展覧会

会期終了 企画展

イケムラレイコ:うつりゆくもの

会期

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会場

東京国立近代美術館本館企画展ギャラリー

概要

なぜ今イケムラレイコ展か?

本展は、絵画、彫刻、ドローイング約145点を、1300平方メートルの空間の中に展示する、日本では初めてとなるイケムラレイコの本格的な回顧展です。半分以上の作品がドイツのアトリエからの出品(つまり日本初公開)で、新作も展示されます。

ちょっと不思議な存在。それがイケムラの作品のキーワードです。キャンバス地から浮かびあがってくる女、キャベツの頭を持つ人、うつろをはらんだ横たわる少女、岩の中にふと見える怪物のような顔などなど。イケムラが幽霊とも思えるような存在をつくるのは、「うつりゆくもの」への関心を持っているからだと言えます。存在と無。動物と人間との間の進化論的関係。手つかずの自然と人間による文明。ともすればAからBへの一方向の移行として捉えられがちなうつりゆきを、彼女は、相補的で、往復可能で、蛇行的で、終わりのないものとみなし、それを自らの作品において表現しているのです。

彼女はまた、自らの作品がエコロジカルであってほしいと願っています。絵画は人間の身体に合わせた大きさ。彫刻の素材には土へと返りやすい粘土を選び、ドローイングでは木炭やパステルに紙といったシンプルな材料を使っているのです。そこには、この時代にアーティストとしてモノをつくることの意味について実践的に考えてきたイケムラならではの思想を見てとることができるでしょう。

そうしたイケムラの作品には、詩情の中に哲学が、静けさの中に情動的な強さが感じられます。またフラットに見えて奥行きがあります。相反する質を優しく包みこむ彼女の作品は、これからの「うつりゆき」を考えなければならない今こそ、深く感じとれるのではないでしょうか。

ここが見どころ

First Retrospective in Japan!
日本の美術館での個展の開催は、2006年のヴァンジ彫刻庭園美術館以来。本格的な回顧展としては、本展がはじめてとなります!

Bridge between East and West
イケムラレイコの作品は、絵画、彫刻、ドローイングと多岐に渡ります。絵画では、西洋文化を象徴する油彩を用いながら、キャンバス地をいかした非常に薄塗りの作品を制作しており、そこには西洋的感覚と東洋的感覚とに橋を架けようとする作家の意志を感じることができるでしょう。彫刻(彫塑)でも、テラコッタ(粘土を素焼きしてできる)を用いながら「うつわ」的に「うつろ」をはらむように制作する点に、同様の意志を感じ取ることができるでしょう。

Architecture
展示デザインに建築家を起用
展示デザインは、ここ数年のイケムラの展覧会に関わってきた建築家フィリップ・フォン・マットが全面的に協力しています。

展示構成の模型
Photography and Design
ドイツで撮りおろしたアトリエの写真がメインビジュアルに
ポスター、チラシなどのメインヴィジュアルは、写真家の川内倫子(木村伊兵衛賞受賞作家)が本展のためにドイツで撮影しました。カタログには、川内の撮影したイケムラレイコのミニ写真集も収録されます。そのカタログのデザインは、中島英樹。ポスター、チラシ、チケットも中島が手がけま

Music
会場では、いくつかの部屋で、時々音楽が流れます。
これは今回の展覧会のために、若手新鋭の音楽家・蓮沼執太氏が、イケムラ氏とやりとりをしながら書き下ろしてくれたものです。展示とともにお楽しみください。

展覧会構成

展覧会の章構成(予定)
1:イントロダクション
2:新作:風景
3:インターヴァル(写真)
4:横たわる人物像:彫刻と絵画
5:写真
6:うみのけしき
7:木々
8:進化
9:インターヴァル(本の仕事)
10:ブラック・ペインティング
11:出現する像
12:アルペンインディアナ
13:80年代の作品
14:インターヴァル(これまでの展覧会)
15:新作(顔)

作家紹介

イケムラレイコとは誰か?

イケムラレイコは、三重県津市に生まれました。1970-72年大阪外国語大学でスペイン語を学んだ後、72年スペインに渡り、セビーリャ美術大学(元The Royal Academy of Fine Arts of Saint Isabel of Hungary of Sevilla)で学びます。1979年スイス、チューリヒに。1983年ドイツ、ニュルンベルクに移り、その後、ケルンへ。現在はベルリンとケルンの二箇所を拠点に活動しています。また、国立であるベルリン芸術大学(UdK)の教授も務めています。

美術館での主な個展に、1983年ボン・クンストフェライン(ドイツ)、87-88年バーゼル現代美術館、99年ハガティ美術館(ミルウォーキー、アメリカ)、2000年豊田市美術館、01年ローザンヌ州立美術館(スイス)、02年リヒテンシュタイン美術館、04年レックリングハウゼン・クンストハレ(ドイツ)、05年聖コロンバ教会ケルン大司教区美術館(ドイツ)、06年ヴァンジ彫刻庭園美術館(三島)、08年アラーハイリゲン美術館(スイス)、10年アルンスベルク美術館(ドイツ)などがあります。

このように、イケムラレイコは、ドイツとスイスと日本を中心に着実な活動を続けてきました。その活動の評価は最近増す一方で、2008年にはアウグスト・マッケ賞を受賞し、2013年にはカールスルーエ(ドイツ)の公立美術館での個展が予定されています。

イベント情報

シンポジウム
「芸術におけるエコロジー」
登壇者:
イケムラレイコ
加須屋明子(京都市立芸術大学准教授)
保坂健二朗(当館研究員・本展企画者)

日程: 2011年8月27日(土)
時間: 13:00-15:00
場所: 当館地下1階講堂
申込不要・聴講無料(先着140名)

ギャラリー・トーク
保坂健二朗(当館研究員・本展企画者)

日程: 2011年9月17日(土)
2011年10月15日(土)
2011年10月22日(土)
時間: 13:00-14:00
場所: 1階 企画展ギャラリー

※いずれも参加無料(要観覧券)/申込不要

カタログ目録情報

開催概要

会場

東京国立近代美術館 企画展ギャラリー

会期

2011年8月23日(火)~10月23日(日)

開館時間

10:00-17:00 (金曜日は10:00-20:00)
※入館は閉館30分前まで

開館日、開館時間の変更の可能性がございます。ご来館前に、美術館ホームページ、ハローダイヤル03-5777-8600にて最新情報をご確認ください。

休館日

月曜日[9月19日、10月10日は開館]、9月20日(火)、10月11日(火)

観覧料

一般 850円(600円) 大学生450円(250円)
※( )内は20名以上の団体料金。いずれも消費税込。

※高校生以下および18歳未満、障害者手帳をご提示の方とその付添者(1名)は無料。
※それぞれ入館の際、学生証等の年齢のわかるもの、障害者手帳等をご提示ください。

※入館当日に限り、「レオ・ルビンファイン 傷ついた街」(ギャラリー4)、所蔵作品展「近代日本の美術」もご観覧いただけます。

主催

東京国立近代美術館
三重県立美術館

協力

ルフトハンザ カーゴ AG

巡回

2011年11月8日(火)- 2012年1月22日(日) 三重県立美術館

特設HP

展覧会特設ウェブサイトイケムラレイコ Side B 」では、他にはないコンテンツの数々を随時更新しています。
リンクはこちらから⇒イケムラレイコ Side B

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