開催中の展覧会

  • 2017.9.15 - 11.23
  • 企画展

工芸館開館40周年記念特別展
陶匠 辻清明の世界―明る寂びの美

The Crafts Gallery 40th Anniversary Exhibition
Ceramic Artist TSUJI Seimei: The Beauty of Akaru Sabi

展覧会について

《信楽大合子 天心》 1970年 東京国立近代美術館蔵 撮影:藤森武

出品作品リスト 参考図書リスト

辻清明(1927-2008)は、1955年に東京・多摩に登窯を築いて以降、信楽の土を用いた無釉焼き締め陶を活動の中心とした作家です。古美術の蒐集や芸術家との交流を通して感性を磨き、「明る寂び」と呼ばれる信楽特有の美の世界を構築しました。工芸館開館40周年と、辻の没後10年を記念して開催する本展では、茶陶やオブジェなどの代表作とともに、古信楽や古代ペルーの土器など、きびしい目で選び抜かれた愛蔵品や、洋画家の山口長男やアメリカの陶芸家ピーター・ヴォーコスら、芸術家が辻の陶房で制作した作品なども紹介し、辻清明という陶芸家の創作の軌跡を振り返ります。

(※「辻」の字のしんにょうは点ひとつです。)

 

みどころ

・円熟期の代表作約150点を展観します。

自然釉による景色や、明るさを帯びた色合いなど、信楽の素材と作家の表現性が結びついた「明る寂び」の世界に迫ります。「宇宙のシンボル」と称して、傍に置いていたという《天心》をはじめ、五百羅漢を模して作られた花生のほか、缶や瓶、帽子やステッキなどをかたどった、ユーモアあふれる作品も紹介します。

 

・ガラスや書など、作者が陶磁以外の素材に挑んだ作品もご紹介します。

 高台のついたうつわや、百合鉢など陶磁の発想を転用したガラスの作品や、筆だけでなく、時には藁も用いたという、のびやかな書の作品も紹介します。

 

・記念呈茶を行います!

辻清明は、作品として茶碗や花生など多くの茶器を制作したほか、自邸にもこだわりの茶室を備えていました。作品を組み合わせて茶席をイメージした展示を行うほか、会期中、一日限定で辻清明の茶碗で味わう記念呈茶を行います。

 

 

《信楽自然釉茶盌》 1992年 東京国立近代美術館蔵 撮影:藤森武

《信楽耳付水指》 1993年 東京国立近代美術館蔵 撮影:藤森武

《信楽陶缶》《信楽陶缶》《磁器土陶缶》 1982年 菊池寛実記念 智美術館蔵 撮影:田中学而

《信楽耳付羅漢花生》1988年 茨城県陶芸美術館蔵

書《アリのまま》1997年 個人蔵 撮影:藤森武

《硝子蕪鉢》 1991年 東京国立近代美術館蔵 撮影:藤森武

《聚楽掛分茶盌》 1990年 東京国立近代美術館蔵 撮影:藤森武

《信楽山羊角杯》 1988年 愛知県陶磁美術館蔵 撮影:藤森武

辻清明と明る寂び ※「辻」の字のしんにょうは点ひとつです。

作家肖像 1996年 撮影:藤森武

陶磁の道に進む以前、すでに4、5歳のころには古美術に関心があったという辻清明は、生涯にわたって国内外の名品を蒐集しています。その中でも古信楽の作品が与えた重要なインスピレーションが「明る寂び」でした。

「明る寂び」とは、元々、山口諭助が自著『美の日本的完成』の中で用いた表現で、「寂び」の考えを「冷え寂び」「暗寂び」などに分類したもののひとつです。辻清明は、古信楽の中に見出した「明る寂び」について、優美でのびやかで、夜明けの空に似て明るく澄んだ気配があり、そこはかとない華やかさや軽いユーモアを含んだものだとして、自らの制作でも、目指すところと位置づけていました。

辻清明は、少年時代に富本憲吉や板谷波山から教えを受けた他、生涯を通じて多くの芸術家との交流がありました。辻の工房を訪れ「陶」に挑戦した、山口長男やサム・フランシスらの画家、アメリカの前衛陶芸を牽引したピーター・ヴォーコス、半世紀にわたって共に作陶した妻・辻協(協子)ら、親交のあった作家の作品も併せて紹介します。

 

略歴

(歳)  
1927年  (0)  1月4日、東京府荏原郡世田谷町大字大師堂(現・世田谷区太子堂)に生まれる。
*幼少期から父親の影響で古美術に興味をもち、9歳の誕生日に野々村仁清《色絵雄鳥香炉》を買ってもらう。
1941年   (14)  自宅に姉の輝子とともに「辻陶器研究所」の看板を掲げ、陶芸家の道を歩みだす。
*富本憲吉、板谷波山のもとへ通い教えを受ける。益子の濱田庄司を訪ねるなど、この頃から芸術家との交流は盛んであった。
1951年 (24) 漆の佐藤正巳や金工の金田正士、石彫の木村賢太郎ら同志8人で「新工人」を創立。
1955年 (26) 「新工人」を通じて知り合った和田協子と結婚。その後、半世紀以上にもわたって共に作陶を行う。
1955年  (28) 南多摩(現・多摩市連光寺)に転居、半陶半農の生活を始める。登窯を築窯。
1959年 (32) 小山冨士夫から「六古窯」の話を聞き、焼締陶に興味を持つ。
1960年 (33) 備前の陶芸家、藤原啓とその甥、建を知る。その後、啓を度々訪ね作陶する。この頃、金重陶陽とも会う。
1963年 (36) 「辻清明展」(世田谷・五島美術館)
1964年 (37) 「明る寂び」の概念に目覚め、それを体現する信楽を自分の道と定める。
1983年  (56)  第二十七回日本陶磁協会賞金賞受賞。
陶房に米国の陶芸家ピーター・ヴォ―コスが来訪。
1989年 (62) 長野県穂高町の工房焼失。半世紀かけて蒐集した工芸品2000点、書籍が灰燼に帰す。
1990年              (63) ガラス作品に取り組む。
細部にもこだわった辻の作品ともいえる茶室を作る。 
1999年 (72) 「作陶六十年記念 辻清明展」(新宿・伊勢丹美術館)
2006年 (79) 東京都より名誉都民に選ばれる。
2008年 (81) 4月15日、死去

 

展覧会関連イベント

ギャラリートーク 唐澤昌宏(当館工芸課長・本展企画者)

当館研究員が鑑賞のポイントを分かりやすく解説します。

日程:  2017年9月17日(日)、10月8日(日)、10月29日(日)
時間:  14:00~15:00
場所:  工芸館会場

※申込不要・参加無料(要観覧券)

 

タッチ&トーク

工芸館ガイドスタッフによる鑑賞プログラム。注目の若手作家から人間国宝が手がけた作品や制作工程資料などに触れながら鑑賞する〈さわってみよう コーナー〉と、時代背景や作家の情報などの豊富なエピソードをまじえて作品のみどころをご紹介する会場トークとの2部構成で、さまざまな角度から展覧会を ご案内します。

日程:  会期中の毎週水・土曜日
時間:  14:00~15:00
場所:  工芸館会場

※申込不要、参加無料(要観覧券)

タッチ&トークの詳細はこちら

 

40周年記念イベント

40歳のアーティストトーク

工芸館の開館と同じ1977年生まれの陶芸家・新里明士さんと、同世代のアーティストを招いて、11月12日と19日の2日間、工芸の未来についてトークセッションを行います。(参加無料・要申込)

詳細はこちら>>

記念呈茶

日程:  2017年10月1日(日)
時間:  11:00~15:00
場所:  工芸館2階休憩室
参加:  無料(但し要当日観覧券)・申込不要。当日10:30より1階受付で整理券を配布します。
定員:  60席
概要:  辻清明の制作した茶碗(約10点予定)を使い、村瀬治兵衛氏(漆芸家)によるお点前で、一日限定のお茶席(立礼)を設けます。

※30分ごと の入れ替え制です。(7~8名様ずつご案内します)
※時間帯は先着順でお選びいただけます。
※当日に限り、受付で整理券と観覧券をご提示いただくと再入場が可能です。

 

辻清明《絵唐津茶盌》個人蔵

辻清明《信楽茶盌》個人蔵

開催概要

会場:
東京国立近代美術館工芸館
会期:
2017年9月15日(金)-2017年11月23日(木・祝)
開館時間:
10:00 - 17:00
※入館は閉館30分前まで
休館日:
月曜日(9月18日、10月9日は開館)、9月19日(火)、10月10日(火)
観覧料:
一般600円(400円) 
大学生400円(200円)
※( )内は20名以上の団体料金。及びキャンパスメンバーズ特典料金。いずれも消費税込。

高校生以下および18歳未満、障害者手帳をお持ちの方とその付添者(1名)は無料。
※それぞれ入館の際、学生証、運転免許証等の年齢の分かるもの、障害者手帳等をご提示ください。
無料観覧日:
11月3日(金・祝)文化の日
11月15日(水)工芸館開館40周年記念日
主催:
東京国立近代美術館、日本経済新聞社

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