ある日のタッチ&トーク

活動紹介 〜 ある日のタッチ&トーク


担当:工芸館ガイドスタッフ Mさん
テーマ:「総合芸術運動 身近なものを愛して」

1時:
工芸館に到着。
今日のガイドのパートナーのFさんと一緒に〈タッチ&トーク〉の準備を始めます。
受付横に案内板を出した後、〈さわってみようコーナー〉で作品のコンディションを1点ずつ確認し、お客さまがご覧になりやすいように並べていきます。
2時:

ご挨拶をしてトーク開始。
(慣れてきましてもいつも始まるときはとても緊張します。)
10名ほどのお客様が参加してくださり、今回は2階の展示会場のご案内から始めました。

会場でのトークのテーマは「総合芸術運動 身近なものを愛して」です。
アール・ヌーヴォーの中に日本美術のよさを再発見し、その総合芸術運動の影響から、幅広い活動を展開した浅井忠、橋口五葉、藤井達吉を中心にトークを進めていきました。

まずはミュシャのポスター《ジョブ》の前で、アール・ヌーヴォーの時代や美術様式について簡単にお話ししました。
浅井忠のパリ留学時代のアパートの写真(ミュシャのこのポスターが飾られていました)や、アール・ヌーヴォーの名前の由来になったビングのお店の写真をご覧いただきながら、洋画家として知られる浅井忠のパリ留学時代の体験や、帰国後の工芸分野での活動につながるエピソードをご紹介いたしました。

橋口五葉の版画作品《髪梳ける女》では、ミュシャのポスターとの類似点をお客様にも考えていただきました。
そして、橋口が浮世絵のよさを再発見し、アール・ヌーヴォーの装飾文様を着物や背景に取り入れながらモダンな美人版画の制作をしたことや、夏目漱石との交流からブックデザインを手がけるようになったことをお話しました。
貴重な作品の数々に、お客様も興味を持ってくださったようです。

 

 

活動の様子(1)

次は浅井忠の工芸分野における活動の数々。漆芸家・杉林古香とのコラボレーションによる《鶏梅蒔絵文庫》の前では、作品の印象についてお話くださる方や、漆素材についての質問も出てきました。

最後は藤井達吉の《紺別珍地桐繍胴服》です。「芸術は、人間の実生活、家庭生活からかけ離れたものではない」とする藤井の芸術観と活動をご紹介し、刺繍、アップリケ、木彫、七宝など多彩な活動を展開した藤井の作品をご鑑賞いただきました。

2時35分:

1階の〈さわってみようコーナー〉へ移動。会場で漆の作品をご覧いただきましたので、今回は「漆とその技法について」というテーマで作品や資料をご紹介しました。

活動の様子(2)

山本英夫さんの《黒内朱汁椀》、《朱汁椀》と古伏脇司さんの《兎98-04》を比較しながら、漆のさまざまな表情 を見ました。また今回は、人間国宝の故・田口善国さんの蒔絵や螺鈿工程見本、鳥毛清さんの《うさぎのゆりかご》と沈金工程見本など、このコーナーのために 作家さんたちが提供してくださった作品や資料も揃えました。

作品に触れながら、つるつる、ざらざら、軽い!など、目で見ただけではわから ない重さや質感を実感し、発見があるたびにお客様の笑顔がこぼれました。お客様同士も次第に打ち解け、技法についての質問もたくさんでて、約1時間にわた る〈タッチ&トーク〉が和やかに終了いたしました。

いつも一期一会の出会いと、お客様と一緒に鑑賞できる時間を楽しみながら、〈タッチ&トーク〉を担当させていただいております。ご紹介するエピソードや、作品に触れてそのよさを一緒に味わいながら、作家の方々と工芸作品をより身近に感じていただけましたらうれしいです。