東京国立近代美術館フィルムセンターは2018年4月1日に東京国立近代美術館より独立し、新しい組織「国立映画アーカイブ」となりました。
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展覧会「人形アニメーション作家 持永只仁」の開催に合わせ、初期は瀬尾光世のもとで日本のセル・アニメーションの発展に寄与し、第二次大戦後は日中両国における人形アニメーションの創始者となった持永只仁(1919-1999)の作品を上映します。フィルムセンターの所蔵コレクションより、戦前期に生まれたセル作品と、戦後に人形映画製作所が送り出した人形アニメーション作品をメインにその足跡をたどります。
(監)=監督・演出 (原)=原作 (脚)=脚本 (撮)=撮影 (美)=美術・美術監督 (形)=人形製作 (原)=原画 (動)=動画 (音)=音楽 (声)=声の出演
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■記載した上映分数は、当日のものと多少異なることがあります。
持永がアニメーターとして独り立ちした戦前期と、中国から帰国後の1955年に設立した人形映画製作所の初期作品を合わせたプログラム。背景描きが主な仕事だった『あひる陸戰隊』の後、『アリチャン』では四段マルチプレーン撮影台を開発、奥の段に月と流れる雲、3段目にコスモスの咲く遠景、2段目に中景を置き、そして手前の近景で動画を撮影することで立体的な表現を切り拓いた。その技術は『桃太郎の海鷲』の雲の中を飛ぶ飛行機のシーンでも活かされた。そして大戦後の中国でアニメーション作りを指導し、1953年に帰国した持永の最初の仕事は朝日麦酒などのテレビCMであったが、会社設立後は児童向けの人形アニメーションに特化、『瓜子姫とあまのじゃく』に始まる作品群を送り出した。また、朝日麦酒創業50周年記念のPR映画『ビールむかしむかし』でも持永は人形操作に携わっている。多くの人物が華やかに踊る、中世チェコのビアホールのシーンが圧巻である。 ※7月22日(土)12:00の回では上映前に研究員による10分程度の作品解説があります。 『ちびくろ・さんぼのとらたいじ』以降、人形映画製作所の7作品と、持永の遺作となった『少年と子だぬき』を合わせたプログラム。人形映画製作所は、川本喜八郎などのアニメーターや人形作家を育てたことで知られるが、人形の背景に吉田謙吉、水谷浩、久保一雄といった演劇・映画界の一線級の美術監督を起用したことでも特筆される。先に音楽を作曲し、秒数をカウントして動きを決めてゆく「プレ・スコアリング」が採用された『こぶとり』、ろくろを用いた木彫りで人形を愛らしく形作った『ぶんぶくちゃがま』、やや抽象的なデザインの動物造形が魅力的な『王さまになったきつね』など、作品ごとの創作の工夫が楽しめる。『少年と子だぬき』は、ほのぼのとした物語の中に、人物が自転車をこぐという技術的に高度なアニメートのテクニックも含まれている。 ※『王さまになったきつね』の後に約5分の休憩あり
1戦前期作品+人形映画製作所1(計132分)
あひる陸戰隊(13分・35mm・白黒)
アリチャン(11分・35mm・白黒)
桃太郎の海鷲(33分・35mm・白黒)
フクチャンの潛水艦(30分・35mm・白黒)
瓜子姫とあまのじゃく(17分・35mm・白黒)
五匹の子猿たち(16分・35mm・白黒)
ビールむかしむかし(12分・BD・カラー)
2人形映画製作所2(計132分)
ちびくろ・さんぼのとらたいじ(16分・35mm・白黒)
ちびくろ・さんぼとふたごのおとうと(16分・35mm・白黒)
ぶんぶくちゃがま(14分・35mm・白黒)
ペンギンぼうや ルルとキキ(16分・35mm・白黒)
王さまになったきつね(19分・35mm・白黒)
ふしぎな太鼓(18分・16mm・白黒)
こぶとり(20分・16mm・白黒)
少年と子だぬき(13分・16mm・カラー)