展覧会
アンチ・アクション 彼女たち、それぞれの応答と挑戦
会期
-会場
東京国立近代美術館 1F企画展ギャラリー
展覧会概要
新しい時代を象徴していた女性の美術家は、なぜ歴史から姿を消してしまったのか。
1950年代から60年代の日本の女性美術家による創作を「アンチ・アクション」というキーワードから見直します。当時、日本では短期間ながら女性美術家が前衛美術の領域で大きな注目を集めました。これを後押ししたのは、海外から流入した抽象芸術運動「アンフォルメル」と、それに応じる批評言説でした。しかし、次いで「アクション・ペインティング」という様式概念が導入されると、女性美術家たちは如実に批評対象から外されてゆきます。豪快さや力強さといった男性性と親密な「アクション」の概念に男性批評家たちが反応し、伝統的なジェンダー秩序の揺り戻しが生じたのです。本展では『アンチ・アクション』(中嶋泉[本展学術協力者]著、2019年)のジェンダー研究の観点を足がかりに、草間彌生、田中敦子、福島秀子ら14名の作品およそ120点を紹介します。「アクション」の時代に別のかたちで応答した「彼女たち」の独自の挑戦の軌跡にご注目ください。

芦屋市立美術博物館蔵 © Estate of Tsuruko Yamazaki, courtesy of LADS Gallery, Osaka and Take Ninagawa, Tokyo
出品作家
赤穴桂子(1924-98)、芥川(間所)紗織(1924-66)、榎本和子(1930-2019)、江見絹子(1923-2015)、草間彌生(1929-)、白髪富士子(1928-2015)、多田美波(1924-2014)、田中敦子(1932-2005)、田中田鶴子(1913-2015)、田部光子(1933-2024)、福島秀子(1927-1997)、宮脇愛子(1929-2014)、毛利眞美(1926-2022)、山崎つる子(1925-2019)
見どころ
1 最新の研究に基づく歴史の見直し
女性美術家の再評価が進む近年、本展では『アンチ・アクション─日本戦後絵画と女性画家』(ブリュッケ、2019年、第42回サントリー学芸賞受賞/『増補改訂 アンチ・アクション—日本戦後絵画と女性の画家』筑摩書房、2025年)の著者・中嶋泉氏の全面的な協力により、ジェンダー研究の観点から日本の戦後美術史に新たな光を当てます。本展カタログには、同研究の第一人者であるイギリスの美術史家グリゼルダ・ポロック氏のインタヴューも収載します。
2 初公開作品
関係者のご協力と本展のための綿密な調査により、赤穴桂子、多田美波、宮脇愛子らの、これまで紹介されていなかった初期作品や、未発表作品を展示します。各作家たちの知られざる創作と、新たな魅力に出会える貴重な機会です。
3 充実した情報
「アンチ・アクション」のコンセプトを一望できる年表を掲示するとともに、本展に関わる様々なトピックを紹介するガイドを会場で配布。わかりやすく、多面的に、作家たちの活動や時代背景などを知ることができます。
4 ダイナミックな展示
ライトを用いた立体作品や天井高に迫る3.3mの絵画など、新たな時代に躍り出た作家たちのダイナミックな作品が一堂に会します。時代を共有する14名の作品が有機的につながる空間を体験できます。
作者のことば
(…) 猫も杓子も絵具をぶつけたり、たらしたり、盛り上げたりのアンフォルメル旋風が吹きまくって、あたかも、へこんだり、でっぱったりのどろどろの絵でなければ時代遅れのようにいわれていました。いくらそれがフランスの新しい傾向とはいえ、女の子のヘアスタイルではあるまいし、右にならえで、同じ絵を描けたものではありませんし、日本の画壇の浅薄さに、がっかりしていました。
(芥川(間所)紗織)「私のアメリカ留学記」『美術手帖』 1963年2月
アクション・ペインティングのメッカ、テンス・ストリートの全盛期に住んで、わたしは彼らの時代の波にのって、アクション・ペインティングをやったわけではないの。その只中に立って、その正反対の、アクション・ペインティングの否定をただちにやったわけ。
(草間彌生)谷川渥「増殖の幻魔—彼女はいかにして時代を駆け抜けたか」『美術手帖』 1993年6月
(…) 現代の「世界」に生きるものは、単に人間的であるものよりも、むしろ無機質化されたものとの、直接的な触れ合いによって、新鮮なより強い感動を受けるのではないでしょうか。
(福島秀子)「未知のものへの探求」『美術批評』 1957年1月

油彩・カンヴァス、100.0×65.0cm
個人蔵

130.0×162.0cm
東京国立近代美術館蔵

油彩・カンヴァス、116.5×91.0cm
板橋区立美術館蔵

油彩・カンヴァス、161.9×112.3cm
個人蔵

ミクストメディア、118.5×80.3×12.0cm
板橋区立美術館蔵
©YAYOI KUSAMA

油彩、和紙、ガラス・カンヴァス、181.5×245.0cm
高松市美術館蔵

アルミニウム、200.0×300.0×50.0cm
多田美波研究所蔵
撮影:中川周

ビニール塗料、アクリル・カンヴァス、331.5×245.5cm
国立国際美術館蔵
©Kanayama Akira and Tanaka Atsuko Association

油彩・カンヴァス、102.3×134.3cm
奈良県立美術館蔵

ピンポン玉・紙(襖)、170.0×174.6cm
福岡市美術館蔵

油彩・カンヴァス、130.5×92.0cm
栃木県立美術館蔵

真鍮、47.5×49.5×12.0cm
撮影:中川周

油彩・カンヴァス、130.0×89.0cm
東京国立近代美術館蔵
カタログ
アンチ・アクション展 図録
刊行日:2025年10月29日
価格:3,630円(税込)
仕様:並製
判型:B5
頁数:290頁
言語:日英併記
発行:株式会社青幻舎
目次
中嶋泉(大阪大学大学院人文学研究科准教授)
「「アンチ・アクション」──女性の美術家と日本の戦後抽象画 」
グリゼルダ・ポロックインタヴュー──作品は「何をしているのか」 (聞き手:中嶋泉)
「アンチ・アクション」年表
「アンチ・アクション」相関図
図版
成相肇(東京国立近代美術館主任研究員)
「どうしてドン・キホーテは帰ってきたか──アンチ・アクションの射程」
千葉真智子 (豊田市美術館学芸員)
「見えないものの潜在力」
鈴木慈子(兵庫県立美術館王子分館 横尾忠則現代美術館学芸員)「のこぎりを引く女性──具体とアンチ・アクション」
江上ゆか(兵庫県立美術館学芸員)
「絵は変わらない──大橋コレクションをめぐって」
能勢陽子(東京オペラシティアートギャラリーシニア・キュレーター)
「美術史を描きなおす複数の線──「アンチ・アクション」展によせて」
作品リスト
参考文献

開催概要
- 会期
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2025年12月16日(火)~2026年2月8日(日)
- 会場
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東京国立近代美術館 1F企画展ギャラリー
- 休館日
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月曜日(ただし1月12日は開館)、年末年始(12月28日~1月1日)、1月13日
- 開館時間
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10:00-17:00(金・土曜は10:00-20:00)
- 入館は閉館の30分前まで
- 観覧料
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一般2,000円(1,800円)大学生1,200円(1,000円)
東京国立近代美術館(当日券)、公式チケットサイト(e-tix)にて販売。
*いずれも消費税込。
*()内は20名以上の団体料金。
*高校生以下および18歳未満、障害者手帳をご提示の方とその付添者(1名)は無料。
それぞれ入館の際、学生証等の年齢のわかるもの、障害者手帳等をご提示ください。
*本展の観覧料で入館当日に限り、同時開催の所蔵作品展「MOMATコレクション」(4-2F)もご覧いただけます。 - チケット
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観覧券は美術館窓口(当日券のみ)と公式チケットサイト(e-tix)で販売いたします。
- 相互割引
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「ソル・ルウィット オープン・ストラクチャー」展(東京都現代美術館)との相互割引を実施します。チケット売り場でご購入の際、チケット/半券のご提示で、1枚につき「アンチ・アクション 彼女たち、それぞれの応答と挑戦」展当日券1枚を100円割引いたします。
・いずれも 1 枚につき 1 名 1 回限り有効。
・他の割引との併用はできません。
・オンラインチケット購入時に割引はできません。各館での当日券購入時のみ有効です。
・使用前の観覧券、使用後の半券、オンラインチケット QR コード、購入履歴のメール、いずれもご利用可能です。
- 主催
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東京国立近代美術館、朝日新聞社
- 巡回情報
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豊田市美術館:2025年10月4日~11月30日
兵庫県立美術館:2026年3月25日~5月6日
- お問合せ
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050-5541-8600(ハローダイヤル)
