重要文化財の原田直次郎《騎龍観音》に加え、今会期は、洋の東西の差異や写実に対する深い認識に立ち、「日本的油絵」の創造に取り組んだ小出楢重、坂本繁二郎、須田国太郎、安井曽太郎、梅原龍三郎の代表作が一堂に会します。近年収蔵のセザンヌとマティスの西洋絵画も見どころです。

2室 文展開設前後

中村不折 《廓然無聖》 1914年

 明治政府が発足して以降、文化の面でもさまざまな概念や制度が西洋にならって整備されました。西洋由来の油彩画に「洋画」の名を与え、対して古来育まれた伝統的な手法による絵画全般を「日本画」と一括りにしたのもこの時代のことです。このジャンル分けは、1907(明治40)年に「洋画」「日本画」「彫刻」の3部門を対象とする官設の文部省美術展覧会(文展)が開設されるに至り、制度の上でも明確化されました。
 ここでは、文展開設前後に制作された作品から、人物表現を中心に紹介します。朝倉文夫《墓守》は、神仏や偉人ではない、ありふれた人物像です。本作を契機に、朝倉は理想化を排した写実的な彫刻を追求しました。中村不折は、第1回文展以降たびたび審査員を務め、自らも出品を続けた常連です。黒田清輝率いる「新派」とは一線を画し、フランスの伝統絵画の様式を取り入れて、東洋の題材による重厚な歴史画を手がけました。今回、1階の「没後40年 熊谷守一 生きるよろこび」(12月1日―2018年3月21日)にちなみ、東京美術学校時代に熊谷の同級生であった青木繁、和田三造、山下新太郎の作品も展示しています。

 

3室 1910年代の美術 太陽とわたしと女性

村山槐多 《バラと少女》 1917年 【展示期間:2017年11月14日~2018年2月18日】

 「僕は芸術界の絶対の自由(フライハイト)を求めている。従って、芸術家のPERSOENLICHKEIT(人格)に無限の権威を認めようとするのである。[…]人が『緑色の太陽』を画いても僕はこれを非なりと言わないつもりである」。1910(明治43)年に彫刻家で詩人の高村光太郎が発表した「緑色の太陽」の中の一文です。外界の自然の姿すら変えることが可能な、芸術家という個人のものの見方、感じ方の絶対の自由をうたう、大正デモクラシーの幕開けを告げる文章です。
 大正の芸術運動を生み出したのは、ファン・ゴッホやゴーギャンといったポスト印象派の芸術に熱狂し、自己表現の何たるかを学んだ美術家たちでした。この部屋では、「太陽」と「自画像」と「ミューズとしての女性」というテーマから大正期の美術を紹介します。いずれもこの時代の美術表現の特徴を良く表すモチーフですが、ここで雑誌『青踏』に、女性解放運動家の平塚らいてうの「元始、女性は太陽であった」というフレーズで始まる文章が1911年に掲載されたことを思い起こし、「個」や「自由」の謳歌であるこれらの作品の作者が、すべて男性であったという事実も、あわせて考えてみるべきかもしれません。

 

4室 1923年9月1日

十亀広太郎 《御茶之水ニコライ堂》 1924年 【展示期間:2017年11月14日~2018年2月18日】

 1923(大正12)年の9月1日11時58分、マグニチュード7.9の巨大地震が関東地方を襲います。揺れによる建物の倒壊よりも火災の被害の方がはるかに大きく、地震直後に発生した火災はまたたくまに東京の中心部を焼き尽くし、壊滅的な被害を与えました。90万人が被災、10万5千人余が死亡あるいは行方不明となり、11万余棟の建物が倒壊、全焼は21万余棟に及んだとされます。
 首都を壊滅させたこの「関東大震災」は、ヨーロッパを荒廃させた第一次世界大戦に比較しうる衝撃を日本にもたらし、さまざまな面で日本社会を一変させることになります。そしてこの震災は、「個」や「自由」を謳歌する大正期の美術と、「都市」や「機械」、「大衆」などに特徴づけられる昭和戦前期の美術との間の、決定的な切断線ともなりました。
 ここでは、震災直後の状況を克明に記録した十亀広太郎の水彩と、震災後、急速に近代都市へと変貌を遂げていく東京を描いた版画とを紹介します。

5室 1920年代半ばから1930年代末の美術 機械とメルヘン

野田英夫 《都会》 1934年 【展示期間:2018年2月20日~5月27日】

 関東大震災からの復興のなかで芸術家が出会った、二つの「世界」を紹介します。
 まず「機械」の世界。1920–30年代、近代化による技術の進展のなかで、機械に対する新たな美意識が誕生します。しかし機械は礼讃の対象であると同時に、その機構の一部となり、個としての人間性を剥奪されていくような両義的なものでした。芥川龍之介が『歯車』を執筆したのが27(昭和2)年、横光利一が次のような一節を含む『機械』を発表したのが30年のことです。「私たちの間には一切が明瞭に分っているかのごとき見えざる機械が絶えず私たちを計っていてその計ったままにまた私たちを押し進めてくれているのである。」
 もうひとつは「メルヘン(童話)」の世界。宮沢賢治が『注文の多い料理店』を出版したのは24(大正13)年のことでした。理想郷「イーハトブ」を舞台に、擬人化された動物と人間の間で繰り広げられる寓話は、一見すると現実との直接的関わりが薄いようにもみえます。しかし賢治にとってこのメルヘンという語りの形式は、彼の抱くヴィジョン、すなわち世界の救済あるいは解体という「革命」を表現、実現するための、きわめてリアルな手段だったのです。

 

3F

6-8室 1940年代-1960年代 昭和のはじめから中ごろまで
9室 写真・映像
10室 日本画
建物を思う部屋

 

6室 南へ

清水登之 《工兵隊架橋作業》 1944年頃

 太平洋戦争中、陸軍と海軍は、画家たちに「作戦記録画」の制作を委嘱し、その制作のために画家たちを戦地に派遣しました。藤田嗣治、猪熊弦一郎ら多くの画家たちがこれに従い、ある者は中国大陸へ、ある者は南方へと向かいました。今回は、とくに南方を題材とした画家たちの作品を集めてみました。戦争の一場面を記録として残すことが要請されるなか、画家たちの関心は、日本とは異なる自然にも向けられているように見えます。
 戦局が日本にとって不利になるにつれ、南方へ実際に赴いて記録画を制作することは不可能となっていきます。画家たちは以前の取材スケッチや写真、兵士の証言などをたよりに、想像で構図を組み立てていきました。それはすでに「記録画」と呼べるものではないかもしれませんが、そもそも戦争画のどこまでが真実で、どこからが虚構か、というのは難しい問題です。それに対して、一兵士としてビルマ(現在のミャンマー)に従軍した青年画家、浅原清隆が、新婚まもない妻に送った絵葉書は、ささやかだけれどもある真実を伝えているかもしれません。彼はこれらの絵葉書を送ってしばらく後、消息を絶ちました。

 

7室 ふたつのアヴァンギャルド

山下菊二《植民地工場》1951年

 アヴァンギャルド(前衛)とはもともと軍隊用語で、本隊より前に位置して警戒にあたる部隊を意味していました。それが転じて、政治的な革命運動の用語として用いられ、さらに1930年代頃から、新しい表現を切り拓こうとする先鋭的な芸術運動を指すようになっていきます。しかしそうした運動は、戦時中はいったん押さえつけられました。
 戦後、あらためてアヴァンギャルド運動を推進した芸術家たちは、ふたつの方向性に分かれました。純粋に造形上の問題として新しい表現をめざそうとする者たちと、新しい表現を通して社会を変えていこうとする者たちです。後者に属する山下菊二たちは、戦後の複雑な社会状況を、批判的な視点から再構成し、また幻想的な要素を取り入れて、メッセージ性の強い作品を描きました。また、この時期は美術家と文学者が分野を超えて協力し合い、ともに新しい表現を目指そうとした点にも特色があります。岡本太郎や花田清輝らの「夜の会」、安部公房や桂川寛らの「世紀」などがよく知られています。

8室 生と死をめぐる造形

瑛九《れいめい》1957年

 12月1日から2018年3月21日にかけて、1階企画展ギャラリーでは熊谷守一の回顧展が開催されます。サブタイトルに「生きるよろこび」とあるように、彼の作品には生命に向ける純粋な視線が認められますが、彼はまたいくつもの死をも見つめてきました。それにちなみ、この部屋では戦後美術において、生や死をテーマにした作品を集めてみました。
 生と死は、きわめて個人的な体験であると同時に、普遍的なテーマでもあります。具象絵画では、「生」は例えば母子像に託して表現され、「死」は死者あるいは骸骨の描写によって表現されることが多いですが、抽象絵画では、より原初的なイメージとして象徴的に表されます。そのためか、例えば難波田龍起の作品のように、生のイメージと死のイメージが、ほとんど等しく見えることもあります。無から有へと形が生まれつつある状態と、有から無へと形が失われていく状態とは、見分けがたいのかもしれません。そしてまた「あの世」が目に見えないものであるため、画家たちは見えるものを通して見えないものをいかに表現するか、という美術の本質的な問題に力を尽くすことになるのです。

 

9室 (1) ロバート・フランク 「私の手の詩」  (展示期間:2017年11月14日-2018年1月14日)

 MOMATでは、出版社邑元舎を主宰し、写真集の出版を手がけた元村和彦氏(1933–2014)が所蔵していたロバート・フランク作品145点を、新たに収蔵しました。20世紀後半の最も重要な写真家のひとりフランクの代表作を含む作品群を、三期に分けて展示します。
 第一期では、元村が1972年に出版した写真集『私の手の詩』収載の作品を紹介します。本作は、フランクの評価を確立した写真集『アメリカ人』(1958年フランス版、1959年アメリカ版)の後、映像作品へと移行した写真家に、元村が新たな写真集の制作を提案し、実現したもの。『アメリカ人』を通じてフランクに私淑していた元村が、新作を切望し、それを自らの手で実現するため70年にニューヨークにフランクを訪ね、協力を依頼したというエピソードが残されています。ブックデザインを担当したのは杉浦康平。初期から70年代初頭までのさまざまな写真により、自伝的な作品として編まれたこの写真集は、映像作品から再び写真へとフランクが軸足を移すきっかけとなりました。

 

9室 (2) ロバート・フランク 「花はパリ」  (展示期間:2018年1月16日-3月18日)

 第二期では、1972年の『私の手の詩』に続く、元村が手がけた二冊目のフランクの写真集で、87年に出版された『花は…』より、第一章「花はパリ」を構成する作品を展示します。これらの写真は、スイス出身のフランクが、一度アメリカに渡った後、ヨーロッパに戻ってパリで暮らした49年から51年にかけて、路上の花売りや、それを買い求める人々の様子に魅せられて撮り続けたもの。この美しい章で始まる写真集『花は…』は、74年に飛行機事故で亡くなった娘アンドレアに捧げられています。

 

9室 (3) ロバート・フランク 「マブウ、そして」  (展示期間:2018年3月20日-5月27日)

 第三期では、1987年の写真集『花は…』の第三章「マブウは待ち続ける」を構成する作品を中心に、フランクが69年より家を持ち、ニューヨークとともに拠点としたカナダ、ノヴァスコシア州マブウで撮影された作品群を紹介します。元村が出版を手がけた72年の『私の手の詩』と87年の『花は…』の二冊の写真集を構成する写真の多くは、印刷原稿としてフランクから提供されたのち、そのまま譲られるかたちで元村の手元に残りました。その後も互いの元を訪ねるなど、生涯親交を持ち続けた元村に、フランクは折にふれて作品を贈っています。今回展示するいくつかの作品には、そうした二人の交友を示す献辞が、フランクによって書き込まれています。

 

10室 (1) 生きるよろこび  (展示期間:2017年11月14日-2018年3月18日)

高村光太郎《兎》1899年頃 【展示期間:2017年11月14日~2018年1月14日】

 日本美術には、花や鳥、虫、動物などを視覚芸術に表す長い伝統があります。今回は1階で開催する「熊谷守一 生きるよろこび」展(12月1日―2018年3月21日)に合わせ、日本画、彫刻、版画などから、生き物をモチーフにした作品を選びました。
 生き物を描くのが得意だった日本画家といえば、まっ先に竹内栖鳳を挙げなくてはなりません。「動物の臭いまで描く」と称賛されたこの画家は、ただ上手いだけではなく、慎重な画家でもありました。鳥や動物のさまざまなポーズを写真に収め、アトリエに山のように積んで参考にしていたというのです。
 花鳥画を得意とした上村松篁の取り組みも独特でした。アトリエの庭に動物園も顔負けの鳥舎をつくり、飼育と写生に明け暮れました。松篁の信条は「鳥の生活を理解しなければ、鳥は描けない」だったといいます。
 制作への取り組み方や表現は作家によりさまざまです。生き物の多様性は人間の幸福に直結するといいますが、生き物の表現の多様性もまた然りと、これらの作品は思わせます。

10室 (2) 日本美術院創立120年  (展示期間:2018年3月20日-5月27日)

速水御舟《京の家・奈良の家》1927年

 1階で開催する「生誕150年 横山大観展」(2018年4月13日―5月27日)に合わせ、今回は大観の活動の主要な舞台となった日本美術院にスポットをあてます。
 日本美術院は、今から120年前の1898(明治31)年に、東京美術学校長を罷免された明治の思想家、岡倉覚三(天心、1863–1913)を中心に設立されました。以来、地方への移転(1906年)、一時の活動休止(1908年)、その後の再興(1914年)、財団法人化(1958年)を経て、今日まで続いています。
 東洋の古典を尊び革新を目指す―これが、創立以来変わらない日本美術院の方針です。作家たちは思い思いに研究に取り組み、時には指導者たちが予期しなかった表現手法や流行を生み出しました。明治期のいわゆる「朦朧体」や、大正期の細密描写などです。また、小川芋銭や片岡球子といった個性派を尊重したことも院の大きな特徴でした。
 日本美術院が近代日本画の世界にもたらした表現の多様性を、院を支えた主要作家の大作によりお楽しみください。

2F

11–12室 1970s-2010s 昭和の終わりから今日まで

 *ギャラリー4(13室)

MOMATコレクション

11室、12室 (1) 見えない構造をつかみとれ   (展示期間:2017年11月14日-3月18日)

岡﨑乾二郎 《テウミンとたみをとむらって バツサイとつみをきりしは》 2000年

 1階で回顧展(2017年12月1日―2018年3月21日)が開催されている熊谷守一は、形をシンプル化することを得意としていました。この形のシンプル化とは、決して輪郭を描くのが上手ということではありません。それは、対象の中に存在する見えない構造をきちんととらえているということなのです。今回11―12室では、当館が所蔵する現代美術の中から、熊谷に通じるような作品を中心に展示しています。人体を参照しているように思えるジョエル・シャピロの作品から、人々の「反応」の本質を演劇のフォーマットを借りながら映像で写しとる高嶺格(ただす)まで、様々な構造が浮かび上がってくる様をお楽しみください。 

11室 (2) 李禹煥 余白の芸術  (展示期間:2018年3月20日-5月27日)

 1階で回顧展(2018年4月13日―5月27日)が開催されている横山大観は、日本画を代表する作家。ここで「日本画の特徴とはいったいなにか?」と問うてみた時に、きっと多くの人が「余白の美」と答えることでしょう。ということで今回は、『余白の芸術』という著作もある李禹煥(うーふぁん)の作品を特集して展示することにしました。面白いのは、余白は、たとえば一つの点を描くという行為によって生まれるということ。つまりそれは、なにかの行為を必要とし、その行為の後に生まれるものなのです。この、事後的に生まれる以上はコントロールが利かないという状況をきちんと認識し、それをむしろ作品の本質に据えようとした点で、李の作品は極めて現代的だと言えるのです。

12室 (2) 不確かな写真 2000年代の日本の写真より  (展示期間:2018年3月20日-5月27日)

鈴木理策 《サント・ヴィクトワール山》 2001年

 ここでは2000年代に制作された4人の日本人の写真家の作品を紹介しています。セザンヌの作品によって知られる南仏の山を撮り直した鈴木理策。人物写真を見る時につい抱いてしまう私たちの期待を問い直すホンマタカシ。前景に水面を写しこむことで、見る視点や見られている対象を揺るがす楢橋朝子。あるひとつのグループに属するメンバー皆をひとつの写真に焼きこむことで、統合された人物像をつくりあげる北野謙。どの作品も、写真というメディアを使うことで確かさと不確かさを問おうとする試みだと言えます。ちなみに2000年代はデジタル写真が急速に普及した時代。今の私たちからすると、北野の写真はデジタルで制作されているように見えますが、実際には、35mmフィルムで撮影したネガを物理的に多重露光させたものです。

13室(ギャラリー4) 難民   (展示期間:2017年11月14日-2018年3月21日)

安井仲治 《「安井仲治ポートフォリオ」より 流氓ユダヤ 窓》 1941年

 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によれば、2015年末時点での難民の数はなんと6530万人。計算上は地球上の113人に1人が難民となり、これはもちろん、第二次世界大戦後最大の数です。自国内で自発的ではない形で移動を強いられている人達、すなわち「国内避難民(IDP)」を加えれば、その数はもっと増えるでしょう。ある意味、いつどこで誰が難民になるのかわからない世界となってしまっているとも言えます。
 ここではコレクションの中から、難民を描いたり捉えたりした作品をご紹介します。たとえばミリアム・カーンというスイスの女性の作品は、具体的な歴史的事実ではなく、自らがそうであるユダヤ人にとっての難民という在り方を象徴的に描いています。

 

イベント


MOMATガイドスタッフによる所蔵品ガイド

休館日を除く毎日

日程: 2017年11月14日(火)~2018年5月27日(日)
時間: 14:00-15:00(※イベント開催日には時間を変更する場合があります)
場所: 所蔵品ギャラリー(1Fエントランス集合)

所蔵品ギャラリーでは毎日、作品解説が行われています。
当館のボランティア「MOMATガイドスタッフ」が、参加者のみなさまと会場をまわり、数点の作品を一緒に鑑賞しながら、作品についての理解を深められるようにお手伝いします。
作品とテーマは、ガイド前に1階エントランスに掲示されます。
約40名のガイドスタッフそれぞれ、作品とテーマが異なりますので、何度参加されてもお楽しみいただけます。

*「MOMATガイドスタッフ」のページもあわせてご覧ください。
*「教育普及室ブログ」でも様子を写真付きで詳しく紹介しています。


MOMATガイドスタッフによるハイライト・ツアー

日程:    2017年12月3日(日)
                   2018年1月7日(日)
                   2018年2月4日(日)
                   2018年3月4日(日)

時間:    11:00-12:00
場所:    所蔵品ギャラリー(4Fエレベーター前集合)

近代日本の美術の流れをたどりつつ、所蔵作品展「MOMATコレクション」の見どころを押さえたい方に。MOMATガイドスタッフが、参加者の皆様とともに4階から2階までをまわり、代表的な所蔵作品を、やさしく解説します。


キュレーター・トーク

日 程  : 11月18日(土)
担当研究員: 都築千重子
テーマ  : 昭和戦前期の写実について
時 間  : 14:00-15:00
場 所  : 4階エレベーター前

日 程  : 12月22日(金)
担当研究員: 大谷省吾
時 間  : 18:30-19:30

日 程  : 2018年1月20日(土)
担当研究員: 保坂健二朗
時 間  : 14:00-15:00

日 程  : 2018年3月24日(土)
担当研究員: 増田玲
時 間  : 14:00-15:00

過去のテーマはこちら


  

会場:
東京国立近代美術館本館所蔵品ギャラリー(4F-2F)、ギャラリー4(2F)
会期:
2017年11月14日(火)-2018年5月27日(日)
開館時間:
10:00-17:00(金曜・土曜は10:00-20:00)
※入館は閉館30分前まで
休室日:
月曜日[ただし、1月8日、2月12日、3月26日、4月2日、30日は開館]、12月28日~1月1日、1月9日(火)、2月13日(火) →月間カレンダーもご参照ください。
観覧料:
一般 500円 (400円)
大学生 250円 (200円)
5時から割引:
一般 300円
大学生 150円
※( )内は20名以上の団体料金。いずれも消費税込。
※高校生以下および18歳未満、65歳以上、障害者手帳をお持ちの方とその付添者(1名)は無料。
※それぞれ入館の際、学生証、運転免許証等の年齢の分かるもの、障害者手帳等をご提示ください。
※お得な観覧券「MOMATパスポート」でご観覧いただけます。
キャンパスメンバーズ加入校の学生・教職員は学生証または教職員証の提示でご観覧いただけます。
「友の会MOMATサポーターズ」「賛助会MOMATメンバーズ」会員の方は、会員証のご提示でご観覧いただけます。

「MOMAT支援サークル」のパートナー企業の皆様は、社員証のご提示でご観覧いただけます。(同伴者1名迄。シルバー会員は本人のみ)

無料観覧日:
毎月第一日曜日(12月3日[日]、1月7日[日]、2月4日[日]、3月4日[日]、 4月1日[日]、5月6日[日])および 11月15日[水、工芸館開館40周年記念日]、1月2日[火]、5月18日[金、国際博物館の日]
主催:
東京国立近代美術館

プレスリリース

出品リスト

所蔵作品展「MOMATコレクション」(4-2F)のご案内

9室「写真・映像」

9室「写真・映像」*

10室 「日本画」*

「眺めのよい部屋」*

「眺めのよい部屋」*

 「MOMATコレクション」展は、日本画、洋画、版画、水彩・素描、写真など美術の各分野にわたる13,000点(うち重要文化財14点、寄託作品2点を含む)を超える充実した所蔵作品から、会期ごとに約200点をセレクトし、20世紀初頭から今日に至る約100年間の日本の近代美術のながれを海外作品も交えてご紹介する、国内最大規模のコレクション展示です。

 ギャラリー内は、2012年のリニューアルによって、12の部屋からなるスペースに生まれ変わりました。その1室から12室までを番号順にすすむと、1900年頃から現在に至る美術のながれをたどることができます。そして、そのうちのいくつかは「ハイライト」、「日本画」という特別な部屋、あるいは特集展示のための部屋となって、視点を変えた展示を行っています。

 「好きな部屋から見る」、「気になる特集だけ見る」あるいは「じっくり時間の流れを追って見る」など、それぞれの鑑賞プランに合わせてお楽しみください。

 

 


展示替えについて

年間数回大きく作品を入れ替えています(会期によっては、さらに日本画を中心とした一部展示替があります)。

展覧会構成はこちらをご覧ください。 


このページ内の会場風景はすべて撮影時のものであり、現在の展示と同じとは限りません。
*印:いずれもphoto: 木奥恵三

 

所蔵品ギャラリーについて

 「MOMATコレクション」では12(不定期で13)の展示室と2つの休憩スペースが3つのフロアに展開し、2Fテラス付近や前庭にも屋外彫刻展示を行っています。マップの水色のゾーンが「MOMATコレクション」です。4Fには休憩スペース「眺めのよい部屋」を併設しています。

所蔵作品展「MOMATコレクション」の会場入口は4Fです。1Fエントランスホールからエレベーターもしくは階段をご利用のうえ、4Fまでお上がりください。

音声ガイドのご案内-コレクションをもっと身近に、もっと楽しく!

 所蔵作品展「MOMATコレクション」では、解説を聴きながら、所蔵品ギャラリーを巡ることができます。

 作品のいろいろな面が見えてくる、そんな発見がいっぱいの音声ガイドです。ぜひご利用ください。

  • 1F受付にて貸出・返却
  • ご利用料金:300円