過去のイベント

  • 2016.10.22 13:00-
  • ユネスコ「世界視聴覚遺産の日」記念特別イベント

無声映画遺産とアーカイブ

Silent Film Heritage and Archive

※現在、隣接の建物において地下解体・新築工事が行われています。これに伴い、当館内でも工事の大きな音や振動の影響を受けることがございます。当館として工事会社との調整を継続しており、工事スケジュールや工事内容の詳細が分かり次第、皆様にまたお知らせさせていただく予定です。上映中に工事の音や振動 が発生することをご理解くださいますようお願い申し上げます。

会場:
大ホール
会期:
2016年10月22日(土) 開始13:00(開場12:30)
主催:
東京国立近代美術館フィルムセンター
協力:
小松弘
定員:
299名
料金:
一般520円/高校・大学生・シニア310円/小・中学生100円/障害者(付添者は原則1名まで)、キャンパスメンバーズは無料
発券:
2階受付
・イベント開始後の入場はできません。
・観覧券は当日・当該回のみ有効です。
・発券・開場はイベント開始の30分前から行い、定員に達し次第締切ります。
・学生、シニア(65歳以上)、障害者、キャンパスメンバーズの方は、証明できるものをご提示くだ
 さい。
・発券は各回1名につき1枚のみです。

概要

PDF版でもご覧いただけます ↓

無声映画遺産とアーカイブ

 映画の120年の歴史は、無声からトーキー、白黒からカラー、可燃性フィルムから不燃性フィルム、スタンダードからワイド画面、そしてフィルムからデジタルへと、技術的な変革を大きく遂げながら、その時代ごとに無数の作品と豊饒な文化を生み出してきました。他方でそれは、過去の作品や文化を十分に遺せなかった歩みでもありました。なかでもその初期にあたる無声映画の30年は、構図や話法、色彩、生演奏、可燃性フィルムなど、後の時代とは異なる映画表現と文化が育まれ、映画史に刻まれる多くの映画監督やスターが生み出された時代でしたが、今ではその9割以上の作品が失われてしまっています。
 フィルムセンターでは、映画保存の原点を見つめなおす企画として、本年のユネスコ「世界視聴覚遺産の日」記念特別イベント「無声映画遺産とアーカイブ」を開催します。イベントでは、無声映画特有の魅力とそのアーカイビングについての講演と、貴重な無声映画作品をピアノ伴奏付きで上映します。また本年は、フィルムセンターが復元した作品や数多くの日本映画の紹介を続けてきたイタリアのポルデノーネ無声映画祭の35周年にあたり、同映画祭で無声映画遺産の保存と普及に貢献した研究者や機関を表彰するジャン・ミトリ賞も30回目を迎えます。
 この記念すべき年にあたり、無声映画の世界を堪能し、映画を歴史的かつ文化的遺産としてアーカイブしていくことの重要性に思いをはせる機会となることを願い、みなさまのご来場をお待ちしています。

無声映画の美しさ La Bellezza del Cinema Muto

小松弘(早稲田大学文学学術院教授)

 

アイリス・バリーとD・W・グリフィス――MoMAフィルムライブラリーの始まり

岡島尚志(東京国立近代美術館フィルムセンター主幹)

 

It’s your story – don’t lose it
捨てないで、あなたの大事な物語を。
*ユネスコの視聴覚保存機関連絡協議会(CCAAA)による世界視聴覚遺産の日2016年の標語。

 

ユネスコ「世界視聴覚遺産の日」(10月27日)

映画フィルム、テレビ番組、様々な録音・録画物などの視聴覚遺産を保存し安全保護する事業や活動を推進し、その重要さを啓蒙するために、ユネスコが2006年に定めた国際記念日。ユネスコに属する視聴覚保存機関連絡協議会(CCAAA)での決定を受けて2007年から世界で実施されている。なお、10月27日は、1980年ベオグラードで「映像の保護及び保存に関するユネスコ勧告」が採択された日。フィルムセンターが加盟している国際フィルムアーカイブ連盟(FIAF)でも、連盟をあげてこの日を祝うことを決定し、世界中の会員機関が記念イベントなどの事業に取り組んでいる。

 

(監)=監督 (原)=原作 (脚)=脚本・脚色 (撮)=撮影 (出)=出演
外国語の上映作品には全て日本語字幕が付いています。
特集には不完全なプリントが含まれていることがあります。
記載した上映分数は、当日のものと多少異なることがあります。
全作品伴奏付で上映します。

*イベント開始後の入場はできません。

無声映画の美しさ La Bellezza del Cinema Muto

  • 2016年10月22日1:00 PM@大ホール

13:00-13:45  イベント開始(13:00)後の入場はできません
講演:「無声映画の美しさ La Bellezza del Cinema Muto」
小松弘(早稲田大学文学学術院教授)

無声映画がもし現代において、もはや不在の映画の美を回復する契機を与えてくれるのだとしたら、それは単に無声映画が無言であるからだけではなく、現代の映画においてはもはや復元が不可能な―いや復元される必要もないのだが―、別種の次元の映像が展開するからに違いない。そこには如何なる秘儀が存在するのか?

ダイヤの王国 フィルムコマ2『ダイヤの王國』のフィルムコマ

 

13:45-14:45  *イベント開始(13:00)後の入場はできません
『祖國』[予告篇](8分・18fps・35mm・無声・白黒)
1925(松竹蒲田)[小松弘氏提供]
本篇は、北村小松原作、島津保次郎監督で、南方支那を舞台にした大スペクタクル。隣国との戦乱の時代、宰相の娘をめぐって同士討ちがおこるが、宰相は娘を斬って自軍をまとめ、隣国との戦いにむかう。予告は戦争シーンが中心。祖国trim

 

『ダイヤの王國』[不完全版] 
(52分・16fps・35mm・無声・染色/調色/染調色・フランス語/スペイン語インタータイトル)
L’Empire du Diamant (The Empire of Diamonds)
1920(レオンス・ペレ・プロダクション)(監) (脚)レオンス・ペレ(原)ヴァレンティヌ・マンデルスタム(撮) ルネ・ギッサール(ルネ・ガイサート)(出)ロバート・エリオット、ルーシー・フォックス、ヘンリー・セル、レオン・マト
レオンス・ペレのアメリカ時代最後の作品と言われる探偵活劇。自然光や逆光をいかした美しい構図や、サスペンスの巧みな演出が遺憾なく発揮されている。小松弘氏旧蔵の美しい染色プリントからの復元版で、1・2巻、ラストが欠落。

アメリカのダイヤモンド会社の経営者・ヴェルシニーは、市場を荒らす人工ダイヤの出所を探るため、娘のミシェルとパリへ行き、秘密探偵ベルナックと、人工ダイヤの組成に成功した科学者アンダーセンの協力を得る。捜査上に、以前アンダーセンを雇っていたグレーヴスと、その仲間のトラーズィが浮上。グレーヴスは、ヴェルシニーに恨みを持つランブリ男爵を仲間にいれ、トラーズィもヴェルシニー宅にメイドとして仲間のホプキンスを送り込む。<以上欠落部分>ヴェルシニーとアンダーセンに、グレーヴスの魔手がのび、ベルナックらは、行方不明のヴェルシニーと人工ダイヤの謎を追う。
*不燃化・染色・調色:(株)IMAGICAウェスト

ダイヤの王国スチルtrim3

 

小松弘
早稲田大学文学学術院教授。無声映画の代表的な研究者として世界的に知られ、主な著作に『起源の映画』(青土社、1991)、『ベルイマン』(清水書院、2000)、共訳書にサドゥール『世界映画全史』(国書刊行会、全12巻)などがある。2002年にジャン・ミトリ賞受賞。

ジャン・ミトリ賞
映画遺産の保護や復元を支援・促進してきたポルデノーネ無声映画祭が、1986年に制定した国際的な賞。無声映画の発掘や評価に際立った貢献を果たした個人・団体に贈られる。ジャン・ミトリはフランスを代表する映画批評家・理論家で、ポルデノーネ無声映画祭の初代名誉会長を務めた。


アイリス・バリーとD・W・グリフィス――MoMAフィルムライブラリーの始まり

  • 2016年10月22日1:00 PM@大ホール

14:55-15:40  イベント開始(13:00)後の途中入場はできません
講演:「アイリス・バリーとD・W・グリフィス――MoMAフィルムライブラリーの始まり」
岡島尚志(東京国立近代美術館フィルムセンター主幹)

1930年代、創立間もないニューヨーク近代美術館(MoMA)でフィルムライブラリーを任されたアイリス・バリーにとって、当時すでに過去の人となっていたD・W・グリフィスを人々に再評価させることは大きな意味を持っていた…。映画保存の草創期を駆け抜けたスーパーレディと“アメリカ映画の父”の不幸な対立をフィルムアーカイブの視点から読み解く。

アイリス・バリー表紙(MoMAによるアイリス・バリー追悼冊子、1980年)

 

15:40-16:45  イベント開始(13:00)後の途中入場はできません
『毒蛇の飼育』[MoMA復元版]
(16分・16fps・35mm・無声・白黒・英語インタータイトル)
Nursing a Viper 

1909(バイオグラフ)(監)D・W・グリフィス(撮)G・W・ビッツァー(出)アーサー・ジョンソン、マリオン・レナード、フランク・パウエル
後の『イントレランス』や『嵐の孤児』でも取り上げられるフランス革命を舞台にした時代物。原題は、<飼犬に手を咬まれる>といった意味で、匿ってあげた男に、自分の妻が襲われる皮肉を示している。

Griffith「毒蛇」スチル1

 

『鎧戸の締まった家』[MoMA復元版] (16分・16fps・35mm・無声・白黒・英語インタータイトル)
The House with Closed Shutters 

1910(バイオグラフ)(監)D・W・グリフィス(脚)エメット・キャンベル・ホール(撮)G・W・ビッツァー(出)ヘンリー・B・ウォルソール、ドロシー・ウェスト、グレイス・ヘンダーソン、チャールズ・H・ウェスト
南北戦争の時代。南軍に入ったものの前線に密書を届ける任務に怖気づいて逃げかえってきた兄の代わりに、妹は軍服をまとい勇敢に戦って死ぬ。母は、家の名誉のために全ての鎧戸を閉ざし息子を幽閉する。

Griffith「鎧戸」スチル5

 

『先史時代』[MoMA復元版] (30分・16fps・35mm・無声・白黒・英語インタータイトル)
In Prehistoric Days 

1913(バイオグラフ)(監)D・W・グリフィス(脚)(撮)(出)ロバート・ハロン(出)メイ・マーシュ、ウィルフレッド・ルーカス、チャールズ・ヒル・メイルズ、ウィリアム・J・バトラー
"Brute Force"の原題でも知られる作品。発明家ハリー・フォークナーは酒場で愛するプリシラにつれなくされて本を読む。略奪婚で腕力が全てだった太古の昔、女のいない部族が襲ってくるが発明した弓矢で勝利を得た優男は皆の尊敬を集める…。

Griffith「先史時代」スチル1

 

岡島尚志
東京国立近代美術館フィルムセンター主幹。フィルムアーキビスト/キュレーター。国際フィルムアーカイブ連盟(FIAF)の第12代会長(2009~2011)をつとめた。専門は映画史、フィルムアーカイブ論、映画評論。


ピアノ伴奏:神﨑えり(こうざき・えり)

国立音楽大学作曲学科、パリ国立高等音楽院ピアノ即興演奏科卒業。作曲家・即興演奏家・ピアニストとして国内外で活躍し、即興演奏による映画伴奏にも力を入れている。ポルデノーネ無声映画祭など欧州の国際映画祭にて招待演奏を行い、高い評価を得ている。

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