東京国立近代美術館フィルムセンターは2018年4月1日に東京国立近代美術館より独立し、新しい組織「国立映画アーカイブ」となりました。
こちらは、アーカイブされたフィルムセンターの過去のページです。最新情報は、「国立映画アーカイブ」のホームページをご覧ください。
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※現在、隣接の建物において地下解体・新築工事が行われています。これに伴い、当館内でも工事の大きな音や振動の影響を受けることがございます。当館として工事会社との調整を継続しており、工事スケジュールや工事内容の詳細が分かり次第、皆様にまたお知らせさせていただく予定です。上映中に工事の音や振動 が発生することをご理解くださいますようお願い申し上げます。
白瀬矗(しらせ・のぶ)陸軍中尉率いる南極探検の行動を記録した『日本南極探檢』(1912)は、日本における長篇記録映画の嚆矢とされ、文化・記録映画史上の重要作品です。しかし1912年当時の作品は現存していないものとみられます。当館ではこれまで、後に再編集されたものと思われる341mのプリントを所蔵していましたが、平成19年度に文化庁に協力して行った「近代歴史資料緊急調査」を経て、かつて探検隊の支援者であった村上俊蔵(1872-1924)のご遺族が、851m(5巻・ 現存最長)の可燃性染調色ポジフィルムを所有していることを確認しました。複数のストックが繋ぎこまれた同ポジに直接穿たれた検閲番号(B21944)と『内務省検閲時報』との照合により、このフィルムは1940年に検閲を通過したものであり、長さもその当時の原形(857m)を留めていることが判明しました。そこで当館では、平成27年度に当該フィルムを不燃化し、最新のデジタル技術を用いて修復するとともに、フィルムに残された色味に従って新たに染色と調色を施しました。新しく甦った『日本南極探檢』[デジタル復元版]を、どうぞお楽しみください。各回の上映前後には、当館研究員によるイントロダクションと講演が付きます。
上映前のイントロダクション(約5分):とちぎあきら(フィルムセンター主任研究員)
上映後の講演(約30分):大傍正規(フィルムセンター主任研究員)
*講演のみの参加(無料)もできます。
■(撮)=撮影 日本南極探検隊に派遣されたMパテー商会技師、田泉保直が撮影した日本最古の長篇記録映画。後援会長の大隈重信邸での壮行会や、探検船・開南丸による芝浦埠頭出航の模様は広目屋活動写真部の撮影とされ、田泉自身が実際に撮影を担当したのは、解氷を待ってシドニーに停泊していた第二次探検隊に合流以降のことである。探検隊員の顔ぶれや彼らがペンギンと戯れる姿、そして南極大陸上陸の模様から探検隊の帰港までが克明に記録されている。冒頭に3分の復元デモンストレーションを含む。 不燃化・染色・調色:(株)IMAGICAウェスト
日本南極探檢 [デジタル復元版](49分・35mm・16fps・無声・白黒/染色/調色)
THE JAPANESE EXPEDITION TO ANTARCTICA [Digitally Restored Version]
デジタル修復:(株)IMAGICA