東京国立近代美術館フィルムセンターは2018年4月1日に東京国立近代美術館より独立し、新しい組織「国立映画アーカイブ」となりました。
こちらは、アーカイブされたフィルムセンターの過去のページです。最新情報は、「国立映画アーカイブ」のホームページをご覧ください。
「国立映画アーカイブ」のページはこちら
会期:2018年1月30日(火)-3月4日(日)
1-2月の休館日:月曜日、1月1日(月・祝)-1月3日(水)
会場:大ホール
定員:310名(各回入替制・全席自由席)
※各回の開映後の入場はできません
当日券
料金:一般520円/高校・大学生・シニア310円/小・中学生100円/障害者(付添者は原則1名まで)、キャンパスメンバーズは無料
◆当日券で入場される方は、開館と同時に、当日上映する全ての回の入場整理券を1階ロビーにて発券します。開場時に当日券専用入口から整理番号順にご入場ください。各日の開館時間についてはスケジュール欄をご覧下さい。
発券:2階受付
・当日券は当日・当該回のみ有効です。
・発券・開場は開映の30分前から行い、定員に達し次第締切ります。
・学生、シニア(65歳以上)、障害者、キャンパスメンバーズの方は、証明できるものをご提示ください。
・発券は各回1名につき1枚のみです。
・各回の開映後の入場はできません。
前売券についてはこちらをご覧ください。
フィルムセンターが新たに発掘・復元した映画を紹介する企画「発掘された映画たち」を4年ぶりに開催します。初めてその全体像が明らかになった“皇太子渡欧映画”(1921年)、無声版の現存が初めて確認された横田商会製作の『忠臣蔵』(1910-1912年)、日露戦争と関東大震災の記録映画等の「複数バージョン」特集、また、17.5mmやコダカラーといった短命映画規格のフィルムを多く含む阿部正直コレクション特集、明治大正期に創業した企業の貴重な記録映画特集、『ここに生きる』(1962年)や『ヴェトナム戦争』(1967年)等独立プロの作品、さらにはアグファカラーの色の歴史的再現を目指した『浮草』(1959年)のデジタル復元版や、映画完成時の色味を再現した『セーラー服と機関銃 完璧版』(1982年)の再タイミング版など、計89本(30プログラム)の作品を上映します。
1991年に始まった本企画は、寄贈者の方々のご厚意や各関係機関・個人のご協力に支えられ、今回で節目の10回目を迎えます。会期中には、研究者や当館研究員のトークも予定しています。当館の映画収集・保存・復元活動の成果を、また、現像所が長年培ってきたアナログ技術と最先端のデジタル技術を採り入れた復元の成果をご覧いただくことで、文化財・歴史資料としての視聴覚遺産を保存することの大切さを再認識する機会となることを心より願っています。
■(監)=監督・演出 (原)=原作・原案 (脚)=脚本・脚色 (撮)=撮影 (美)=美術・舞台装置 (録)=録音 (音)=音楽 (出)=出演 (声)=声の出演
■スタッフ、キャストの人名は原則として公開当時の表記を記載しています。
■特集には不完全なプリントが含まれていることがあります。
■記載した分数は、当日のものと多少異なることがあります。
■各プログラム中の上映順序はやむを得ず変更になる場合があります。
日本映画の父・牧野省三と最初の映画スター・尾上松之助コンビによる『忠臣蔵』(オリジナル長は不明)は、1910~12年に撮影された各場面をまとめたもので「日本映画最初の全通しの『忠臣蔵』」と呼ばれる。今回マツダ映画社所蔵の35mm可燃性ポジから復元した『実録 忠臣蔵』は、NFC既蔵版(42分)と同様、後に音声を付加された活弁トーキー版であるが、NFC既蔵版には含まれていないメインタイトルのほか、「南部坂雪の別れ」以降の多くの場面を含んでいる。一方の『忠臣蔵』[仮題]は、近年無声映画保存会が発掘した35mm可燃性染色ポジから復元したもので、全8巻中の2、3、5、8巻のみの不完全版ながら、場面構成や字幕の書体を一部共有していることから、これを基にして上記の活弁トーキー版が作られたと思われる。(復元作業:IMAGICAウェスト)
2/3(土)12:30pmの回は上映前に当館研究員による解説(約5分)があります。
裕仁皇太子(後の昭和天皇)が1921年に渡欧した際に製作されたいわゆる“皇太子渡欧映画”は、公開当時、大きな話題となった。今回上映するフィルムは、幾つかの会社が撮影に関わっているバージョンである。出発から帰国、そして帰国後の上賀茂神社参拝も含んだ計7つのパートで構成された76分版は、松竹キネマ合名社、大阪毎日新聞社巴里通信部のクレジットの他、ゴーモンの会社ロゴも認められる。一方、英国滞在時の光景から帰国までの2つのパートで構成された8分版は、ゴーモンの会社ロゴのみが認められる。前者は16mmポジ、後者は35mm可燃性染色ポジから復元した。
2/3(土)4:00pmと2/27(火)7:00pmの回は上映前(約5分)と上映後(約15分)に当館研究員による解説があります。
『國宝的記録映画 旅順開城と乃木將軍』は、セカイフィルム社の駒田萬次郎(好洋)が、1932年に英国アーバン社『旅順の降伏』(1905)の映像に、メインタイトル及び中間字幕を加えて作った記録映画。1957年に作製された既蔵のインターネガから、今回初めて35mmプリントを作製した。『旅順の降伏』のオリジナル版全24場面のうち20場面を含む。また、個人寄贈の35mm可燃性染色ポジを基に復元した『日露大戦争』の中間字幕には「旗艦三笠」、「哨艦信濃丸」の文字が躍るものの、両艦船から敵艦来襲の無線電信が入ったという演出で、実際に海を航行している艦船の多くは敵艦である。後半部分には、ポーツマス日露講和会議に関するフッテージが繋ぎこまれている。
関東大震災発生直後を撮影した記録映画は、文部省製作版(『關東大震大火實況』)と日活製作版(『関東大震災実況』)が知られているが、その他に文献上で判明しているものだけでも50本以上の異なるタイトルが存在し、その全貌はいまだ把握できていない。『日本之大地震』と『震災後之日本』は、外国で家庭用時事映画として製作販売されたパテ・ベビーの9.5mmフィルムを、中間字幕を日本語に翻訳して国内販売したものと思われる。今回、ブローアップして35mmプリントを作製した。『東京大震災の惨状』は、文部省版や日活版のフッテージを多く含むが、これまで存在していなかったショットも含む。『関東大震災』[仮題]は外国向けに震災の被害状況を紹介したもので、新たなフッテージを数多く含む。『1923年9月1日 東京 大震災』[仮題]は戦後に再編集されたものとみられ、劇仕立てのフッテージなどが加えられている。
2/4(日)1:00pmと2/28(水)7:00pmの回は上映前に当館研究員による解説(約10分)があります。
(原版協力:東洋民俗博物館)
(原版協力:マツダ映画社)
(原版協力:マツダ映画社)
現存する最古のコマ撮りアニメーションである『なまくら刀』は、2014年、当館によって最長版(250フィート6コマ)が復元されたが、今回、映画史家の本地陽彦氏が発掘した35フィート11コマが新たに加わった。『飛行家の夢』は、これまで文献上でも存在が確認されていない玩具映画で、「ライオン印」の家庭フィルム3本と共に、製作年や監督名の同定が待たれる。また、『小人の電話』は2017年にプラネット映画資料図書館が発掘した、初期フジカラーのアニメーション映画で、35mmポジから復元。試写会のみで上映され、一般公開されなかった『おんぶおばけ』は、横山隆一と町山充弘が作画したことで知られるが、フジ、イーストマン、アンスコという3種類のカラーフィルムのストック毎に画のタッチが異なり、集団製作の手触りが残っている。監督のご遺族より寄贈頂いた16mmのオリジナル反転フィルムを基に復元。(復元作業:IMAGICAウェスト)
(原版協力:松本夏樹氏、本地陽彦氏)
(原版協力:本地陽彦氏)
製作年不詳
(原版協力:本地陽彦氏)
製作年不詳
(原版協力:本地陽彦氏)
製作年不詳
(原版協力:本地陽彦氏)
製作年不詳
(原版協力:神戸映画資料館)
「ヤスジのメッタメタガキ道講座」など強烈なキャラクターと決めゼリフで一世を風靡した谷岡ヤスジによる一連の漫画をアニメーション化したカルト的作品。2015年にソニー・デジタルエンタテインメント・サービスから寄贈された原版から作製したニュープリントを上映。
明治24年、備後福山の元藩主・阿部正桓の長男として本郷区西片町に生まれた「雲の伯爵」こと阿部正直(1891-1966)は、幼少期にエジソンの映画に魅せられ、富士山麓の雲形と気流との関係をめぐる自身の研究に映画を活用する等、生涯にわたり映画撮影に親しんだ。本プログラムでは、1913年に17.5mmフィルムで撮影された富士登山の様子をはじめ、1927年に静岡・御殿場に設立された阿部雲気流研究所における気流実験や、1930年に欧米各国を歴訪した様子、そして戦後の大きな混乱のさなか、鎌倉への転居を余儀なくされた阿部家の波瀾に満ちた歴史を、短命映画規格のフィルム等でたどる。撮影はすべて阿部正直による。 (原版寄贈:一般社団法人蟲喰鷹ノ羽 復元作業:IMAGICAウェスト)
2/9(金)3:00pmと2/25(日)1:00pmの回は上映前に当館研究員による解説(約10分)があります。
製作年不詳
※以上4作品は、17.5mmからのブローアップ。
※以上3作品は、16mmコダカラープリントからのブローアップ。
*コダカラー――1928年にイーストマン・コダック社がアマチュア向けに発表したカラー方式。極小のレンチキュラー・レンズを多数搭載した専用の白黒フィルムと、フィルターを撮影・映写時に使用することによって色彩を得る(加色法)。
昭和の初め、9.5mmのパテ・ベビーで映像を制作し、国内外で高い評価を受けた森紅。前回の「発掘された映画たち2014」では実験的な作品や劇仕立ての作品を採り上げたが、本プログラムでは、森が家族に寄り添う作品を上映する。日々の子供を捉えた『私の子供』など、森は身近な存在や出来事の光と影、動きを作品へと変えていく。服部茂は、今後の再評価が待たれるアマチュア映画作家である。服部が監督した劇仕立ての4作品に加え、服部の指導を受けた後進作家の作品(『さくら』)を上映する。いずれも9.5mmのパテ・ベビーを35mmプリントにブローアップして上映。(復元作業:IMAGICAウェスト)
2/24(土)4:00pmの回は上映後に松谷容作氏(同志社女子大学学芸学部助教)による解説(約30分)があります。
(原版協力:神戸映画資料館、プラネット映画資料図書館)
(原版協力:神戸映画資料館、プラネット映画資料図書館)
(原版協力:神戸映画資料館、プラネット映画資料図書館)
(原版協力:神戸映画資料館、プラネット映画資料図書館)
(原版協力:神戸映画資料館、プラネット映画資料図書館)
(原版協力:神戸映画資料館、プラネット映画資料図書館)
※以下の、しげる、志げる、服部南歌、南歌生、南歌は、すべて服部茂
(原版寄贈:無声映画保存会)
(原版寄贈:無声映画保存会)
(原版寄贈:無声映画保存会)
(原版寄贈:無声映画保存会)
製作年不詳
*参考上映
1922年に創設された秩父宮家は、1995年8月25日の秩父宮妃勢津子殿下の逝去により、73年2ヶ月の歴史を閉じた。秩父宮妃殿下のご遺族にあたる松平恒忠氏より寄贈された妃殿下の貴重な遺品のフィルムを上映することで、戦前から戦後にかけての秩父宮同妃両殿下の足跡をたどる。
演劇人アンドレ・アントワーヌ(1858-1943)の初映画監督作。当館の小宮登美次郎コレクションに含まれる35mm可燃性染調色ポジは、世界で唯一現存が確認されているフィルムである。パテ社の『現像の手引き』(1926)を参照し、当時の染色・調色がフィルムに及ぼす色調変化の傾向をシミュレーションし、その結果を色調補正に反映することで、色彩復元の精度を高めた。オリジナル1,185mのうち1,004mが現存。(復元作業:IMAGICA、IMAGICAウェスト)
2/22(木)3:00pmの回は上映後に当館研究員による解説(約15分)があります。
仙元誠三カメラマン監修のもと、当時本作のタイミング(色彩補正)を担当した一人であるフィルムセンター技術スタッフの鈴木美康から、相米慎二作品のトレードマークとも言える長廻しを数多く含む全115カットの再タイミングに関する技術的助言を得て、現役のタイミングマンが映画完成時に極めて近い色彩を再現した。なお本作は、1981年に112分版が公開された後、カットされていた場面を追加して1982年に公開された「完璧版」である。(再タイミング作業:IMAGICAウェスト)
2/10(土)12:00pmの回は上映後に当館研究員による解説(約20分)があります。
映画公開の前年に刊行された『映画技術』(No.82)の記事「アグファカラーの色の再現性」所収の撮影データを参照し、同カラー方式に特徴的な赤の発色と、彩度の低い緑と青という偏色性を踏まえた、精度の高いデジタル復元を実施した。オリジナルネガの4Kスキャン後、4K修復・4KDCP作製を行った。冒頭に復元デモ(4分)を含む。(監修:宮島正弘、デジタル復元:株式会社KADOKAWA、国際交流基金、技術協力:フィルムセンター、復元作業:IMAGICA)
2/17(土)12:30pmの回は上映後に当館研究員による解説(約15分)があります。
オリジナルネガの4Kスキャン後、4K修復・4Kフィルムレコーディングネガ作製を行い、35mmプリントを作製した。冒頭に復元デモ(4分)を含む。(監修:宮島正弘、デジタル復元:株式会社KADOKAWA、国際交流基金、技術協力:フィルムセンター、復元作業:IMAGICA、IMAGICAウェスト)
文部省芸術祭映画部門主催公演として1954年に始まり、1972年まで続いた「映画の歴史を見る会」における弁士説明付上映の様子を録音した6mmテープをデジタル化した上で、各作品のプリントのHDテレシネ・データと合成し、上映用メディアを作製した。今回上映する『日露戦争記録』および『ジゴマ』は1954年、『旧劇 太功記十段目 尼ヶ崎の段』は1962年、『小羊』は1965年に収録されたもの。
2/24(土)12:30pmの回と3/2(金)3:00pmの回は上映前に当館研究員による解説(約5分)があります。
『野田醤油株式会社 第十七工場 披露祝賀会 大正十五年四月二日…三日』は、千葉県野田町に新設された野田醤油株式会社(現・キッコーマン株式会社)第十七工場の威容を紹介する記録映画。祝賀会場のある野田町駅へと向かう臨時列車内において、日本橋、柳橋、芳町の花街の美妓たちが、給仕役を担うためにお化粧等をする自然体の姿が微笑ましい。また、鈴木商店(現・味の素株式会社)の創業者である二代・鈴木三郎助(1868-1931)の生前の功績を讃える『故鈴木三郎助殿 肖像掲揚式』では、神奈川県葉山町が主催した肖像掲揚式と、遺族が光徳寺に墓参する様子が捉えられ、『鈴木家ホーム・ムービー』では、東京・高輪の鈴木邸で開催された観菊会や、弟・鈴木忠治(二代目社長)の熱海の別荘建築現場の様子等、鈴木家親族の日常の姿が切り取られている。『御葬儀實況 昭和六年八月廿九日』は、1929~31年4月まで立憲民政党初代総裁を務め、1931年8月26日に61歳で逝去した濱口雄幸の葬儀実況映画で、『濱口雄幸氏 生前の俤』では、1930年11月14日に東京駅頭で兇漢に俎撃され、一命を取り留めたものの翌年に亡くなった濱口元首相を、生前のニュース映像で偲ぶ。
昭和8年の明仁皇太子のご生誕を記念し、秋田県能代市の八幡神社の附属教育機関であった住吉渟城学園が企画した『能代港町全貌』には、鉄道の開通を契機に、木材の一大集参地となって栄えた港町の原風景が映し出されている(35mm可燃性ポジから復元)。『佃島』は、隅田川にかかる佃大橋の建設に伴い320年の歴史を閉じた、江戸情緒ただよう佃島渡船の記録で、『魚市場の一日』は、1960年代の築地市場の賑わいを今に伝えている。両作品ともに16mmポジからの復元。(復元作業:IMAGICAウェスト)
(原版寄贈:能代市)
(原版寄贈:東京水産振興会)
(原版寄贈:東京水産振興会)
ハリウッド映画史最初期の大スター・早川雪洲主演による“オリエンタル・メロドラマ”。多くの日本人俳優が中国人を演じており、中でも早川との死闘を繰り広げる山本冬鄕が強烈な印象を残す。上映素材は、ユーゴスロヴェンスカ・キノテカ(セルビア・ベオグラード)に保管されていた現地公開版の可燃性ポジから2K解像度でデジタル複元したもので、日本での上映は96年ぶりとなる。(復元作業:IMAGICA)
2/23(金)3:00pmの回は上映前に当館研究員による解説(約10分)があります。
ジャズと車と痴戯に明け暮れる「六本木族」の若者たちを待ちうける虚無と退廃を、過剰な演出で描破したもう一つのヌーヴェル・ヴァーグ。倒産後の新東宝作品を配給した大宝の第1回配給作品となったが、同社も1年後には解散。本作がデビューとなった山際永三監督による入念な調査により、原版の受贈とプリント作製が可能になった。
3/4(日)1:00pmの回は上映前に解説(約5分)を予定しています。
*参考上映
名優望月優子の監督第3作。全日本自由労働組合の委託で製作された。当時縮小政策が検討されていた失業対策事業に日雇で就労する、女性、炭鉱離職者、被差別部落出身者など多様な出自の人々の生活を、記録性と抒情性を融和した映像と語りで映し出す。水の質感と輝きが印象的な撮影は朝鮮籍のカメラマン安承玟による。受贈原版から作製したニュープリントを、監督第1作の『海を渡る友情』と併せて上映する。(原版寄贈:全日本建設交通一般労働組合)
池部良プロダクション第1回作品。本作が監督デビューとなる池部以下撮影隊は、65年末から約2ヶ月間、戦時下のヴェトナムに滞在し、米軍の協力を得て各軍事拠点での撮影を実現した。最新兵器を駆使した作戦行動への軍事ドキュメンタリー的関心の一方、米軍と現地住民の生活との乖離も随所で捉えられる。
常に事実と虚構のはざまに忍び込み、ドキュメンタリーという制度自体を揺るがした異端の映画作家、岩佐寿弥(1934-2013)。この度、代表作『叛軍No.4』に先立つ3つの短篇が監督の旧宅より発掘された。これらは、反戦自衛官としての活動で起訴された小西誠を支援すべく、その公判を集団製作によって記録した一種のアジビラ映画として始まった。だがやがて、政治性だけに収まることなく“行為としての映画”を追い求める岩佐の映画思想を反映するようになる。
*2/14(水)3:00pmと3/3(土)3:00pmの回は『叛軍No.1』『叛軍No.2』『叛軍No.3』上映後に当館研究員による解説(約10分)があります。
*参考上映
テレビ界出身で現在医療家として活動する上野圭一が、トカラ列島の火山島・諏訪之瀬島におけるコミューン活動やヒッピー、島民との交流を記録した長篇ドキュメンタリー。自然との共生をめざす生活革命は、リゾート開発への抗議を通して、国境を越えた運動へと発展する。全篇日英両言語による本作は、日本における対抗文化の貴重な証言でもある。
自堕落な青年ウタマロと「万引女」ギーコの明日なき道行きの旅。ゴダールを思わせる語り口とともに、空疎な遊びを通して新しい愛のかたちを求める若者の心情と特異な美意識が共感を呼び、1970年代自主上映の定番となった。東映東京撮影所を辞め、自主製作によって本作を完成させた藤沢勇夫監督より原版を受贈、今回ニュープリントを作製した。
1989年7月14日に京都朝日シネマで行われた、宮川一夫と淀川長治の対談を記録した『映画の天使』では、両名がヴィム・ヴェンダースから「東京の天使」と呼ばれた経緯から話は始まり、黒澤明や溝口健二作品の撮影秘話が語られる。また、大阪ヨーロッパ映画祭に招聘されたアンリ・アルカンの希望で実現した宮川一夫との邂逅(1997年11月24日)の記録『反射スル眼』では、互いを同志として認めあう様子などが捉えられている。
映画草創期から1950年代にかけて使用されていた可燃性フィルムは、自然発火の危険から徐々に不燃性ネガへと置き換えられ、現在ではほとんど残存していない。本企画では、わずかながら現存している劇映画の可燃性オリジナルネガの中から、1950年代の新東宝を代表する作品について、階調豊かな白と黒、シャープな画質といった特徴を併せ持つ、ニュープリントを作製した(復元作業:IMAGICAウェスト)。
五所が中心となって設立した独立プロ、スタジオ・エイト・プロダクションの第1回作品。継母との折り合いが悪く心を閉ざしがちな女子大生(沢村)が旅の途中で体調をくずし、その地にとどまることを余儀なくされる。しかし、そこでの人々との交流が、彼女を明るく変化させていくのである。オール・ロケーションで製作された。
スタジオ・エイトにも参加していた高見順の新聞連載小説を映画化。貿易会社の社長秘書・篤子(高峰)が、同居する親類の少年(岡本)を通じて二平太(池部)と知り合い、互いに惹かれる。ノンシャランとした二平太はじめ、社会の規範からわずかに外れた人物を魅力的に描いた、五所らしい作品。
水上瀧太郎の同名小説からの映画化。東京で重役を殴って大阪に左遷されて来た主人公(佐野)と、彼が住まいとする安旅館の女将(三好)に女中たち(水戸、川崎、左)、さらに旧知の芸者(乙羽)、病弱な父のもと内職をする娘(安西)など、善良ながらも幸せではない人々の生活が展開されていく。
天然ガス試掘事業を進めていた経営者が自殺し、その葬列で故人の母(飯田)から息子の死の責任を問い詰められた娘(南風)が、問題の工事のために一時滞在中の面々(佐野、佐竹、渡辺、中村、坂本)と知り合う。金や権力とは無縁で、それに不平も言わずに日々の生活に臨む庶民の様子を描いた作品。
大衆酒場の一夜を舞台に、そこで働く女給、音楽家、ダンサーから、酒場に集う労働者、学生、元軍人、画家など、戦後のそれぞれの人生をグランド・ホテル形式で描く。見事な酒場の大セットをなめるかのようなカメラワークで捉えた濃密な群像劇が、可燃性フィルムからの美しい映像で鮮烈さを増した。
2/1(木)3:00pmの回は磁気ループシステム座席をご利用頂けます。
川口松太郎の新派当たり狂言を映画化。柳橋芸者・お梅(木暮)は、恋人である歌舞伎役者・沢村仙枝(北上)の襲名披露公演の資金を工面したいと願っている。お梅は、自分に想いを寄せる箱屋の巳之吉(田崎)に、結婚を条件に資金の調達を頼んでしまい、そこからすべてが狂っていく…。
2/1(木)7:00pmの回は磁気ループシステム座席をご利用頂けます。
父の仇討ちに旅へ出た若者(片山)と同行する槍持ち(田崎)の、忠義と裏切りの顛末を描く。伊藤自身による『下郎』(1927)のリメイクで、本作では1950年代からの回想形式を採用。自然光をいかしたロングショットなど奥行きに満ちた画面構成が、甦った白黒の階調により、一層の無常感を放つ。
■作品によって開映時間が異なりますのでご注意ください。
■トークイベントのみの参加はできません。
トークイベントのお知らせ
本上映会では、以下のように、ゲストや研究者、当館研究員によるトークを開催します。
1 複数バージョン特集1――横田商会製作の『忠臣蔵』
2/3(土)12:30pm
上映前解説(約5分)ならびに片岡一郎氏(フィルム寄贈者)による挨拶があります。
2 複数バージョン特集2――裕仁皇太子の渡欧映画
2/3(土)4:00pmならびに2/27(火)7:00pm
上映前(約5分)と上映後(約15分)に解説
3 複数バージョン特集3――日露戦争と関東大震災の記録映画
2/4(日)1:00pmならびに2/28(水)7:00pm
上映前解説(約10分)
6 個人映画特集1:阿部正直コレクション
2/9(金)3:00pmならびに2/25(日)1:00pm
上映前解説(約10分)および阿部正実氏(フィルム寄贈者)による挨拶があります。
7 個人映画特集2:森紅・服部茂作品集
2/9(金)7:00pm
上映前に片岡一郎氏(フィルム寄贈者)による挨拶があります。
2/24(土)4:00pm
上映後に松谷容作氏(同志社女子大学学芸学部助教)による解説(約30分)があります。
8 松平恒忠コレクション
2/8(木)7:00pmならびに2/25(日)4:00pm
上映前に松平恒忠氏(フィルム寄贈者)による挨拶(約10分)があります。
9 カラー復元特集1:染色/調色のデジタル・シュミレーション
『コルシカの兄弟』[デジタル復元版]
2/22(木)3:00pm
上映後解説(約15分)
10 カラー復元特集2:再タイミング
『セーラー服と機関銃 完璧版』[再タイミング版]
2/10(土)12:00pm
上映後解説(約20分)
11 カラー復元特集3:小津のアグファカラー
『浮草』[デジタル復元・DCP版]
2/17(土)12:30pmの回
上映後解説(約15分)
13 復元された弁士説明版
2/24(土)12:30pmならびに3/2(金)3:00pm
上映前解説(約5分)
2/24(土)12:30pm
上映前に大藏滿彦氏(大蔵映画株式会社代表取締役・全国興行生活衛生同業組合連合会会長)による挨拶があります。
16 『男一匹の意地』
2/23(金)3:00pm
上映前解説(約10分)
17 『狂熱の果て』
2/2(金)7:00pm
上映前に山際永三監督と星輝美さん(主演女優)による挨拶があります。
2/20(火)3:00pm
上映前に山際永三監督による挨拶があります。
18 『海を渡る友情』『ここに生きる』
3/4(日)1:00pm
上映前に鷲谷花氏(映画研究者)による解説(約5分)があります。
20 『叛軍』シリーズ
2/14(水)3:00pmならびに3/3(土)3:00pm
『叛軍No.1』『叛軍No.2』『叛軍No.3』上映後に解説(約10分)
3/3(土)3:00pm
上映前に岩佐琢氏による挨拶があります。
21 『スワノセ・第四世界 Su-wa-no-se, the fourth world』
2/7(水)3:00pm
上映前に上野圭一監督による挨拶があります。
22 『バイバイ・ラブ』
2/8(木)3:00pmならびに2/21(水)7:00pm
上映前に藤沢勇夫監督による挨拶があります。
磁気ループシステム座席のお知らせ
以下の上映回には、難聴者の聞こえを支援する磁気ループシステム座席をご利用いただけます。ご利用には、磁気コイル付補聴器(“T”マーク付補聴器)をご持参下さい。
2月1日(木)3:00pm 『たそがれ酒場』
7:00pm 『明治一代女』
1月16日(火)10時より、チケットぴあにて全上映回の前売券(全席自由席・各100席分)を販売します。各上映の前日23時59分まで販売。
[Pコード:558-034]
前売料金:一般520円/高校・大学生・シニア310円/小・中学生100円
◆前売券を購入された方は、開場時間中(開映30分前から開映前まで)に、前売券専用入口からご入場下さい。前売券に記載された整理番号順にご入場いただけます。
・各回の開映後の入場はできません。
・学生、シニア(65歳以上)の方は証明できるものをご提示ください。
前売券の購入方法
チケットぴあ店舗、セブン-イレブン、サークルKサンクスで購入
⇒前売料金に加え、1枚につき発券手数料108円がかかります。
受付電話(0570-02-9999)で購入
⇒前売料金に加え、1枚につき発券手数料108円がかかります。
※毎週火・水2時30分~5時30分はシステムメンテナンスのため受付休止となります。
チケットぴあのサイト(http://w.pia.jp/t/laf/)*で購入
⇒前売料金に加え、1枚につき発券手数料108円、また決済方法によって1件につき決済手数料がかかる場合があります。
*購入サイトは、準備でき次第アップされますが、ご利用は1月16日(火)10時からです。
※チケットぴあの手数料等については、チケットぴあHPのヘルプ、利用料一覧の頁をご覧ください。
本前売券の購入に、システム利用料(通常216円/枚)はかかりません。
※前売券の払い戻し、交換、再発行はいたしません。
販売期間:1月16日(火)10時から各プログラムの上映の前日23時59分まで