NFC Digital Gallery – No.14

公開日:2017年3月22日

第14回 無声期日本映画のスチル写真(4)─日活京都篇②1920年代

「無声期日本映画のスチル写真」第4回は、引き続き「日本初の映画スター」尾上松之助主演作を取り上げます。前回同様、ご紹介するのは映画宣伝用にスチル写真を絵葉書にしたものですが、今回は白黒のスチル写真に彩色を施し「原色版」として頒布されていたカラーの絵葉書に焦点を当てます。すべてフィルムセンター所蔵の鳥羽幸信コレクションに属するものです。

※解説・あらすじは文献に基づく。

『大楠公』(『史劇 楠公一代記』)(1921年) Dainanko (1921)

写真/Photo

1921年6月19日公開 浅草 富士館 First release: Jun. 19, 1921

併映作品:アメリカ映画『海底の国宝 終篇』1920年(日本公開:1921年5月20日)監督:ジョージ・B・サイツ

Released with: Pirate Gold : Episode 10, (1920, USA, dir. George B. Seitz)

鎌倉幕府の打倒を目指す後醍醐天皇を支持する楠正成(尾上松之助)が、勝ち目のないことを知っていながら「湊川の戦い」に赴くにあたり、「桜井の駅」で我が子の楠正行(尾上松葉)に意志を託す場面がクライマックスとして描かれる。同場面(楠公父子の訣別)は、1921年11月20日から12月10日にかけて、御茶ノ水の教育博物館(現在の東京国立博物館および国立科学博物館)で開催された「活動写真展覧会」における摂政宮(後の昭和天皇)行啓の際に御前上演された。その台覧の際に撮影されたフィルム『史劇 楠公訣別』はNFCが所蔵しており、2010年に重要文化財に指定されている。→「映画フィルムの重要文化財指定

 

 

尾上松葉(左)、尾上松之助(右)

『真田大助と猿飛佐助』(1921年) Sanada Daisuke to Sarutobi Sasuke (1921)

写真/Photo

1921年8月9日 浅草 富士館 First release: Aug. 9, 1921

併映作品:アメリカ映画『ロッキー山のルス 13篇・14篇・終篇』1920年(日本公開:1921年6月30日)監督:ジョージ・マーシャル

Released with: Ruth of the Rockies : Episode 13, Episode 14, Episode 15 (1920, USA, dir. George Marshall)

真田十勇士の猿飛佐助(尾上松之助)や真田家の家臣荒川熊蔵(実川延一郎)ら豪傑を引き連れた真田幸村(嵐珀松郎)の息子真田大助(片岡松燕)が活躍する。

 

実川延一郎(左から四人目)、尾上松之助(右から三人目)、片岡松燕(右端)

片岡松燕(左端)、片岡長正(右から五人目)、実川延一郎(右から四人目)

尾上松之助(右)

『花川戸助六』(1921年) Hanakawado Sukeroku(1921)

写真/Photo

1921年11月20日 浅草 富士館 First release: Nov. 20, 1921

併映作品:アメリカ映画『ベルベット終篇』1920年(日本公開:1921年10月11日)監督:ジョージ・B・サイツ

Released with: Velvet Fingers : Episode 15 (1920, USA, dir. George B. Seitz)

主君の命で家臣(市川寿美之丞)が預かっていた宝刀が盗まれ、家臣の息子である助六(尾上松之助)は宝刀探しのため江戸へ出て、素性を隠し侠客花川戸助六を名乗るようになる。やがて助六は遊女の揚巻(片岡長正)の協力もあって、宝刀を見事取り返す。手柄をたてた助六は主君から老職を命じられるが固辞し、侠客として揚巻と共に生きていくことを決意する。

嵐橘楽(左)、尾上松之助(右)

片岡長正(中央左)、尾上松之助(中央右)

片岡長正(中央左)、尾上松之助(中央右)

『児島高徳』(『勤王之志士 兒島高徳一代記』)(1922年) Kojima Takanori (Kinno-no Shishi Kojima Takanori Ichidaiki) (1922)

写真/Photo

1922年9月5日公開 浅草 富士館 First release: Sept. 5, 1922

併映作品:ドイツ映画『豪探偵』1922年(日本公開:1922年 9月5日)監督:ヨーゼフ・シュタイン

Released with: Nobody (Lucifer) (1922, Germany, dir. Josef Stein)

鎌倉時代末期から南北朝時代にかけて活躍し、後醍醐天皇の忠臣と謳われた備前国出身の武将児島高徳(尾上松之助)の生涯を描く。

 

尾上松之助

大谷鬼若(右)、尾上松之助(中央)、嵐一郎(左)

尾上松之助(左)、片岡長正(右)

『松平外記』(1923年) Matsudaira Geki (1923)

写真/Photo

1923年6月23日公開  浅草 富士館 First release: Jun. 23, 1923

併映作品:ドイツ映画『狂乱の焔』1921年(日本公開:1923年6月23日)監督:アルトゥール・ヴェリン

Released with: Das Verbrechen von Houndsditch (1921, Germany, dir. Arthur Wellin)

松平賴母(嵐珏松郎)の子息である松平外記(尾上松之助)は縁あって但馬守の息女玉枝(片岡長正)と結婚する。素行の悪さを理由に玉枝との縁談を断られていた安西伊賀之助(中村吉十郎)は逆恨みし、悪人仲間と共に外記への仕返しを企てる。連日のように苛まれた外記はついに堪忍袋の緒が切れ、安西とその一派を討ち、自殺する。

尾上松之助(中央左)、尾上多摩之丞(中央右)、中村吉十郎(右端)

片岡長正(左端)、尾上松之助(中央左)、片岡松燕(中央)、嵐珏松郎(中央右)、中村仙之助(右端)

中村仙之助(左)、尾上松之助(右)