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【終了】「中高生プログラム 自分をちょっとはみ出ると… 」参加者募集(応募締切:9月30日)
【10月3日更新】本プログラムへの応募受付は終了しました。たくさんのご応募をありがとうございました。お申込みいただいた皆様には抽選結果のメールを送信しました。メールのご確認をお願いします。 中学生・高校生を対象とするプログラムを実施します! 当館所蔵作品や、様々なジャンルのアーティスト・専門家とのわくわくするような出会い、ワークショップ、参加者同士のコミュニケーションなどを通じて、美術への理解を深め、美術のいろいろな魅力に触れます。春には、プログラム前半の経験をもとに、小学生に美術の楽しさを伝える「ビジュツ発見隊」を自分たちで企画し、案内役を担います。 東京国立近代美術館は、本プログラムを通じて、これからの未来を担う中高生の皆さんに美術や美術館の魅力を知っていただき、美術をきっかけに自己や他者に目を向ける機会を提供します。 2025年10月~2026年4月にわたる全8回のプログラムです。 美術が好きな人、あまりよくわからない人、どんな人でも大歓迎! 未知の世界をそっと覗いて、自分をちょっとはみ出してみませんか? プログラム概要 中高生プログラム 自分をちょっとはみ出ると… 2025年 10/18(土) オリエンテーション 11/29(土) 美術館に関わる専門家やアーティストと出会う1 12/20(土) 美術館に関わる専門家やアーティストと出会う2 2026年 1/17(土) 美術館に関わる専門家やアーティストと出会う3 2/28(土) 美術館に関わる専門家やアーティストと出会う4 「ビジュツ発見隊」準備1 3/14(土) 「ビジュツ発見隊」準備2 3/28(土) 「ビジュツ発見隊」本番 4/18(土) まとめ ※各回10:00~14:00を予定。昼食を持参してください。 ※時間と内容は変更になる場合があります。 中学・高校生20人 ※対象は13歳から18歳(学年では応募時に中学1年生から高校3年生)までです。 対象以外の年齢・学年の方は参加いただけません。 無料 以下の申し込みフォームより、必要事項を入力 ※フォームは9/19よりアクセスいただけます。 ※応募者多数の場合は、抽選で参加者を決定いたします。 結果は10月初旬に応募者全員へEメールにてお知らせいたします。 ※必要事項に記入漏れがある場合、受付をお断りすることがあります。 ※申し込み時にご記入いただいた個人情報を、本プログラム実施以外の目的で使用することは一切ありません。 9月19日(金)~9月30日(火) 東京国立近代美術館 所蔵品ギャラリーほか 東京国立近代美術館 教育普及室 e-mail: learning@momat.go.jp 応募条件および諸注意 ・毎回の積み重ねが必要となる連続プログラムですので、原則すべての回に参加可能な方(特に「ビジュツ発見隊」本番の3月28日は参加必須)。・メールおよび連絡アプリなど、インターネットを用いた連絡が可能な方(保護者の方のデバイスでも問題ありません)。・プログラムは日本語で行います。・プログラム中の様子を記録撮影(写真及び動画)いたします。記録物は今後、東京国立近代美術館の報告者や広報媒体に掲載することがありますので、あらかじめご了承ください。・保護者は同伴できません。 「中高生プログラム 自分をちょっとはみ出ると…」は、こどもたちが芸術に触れる機会の拡大を目指す国立美術館全体の取り組みである「Connecting Children with Museums」のひとつで、2024年からAdobe Foundationのご支援のもと実施されています。 「Connecting Children with Museums」のその他の取り組みについては、こちらからご覧いただけます。 Supported by:
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企業・法人向け対話鑑賞プログラム申込開始のお知らせ(2025.10.22 18時締切)
企業・法人向け対話鑑賞プログラムにつきまして、2025年12〜2026年2月実施分の申込受付を開始いたしました。 詳細は企業・法人向け対話鑑賞プログラムページをご覧ください。
京の家・奈良の家
右に京都の町屋、左に奈良でよく見られた大和棟の家屋を描きます。《京の家》を見ると、黄色の家は斜めから見ているはずなのに、下の方では奥へ向かって縮まってゆく遠近の法則から離れて横方向の線がことごとく水平にひかれています。正確な建物の描写や奥行き表現よりも、平面上の造形要素を整理することが優先されているのです。《奈良の家》も同じ。いろいろと整理した結果、空間のゆがみがとりわけ中庭に顕わとなっているようです。当時の新しい美術思潮であった「構成」に反応して描いたのかもしれません。
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MOM@T Home こどもセルフガイド
小・中学生向けのセルフガイド(ワークシート)をデジタル化した教材です。タブレット端末で快適に利用でき、自宅や学校など、どこからでも、東京国立近代美術館の作品や鑑賞のヒントを閲覧できます。 ※利用規約を必ずご確認のうえご利用ください。「MOM@T Home こどもセルフガイド」でセルフガイドを閲覧いたしますと、規約に同意いただいたことになります。規約に同意しない場合はご利用をお控えください。 利用規約 「MOM@T Home こどもセルフガイド」(以下、本サイト)は東京国立近代美術館(以下「当館」といいます)が運営しております。このサイトを利用される際には、以下の各事項をご了承くださいますようお願い申し上げます。また、当館は、このサイトのご利用条件を変更することがあります。 その際にはこの文書の改訂版を掲載することと致しますので、最新の内容をご確認いただきますよう、お願い申し上げます。 ▼同意事項本サイトは、下記項目に同意する方のみご利用いただけます。本サイトは作品の著作権保護の観点から、著作権法を遵守した利用を前提としています。本サイトの画像、文章等について、無断転載及び複製等の行為はご遠慮ください。 ▼著作権について当サイト上の一切のコンテンツ、著作物(画像、文書など)に係る著作権その他の権利は当館及び情報提供者に帰属します。 これらコンテンツ、著作物は、日本の著作権法、条約及び他国の著作権法により保護されており、私的利用の範囲を超えて利用することはできません。また、権利者の許可なく改変、複製、賃貸、貸与、販売、出版、送信、放送等、方法の如何を問わず第三者の利用に供することを固く禁じます。但し、個々の著作物に個別の利用条件が付されている場合は、当該条件が優先されます。 たとえば、利用者個人で利用するために、スクリーンショットを撮影することは構いませんが、これをSNSなどを通じ他者へシェアしたり、他のウェブサイトや印刷媒体に転載したりすることはできません。 ▼免責事項1.当館は、本サイトに情報を掲載するにあたり、十分に検討・確認作業を行っておりますが、その内容に関し、その正確性、 有用性、確実性、安全性、特定目的に対する合目的性その他いかなる保証もするものではありません。コンテンツ等のご利用により、 万一何らかの損害が発生したとしても、当館は一切責任を負いません。 2.当館は、本サイトの利用条件、URLおよびコンテンツ等を予告なしに変更したり、あるいはサイトの運営を予告なしに中断または中止したりすることがあります。なお、当館は理由の如何に関らず、これら変更及び本サイトの運用の中断または中止によって生じるいかなる損害についても責任を負うものではありません。
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「Family Day こどもまっと」開催日のアートライブラリと
レストランの休室・貸切営業について
「Family Day こどもまっと」開催日の下記の日は、アートライブラリとレストランを休室・貸切営業いたします。 アートライブラリ 11月15日(土)「Family Day こどもまっと」に伴い臨時休室 11月22日(土)休室 レストラン「ラー・エ・ミクニ」 11月16日(日)貸切営業 11月22日(土)同上 ご利用を予定されていた皆様にはご不便をおかけし申し訳ございません。何卒よろしくお願いいたします。
「日⇆韓」で語りなおす
1965年、「日本国と大韓民国との間の基本関係に関する条約(日韓基本条約)」の批准書が両国間で交わされ、日韓の国交が正常化した。今年はその60周年にあたる。 当時の日韓は、時代の転換点ともいえる社会状況であった。日本は、安保闘争を皮切りにした学生運動が盛り上がりをみせつつも、高度経済成長の最盛期を迎えていた。いっぽう韓国では、軍事クーデターによって樹立した朴正煕(パク・チョンヒ)政権によって民主化の機運は完全に抑えられ、開発独裁というかたちで経済成長を遂げていた。日韓国交正常化は、それぞれのかたちで戦後や近代を引きずりながら、揺れ動く社会のなかで進められた。 「新収蔵&特別公開|コレクションにみる日韓」は、国交正常化60周年を契機とする小企画展だ。本展の展覧会レビューの執筆依頼をいただいた当初、日韓展にありがちな「平和や友好」といった陳腐な言葉が羅列された内容かもしれないと身構えたが、杞憂に終わった。展覧会場の入口に掲示された解説文では、1910年の日韓併合から現代までの歴史を、韓国側の視点で振り返り、さらに「在日コリアン」の存在にも明確に触れ、複雑な歴史に対する言葉を濁さない企画者の意思を感じた。東京国立近代美術館といえば、1968年に日本の国立美術館として初めて韓国美術を紹介した「韓国現代絵画展」を開催したことで知られる。以降、韓国美術を中心的に取り上げたグループ展としては、1996年の企画展1に次いで3回目となる。 図1 曹良奎《密閉せる倉庫》1957年、東京国立近代美術館蔵 本展の構成は、前半で戦前の朝鮮を旅しながら、植民地支配的な視線を内包する「ローカルカラー(郷土色)」を意識して描かれた、藤島武二やエリザベス・キースなどの油彩画や木版画に始まり、山田新一による朝鮮を舞台にした戦争画など、「朝鮮への一方的な近代的視線」が提示されていた。しかし、戦後日本に密航した曹良奎(チョ・ヤンギュ)の《密閉せる倉庫》(1957年)[図1]を境目とし、以降は1980年代まで、スタイルの類似点が指摘される日韓双方の同時代の作家の作品を混在させながら展示していた。全体としては、日韓併合から民主化までのおおよそ70年間の近現代美術の動きをダイジェスト的に鑑賞できる仕組みとなっていた。また本展は、韓国抽象表現の「単色画」動向を牽引した朴栖甫(パク・ソボ)と、初期のコンセプチュアル・アートを代表する成能慶(ソン・ヌンギョン)の新収蔵品のお披露目も兼ねていた[図2]。アジアの美術市場が高騰しているなか、韓国現代美術のなかでも特に重要な作品を新収蔵した東京国立近代美術館の収集力には感嘆せざるをえない。さらに、朴栖甫は先述した「韓国現代絵画展」で初来日し、日本で初発表を行ったことで知られ、その時に出会った李禹煥(イ・ウーファン)と長く親交を結び友情関係を築いていた2。このような人間ドラマも、展覧会場で隣同士に展示されている2人の作品から垣間見ることができるだろう[図3]。 図2 会場風景|ソン・ヌンギョン〈現場〉シリーズ、1985年、東京国立近代美術館蔵|撮影:柳場大 特筆すべき点は、曹良奎、李禹煥、郭徳俊(クァク・ドッチュン)、文承根(ムン・スングン)などの在日コリアン作家の存在感である。彼らは、日韓両国の狭間で翻弄されながら、自らのアイデンティティに立脚した独自性溢れる表現で作家人生を切り開いてきた。そのような作家の作品が展示されることにより、「日本と韓国」という並置ではなく、「日本⇆韓国」といった交差的な関係性が生まれるのである。在日コリアン作家は日韓美術史に新たな視点を提供する重要な存在であることを再認識させられた。 図3 会場風景|(右から)朴栖甫《描法 No.2-74》1974年、李禹煥《線より》1977年、いずれも東京国立近代美術館蔵|撮影:柳場大 日本ではなく韓国からの視点で歴史を振り返り、在日コリアン作家の作品を可能な限り多く展示する。一見地味でニッチな工夫かもしれないが、美術における対等性や植民地主義への問いに立ち戻ることが意識された本展は、小規模ながらも日本の国立美術館の展覧会として重要な意味を持つ。本展を企画した佐原しおり研究員は「これからも韓国近現代の美術作品に注目し、積極的に展示をしていきたい」と語ってくれた。支配/被支配の関係で植民地主義を経験した「隣国」としての日韓。両国とその狭間で生きた作家の作品は、過去をみつめ未来を想像する私たちに、これからも多くのことを教えてくれるだろう。 註 1 「90年代の韓国美術から:等身大の物語」、1996年9月25日–11月17日、東京国立近代美術館、12月5日–1997年1月26日、国立国際美術館 2 黒田雷児「パク・ソボ 韓国独自の抽象絵画——手作業と素材が融合した至福の空間」、アジア美術資料室、https://asianart-gateway.jp/majorartists/9108/(2025年8月25日)
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新収蔵&特別公開|コレクションにみる日韓
展覧会について 2025年、日本と韓国は国交正常化60周年を迎えます。1910年の日韓併合から日本の植民地支配を受けた後、朝鮮半島は45年に解放されました。しかし、冷戦下で南北の対立が激化し、すぐに朝鮮戦争が始まりました。その後も、韓国は軍事独裁政権による厳しい統制や民主化運動を経験しています。これは日本が朝鮮戦争による特需を受けて「戦後」の復興を進めた歴史と対照をなしています。日韓が隣国として歩んできた困難な歴史は、現在の社会にも大きな影響をもたらしています。両国の歴史のはざまで、戦後に日本国籍を奪われ、日本社会の中で差別に晒されてきた在日コリアンの存在も忘れることはできません。当館では今年、朴栖甫(パク・ソボ)とソン・ヌンギョンという韓国現代美術を代表する2作家の作品を収集しました。この部屋では、当館のコレクションを通して日韓の歴史を振り返るとともに、両国の理解を深めるきっかけとして、それぞれの美術表現を紹介します。 曹良奎《密閉せる倉庫》1957年 開催概要 東京国立近代美術館2Fギャラリー4 2025年7月15日(火)~10月26日(日) 月曜日(ただし7月21日、8月11日、9月15日、10月13日は開館)、7月22日、8月12日、9月16日、10月14日 10:00–17:00(金曜・土曜は10:00–20:00)入館は閉館30分前まで 一般 500円 (400円) 大学生 250円 (200円) ( )内は20名以上の団体料金。いずれも消費税込。 5時から割引(金・土曜) :一般 300円 大学生 150円 高校生以下および18歳未満、65歳以上、「MOMATパスポート」をお持ちの方、障害者手帳をお持ちの方とその付添者(1名)は無料。入館の際に、学生証、運転免許証等の年齢の分かるもの、障害者手帳等をご提示ください。 キャンパスメンバーズ加入校の学生・教職員は学生証または教職員証の提示でご観覧いただけます。 「友の会MOMATサポーターズ」、「賛助会MOMATメンバーズ」会員の方は、会員証のご提示でご観覧いただけます。 「MOMAT支援サークル」のパートナー企業の皆様は、社員証のご提示でご観覧いただけます。(同伴者1名迄。シルバー会員は本人のみ) 本展の観覧料で入館当日に限り、所蔵作品展「MOMATコレクション」もご覧いただけます。 東京国立近代美術館
電柱選択の自由
古賀春江は明らかに迷っている。目の前にある電柱を電線をそのまま画面に描き込むべきか意識的に消すべきか。 2021年に「電線絵画展」(練馬区立美術館)を企画・開催した際に、この2点の《風景》を知っていたら、迷わず出品リストに入れていただろう。こんなに臨場感たっぷりに電柱の存在について真摯に逡巡する様子は他に例を見ないからだ。 上:古賀春江《風景》、下:《風景(街並)》、いずれも制作年不詳、東京国立近代美術館蔵 普段は目に入りすらしないのに、一旦意識をしだすと景観を汚す邪魔者として私たちは電柱を忌み嫌う。スナップ写真には写り込まないよう苦心したり、観光地ではせっせと地中に埋めたりと。デジタルの時代になり、邪魔者は思い通りに消し去ることができる。ただ、画家たちにとっては当初1から“電柱選択の自由”は自らの手の中にあった。意識的に描き込むか、消し去るか。無意識にそうするか否か。岸田劉生は意識的に電柱を描き込む、いや、描きたい衝動を抑えられない作家なのであろう。 この《道路と土手と塀》の赤土の斜面に黒々と貼りつく2本の影が間違いなく電柱であることは、岸田が同じ場所を繰り返し作品に登場させているので明らかだ。電柱越しに白い石塀、門をとらえた《門と草と道》(京都国立近代美術館)や、電柱を中心に据えてもっと広い範囲を写した《代々木附近》(豊田市美術館)。いずれの作品にもこの黒い影の電柱が主人公のように描かれている。 大正2(1913)年、新婚の岸田は東京府豊多摩郡代々木山谷(現在の参宮橋あたり)に移り住む。路面電車がすぐそこまで走り、明治神宮の創建計画が始まる代々木は、東京が規模を拡大し、開発計画が進む新興住宅地であった。銀座で生まれた岸田はこれまで日本橋や隅田川、《川べり、塔の見える》(東京国立近代美術館)のような誰もが知る東京風景を描いてきた。街の様相は変われどそれは江戸由来の名所絵にほかならない。鉄道、道路、電信、電気の延伸に伴い東京が増殖し、風景画は土地との有機的な繋がりが断たれていく。道路・土手・塀、あるいは門・草・道と物質の羅列をタイトルにすることを創案し、“名もなき風景”が誕生するのである。東京風景でも執拗に描いた電柱は、岸田にとって都心へと実線で繋がるためのシンボルであった。 その後転居した鵠沼(神奈川県藤沢市)でも岸田は屹立する電柱を画面の中心に据えた自宅前の風景作品を幾つも描いている。そのうちの1点、《晩夏午后》(ポーラ美術館)には見慣れた電柱の姿がない。作品の裏書きには、完成間近に関東大震災に見舞われ、制作途中ながら前日の日付とサインを入れて完成作としたとある。構図の中心を担っていると考えがちな電柱は実は最後に描いていたのだ。電柱は岸田にとっての画竜点睛だったのである。 会場風景(3室「岸田劉生「切通之写生」は何を切り通したか?」)|中央壁面:岸田劉生《道路と土手と塀(切通之写生)》1915年、東京国立近代美術館蔵、重要文化財|撮影:柳場大 展示室で《道路と土手と塀》と隣り合う椿貞雄の《冬枯の道》(東京国立近代美術館)には同じ場所を同じ構図、表現で描いた岸田の《冬枯れの道路》(新潟県立近代美術館・万代島美術館)があり、いかに椿が岸田に追随していたかがよくわかる。前述の岸田の《代々木附近》と同工の作品が椿にもあるが(《赤土の山》米沢市上杉博物館)、そこには岸田が堂々と中心に据えた例の電柱の姿はない。また、椿の中学校の同級生で同じく岸田に心酔し、草土社の同人となる横堀角次郎は《道路と土手と塀》と全く同じ作品《切通し》(個人蔵)を遺しているが、そこにも電柱の影は見当たらない。二人の信奉者が揃って意識的に電柱を省いたとは考えられない。彼らの出自によるものか、岸田にこびりつく電柱の意図までも二人は解せず、無意識に排除したと考えるべきであろう。 今回、期せずして2室(大正の個性派たち)に坂本繁二郎の《三月頃の牧場》(東京国立近代美術館)が出陳されている。フランス留学以前に評価の高かった牛をテーマにした作品で、雑司ヶ谷(東京都豊島区)の牧場を描いたという。3頭の牛ばかりに私たちは目を奪われがちだが、背景には高らかに電柱が林立し、電線までもしっかりと描かれている。空の広がりや奥行き感を描出するのに効果抜群で、作家はそうした画面構成を意識しているのだろう。というのも、坂本は習学期にも遠近感を描出する目的で電柱を活用している2。《道路と土手と塀》と同年の作品なのだが、岸田の電柱への想いとは異なっている。 ところで、同じ代々木山谷に明治41(1908)年、病気療養のため移り住んだのは菱田春草である。岸田の住まいとは直線距離で300mほどであった。翌年、快方に向かった春草が自宅近くの雑木林を描いたのが、《落葉》(永青文庫、重要文化財)である。小田内通敏『帝都と近郊』(大倉研究所、1918年)によると、明治35(1902)年から大正4(1915)年の13年間に代々木周辺では森林が35ha減り、代わって住宅地が51ha増えたという。代々木公園(54ha)がまるまる宅地造成されたことになる。片や乏しくなった東京の自然を求め、片や新興の東京の荒野を見つめる。現実には、《落葉》の向こうには電柱が立っていたはずである。二人の画家の間にある立場や視点の相違、様式美の探求とリアリズムの追求の違いはもちろんなのだが、いずれも急激な社会変化と東京の急速な変容が作品にかかわっていることは間違いない。 註 1 明治2(1869)年に電信用の電信柱が設置され、配電用の電柱は明治20(1887)年から。 2 『電線絵画』(求龍堂、2021年)20頁参照。
ガイドスタッフによる所蔵品ガイド
撮影:加藤健 ガイドスタッフによる所蔵品ガイド MOMATガイドスタッフ(ボランティア)が選んだ所蔵作品数点を、対話を交えて鑑賞します。ガイドスタッフ・作品は毎回変わります。その日出会った作品や参加者との対話をお楽しみください。 開館日の平日11時~(50分程度)※ 土日祝日の実施はありませんので、ご注意ください。 どなたでも なし 4階エレベーター前ホール(MOMATコレクション展示室内) 無料(要観覧券) ご参加にあたって: プログラムの特性上、ガイドスタッフやガイド作品の事前周知はしておりません。ご了承ください。 災害や会場の混雑状況等により、予告なく中止することがあります。 お問い合わせ 東京国立近代美術館 教育普及室メール: volunteer@momat.go.jp
