東京国立近代美術館フィルムセンターは2018年4月1日に東京国立近代美術館より独立し、新しい組織「国立映画アーカイブ」となりました。
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過去の上映

  • 2016.7.12-9.4
  • 上映企画

生誕100年 映画監督 加藤泰

Tai Kato Retrospective at His Centenary

※平成28年7月6日から9月10日までの予定で隣接の建物において地下解体工事が行われます。これに伴い、午前11:00~午後5:00までの間、当館内でも工事の大きな音や振動の影響を受けることがございます。当館として工事会社との調整を継続しておりますが、皆様には、上映中に工事の音や振動が発生することをご理解くださいますようお願い申し上げます。

会期:2016年7月12日(火)-9月4日(日)

会場:大ホール
★各回の開映後の入場はできません。
定員:310名(各回入替制)
料金:一般520円/高校・大学生・シニア310円/小・中学生100円/障害者(付添者は原則1名まで)、キャンパスメンバーズは無料

発券:2階受付
・観覧券は当日・当該回のみ有効です。
・発券・開場は開映の30分前から行い、定員に達し次第締切ります。
・学生、シニア(65歳以上)、障害者、キャンパスメンバーズの方は、証明できるものをご提示ください。
・発券は各回1名につき1枚のみです。

★7-8月の休館日:月曜日

概要

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2016年7-8月号

 今年生誕100年を迎える加藤泰(1916-1985、本名・加藤泰通)は、社会から外れた男や女が情熱をぶつけ、権威に反抗し、愛を貫く姿を、大胆な視覚的演出や鋭いアクション描写を通して描き続けた映画監督です。1916年に神戸に生まれ、少年時代に伊藤大輔作品を始めとする無声時代劇映画に夢中になった加藤は、叔父である山中貞雄のつてを頼り、1937年に東宝砧撮影所に助監督として入社します。東宝では脚本家の八木保太郎の影響を受け、その八木の仲介によって1941年、理研科学映画に新人監督として呼ばれ、短篇文化映画の監督としてデビューします。その後1944年、再び八木の協力によって満洲映画協会に移り、同様に文化映画を撮ったのち満洲で敗戦を迎えます。
 1946年に帰国した加藤は、翌47年、再び助監督として大映京都撮影所に入社し、伊藤大輔の『王将』(1948年)や黒澤明の『羅生門』(1950年)などに付きますが、1950年9月、レッドパージによって解雇されてしまいます。折しも京都に設立された宝プロダクションから助監督として声がかかり入社、ほどなくして監督に昇進し、『剣難女難』二部作(1951年)で念願の長篇劇映画デビューを飾ります。また、監督業と並行して脚本家としても一本立ちし、東映時代劇作品などのシナリオを数多く執筆します。さらに1956年、東映京都撮影所から四たび助監督として招かれ、チャンバラ映画を作るため入社を決断、一年間助監督を務めた後、1957年に『恋染め浪人』で監督に復帰します。以後、同撮影所を中心に時代劇映画を作り続け、ロー・ポジションや長廻し、ワイドスクリーンを重層的に活用した画面設計などの特徴的なスタイルを確立させていきます。
 撮影所システムそして時代劇映画の衰退が明らかになった1960年代後半以降、加藤は他社の仕事も受けるようになり、扱うジャンルも現代劇や文芸大作、犯罪映画など多様化していきます。人物のパッションがほとばしり、力強いアクションが炸裂するその作風は、ますますラディカルさを増し、とりわけ同時期に撮影した2本の映画『炎のごとく』(1981年)と『ざ・鬼太鼓座』(1982年完成・1994年公開)は、その若々しさで観る者を圧倒しますが、結果としてこの2本が、加藤が最後に撮った映画となりました。加藤は生涯で4本の短篇映画と42本の長篇映画、1本のテレビ作品を監督として残しました。それらは今もなお輝き続け、われわれを魅了します。
 本特集上映は、加藤の監督作品計44本(短篇2本・長篇41本・テレビ1本)を42プログラムに組んだ大回顧特集となります。画面いっぱいに訴えかけてくる加藤泰作品の魅力を、フィルムセンターの大スクリーンでぜひお楽しみください。

■(監)=監督・演出 (原)=原作 (脚)=脚本・脚色 (撮)=撮影 (美)=美術・舞台装置 (音)=音楽 (出)=出演 (解)=解説・ナレーション

■スタッフ、キャストの人名は原則として公開当時の表記を記載しています。
■特集には不完全なプリントが含まれていることがあります。
■記載した上映分数は、当日のものと多少異なることがあります。

1.剣難女難 第一部 女心流転の巻/潛水艦/羅生門[予告篇] (計90分) 2.剣難女難 第二部 剣光流星の巻 (71分・1951・宝プロ・監:加藤泰) 3.清水港は鬼より怖い (79分・1952・宝プロ・監:加藤泰) 4.ひよどり草紙 (86分・1952・宝プロ・監:加藤泰) 5.忍術児雷也 (80分・1955・新東宝・監:萩原遼、加藤泰) 6.逆襲大蛇丸おろちまる (70分・1955・新東宝・監:加藤泰) 7.恋染め浪人 (84分・1957・東映京都・監:加藤泰) 8.源氏九郎颯爽記 濡れ髪二刀流 (87分・1957・東映京都・監:加藤泰) 9.緋ざくら大名 (82分・1958・東映京都・監:加藤泰) 10.源氏九郎颯爽記 白狐二刀流 (87分・1958・東映京都・監・脚:加藤泰) 11.風と女と旅鴉 (90分・1958・東映京都・監:加藤泰) 12.浪人八景 (95分・1958・東映京都・監:加藤泰) 13.紅顔の密使 (89分・1959・東映京都・監・脚:加藤泰) 14.大江戸の俠児 (87分・1960・東映京都・監・脚:加藤泰) 15.あやめ笠 喧嘩街道 (71分・1960・第二東映京都・監:加藤泰) 16.炎の城 (99分・1960・東映京都・監:加藤泰) 17.朝霧街道 (83分・1961・第二東映京都・監:加藤泰) 18.怪談 お岩の亡霊 (94分・1961・東映京都・監・脚:加藤泰) 19.瞼の母 (83分・1962・東映京都・監・脚:加藤泰) 20.丹下左膳 乾雲坤龍の巻 (95分・1962・東映京都・監:加藤泰) 21.真田風雲録 (100分・1963・東映京都・監:加藤泰) 22.風の武士 (95分・1964・東映京都・監:加藤泰) 23.車夫遊俠伝 喧嘩辰 (99分・1964・東映京都・監・脚:加藤泰) 24.幕末残酷物語 (100分・1964・東映京都・監:加藤泰) 25 .明治俠客伝 三代目襲名 (90分・1965・東映京都・監:加藤泰) 26.沓掛時次郎 遊俠一匹 (90分・1966・東映京都・監:加藤泰) 27.骨までしやぶる (88分・1966・東映京都・監:加藤泰) 28.男の顔は履歴書 (89分・1966・松竹大船・監・脚:加藤泰) 29.阿片台地 地獄部隊突撃せよ (92分・1966・ゴールデンぷろ・監・脚:加藤泰) 30.懲役十八年 (91分・1967・東映京都・監:加藤泰) 31.虱は怖い/剣 縄張しま (計64分) 32.みな殺しの霊歌 (90分・1968・松竹大船・監:加藤泰) 33.緋牡丹博徒 花札勝負 (98分・1969・東映京都・監:加藤泰) 34.緋牡丹博徒 お竜参上 (100分・1970・東映京都・監・脚:加藤泰) 35.緋牡丹博徒 お命戴きます (93分・1971・東映京都・監・脚:加藤泰) 36.昭和おんな博徒 (91分・1972・東映京都・監:加藤泰) 37.人生劇場 (167分・1972・松竹大船・監・脚:加藤泰) 38.花と龍 (168分・1973・松竹大船・監・脚:加藤泰) 39.宮本武蔵 (148分・1973・松竹大船・監:加藤泰) 40.日本俠花伝 (150分・1973・東宝・監・原・脚:加藤泰) 41.江戸川乱歩の 陰獣 (117分・1977・松竹・監・脚:加藤泰) 42.炎のごとく (147分・1981・大和新社・監・脚:加藤泰)

上映作品詳細

剣難女難 第一部 女心流転の巻/潛水艦/羅生門[予告篇]

  • 2016年8月9日3:00 PM@大ホール
  • 2016年8月17日7:00 PM@大ホール
  • 2016年9月4日1:00 PM@大ホール

潛水艦(18分・35mm・白黒)

1941(理研科学映画)(監・脚)加藤泰通(監)西尾佳雄(原)八木保太郎(撮)笠間公夫(音)永岡研介

加藤が初めて監督した作品だが、映画法下で監督として登録されていなかったため、クレジット上では西尾佳雄が演出となっている。海軍省後援による宣伝映画。劣化の激しかった既所蔵16mmプリントから復元した35mmプリントによる上映。

羅生門[予告篇](2分・35mm・白黒)

1950(大映京都)

製作時ファースト助監督だった加藤が作ったとされる予告篇。本篇にないショットが追加撮影された。神戸映画資料館所蔵35mmプリントからの複製。冒頭が欠落している。

剣難女難 第一部 女心流転の巻(70分・35mm・白黒)

1951(宝プロ)(監)加藤泰(原)吉川英治(脚)木下藤吉(撮)藤井春美(美)北川弘(音)髙橋半(出)黒川弥太郎、堀正夫、林加壽惠、阿部九州男、市川春代、加賀邦男、春日あけみ、寺島貢、川喜多小六、澤村國太郎、東龍子、香川良介、尾上菊太郎

加藤の長篇デビュー作。加藤が少年時代に夢中になった、伊藤大輔ら無声期の時代劇の爆発的なアクション描写がふんだんに盛り込まれた快作。原作は、戦前に発行された国民的大衆雑誌『キング』に連載された吉川英治の出世作で、臆病な青年武士が死地から生還して成長する教養小説。第一部・第二部共に神戸映画資料館所蔵16mmプリントからブローアップして作製したニュープリントによる上映。


2剣難女難 第二部 剣光流星の巻(71分・35mm・白黒)

  • 2016年8月9日7:00 PM@大ホール
  • 2016年8月18日7:00 PM@大ホール
  • 2016年9月4日4:00 PM@大ホール

1951(宝プロ)(監)加藤泰(原)吉川英治(脚)木下藤吉(撮)藤井春美(美)北川弘(音)髙橋半(出)黒川弥太郎、林加壽惠、堀正夫、阿部九州男、德川夢声、市川春代、寺島貢、春日あけみ、加賀邦男、川喜多小六、澤村國太郎、東龍子、尾上菊太郎

第一部で光子てるこの方(市川)の元に身を寄せた新九郎(黒川)は、家名を取り戻すため修業を積み、剣豪・鐘巻自斎(阿部)との御前試合に臨む…。常に傍観者的でヨーヨーを離さない浪人・村井(尾上)など、脇役の描き分けも楽しい。


3清水港は鬼より怖い(79分・35mm・白黒)

  • 2016年8月10日3:00 PM@大ホール
  • 2016年8月16日7:00 PM@大ホール
  • 2016年9月3日4:30 PM@大ホール

1952(宝プロ)(監)加藤泰(脚)木下藤吉、友田昌二郎(撮)近藤憲昭(美)鈴木孝俊(音)高橋半(出)大泉滉、林加壽惠、桂春団治、広沢虎造、永田とよ子、加東大介、澤村國太郎、林田十郎、芦の家雁玉、鳳衣子、美ち奴、山茶花究、坊屋三郎

二代目広澤虎造や二代目桂春團治、歌手の美ち奴ら多彩な芸人を迎えて撮った歌謡喜劇映画。「次郎長もの」のパロディながら、恋人のお澄(林)が危機を知らせに街道を疾駆するなど、後年の加藤映画の、強い意志を持った女性像に通じる描写が見られる。現存プリント上のメイン・タイトルは『虎造の清水港』。35mm可燃性オリジナルネガを基に作製したフィルムセンター所蔵35mmプリントと、神戸映画資料館所蔵16mmプリントを照合して作製した、現存する最長版での上映。


4ひよどり草紙(86分・35mm・白黒)

  • 2016年7月12日3:00 PM@大ホール
  • 2016年7月30日1:00 PM@大ホール

1952(宝プロ)(監)加藤泰(原)吉川英治(脚)野島信吉(撮)松井鴻(美)鈴木孝俊(音)髙橋半(出)江見渉、星美千子、重光彬、朝雲照代、河野秋武、沢村マサヒコ、鳳衣子、益田喜頓、山茶花究、坊屋三郎、故里ひゞき、澤村國太郎、河部五郎

『剣難女難』二部作と同様に、吉川英治の小説(『少女倶楽部』で連載)を映画化したチャンバラ活劇。徳川家康が埋蔵した軍用金への鍵を持つ「紅ひよどり」を取り戻そうと、耀之助(江見)と早苗(星)が探索の旅に出る。耀之助を誘惑する敵方の女・お照(朝雲)の屈折した愛情が印象深い。現存プリント上のメイン・タイトルは『隠密秘宝帖』。

*現存プリントは、終盤の8巻目の音声が欠落しています(約12分)。


5忍術児雷也(80分・35mm・白黒)

  • 2016年7月13日3:00 PM@大ホール
  • 2016年7月28日7:00 PM@大ホール

1955(新東宝)(監)萩原遼、加藤泰(脚)賀集院太郎(撮)平野好美(美)鈴木孝俊(音)高橋半(出)大谷友右衞門、若山富三郎、田崎潤、利根はる惠、新倉美子、瑳峨三智子、小林重四郎、山口勇、香川良介、小川虎之助、堀正夫、大河内傳次郎

新東宝の特撮忍術映画。加藤と萩原遼の共同監督名義だが、加藤はほとんど一人で撮ったと回想している。蝦蟇がま・大蛇・蛞蝓なめくじが入り乱れる妖術合戦が見もの。七代目大谷友右衛門(四代目中村雀右衛門)がお家再興のため立ち上がる侍・児雷也役で大活躍し、腰元に扮して踊りも披露する。白塗りの若侍・弓之助役は本作で映画デビューした若山富三郎。


6逆襲大蛇丸おろちまる(70分・35mm・白黒)

  • 2016年7月13日7:00 PM@大ホール
  • 2016年7月29日7:00 PM@大ホール

1955(新東宝)(監)加藤泰(脚)賀集院太郎(撮)平野好美(美)鈴木孝俊(音)高橋半(出)大谷友右衞門、田﨑潤、利根はる恵、若山富三郎、新倉美子、朝雲照代、瑳峨三智子、小林重四郎、香川良介、堀正夫、市川男女之助、光岡早苗

『忍術児雷也』の続篇。児雷也(大谷)が大蛇丸(田崎)と再び対決する。新たに女賊・朝雲(朝雲)が登場、劇中で歌舞を披露し、児雷也を誘惑するなど物語を楽しくかき回す。的確な劇伴で映画を盛り上げる高橋なかばは戦前から時代劇映画の音楽を中心に活躍した作曲家で、1950~60年代の加藤作品を支え続けた。


7恋染め浪人(84分・35mm・白黒)

  • 2016年8月10日7:00 PM@大ホール
  • 2016年8月23日3:00 PM@大ホール

1957(東映京都)(監)加藤泰(原)山手樹一郎(脚)結束信二(撮)三木滋人(美)塚本隆治(音)高橋半(出)大友柳太朗、長谷川裕見子、波島進、花柳小菊、原健策、浦里はるみ、薄田研二、吉田義夫、円山栄子、山口勇、岸井明、中野雅晴

『逆襲大蛇丸』の後、東映から助監督として声がかかった加藤は、決意して入社。一年間佐々木康の助監督として付いた後、本作で再び監督として復帰する。屈託のない浪人・鮎太郎(大友)が悪人たちを一掃する典型的な東映時代劇だが、鮎太郎を深く想い続ける旅芸人一座の座長(花柳)の描写は突出している。


8源氏九郎颯爽記 濡れ髪二刀流(87分・35mm・白黒)

  • 2016年7月14日3:00 PM@大ホール
  • 2016年7月31日1:00 PM@大ホール

1957(東映京都)(監)加藤泰(原)柴田錬三郎(脚)結束信二(撮)松井鴻(美)桂長四郎(音)髙橋半(出)中村錦之助、田代百合子、千原しのぶ、佐々木孝丸、羅門光三郎、中村歌昇、小沢栄、片岡栄二郎、波島進、清川莊司、三島雅夫、桂小金治

義経の財宝のありかが記されている「火焔」「水煙」2本の宝刀をめぐって、美剣士・源氏九郎(中村錦之助)が様々な敵と戦う。スタンダード用レンズを使って撮った画面の上下を切り、焼き付けの時に引き伸ばす「スーパースコープ方式(画面比2:1)」による第1作で、加藤最初のワイドスクリーン作品。


9緋ざくら大名(82分・35mm・白黒)

  • 2016年8月11日1:00 PM@大ホール
  • 2016年8月23日7:00 PM@大ホール

1958(東映京都)(監)加藤泰(原)山手樹一郎(脚)斉木祝(撮)松井鴻(美)角井博(音)髙橋半(出)大川橋藏、大川惠子、故里やよい、千秋実、尾上鯉之助、岡村文子、加賀邦男、浦里はるみ、若水美子、立松晃、香島ラッキー、ヤシロ・セブン、岸田一夫、杉狂児、波島進、大河内伝次郎

山手樹一郎原作の人情喜劇を、加藤が(斉木祝の別名義で)自ら脚色。加藤のフィルモグラフィーの中でも、最も東映の明朗時代劇路線に沿った作品であり、初めて組んだ大川橋蔵の持ち味を生かし、その軽妙な台詞回しや流麗な立ち廻りを存分に見せている。


10源氏九郎颯爽記 白狐二刀流(87分・35mm・カラー)

  • 2016年7月14日7:00 PM@大ホール
  • 2016年7月31日4:00 PM@大ホール

1958(東映京都)(監・脚)加藤泰(原)柴田錬三郎(撮)坪井誠(美)塚本隆治(音)高橋半(出)中村錦之助、大川惠子、丘さとみ、里見浩太郎、柳永二郎、河野秋武、岡讓司、上田吉二郎、清川荘司、八汐路佳子、ヘレン・ヒギンス、中村歌昇、杉狂児、浦里はるみ

加藤最初のカラー作品で『源氏九郎颯爽記 濡れ髪二刀流』の続篇。勤皇派と佐幕派が集う幕末の大阪が舞台だが、加藤は人物達の収入や暮らし、喜怒哀楽を掘り下げた結果、従来の東映時代劇のパターンから外れた「不真面目きわまる」映画を作ったとして、会社から怒られたという。本作から、フレームの手前/奥や左右の空間を活用した、ワイドスクリーンならではの加藤演出が顕著になる。


11風と女と旅鴉(90分・35mm・白黒)

  • 2016年8月11日4:00 PM@大ホール
  • 2016年8月17日3:00 PM@大ホール
  • 2016年8月30日7:00 PM@大ホール

1958(東映京都)(監)加藤泰(脚)成沢昌茂(撮)坪井誠(美)井川德道(音)木下忠司(出)中村錦之助、三國連太郎、丘さとみ、長谷川裕見子、進藤英太郎、薄田研二、加藤嘉、殿山泰司、上田吉二郎、河野秋武、星十郎

加藤が自らの作風を確立させた代表作。加藤が愛する「まともな世間から弾き出された奴。卑怯な奴。ずるい奴。そのくせ何処か底の抜けた気の良い奴。」が、化粧をせずに素顔をさらし、同時録音で周囲の音と混じりながら言葉を発し、ロー・ポジションのキャメラで活き活きと写し出される。物語の下敷きとなったのはニコラス・レイ監督の『追われる男』(1955年)。東映所蔵35mmマスターポジから作製したニュープリントによる上映。


12浪人八景(95分・35mm・カラー)

  • 2016年7月12日7:00 PM@大ホール
  • 2016年8月6日1:00 PM@大ホール

1958(東映京都)(監)加藤泰(原)山手樹一郎(脚)鈴木兵吾(撮)伊藤武夫(美)鈴木孝俊(音)高橋半(出)市川右太衛門、長谷川裕見子、雪代敬子、里見浩太郎、勝浦千浪、加賀邦男、堺駿二、宇佐美諄、藤田進、德大寺伸、志村喬、進藤英太郎、千秋実

侍に追われた武家娘(長谷川)に偽りの夫を演じるよう頼まれた浪人(市川)が、追手側にいる昔愛した姫(雪代)と再会し、その危機を救う。佐々木康の体調不良により、加藤に監督のお鉢が回ってきたが、加藤自身も結核を患いながら演出に当たった。東映入りたての助監督時代に右太衛門映画の脚本を担当していた加藤が、監督として右太衛門を撮った唯一の作品である。


13紅顔の密使(89分・35mm・カラー)

  • 2016年7月15日3:00 PM@大ホール
  • 2016年8月2日7:00 PM@大ホール

1959(東映京都)(監・脚)加藤泰(原)千葉省三(撮)吉田貞次(美)塚本隆治(音)髙橋半(出)大川橋藏、一條由美、田﨑潤、故里やよい、吉田義夫、宮﨑照男、加藤嘉、伏見扇太郎、毛利菊枝、尾上鯉之助、香川良介

結核から再起した加藤が、自身の脚色によって1年ぶりに撮った冒険活劇。平安初期、朝廷の密使・武麿たけまろ(大川)が、反乱軍の一味に行く手を阻まれながら、陸奥・胆沢城へと向かう。琵琶湖西岸の饗庭野あいばの台地に城のオープン・セットが建てられ、撮影所スタッフを総動員して撮影が行われた。


14大江戸の俠児(87分・35mm・白黒)

  • 2016年7月16日1:00 PM@大ホール
  • 2016年7月29日3:00 PM@大ホール
  • 2016年8月25日7:00 PM@大ホール

1960(東映京都)(監・脚)加藤泰(原)山上伊太郎(撮)鷲尾元也(美)川島泰三(音)高橋半(出)大川橋藏、香川京子、浪花千栄子、青山京子、多々良純、住田知仁、德大寺伸、沢村宗之助、吉田義夫、星十郎、本郷秀雄、上田吉二郎、清川玉枝

原作は山上伊太郎が『時代の驕児きょうじ』(1932、稲垣浩監督)のために書いたシナリオ。香川京子が二役を演じ、鼠小僧役の橋蔵も複数の顔を見せる。加藤作品を特徴づける、前景で人物がのたうつ画面が目立ち始め、クライマックスの乱闘では群衆演出が冴えわたる。抒情的な雪景色も美しい。吉五郎役の住田知仁はのちの風間杜夫。


15あやめ笠 喧嘩街道(71分・35mm・白黒)

  • 2016年7月15日7:00 PM@大ホール
  • 2016年8月3日3:00 PM@大ホール

1960(第二東映京都)(監)加藤泰(脚)永江勇(撮)森常次(美)冨田治郎(音)高橋半(出)品川隆二、靑山京子、花園ひろみ、渡辺篤、德大寺伸、柳永二郎、坂東好太郎、香川良介、尾形伸之介、加藤浩、潮路章、三原有美子、松風利栄子、明石潮

加藤が第二東映で撮った股旅映画。第二東映に移籍して時代劇の主演俳優となった品川隆二が、名を上げようと意気盛んな旅鴉・雁太郎に扮し、共に父親を殺された二人の娘(青山、花園)を助けるため奔走する。戦前の松竹蒲田喜劇を支えた渡辺篤が、とぼけた道中師・弥吉に扮して味わい深い。


16炎の城(99分・35mm・カラー)

  • 2016年7月16日4:00 PM@大ホール
  • 2016年8月2日3:00 PM@大ホール

1960(東映京都)(監)加藤泰(脚)八住利雄(撮)吉田貞次(美)吉村晟(音)伊福部昭(出)大川橋藏、三田佳子、髙峰三枝子、大河内伝次郎、黒川弥太郎、薄田研二、伊沢一郎、坂東吉弥、南郷京之助、水野浩、明石潮、香川良介、河野秋武、岡嶋艶子

戦国時代を舞台にした「ハムレット」の翻案。八住脚本の結末に納得できないまま撮り上げた加藤は、この作品を失敗作と評していたが、感情の変遷をとらえる長廻しと流麗なキャメラ移動を交えた正統派の演出は、のちの代表作群にも負けない激情をほとばしらせる。伊福部昭の音楽が悲恋を劇的に彩る。


17朝霧街道(83分・35mm・白黒)

  • 2016年7月17日1:00 PM@大ホール
  • 2016年8月3日7:00 PM@大ホール

1961(第二東映京都)(監)加藤泰(脚)鈴木兵吾(撮)鷲尾元也(美)稲野実(音)髙橋半(出)髙田浩吉、山城新伍、扇町惠子、北沢典子、木暮実千代、坂東好太郎、中村竜三郎、明石潮、寺島貢、堀正夫、伊沢一郎、原健策、大丸巌、尾上華丈、浅野光男、川路允

生まれ故郷九十九里浜の村へと戻って来た渡世人・三日月の安(高田)は、網元である黒潮の仁左衛門(坂東)一家の横暴に立ち向かう。一方、仁左衛門の情婦・おぎん(木暮)は安に惹かれていくが…。男女の仲を中心に描いた股旅物で、ラストシーンの静かな美しさが印象的である。


18怪談 お岩の亡霊(94分・35mm・白黒)

  • 2016年7月17日4:00 PM@大ホール
  • 2016年8月4日3:00 PM@大ホール

1961(東映京都)(監・脚)加藤泰(撮)古谷伸(美)桂長四郎(音)高橋半(出)若山富三郎、近衛十四郎、沢村訥升、伏見扇太郎、桜町弘子、三原有美子、藤代佳子、尾上鯉之助、渡辺篤、伊沢一郎、明石潮、吉川満子、沢村宗之助、坂東好太郎

鶴屋南北の原作に忠実に(クレジットはなし)、伊右衛門をどこまでも冷酷非道の男とし、照りつける日差しや滴る汗で夏の季節感を表現するなど、加藤流リアリズムが冴えわたる。お岩が鏡の中に変り果てた自分の顔を見る髪漉きの場をワンカットで見せる趣向は、数ある「四谷怪談」の中でも屈指の名場面。加藤が桜町弘子と初めて組んだという意味においても重要な作品である。


19瞼の母(83分・35mm・カラー)

  • 2016年7月19日3:00 PM@大ホール
  • 2016年7月30日4:00 PM@大ホール

1962(東映京都)(監・脚)加藤泰(原)長谷川伸(撮)坪井誠(美)稲野実(音)木下忠司(出)中村錦之助、松方弘樹、大川恵子、中原ひとみ、木暮実千代、山形勲、原健策、夏川静江、浪花千栄子、沢村貞子、阿部九州男、星十郎、明石潮、松浦築枝

中村錦之助の主演予定作が延期となり、急遽代替作品の監督として指名された加藤は、長年温めていた自身の脚色による「瞼の母」を、わずか15日間で撮り上げた。全篇セット撮影、倉田準二によるB班撮影の同時進行そして長廻しの多用という苦肉の策は、股旅映画を代表する作品となって結実した。


20丹下左膳 乾雲坤龍の巻(95分・35mm・白黒)

  • 2016年7月19日7:00 PM@大ホール
  • 2016年8月5日3:00 PM@大ホール

1962(東映京都)(監)加藤泰(原)林不忘(脚)石堂淑朗(撮)鈴木重平(美)川島泰三(音)鏑木創(出)大友柳太朗、桜町弘子、筑波久子、久保菜穂子、南広、菅貫太郎、花沢徳衛、明石潮、神田隆、山茶花究、立花雄吉、東千代之介、近衛十四郎

密命を受け名刀乾雲を盗み出した左膳は傷を負い、長屋の隣人らに世話になるが…。大友柳太朗が丹下左膳を演じたシリーズ最後の作品。松田定次監督による前4作とは異なり、加藤は伊藤大輔が戦前に生み出したニヒルで反抗的な左膳像に回帰し、剣戟より太平の世での武士の悲哀や名刀をめぐる人間模様に焦点を当てている。


21真田風雲録(100分・35mm・カラー)

  • 2016年7月20日3:00 PM@大ホール
  • 2016年8月6日4:00 PM@大ホール

1963(東映京都)(監)加藤泰(原・脚)福田善之(脚)小野竜之助、神波史男(撮)古谷伸(美)井川徳道(音)林光(出)中村錦之助、渡辺美佐子、ジェリー・藤尾、大前鈞、常田富士男、ミッキー・カーチス、本間千代子、佐藤慶、河原崎長一郎、水木襄

当時気鋭の劇作家・福田善之の戯曲を、福田本人がシナリオに加わって映画化。猿飛佐助をリーダーとする真田十勇士の大阪冬の陣・夏の陣の戦いを、自在に現代化=パロディ化しつつ、戦国乱世に60年安保体験を重ねて、娯楽性の中にシリアスな方向を垣間見せた異色のインテリ時代劇。


22風の武士(95分・35mm・カラー)

  • 2016年7月20日7:00 PM@大ホール
  • 2016年8月25日3:00 PM@大ホール
  • 2016年8月25日3:00 PM@大ホール

1964(東映京都)(監)加藤泰(原)司馬遼太郎(脚)野上龍雄(撮)松井鴻(美)川島泰三(音)木下忠司(出)大川橋藏、桜町弘子、久保菜穂子、野際陽子、中原早苗、南原宏治、宮口精二、西村晃、原健策、沢村宗之助、進藤英太郎、大木実

熊野の秘境・やす羅井らいの調査を老中から命じられた信蔵(大川)は、素性を幾重にも隠した者たちが入り乱れ、裏切りの渦巻く謀略劇をくぐり抜けていく。司馬遼太郎初期の伝奇ロマンの映画化で、恋愛劇を軸にし、橋蔵の明るい持ち味を生かした隠密冒険活劇。女性登場人物の凛とした強さも印象的。


23車夫遊俠伝 喧嘩辰(99分・35mm・白黒)

  • 2016年7月21日3:00 PM@大ホール
  • 2016年8月7日1:00 PM@大ホール
  • 2016年8月24日7:00 PM@大ホール

1964(東映京都)(監・脚)加藤泰(原)紙屋五平(脚)鈴木則文(撮)川崎新太郎(美)井川徳道(音)高橋半(出)内田良平、近衛十四郎、曽我廼家明蝶、大木実、河原崎長一郎、桜町弘子、宗方奈美、藤純子、北島三郎、曽根晴美、原健策、徳大寺伸

車夫の辰五郎(内田)は真っ正直で自分に嘘がつけない男。惚れた女性(桜町)との結婚を、親分(曽我廼家)への義理立てから取りやめにしてしまうほどである。こんな辰五郎の不器用な生き方が、明治31年の大阪で起こる新旧ヤクザの勢力争いを背景に描かれる。折々の長廻しショットが効果的に登場人物の心情を伝えている。


24幕末残酷物語(100分・35mm・白黒)

  • 2016年7月21日7:00 PM@大ホール
  • 2016年8月20日1:00 PM@大ホール
  • 2016年8月20日1:00 PM@大ホール

1964(東映京都)(監)加藤泰(脚)国弘威雄(撮)鈴木重平(美)富田治郎(音)林光(出)大川橋藏、内田良平、藤純子、河原崎長一郎、博多淡海、千葉信男、原田甲子郎、菅貫太郎、加賀邦男、阿部九州男、西村晃、木村功、中村竹弥、大友柳太朗

新選組に入隊したひ弱な若者・江波三郎(大川)が非情な組織の戒律の中で変貌を遂げていくが、実は近藤勇(中村)らに暗殺された芹沢鴨(原田)の甥であることが発覚し…。「残酷時代劇」ブームの渦中で撮られた作品で、橋蔵がイメージの一新を図った意欲作でもある。壬生の新選組屯所とその周辺を、オープン・セットによって正確に再現した。


25 明治俠客伝 三代目襲名(90分・35mm・カラー)

  • 2016年7月22日3:00 PM@大ホール
  • 2016年8月7日4:00 PM@大ホール

1965(東映京都)(監)加藤泰(原)紙屋五平(脚)村尾昭、鈴木則文(撮)わし尾元也(美)井川徳道(音)菊池俊輔(出)鶴田浩二、藤純子、安部徹、大木実、津川雅彦、藤山寛美、毛利菊枝、品川隆二、水上竜子、中村芳子、山城新伍、汐路章、丹波哲郎、嵐寛寿郎

木屋辰一家の浅次郎(鶴田)は、競合する星野(大木)やその飼い犬の唐沢(安部)から執拗な嫌がらせを受けるも、辛抱に辛抱を重ねる…。加藤初めての任俠映画だが、多くの登場人物に見せ場を作りながらもラストの破局へと巧みに収斂していく脚本や、撮影・照明・美術などの洗練されたスタッフワークを得て、任俠映画独特の様式美を極めた1本となった。


26沓掛時次郎 遊俠一匹(90分・35mm・カラー)

  • 2016年7月22日7:00 PM@大ホール
  • 2016年8月21日1:00 PM@大ホール

1966(東映京都)(監)加藤泰(原)長谷川伸(脚)鈴木尚之、掛札昌裕(撮)古谷伸(美)井川徳道(音)斉藤一郎(出)中村錦之助、池内淳子、中村信二郎、渥美清、東千代之介、弓恵子、岡崎二朗、三原葉子、清川虹子、阿部九州男、尾形伸之介、小田部通麿

言わずと知れた名作戯曲の8度目の映画化で、股旅映画の代表作。すでに時代劇映画が衰退した時期に、加藤と中村錦之助が時代劇再興の想いをこめて作った。気のいいやくざ・朝吉(渥美)とやくざ志望の若者・昌太郎(岡崎)は、脚本の鈴木尚之と掛札昌裕による創作だが、この2人の存在が物語をより陰影の深いものにしている。


27骨までしやぶる(88分・35mm・白黒)

  • 2016年7月23日1:00 PM@大ホール
  • 2016年8月4日7:00 PM@大ホール
  • 2016年8月24日3:00 PM@大ホール

1966(東映京都)(監)加藤泰(脚)佐治乾(撮)わし尾元也(美)鈴木孝俊(音)斉藤一郎(出)桜町弘子、久保菜穂子、宮園純子、夏八木勲、三島雅夫、遠藤辰雄、桑原幸子、三原葉子、菅井きん、芦屋雁之助、芦屋小雁、沢淑子、石井富子、穂高稔

お絹(桜町)は3年の年季と聞かされて遊郭に身売りするが、そこは不当な借金で遊女たちを縛り付けていた。足抜けを試みて敗れていく仲間たちの無念を一身に背負うがごとく、お絹は知力と勇気で足抜けへの戦いを挑む。力感あふれる画面と時折のユーモアが凄惨な物語を滑走させ、やがて爽快なクライマックスへと至る。


28男の顔は履歴書(89分・35mm・カラー)

  • 2016年8月12日3:00 PM@大ホール
  • 2016年8月20日4:00 PM@大ホール
  • 2016年8月31日7:00 PM@大ホール

1966(松竹大船)(監・脚)加藤泰(脚)星川清司(撮)高羽哲夫(美)梅田千代夫(音)鏑木創(出)安藤昇、中原早苗、中谷一郎、内田良平、真理明美、伊丹一三、菅原文太、田中春男、浜田寅彦、角梨枝子、沢淑子、石井富子、三島雅夫、香山美子、嵐寛寿郎

加藤が松竹大船撮影所に呼ばれ、安藤昇を主演に初めて撮った野心作。戦場体験をもつ医師の主人公の元に急患が運ばれ処置する現在と、昭和23年の闇市での騒動が並行して語られる。加藤は本作で初めて戦後を題材にし、日本人と朝鮮人(劇中での呼称は「三国人」)の憎しみと暴力の連鎖を徹底して描いた。親交がある野村芳太郎と山田洋次の協力を得て撮影され、スタッフの多くも山田組である。


29阿片台地 地獄部隊突撃せよ(92分・35mm・カラー)

  • 2016年8月12日7:00 PM@大ホール
  • 2016年8月21日4:00 PM@大ホール
  • 2016年9月1日7:00 PM@大ホール

1966(ゴールデンぷろ)(監・脚)加藤泰(原)紙屋五平(脚)国弘威雄(撮)川崎新太郎(美)梅田千代夫(音)鏑木創(出)安藤昇、南原宏治、久保菜穂子、ペギー潘、高宮敬二、菅原文太、諸角啓二郎、江見俊太郎、渡辺篤、左卜全、市村俊幸、砂塚秀夫、佐々木孝丸、沢淑子

安藤昇のプロダクションであるゴールデンぷろの製作。上官に反抗し、「地獄部隊」に送られた宇留木(安藤)は、中国娘の美雲(潘)と恋に落ち、日本軍の資金源である阿片の撲滅への協力を頼まれる。本筋とは別に群像喜劇の側面も印象的で、カット割りと美術の抽象性も出色。ペギーパン(潘迎紫)はのちもアンジェラ・パン等の名で、台湾や香港で活躍。


30懲役十八年(91分・35mm・カラー)

  • 2016年8月13日1:00 PM@大ホール
  • 2016年9月2日7:00 PM@大ホール

1967(東映京都)(監)加藤泰(脚)笠原和夫、森田新(撮)古谷伸(美)井川德道(音)鏑木創(出)安藤昇、桜町弘子、小池朝雄、近藤正臣、若山富三郎、水島道太郎、穂高稔、沢淑子、曽我廼家明蝶、山城新伍、小松方正、汐路章、菅井きん、千原しのぶ

戦場での暴力とその記憶にこだわり続ける“安藤昇三部作”の最後の作品。昭和22年、元海軍大尉の川田(安藤)は元部下の塚田(小池)と共に軍人遺族を支えていたが、銅線を盗もうとして一人捕まってしまう。それから5年、服役中の川田は、塚田が自分や遺族たちを裏切っていることを知る…。


31虱は怖い/剣 縄張しま

  • 2016年7月23日4:00 PM@大ホール
  • 2016年8月5日7:00 PM@大ホール

虱は怖い(14分・Blu-ray・白黒・日本語字幕なし)

可怕的虱子

1944(満洲映画協会)(監)加藤泰通(脚)今井新(撮)吉田貞次(音)金城聖巻(アニメーション)笹谷岩男、森川信英

加藤が満映で撮った文化映画。実写部分のさまざまな映画技法や水準の高いアニメーションの駆使によって、興味深い作品になっている。なお、満映時代のもう1本の作品『軍官学校』(1944)は現存が確認されていない。

縄張しま(50分・HDCAM・白黒)

1967(C. A. L)(監)加藤泰(脚)野上龍雄(撮)宮西良太郎(美)服部展宏(音)小森昭宏(出)緒形拳、河村有紀、ジェリー藤尾、沢淑子、菅井きん、宮本信子、小林昭二、土方弘、関口銀三、南佑輔、安達俊枝、阿美本昌子、中村てるみ(解)小沢栄太郎

加藤が唯一テレビ演出を行った作品。「剣」はのちに「水戸黄門」シリーズなどで知られるC.A.Lが最初に制作した一話完結型のシリーズで、全46話が日本テレビ系列で放映された。第28話の本作では、やくざの幸吉(緒形)と彼を堅気に戻そうとする妻いち(河村)のすれ違いが描かれる。


32みな殺しの霊歌(90分・35mm・白黒)

  • 2016年8月13日4:00 PM@大ホール
  • 2016年8月26日3:00 PM@大ホール

1968(松竹大船)(監)加藤泰(脚)三村晴彦(撮)丸山恵司(美)森田郷平(音)鏑木創(出)佐藤允、倍賞千恵子、中原早苗、應蘭芳、菅井きん、沢淑子、河村有紀、松村達雄、明石潮、渡辺篤、大泉滉、須賀不二男、石井均、角梨枝子、吉田義夫、太宰久雄、穂高稔、藤田憲子、ザ・クーガーズ

時効目前の殺人犯(佐藤)がある事件を契機に連続強姦殺人をおこしていくが、純粋な娘(倍賞)に出会い心惹かれ…。衝撃的な殺人場面と、アウトローと山田洋次の協力を得て造形した松竹的ヒロインとの二人の心の交流が、ロー・ポジションの陰影に富んだ白黒映像による緊張感に満ちた語りで描かれる。どんな理由でも人殺しは「罪」かを主題とした作品で、加藤泰最大の問題作と評される。


33緋牡丹博徒 花札勝負(98分・35mm・カラー)

  • 2016年7月24日1:00 PM@大ホール
  • 2016年8月31日3:00 PM@大ホール

1969(東映京都)(監)加藤泰(原)石本久吉(脚)鈴木則文、鳥居元宏(撮)古谷伸(美)富田治郎(音)渡辺岳夫(出)藤純子、高倉健、若山富三郎、待田京介、清川虹子、小池朝雄、嵐寛寿郎、藤山寛美、内田朝雄、沢淑子、汐路章、天津敏、石山律

「緋牡丹博徒」シリーズ第3作。名古屋の西之丸一家に草鞋を脱いだお竜(藤)は、自分の名を騙る女が賭場を荒らしていると知る。一方、熱田神宮の勧進賭博を前に、金原一家に不穏な動きが…。因縁の連鎖で次々転がる物語を、冒頭の極端なカットつなぎ、突如始まる西部劇のような追跡シーンなど、大胆な演出満載で一気に見せる。


34緋牡丹博徒 お竜参上(100分・35mm・カラー)

  • 2016年7月24日4:00 PM@大ホール
  • 2016年9月1日3:00 PM@大ホール

1970(東映京都)(監・脚)加藤泰(脚)鈴木則文(撮)赤塚滋(美)井川徳道(音)斎藤一郎(出)藤純子、菅原文太、若山富三郎、安部徹、天津敏、嵐寛寿郎、山城新伍、長谷川明男、夏珠美、山岸映子、近藤洋介、沼田曜一、沢淑子、三原葉子、名和宏

『緋牡丹博徒 花札勝負』の後日譚。お竜(藤)はかつて関わった女博徒の遺児(山岸)とその恋人(長谷川)のために母親的な役回りを演じる。お竜が青山(菅原)に蜜柑を手渡す雪の今戸橋の場面は、井川徳道によるセットの様式美と果物を活かした叙情的な演出がかみ合った場面として名高い。


35緋牡丹博徒 お命戴きます(93分・35mm・カラー)

  • 2016年8月14日1:00 PM@大ホール
  • 2016年8月18日3:00 PM@大ホール
  • 2016年9月2日3:00 PM@大ホール

1971(東映京都)(監・脚)加藤泰(脚)大和久守正、鈴木則文(撮)わし尾元也(美)吉村晟(音)木下忠司(出)藤純子、鶴田浩二、若山富三郎、大木実、待田京介、河津清三郎、嵐寛寿郎、石山健二郎、汐路章、上岡紀美子、内田朝雄、諸角啓二郎

シリーズ第7作。日露戦争直前の上州の村で、農民たちは軍需工場が排出する汚染水に苦しんでいた。結城一家の二代目(鶴田)は、彼らを救おうと尽力していたが…。ワイドスクリーンの横幅と奥行きを最大限に活用する加藤演出は、製作当時の社会問題を取り込んだ物語に、激しい情念を行き渡らせる。


36昭和おんな博徒(91分・35mm・カラー)

  • 2016年8月16日3:00 PM@大ホール
  • 2016年8月26日7:00 PM@大ホール

1972(東映京都)(監)加藤泰(脚)鳥居元宏、本田達男(撮)古谷伸(美)石原昭(音)木下忠司(出)江波杏子、松方弘樹、松平純子、嵐寛寿郎、水島道太郎、遠藤辰雄、山本麟一、渡辺文雄、天知茂、汐路章、中村錦司、有川正治、丘路千、任田順好

大映の「女賭博師」シリーズ(1966-71)に主演していた江波杏子初の東映出演作品。藤純子の引退を受けての企画で、最愛の男(松方)を殺した者たちへの復讐に生きるヒロインの姿が描かれる。空間の奥行きを引き戸の活用で強調するなど、画面構成の妙は本作でも各所に確認できる。


37人生劇場(167分・35mm・カラー)

  • 2016年7月26日2:00 PM@大ホール
  • 2016年8月27日12:00 PM@大ホール

1972(松竹大船)(監・脚)加藤泰(原)尾崎士郎(脚)野村芳太郎、三村晴彦(撮)丸山恵司(美)森田郷平(音)鏑木創(出)竹脇無我、田宮二郎、高橋英樹、倍賞美津子、香山美子、渡哲也、津島恵子、任田順好、森繁久彌、田中春男、笠智衆、伴淳三郎、明石潮、大泉滉、萩本欽一、坂上二郎

尾崎士郎の同名小説の13度目の映画化。小説家を目指す青年・瓢吉(竹脇)の彷徨を中心に、彼を見守る渡世人の吉良常(田宮)と飛車角(高橋)、宮川(渡)、彼らを取り巻く女たち(倍賞、香山、任田)の生きざまを描く。男女の情愛をしっとりと描き、恋愛映画としても見応えある1本。

*途中休憩あり


38花と龍(168分・35mm・カラー)

  • 2016年7月26日6:00 PM@大ホール
  • 2016年8月28日12:00 PM@大ホール

1973(松竹大船)(監・脚)加藤泰(原)火野葦平(脚)三村晴彦、野村芳太郎(撮)丸山恵司(美)芳野尹孝(音)鏑木創(出)渡哲也、香山美子、竹脇無我、田宮二郎、石坂浩二、倍賞美津子、任田順好、佐藤慶、太地喜和子、笠智衆、伴淳三郎、坂上二郎

火野葦平の同名小説の映画化。加藤は従来の脚色(東映や日活で幾度か映画化済み)とは異なり、主人公・玉井金五郎(渡)と成長した息子(竹脇)との葛藤を重視し、一人の男の単なる出世物語にとどまらぬ作品に仕上げている。香山、倍賞、太地ら女優陣の力演も見逃せない。

*途中休憩あり


39宮本武蔵(148分・35mm・カラー)

  • 2016年7月27日3:00 PM@大ホール
  • 2016年8月27日4:00 PM@大ホール

1973(松竹大船)(監)加藤泰(原)吉川英治(脚)野村芳太郎、山下清泉(撮)丸山恵司(美)森田郷平、浦山芳郎(音)鏑木創(出)高橋英樹、田宮二郎、倍賞美津子、松坂慶子、笠智衆、フランキー堺、任田順好、細川俊之、佐藤允、有島一郎、加藤嘉、加藤武、戸浦六宏

原作は吉川英治の同名小説。関ヶ原の戦いから巌流島の決闘まで、武蔵(高橋)の死闘を中心に描き、彼をめぐるお通(松坂)、朱実(倍賞)、又八(堺)、お杉(任田)、小次郎(田宮)の情念をみせていく。武蔵の修練や成長は省き、悟りは無く死のみ、という世界を描き出す。

*途中休憩あり


40日本俠花伝(150分・35mm・カラー)

  • 2016年7月27日6:30 PM@大ホール
  • 2016年8月19日3:00 PM@大ホール
  • 2016年9月3日1:00 PM@大ホール

1973(東宝)(監・原・脚)加藤泰(撮)村井博(美)阿久根巌(音)鏑木創(出)真木洋子、渡哲也、曽我廼家明蝶、任田順好、加藤剛、北大路欣也、安部徹、村井国夫、武藤章生、森幹太、大塚道子、園佳也子、菅井きん、藤原釜足、見明凡太郎、汐路章

加藤が長年温めたオリジナル脚本を東宝で演出した大作。大正初期、ミネ(真木)は実(村井)と四国から駆け落ちするが、刺客・清次郎(渡)や長田組の親分・金造(曽我廼家)と出会う中で、大きく変貌を遂げていく…。女性の肉体を通してエロスと暴力を骨太に追求した後期加藤映画の集大成。

*途中休憩あり


41江戸川乱歩の 陰獣(117分・35mm・カラー)

  • 2016年7月28日3:00 PM@大ホール
  • 2016年8月28日4:00 PM@大ホール

1977(松竹)(監・脚)加藤泰(原)江戸川乱歩(脚)仲倉重郎(撮)丸山恵司(美)梅田千代夫(音)鏑木創(出)あおい輝彦、香山美子、若山富三郎、大友柳太朗、川津祐介、中山仁、仲谷昇、野際陽子、田口久美、倍賞美津子、加賀まりこ、藤岡琢也

謎の小説家大江春泥から届く一連の脅迫状が、奇怪な連続殺人事件を呼び起こす。大胆でモダンな構図と、香山美子演じるファム・ファタルの妖しい輝き、江戸川乱歩世界の倒錯と退廃の美を表現する美術と音楽が強い印象を残す。長台詞によるクライマックスの謎解きシークエンスの演出は必見。


42炎のごとく(147分・35mm・カラー)

  • 2016年8月14日4:00 PM@大ホール
  • 2016年8月19日6:30 PM@大ホール
  • 2016年8月30日3:00 PM@大ホール

1981(大和新社)(監・脚)加藤泰(原)飯干晃一(撮・出)丸山恵司(美)梅田千代夫(音)鏑木創(出)菅原文太、倍賞美津子、きたむらあきこ、国広富之、豊田充里、佐藤允、若山富三郎、中村玉緒、桜町弘子、汐路章、東龍明、岡八郎、谷村昌彦、藤田まこと、藤山寛美、高田浩吉、大友柳太朗

会津の小鉄こと仙吉(菅原)は、愛する女りん(倍賞)のために、幕末の京都で人生を賭け始める…。全篇通じて飛び交う怒号や叫び声、誇張された表情、無様な斬り合いや噴出する血糊、脈絡のないカットや照明の変化など、演出は一見不自然に、時に稚拙にさえ見える。だが仙吉の、目の前の人間を不幸にはさせないという意志が周囲に伝播していくと共に、映画は異様な美しさを獲得していく。


■作品によって開映時間が異なりますのでご注意ください。
■各回の開映後の入場はできません。

2016年7月12日

2016年7月12日3:00 PM@大ホール
2016年7月12日7:00 PM@大ホール

2016年7月13日

2016年7月13日3:00 PM@大ホール
2016年7月13日7:00 PM@大ホール

2016年7月14日

2016年7月14日3:00 PM@大ホール
2016年7月14日7:00 PM@大ホール

2016年7月15日

2016年7月15日3:00 PM@大ホール
2016年7月15日7:00 PM@大ホール

2016年7月16日

2016年7月16日1:00 PM@大ホール
2016年7月16日4:00 PM@大ホール

2016年7月17日

2016年7月17日1:00 PM@大ホール
2016年7月17日4:00 PM@大ホール

2016年7月19日

2016年7月19日3:00 PM@大ホール
2016年7月19日7:00 PM@大ホール

2016年7月20日

2016年7月20日3:00 PM@大ホール
2016年7月20日7:00 PM@大ホール

2016年7月21日

2016年7月21日3:00 PM@大ホール
2016年7月21日7:00 PM@大ホール

2016年7月22日

2016年7月22日3:00 PM@大ホール
2016年7月22日7:00 PM@大ホール

2016年7月23日

2016年7月23日1:00 PM@大ホール
2016年7月23日4:00 PM@大ホール

2016年7月24日

2016年7月24日1:00 PM@大ホール
2016年7月24日4:00 PM@大ホール

2016年7月26日

2016年7月26日2:00 PM@大ホール
*途中休憩あり 37人生劇場(167分)
2016年7月26日6:00 PM@大ホール
*途中休憩あり 38花と龍(168分)

2016年7月27日

2016年7月27日3:00 PM@大ホール
*途中休憩あり 39宮本武蔵(148分)
2016年7月27日6:30 PM@大ホール
*途中休憩あり 40日本俠花伝(150分)

2016年7月28日

2016年7月28日3:00 PM@大ホール
2016年7月28日7:00 PM@大ホール

2016年7月29日

2016年7月29日3:00 PM@大ホール
2016年7月29日7:00 PM@大ホール

2016年7月30日

2016年7月30日1:00 PM@大ホール
2016年7月30日4:00 PM@大ホール

2016年7月31日

2016年7月31日1:00 PM@大ホール
2016年7月31日4:00 PM@大ホール

2016年8月2日

2016年8月2日3:00 PM@大ホール
2016年8月2日7:00 PM@大ホール

2016年8月3日

2016年8月3日3:00 PM@大ホール
2016年8月3日7:00 PM@大ホール

2016年8月4日

2016年8月4日3:00 PM@大ホール
2016年8月4日7:00 PM@大ホール

2016年8月5日

2016年8月5日3:00 PM@大ホール
2016年8月5日7:00 PM@大ホール

2016年8月6日

2016年8月6日1:00 PM@大ホール
2016年8月6日4:00 PM@大ホール

2016年8月7日

2016年8月7日1:00 PM@大ホール
2016年8月7日4:00 PM@大ホール

2016年8月9日

2016年8月10日

2016年8月10日3:00 PM@大ホール
2016年8月10日7:00 PM@大ホール

2016年8月11日

2016年8月11日1:00 PM@大ホール
2016年8月11日4:00 PM@大ホール

2016年8月12日

2016年8月12日3:00 PM@大ホール
2016年8月12日7:00 PM@大ホール

2016年8月13日

2016年8月13日1:00 PM@大ホール
2016年8月13日4:00 PM@大ホール

2016年8月14日

2016年8月14日1:00 PM@大ホール
2016年8月14日4:00 PM@大ホール

2016年8月16日

2016年8月16日3:00 PM@大ホール
2016年8月16日7:00 PM@大ホール

2016年8月17日

2016年8月18日

2016年8月18日3:00 PM@大ホール
2016年8月18日7:00 PM@大ホール

2016年8月19日

2016年8月19日3:00 PM@大ホール
*途中休憩あり 40日本俠花伝(150分)
2016年8月19日6:30 PM@大ホール

2016年8月20日

2016年8月20日1:00 PM@大ホール
2016年8月20日4:00 PM@大ホール

2016年8月21日

2016年8月21日1:00 PM@大ホール
2016年8月21日4:00 PM@大ホール

2016年8月23日

2016年8月23日3:00 PM@大ホール
2016年8月23日7:00 PM@大ホール

2016年8月24日

2016年8月24日3:00 PM@大ホール
2016年8月24日7:00 PM@大ホール

2016年8月25日

2016年8月25日3:00 PM@大ホール
2016年8月25日7:00 PM@大ホール

2016年8月26日

2016年8月26日3:00 PM@大ホール
2016年8月26日7:00 PM@大ホール

2016年8月27日

2016年8月27日12:00 PM@大ホール
*途中休憩あり 37人生劇場(167分)
2016年8月27日4:00 PM@大ホール
*途中休憩あり 39宮本武蔵(148分)

2016年8月28日

2016年8月28日12:00 PM@大ホール
*途中休憩あり 38花と龍(168分)
2016年8月28日4:00 PM@大ホール

2016年8月30日

2016年8月30日3:00 PM@大ホール
2016年8月30日7:00 PM@大ホール

2016年8月31日

2016年8月31日3:00 PM@大ホール
2016年8月31日7:00 PM@大ホール

2016年9月1日

2016年9月1日3:00 PM@大ホール
2016年9月1日7:00 PM@大ホール

2016年9月2日

2016年9月2日3:00 PM@大ホール
2016年9月2日7:00 PM@大ホール

2016年9月3日

2016年9月3日1:00 PM@大ホール
*途中休憩あり 40日本俠花伝(150分)
2016年9月3日4:30 PM@大ホール

2016年9月4日

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