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デジタルデータ保存のためのメディア

 

デジタル技術の進歩は非常に速く、データを保存するメディアにおいても進展は著しいものがあります。

保存メディアとして、代表的なものには、光ディスク、磁気テープ、磁気ディスク、半導体の4種類があります。

これまで、フィルムに記録され、保存されてきた映像や画像はデジタル化され、前述の保存メディアに保存されるようになってきています。これら4種類の保存メディアにはそれぞれ特徴があるので。ここではその特徴について述べてみたいと思います。

詳細はレポートを参照してください。

 

1.記憶容量(1TB=約1,000GB=約1,000,000MB)

一般的な光ディスクの容量は以下のようになっています。

  • CD(Compact Disc)1枚で、700MB(メガバイト)
  • DVD(Digital Versatile Disc)1枚で、4.7GB(ギガバイト)
  • BD(Blue-ray Disc)1枚で25GB

最近、BDより高密度なアーカイバルディスク(AD)が発売され、1枚の容量としては、両面で300GBあります。

 

一方、磁気テープでは、LTO(Linear Tape Open)テープ1本に6TB(テラバイト)記録することができます。

将来的にはLTO1巻当たり150TBを超える記録容量が可能であると報告されています(注1)

磁気ディスクの容量は、種々の技術改良により、高密度化が進展しており、米HGST社からは10TBのモデルが出荷されています。

 

半導体(SSD;Solid State Drive)では32GB(256Gbit)のSSDが登場しています(注2)

 

2.互換性

光ディスクの重要な特徴は、下位互換性を維持している点にあります。CDは1982年に発売されましたが、現在でも再生可能です。

 

これに対し、磁気テープは、容量増加に伴い、システムが変更されることが挙げられます。3~5年で世代交代が行われ、最新のシステム(ドライブ)で は2世代前のテープまでしか再生できません。したがって、10年程度で、一度すべてのデータを新しいシステムに置き換える、いわゆるマイグレーションを行う必要が生じます。

 

HDDやSSDは標準インターフェースに対応することにより、アクセスができます。

 

3.寿命

寿命とは、記録したものが読み出せる期間と考えられますが、寿命を決める要因には様々なものがあります。

媒体の寿命そのものは勿論ですが、読み出すためのドライブの寿命、ハードウェアやソフトウェアのサポート期間、記録されたデータの初期状態などもデータの寿命を決める要因となります。

 

光ディスクの寿命推定試験に関する国際規格が制定されています。この規格に沿って寿命を推定した場合、50℃環境下で50年、25℃環境下で1,000年以上という寿命が報告されています(注3)

ただし、この試験は、温度と湿度に関する劣化だけを取り扱っており、光、腐食ガス、汚れ等については取り扱っていません。

また、記録されたデータの初期エラーレートが高いと、読み出し不能になるまでの寿命も短くなるので注意が必要です。初期エラーレートはディスクのみならず、ドライブにも依存します。

 

磁気テープについては、社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)がLTO3テープの寿命推定を行い、25℃で保管した場合の寿命を19.1年と推定しました(注4)

 

HDDの寿命については正確なデータは乏しいのですが、5年程度とされています。磁気の安定性は、寿命を決めるとは考えられていませんが、高速駆動部分があるため、衝撃や摩耗、汚れやほこりが寿命に影響を与えると考えられます。

大規模システムでは、仮想化等の技術により、システム中の一つのHDDが壊れても、新たなHDDに取り換えれば、データが保存されるようになっています。

 

一般的な半導体メモリの寿命は、多くの予想がありますが、書き換え回数1,000回から1万回後の寿命は、比較的長いもので、10年程度と予想されています。また、書き込み1回のみの場合、データを1,000年以上保持可能という報告もあります(注5)

 

4.その他の特徴

光ディスク、磁気テープ、半導体メモリは使用しなければ、電力消費はなく、アクセスの少ないデータの保存にはメリットがあります。磁気ディスク(HDD)は、駆動部があり、長時間放置すると動かなくなる危険性が有ります。

光ディスクや磁気テープは応答速度が遅く、アクセスの少ないデータ(コールドデータ)を保存するのに適していると言えます。

 

一方、半導体メモリや磁気ディスクは応答速度が速く、頻繁にアクセスするデータ(ホットデータ)の記憶に適していると言えます。半導体メモリは、消費電力が少なく、高速にアクセスできるため、今後、価格が低下すれば、主要な記録メディアになる可能性が有ります。

 

5.その他のデジタルデータの保存メディア

<フィルム>

カラーフィルムで100年、白黒フィルムで500年の期待寿命があり、実際、100年以上前のフィルムも残っています。こういった実績から、デジタルデータをフィルムに記録して保存するという試み(Bits on Film)も行われています(注6)

<石英ガラス>

耐熱性や耐水性に優れた石英ガラスに、フェムト秒パルスレーザーを用いてデジタルデータを記録することで、数億年単位で、データを保存する技術が報告されています(注7)

 

(KO)

 

■本文中の注

http://www.fujitsu.com/jp/products/computing/storage/tape/eternus-lt/feature/025/

2.https://www.toshiba.co.jp/about/press/2015_08/pr_j0402.htm

3.White Paper:Archival Disc Technology 1st Edition July 2015

4.JEITA、“データテープメディアの寿命評価”、2009年1月

5.B.M.Lunt, Archiving 2011,Final Program and Proceedings, PP29-33

6.O.Plata and R.Bjerkestrand, Final Program and Proceedings of Archiving 2012,PP101-104、B.H.Brudell and K.M.Drake, Final Program and Proceedings of Archiving 2014, PP79-83, A.Wassmer and P.Fornaro, Final Program and Proceedings of Archiving 2013, PP103-106

7.T.Watanabe, R.Imai, S. Mori, T. Mine, T. Shintani and K.Watanabe、Program and Proceedings of the 1st International Conference on Advanced Imaging 2015, PP25-28

 


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「映画におけるデジタル保存・活用に関する調査研究」は文化庁の美術館・歴史博物館重点分野推進支援事業です。

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BDCプロジェクトはNational Research Project
for the Sustainability of Born-Digital Cinema
の略称です。

事業名は「映画におけるデジタル保存・活用に関する調査研究」です。