東京国立近代美術館フィルムセンターは2018年4月1日に東京国立近代美術館より独立し、新しい組織「国立映画アーカイブ」となりました。
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※現在、隣接の建物において地下解体・新築工事が行われています。これに伴い、当館内でも工事の大きな音や振動の影響を受けることがございます。当館として工事会社との調整を継続しており、工事スケジュールや工事内容の詳細が分かり次第、皆様にまたお知らせさせていただく予定です。上映中に工事の音や振動 が発生することをご理解くださいますようお願い申し上げます。
会 期:2016年11月29日(火)-12月25日(日)
12月の休館日:月曜日、12月27日(火)-2017年1月3日(火)
主 催:東京国立近代美術館フィルムセンター
DEFA財団
ドイツ・キネマテーク
協 力:東京ドイツ文化センター
山根恵子(法政大学名誉教授)
会 場:大ホール
各回の開映後の入場はできません
定 員:310名(各回入替制)
料 金:一般520円/高校・大学生・シニア310円/小・中学生100円/障害者(付添者は原則1名まで)、キャンパスメンバーズは無料
発 券:2階受付
・観覧券は当日・当該回のみ有効です。
・発券・開場は開映の30分前から行い、定員に達し次第締切ります。
・学生、シニア(65歳以上)、障害者、キャンパスメンバーズの方は、証明できるものをご提示ください。
・発券は各回1名につき1枚のみです。
旧東ドイツ唯一の公式映画製作機関として、1946年から1990年までの間に7000本以上の劇映画、アニメーション、ドキュメンタリーやニュース映画を製作したDEFA(Deutsche Film Aktiengesellschaft)。DEFAは、1912年に活動を開始したヨーロッパでもっとも古いバーベルスベルク撮影所を拠点に戦前ドイツの映画美術や技術を継承し、個性的で豊かな映画文化を育みました。フィルムセンターでは、DEFA創設70周年にあたる本年、日本で初めての本格的なDEFA回顧上映を開催します。ネオレアリズモやヌーヴェル・ヴァーグの影響を受けた作品群から、アグファカラーの色彩を活かした童話映画やミュージカル、さらには西部劇、アニメーション、ドキュメンタリー、そして検閲で封印された「禁止映画」など、多様なジャンルの作品を通して、旧東ドイツの社会と文化に触れるとともに、「もう一つのドイツ映画」をお楽しみください。
1946年から1990年の東ドイツ(ドイツ民主共和国)終焉まで続いた東ドイツの映画製作機関。ポツダム=バーベルスベルクの撮影所を継承し、当初はソヴィエトに統制されていたが、1949年の東ドイツ成立を経て、1953年に国営企業となった。1990年以後、撮影所は民間企業の所有となり、DEFAの映画資産はDEFA財団が管理。
会場:福岡市総合図書館 映像ホール・シネラ
会期:2017年4月1日(土)から4月23日(日)
*休館日:月曜日、火曜日
会場:京都国立近代美術館
会期:2017年5月12日(金)、13日(土)、14日(日)
■(監)=監督 (原)=原作・原案 (脚)=脚本・脚色 (撮)=撮影 (美)=美術 (音)=音楽 (出)=出演 (解)=解説・ナレーション
■特集には不完全なプリントが含まれていることがあります。
■上映作品にはすべて日本語字幕が付いています。
■記載した上映分数は、当日のものと多少異なることがあります。
戦後初のドイツ映画でDEFA第1回作品。戦前からの監督W・シュタウテが、脚本への支援を占領国で唯一表明したソ連領で撮影。ネオレアリズモとの類似やナチス否定は同時期のDEFA映画の特徴となった。収容所から生還したスザンネ(クネフ)が戦争のトラウマを抱えた医師(ボルヒェルト)と出会う…。
DEFA初の童話映画で初のカラー作品(アグファ)。貧しい炭焼の若者(モイク)が、愛する娘(ルッカー)との結婚資金を欲しつつも、黒い森に住む精霊に祈って得た富を使い果たし、悪い精霊と取り引きをする。1951年カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭最優秀カラー映画賞を受賞し、興行的にも大成功をおさめた。
原作はハインリヒ・マンの同名小説。第一次大戦前のドイツのブルジョワ社会と国粋主義の浸透を痛烈に批判した風刺劇。ドイツ帝国の時代、工場主の息子(ペータース)が皇帝への崇拝心を強めながら町の有力者にのしあがっていく。1951年カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭「社会進歩への闘い」賞受賞。
ドイツで最も愛されている童話を映画化。童話映画は、DEFAを代表する映画ジャンルであり、東欧諸国を中心に世界中に輸出され、大きな人気を博した。小さなムック(マウス)の語る「千夜一夜物語」的なイスラム世界が、鮮やかなアグファカラーの色彩とウーファ時代の流れを継ぐ特殊効果によって、楽しく創造されている。
ベルリンを舞台にロケーション撮影を駆使して若者の日常を描いた、G・クライン監督とW・コールハーゼのコンビ作の一本。親世代や権威に反抗心を抱く若者たちが、西側商品の闇取引やダンスに汗をかく日々を送るが、そのうち歯車がずれていく…。政府当局から睨まれながらも、若者の支持により大ヒットした。
ポーランドとの合作による大作で、DEFA初のSF映画。日本でも61年に公開された。原作はS・レムの最初のSF小説。西欧のSF映画と同様に原子力への恐怖が語られるが、世界各国の乗組員が一致団結して金星調査を敢行するさまは、共産圏ならではの理想に溢れている。谷洋子は『風は知らない』(1958、ラルフ・トーマス)等で国際的に活躍した。
F・バイヤーの初期代表作で、原作はブーヘンヴァルト強制収容所の実話を基にした同名小説。初めて強制収容所の生活を描いたドイツの劇映画で、同収容所跡で撮影され、出演者の多数が捕虜経験者。鞄に隠されて収容所に入ってきたユダヤ人の子供をめぐる人間ドラマ。1963年モスクワ国際映画祭銀賞受賞。日本でも64年に公開された。
日本でもよく知られた、グリム童話の名作を映画化。二人の兄から愚か者扱いされているクラウス(アイヒェル)は、老女を助けたお礼に黄金のガチョウをもらうが、そのガチョウに欲得ずくで触れる者は皆、次々と手がくっつき、大行列ができ始める…。楽しい歌と芝居に満ちた喜劇。
クリスタ・ヴォルフの同名小説の映画化。ドイツ分断のテーマを扱い、東ドイツではプレミア上映後に上映禁止となった。ヌーヴェル・ヴァーグの影響も指摘され、ベルリンの壁が建設される前に出会った女子学生(ブルーメ)と化学者(エッシェ)の恋の行方が、ジャズ音楽と硬質な白黒映像で綴られる。
撮影中に製作中止され、反体制的とされた台詞の音声トラックが消されるなど部分的に破壊された作品。1990年に復元・公開され、欠落部分は説明文や台詞のテキスト挿入や再録音で補完。少年が白鳥からもらった不思議な懐中電灯でおこす一騒動を描く。劇中で読まれる本はプロティノスの『エネアデス』。
東ドイツで記録的ベストセラーとなった同名小説の映画化。プレミア上映後に検閲で上映禁止となり、23年間封印された。建築現場の親分肌の労働者(クルーク)と党の書記官(エッシェ)、女技師(スティプルコフスカ、声はユッタ・ホフマン)の三角関係が、滑稽味とリアルな生活描写との絶妙な語り口で展開。
画家でドキュメンタリー作家のJ・ベトヒャーが撮った唯一の劇映画。完成前に禁止映画となり、1990年に完成・公開された。詩的な美しさが高く評価されている。東ベルリンに住む離婚寸前の若い夫婦、アルフレート(レーマー)とリザ(ヒルデブラント)の日常生活と心の機微を、シネマヴェリテ的な表現で淡々と描く。
娯楽性と政治的寓意が融合したDEFAの西部劇の中でも、「DEFAインディアンの首長」と称される大スター、G・ミティッチ主演の「インディアン映画」の代表作。原作は「モヒカン族の最後」で知られるJ・F・クーパーの「鹿殺し」。R・グロショップ監督は戦前のアマチュア映画出身で『オリンピア』(1938、レーニ・リーフェンシュタール)の撮影も手がけた。
DEFAのみならず、戦後ドイツ映画においても重要な作品の一つ。K・ヴォルフの実体験に基づく映画で、第二次大戦末期、赤軍がベルリンへと進攻する中、ドイツ生まれの19歳の赤軍兵士グレゴール(シュヴァルツ)が経験する出来事を通じて、ドイツおよびドイツ人が問い直されていく。赤軍によるドイツ人女性への強姦を示唆する描写など、タブーとされてきた主題にも挑んだ。
ドキュメンタリー出身のH・カーロウが、ホーネッカー政権樹立後の自由化政策を背景に、子持ちの男女の激しい恋をポップに描いたDEFA史上に残るヒット作。主演男女優の西ドイツへの亡命後、上映禁止となった。東ドイツのロックバンド、プディーズは、本作を機に人気を博し、後に東ドイツ国家賞を受賞。
『冷たい心臓』を初めとするカラー映画の撮影部だったJ・ハスラー監督が、60年代半ばから手がけたエンターテインメント映画の代表作。東ドイツ版『グリース』と称され、主役のC・デルクが快活に歌う、ドイツでカルト的人気のミュージカル。12人の少女と11人の少年がバルト海で夏休みを満喫。
近代チェコ語文学の祖の一人であるB・ニェムツォヴァーによる「シンデレラ(灰かぶり)」物語を、旧チェコスロヴァキアとの合作により映画化。弓馬に長け、自ら王子の心を射止める利発なヒロイン像が印象的で、ドイツでは長くクリスマスのテレビ番組の定番として知られていた。旧チェコスロヴァキア人俳優たちの声は、ドイツ語に吹き替えられている。
『石の痕跡』後、舞台やテレビで活動していたF・バイヤーの劇場映画復帰作。ゲットーで暮らすヤコブ(ブロツキー)は、警察で聞いたラジオ放送を仲間に漏らし、嘘を重ねる状況に…。アカデミー外国語映画賞にノミネートされた唯一のDEFA作品で、日本でも83年に公開された。原作は1999年にもハリウッドでロビン・ウィリアムズ主演で再映画化された。
東ドイツで最も尊敬される監督K・ヴォルフの最後の劇映画。1980年ベルリン国際映画祭最優秀女優賞など数々の国際的評価を得、日本でも83年に公開。実話をもとに脚本を書いたW・コールハーゼが共同監督。ドサ回りの女性歌手(クレスナー)の孤独な生き様を、老朽化が放置された都市の情景と共に描く。
「壁」崩壊直前の東ドイツに生きる、さまざまな境遇の女性たちをとらえたドキュメンタリー。女性監督H・ミッセルヴィッツの出世作で、キャメラの前で自分の人生を率直に語る彼女たちの言葉は苦労や後悔に満ち、社会主義の説く男女平等の理想に対する鋭い批判となっている。1988年ライプツィヒ国際ドキュメンタリー・アニメーション映画週間(DOKライプツィヒ)「銀の鳩」賞受賞。
DEFAが唯一同性愛を正面から描いた劇映画で、ベルリンの壁が崩壊した1989年11月9日に公開。同僚女性と恋仲の若い教員が、美少年と運命的な出会いをする…。男性同性愛者の集まる実際の場所も含め、ロケーション撮影を多用。美少年役のD・クマーは本作からカーロウの助監督を務め、現在は監督として活躍。
青年建築家ダニエル(ナウマン)は、ベルリン新興地区の再開発という大役を任され、同世代の仲間たちとチームを組んで張り切るが、彼らのアイデアは旧態依然とした市の行政によって骨抜きにされてしまい、ダニエルの家庭にも危機が訪れる…。「壁」崩壊をはさんで製作された、ドイツの歴史的転換を象徴する作品。
ドキュメンタリー作家フォルカー・ケップは、1974年から97年にかけて、ドイツ北東部の町ヴィットシュトックの繊維工場で働く3人の女性工員を撮影し、時代の変化や歴史的事件が庶民の日常に及ぼす影響をとらえつづけた。全7作のうち、本選集では、3人が入社一年目を振り返る第2作から、そのうちの一人エーディトが主任に昇進した第4作までをまとめて紹介する。
1955年にドレスデンに創設されたDEFAアニメーション映画スタジオは、セル、人形、切り絵、影絵などさまざまな手法のアニメーション製作が可能な総合施設で、1990年までに約750本もの作品を生み出した。本選集では、カラフルな配色を巧みに物語に取りこんだ『青いネズミはどこにもいない』や、ヒトラーが1960年代の東ドイツに復活する『こんにちは、Hさん』、手作り人形によるバラエティ・ショー『石器時代の話』、手書きボールペンによって描かれた『カフカの夢』など、手法や年代の幅に富んだ9本の短篇アニメーションを紹介する。
■作品によって開映時間が異なりますのでご注意ください。
「DEFAの遺産 禁止映画の背景」
検閲で封印された「禁止映画」が生まれた背景について、1960年代を中心に解説します。
日 時:2016年12月3日(土)1:50pm-2:50pm
講演者:シュテファニ・エッケルト Stefanie Eckert
(DEFA財団理事長代理、DEFA映画研究家)
バーベルスベルク・コンラート・ヴォルフ映画大学卒。DEFA作品に関する出版、およびドイツ国内外でのDEFA特集上映に携わり、2001年よりDEFA財団の研究員として、主にDEFA作品のデジタル化に努める。
*逐次通訳つき
*入場無料
*当日1回目の上映をご覧になった方は、そのままトークイベントに参加することができます。トークイベントのみの参加もできます。