NFC Digital Gallery – No.15

公開日:2017年12月26日

第15回 無声期日本映画のスチル写真(5)─天活・国活・大活篇

「無声期日本映画のスチル写真」第5回は、天活(天然色活動写真株式会社)、国活(国際活映株式会社)、大活(大正活映株式会社)を取り上げます。いずれも短命に終わった映画会社であるため、残された資料は決して多くはありませんが、今回はフィルムセンター所蔵の、みそのコレクション、国立国会図書館旧蔵資料、キネマ旬報旧蔵資料のそれぞれから選出した貴重なスチル写真をご紹介いたします。

※解説・あらすじは文献に基づく。

『怪談 有馬の猫』(1919年) Kaidan Arima no Neko (1921)

写真/Photo

製作会社:天活 監督:吉野二郎 Production company: Tenkatsu, Director: Jiro Yoshino

1919年5月17日公開 浅草 富士館 First release: May 17, 1919

併映作品:『實寫 東京大相撲』(1919年、天活)、『帝國水難救濟會總會實況』、『世界の敵』全12篇のうち3篇(アメリカ)

Released with: Jissha Tokyo Ozumo (1919, Production co. Tenkatsu), Teikoku Suinankyusaikaisokai jikkyo, Sekai no Teki (USA)

有馬玄蕃頭(中村駒三郎)のお抱え力士・小野川喜三郎(市川莚十郎)が有馬邸に出没する怪猫を退治する。同時に怪猫が三匹も登場する場面が高く評価されている。

 

 

市川莚十郎(右)

『血染の軍旗』(1919年) Chizome no Gunki (1919)

写真/Photo

製作会社:天活 監督:田村宇一郎 Production company: Tenkatsu, Director: Uichiro Tamura

1919年11月15日公開 浅草 富士館 First release: Nov. 15, 1919

併映作品:『四ツ谷七不思議』(1919年、天活、監督:吉野二郎)

Released with: Yotsuya Nanafushigi  (1919, Production co. Tenkatsu, dir. Jiro Yoshino)

日露戦争“南山の戦い”における山瀨軍曹の活躍を描いた「軍事琵琶劇」。封切時、大勝館では薩摩琵琶演奏者の君塚篁陵が伴奏した。

 

大山武(左)、三神勝男(中央)

『父の罪』(1923年) Chichi no Tsumi(1923)

写真/Photo

製作会社:国活 監督:村田実 Production company: Kokkatsu, Director: Minoru Murata

1923年2月22日 浅草 キネマ倶楽部 First release: Feb. 22, 1923

併映作品:『松平長七郎』(牧野教育映画、1923年、監督:牧野省三)、『希望の余燼』(アメリカ、1917年、日本公開:1921年2月22日、監督:ウォルター・エドワーズ)

Released with: Matsudaira Choshichiro, (1923, Production co. Makino Kyoiku Eiga, dir. Shozo Makino), Ashes of Hope  (USA, 1917, dir. Walter Edwards)

財産家の跡取息子である大寺清策(島田嘉七)は、芸者(東猛夫)を囲い、傲慢にふるまう父・大寺岩彦(藤野秀夫)のために命を落とした職工の妹お妙(衣笠貞之助)と相思相愛となり、家を出る。息子に去られた父はやがて回心する。

藤野秀夫(中央)

『幽魂の焚く炎』(1923年) Yukon no Taku Honoh(1923)

写真/Photo

製作会社:国活 監督:枝正義郎 Production company: Kokkatsu, Director: Yoshiro Edamasa

1923年2月1日 浅草 キネマ倶楽部 First release: Feb. 1, 1923

併映作品:『世界の黎明』(ドイツ、1920年、日本公開:1923年2月1日、監督:カール・ヴィルヘルム)、『小さき救ひ』(国活、1923年、監督:細山喜代松)

Released with: Die Augen der Welt (Germany,1920, dir. Carl Wilhelm), Chiisaki Sukui (1923, Production co. Kokkatsu, dir. Kiyomatsu Hosoyama)

撮影技術の習得のため渡米していた枝正義郎の帰国後第一回監督作品で、自身が原作・脚色を手がけている。無実の罪を着せられ狂死した武田泰徳(中村楽三郎)の娘初野(中村桃代)は許嫁の高田伴則(嵐繁代)にも捨てられ、精神に異常をきたしてしまう。同情した大田川保相に救われ妻となるが、初野を再び不幸が襲う。

 

中村桃代(左)、高田伴則(右)

『蛇性の婬(淫)』(1921年) Jasei no In(1921)

写真/Photo

製作会社:大活 監督:栗原喜三郎 Production company: Taikatsu, Director: Kisaburo Kurihara

1921年9月6日 丸の内 有楽座 First release: Sept. 6, 1921

併映作品:『湖畔悲曲 水郷の歌』(アメリカ、1920年、日本公開:1921年9月6日、監督:ジョン・W・ノーブル)

Released with: The Song of the Soul  (USA, 1920, dir. John W. Noble)

原作は上田秋成の『雨月物語』のうちの一篇を谷崎潤一郎が脚色したもの。網元の息子・豊雄(高橋英一、のちの岡田時彦)と、彼に懸想した妖艶な蛇の化身・真女児(紅沢葉子)の物語。約半年を費やして製作したといい、夜間撮影の巧妙さと染調色の美しさが高く評価されている。

高橋英一(左)、紅沢葉子(右)

『雛祭の夜』(1921年) Hinamatsuri no Yoru (1921)

 

製作会社:大活 監督:栗原喜三郎 Production company: Taikatsu, Director: Kisaburo Kurihara

1921年3月30日 浅草 千代田館 First release: Mar. 30, 1921

併映作品:『黄颱風』(アメリカ、1921年、日本公開:1921年3月30日、監督:エドワード・ホセ)、『夢のソロモン』(アメリカ、1920年、日本公開:1921年3月30日、監督:ジョン・インス)

Released with: The Yellow Typoon (USA, 1920, dir. Edward José), Old Lady 31 (USA, 1920, dir. John Ince)

谷崎潤一郎原作の童話を映画化したもの。封切時、活動写真弁士(説明者)無しで上映された。桃の節句でお雛様ばかり可愛がっていた愛子は、その晩、これまで可愛がってきた人形と遊ぶ夢を見る。目覚めた愛子は雛壇に人形を飾る。谷崎の娘・谷崎鮎子が愛子を演じ、谷崎自身が雛人形を操った。

谷崎潤一郎(右)