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モダンデザインの父

「 ウ ィ リ ア ム ・ モ リ ス 展 」

◎会期: 平成9(1997)年5月27日(火)〜7月13日(日)〈42日間〉
月曜日休館
午前10時−午後5時 (入館は午後4時30分まで)
夜間開館:毎週金曜日 午後8時まで(入館は7時30分まで)
◎会場: 東京国立近代美術館
〒102 千代田区北の丸公園3-1
お問い合わせ先: tel. 03-3272-8600(NTTハローダイヤル)
東京国立近代美術館ホームページ: http://www.momat.go.jp/

※この展覧会は、京都国立近代美術館から巡回してきます。また、東京展終了後、 愛知県美術館へ巡回いたします。

[京 都 展]京都国立近代美術館 平成9年3月18日(火)〜5月11日(日)
[名古屋展]愛知県美術館 平成9年7月25日(金)〜8月31日(日)

◎主催: 東京国立近代美術館ヴィクトリア&アルバート美術館、NHK、 NHKプロモーション
◎後援: 外務省、文化庁、英国大使館、ブリティッシュ・カウンシル、 東京都教育委員会
◎出展協力: 大阪芸術大学
◎協賛: 第一勧業銀行、成安造形大学、成安造形短期大学、王子製紙株式会社、 日本写真印刷株式会社
◎協力: 日本航空、パイオニア株式会社、ヤマト運輸株式会社
◎入場料金:
一 般 1250円 (900円) [1100円]
高・大生 900円 (510円) [750円]
小・中生 400円 (230円) [300円]
*消費税込み *(  )内は20名以上の団体料金 *[  ]内は前売料金
◎講演会
6月7日(土) 午後2時〜4時
当館本館講堂 聴講無料
講師:藪 亨 (やぶ・とおる)氏 (大阪芸術大学芸術学部教授)
演題:「デザイナーとしてのウィリアム・モリス」

7月5日(土) 午後2時〜4時 当館本館講堂 聴講無料
講師: 川端 康雄 氏 (十文字学園女子大学助教授)
演題: 「ウィリアム・モリスの生き方」

*両日とも開場は、午後1時30分より  先着順、約200名まで

 ウィリアム・モリス(1834〜1896)は、19世紀末、イギリスの産 業革命後の機械化による大量生産と職人軽視の時代のなかで、装飾芸術の分野 で手仕事の重要性を強調しました。そして、その実践として壁紙、テキスタイ ル、ステンドグラス家具、書籍など様々なデザインを手がけ、その後のアーツ・ アンド・クラフツ運動をはじめ、20世紀の世界のデザイン界に幅広い影響を 与え、「モダンデザインの父」として位置付けられています。日本においては、 民芸運動の柳宗悦らもモリスの思想の影響を受けています。

 今年はモリスの没後100年にあたり、彼の作品の最大のコレクションを持 つロンドンのヴィクトリア&アルバート美術館では、大規模な「ウィリアム・ モリス展」が開催されました。

 本展は、このロンドン展の出展作品を厳選したものに、大英博物館、テート ギャラリーの協力を得て、作品を充実し、モリスデザインの集大成を紹介する ものです。ウィリアム・モリスが今注目されているのは、そのデザインと思想 が、100年の歳月を超えて我々に訴える力があるからです。モリスが創設し た古建築物保護協会の運動は現在も広がりを見せているなど、歴史的環境およ び自然環境の保全に対するモリスの姿勢は高く評価されています。

 美を額縁に入れて飾るのではなく、ひとつひとつの小さな文字から、壁紙、 テキスタイル、そして私たちの住まいに至るまで、日々の生活こそ美しく、そ のような日常が健やかで美しい地球環境になじむこと。自然と歴史に学ぶと同 時に、それらに責任を持つこと。ウィリアム・モリスのこのような精神、思想 そして実践が、今求められているのではないでしょうか。


ウィリアム・モリスの生涯

(William Morris 1834 - 1896)

 天性の詩人で多くの分野に熟達した工芸家、デザイナー、そして情熱的な社 会運動家であったウィリアム・モリスは、イギリスの裕福な中産階級家庭に生 まれた。

 聖職に就くことを考えていたが、オックスフォード大学在学中に友人のバー ン=ジョーンズとともに芸術に興味を抱くようになる。

 ラファエル前派の画家ロセッティを中心としたオックスフォード大学学生開 館の壁画の制作中に、ロセッティが見いだした、貧しい家庭に育った個性的な 魅力を秘めた女性、ジェイン・バーデンと結婚する。友人ウェッブに設計を依 頼した新居「レッド・ハウス」で生活を始めたモリスは、その住宅の家具や室 内装飾を仲間とともに施した。そして、その経験が、ウェッブ、バーン=ジョー ンズ、ロセッティらを含むデザイナーの共同体としての、モリス・マーシャル・ フォークナー商会を作り上げる契機となった。

 商会は、初め中世様式を復興したステンドグラス類の製作などを主な業務と していたが、1862年のロンドン万国博でステンドグラス、家具、刺繍など が高く評価され、モリスとその仲間たちは装飾芸術の世界で最大の才能を発揮 することとなる。

 1870年代に入り、モリスは私生活上の問題や商会経営の危機など、様々 な困難と戦いながら、新たな精神のよりどころを求めてアイスランドへ旅をす る。そこで、苛酷な大自然のなかで、貧しくても共に生きる人々の姿に接し、 表面的には豊かなイギリスの社会的不平等を実感し、社会主義的思想を抱くよ うになる。このような社会意識は歴史意識とも分かちがたく結び付き、社会主 義活動に先立ち、古建築物の保護運動にも邁進することとなる。

 モリスは、彼のユートピア的社会主義が当時の労働組合運動家などの社会主 義と相いれなくなるにつれて、書物のデザインに多くの時間を割くようになる。 当時のイギリスの商業印刷に対抗するかのように、モリスはケルムスコット・ プレスを設立し、理想の書物の制作に乗り出した。プライベート・プレスの先 駆けである。詩人であり思想家であり、デザイナーであったモリスらしい晩年 の活動であった。

 モリスが62歳で死去したとき、その死因は「モリスがモリスであったため」、 つまり、普通の人なら一生をかけてもできない偉業を身体に無理を強いながら 「実に十人分以上」成し遂げたためだと伝えられている。

 理想を求め、諸領域の垣根を越えて近代の曙光のなかを駆け抜けた一生であっ た。


「ウィリアム・モリス展」主要展示作品

作品名に◎がついたものは日本初展示品、○はその他の重要作品です。 また、製作は「製」で、デザインは「デ」で表記しています。

【ステンドグラス】
 ◎「ルネ王の蜜月」シリーズ4点
  (製:モリス・マーシャル・フォークナー商会
   デ:バーン=ジョーンズほか)

【絵付けタイル】
 ◎「美女と野獣」2枚1組およびその図案3点
  (製:モリス・マーシャル・フォークナー商会
   デ:バーン=ジョーンズ)

【壁紙】
 ○「ひなぎく」「果実」など 数点
   記念すべきモリスによる初期デザインなど

【家具・織機】
 ◎「聖ジョージのキャビネット」1点
  (製:モリス・マーシャル・フォークナー商会
   デ:モリスほか)

 ◎「教育用のミニチュア織機」2点
   タペストリー用とカーペット用
  (製:モリス・マーシャル・フォークナー商会)

              

【刺繍】
 ◎「アカンサス」 248×200cmの大型刺繍作品
 ◎「ロータス」刺繍壁掛

【タペストリー】
 ◎「果樹園(または四季)」221×472cmの大型タペストリー
   (製:マートン・アビー/デ:モリス)
 ◎「森」121×452cmの大型タペストリー
   (製:モリス商会/デ:モリス)

【手稿本・書籍】
 ◎「詩の本」モリス自身による手描き彩飾本
 ○ケルムスコット・プレス刊本 数点