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宮脇愛子
東京国立近代美術館70周年記念展 重要文化財の秘密
はじめに 東京国立近代美術館は1952年12月に開館し、2022年度は開館70周年にあたります。これを記念して、明治以降の絵画・彫刻・工芸のうち、重要文化財に指定された作品のみによる豪華な展覧会を開催します。とはいえ、ただの名品展ではありません。今でこそ「傑作」の呼び声高い作品も、発表された当初は、それまでにない新しい表現を打ち立てた「問題作」でもありました。そうした作品が、どのような評価の変遷を経て、重要文化財に指定されるに至ったのかという美術史の秘密にも迫ります。 重要文化財は保護の観点から貸出や公開が限られるため、本展はそれらをまとめて見ることのできる得がたい機会となります。これら第一級の作品を通して、日本の近代美術の魅力を再発見していただくことができるでしょう。 重要文化財とは 重要文化財は、1950年に公布された文化財保護法に基づき、日本に所在する建造物、美術工芸品、考古資料などの有形文化財のうち、製作優秀で我が国の文化史上貴重なもの等について文部科学大臣が定めたものです。そのうち特に優れたものが「国宝」に指定されます。 見どころ 史上初、展示作品すべてが重要文化財 明治以降の絵画・彫刻・工芸の重要文化財のみで構成される展覧会は今回が初となります。明治以降の絵画・彫刻・工芸については、2022年11月現在で68件が重要文化財に指定されていますが、まだ国宝はありません。本展ではそのうち51点を展示します。 「問題作」が「傑作」になるまで 指定の歩みから浮かび上がる近代日本美術史 明治以降の作品が最初に重要文化財に指定されたのは1955年。以降、いつ、何が指定されたかをたどっていくと、評価のポイントが少しずつ変わってきているように見えます。それはすなわち、近代日本美術史の研究の深まりの反映でもあるでしょう。 東京国立近代美術館所蔵の重要文化財全17件を公開 10年前の開館60周年記念展「美術にぶるっ!」展では当館の所蔵品・寄託作品計13点の重要文化財をまとめて展示しましたが、今回はその後に指定された作品や国立工芸館の鈴木長吉《十二の鷹》、そして2022年11月に新たに指定された鏑木清方《築地明石町》《新富町》《浜町河岸》三部作も加えた17件を、初めてまとめて公開します(会期中展示替えがあります。鏑木清方三部作の展示期間は3月17日~4月16日です)。 作品保護のため、会期中一部展示替えがあります。 一部を除き写真撮影可能です。 なお、会場内の混雑状況により予告なく撮影を禁止する場合がございます。 あらかじめご了承ください。 カタログ 「東京国立近代美術館70周年記念展 重要文化財の秘密」公式図録 価格:3,300円(税込)仕様:A4変形判(303×231mm)、ハードカバー総頁数:280頁言語:日本語・英語 目次 重要文化財の「指定」の「秘密」|大谷省吾 1 日本画2 洋画3 彫刻4 工芸 東京国立近代美術館における近代日本美術展をふりかえる|大谷省吾 参考図版 「唯一」と「複数」––近代の美術/工芸の重要文化財指定をめぐって|花井久穂 作品解説 出品作品リスト 参考図版リスト 展示風景 展示風景 撮影:木奥惠三 開催概要 東京国立近代美術館 1F企画展ギャラリー 2023年3月17日(金)~ 5月14日(日) 月曜日(ただし3月27日、5月1日、8日は開館) 9:30-17:00(金曜・土曜は9:30-20:00) 入館は閉館30分前まで本展会期中に限り9:30開館(ただし「MOMATコレクション」は10:00開場) 下記日程は開場時間を20:00まで延長いたします。(最終入場19:30) 5月2日(火)~7日(日)、5月9日(火)~14日(日) ※5月8日(月)の開場時間は17:00までとなります。(最終入場16:30) 一般 1,800円(1,600円)大学生 1,200円(1,000円)高校生 700円(500円) ( )内は20名以上の団体料金。いずれも消費税込。中学生以下、障害者手帳をお持ちの方とその付添者(1名)は無料。それぞれ入館の際、学生証等の年齢のわかるもの、障害者手帳等をご提示ください。キャンパスメンバーズ加入校の学生・教職員は、学生証・職員証の提示により団体料金でご鑑賞いただけます。本展の観覧料で入館当日に限り、所蔵作品展「MOMATコレクション」(4-2F)、コレクションによる小企画「修復の秘密」(2F ギャラリー4)もご覧いただけます。 東京国立近代美術館、毎日新聞社、日本経済新聞社 損害保険ジャパン、大伸社
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システム更新に伴う「東京国立近代美術館リポジトリ」の停止(期間:6月27日(火)~29日(木))
「東京国立近代美術館リポジトリ」の基盤システムであるJAIRO Cloudの新システムへの移行作業に伴い、下記の日時でサービスが停止となります。移行後は動作・デザイン等が変更になります。 停止期間:2023年6月27日(火)~29日(木) 利用者の皆様にはご不便をおかけしますが、ご理解・ご協力をよろしくお願いいたします。
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平成30年度 インターンシップ生のことば
A 学芸・コレクション Sさん コレクションインターンの業務は基本的に図面作成、資料調査、資料作成などのデスクワークと見学です。私の場合は勤務初期には図面作成、作品カード記録作成、韓国語翻訳確認などデスクワークを主に行いましたが、後半には作品修復見学、作品貸し出し見学、作品撮影見学など学芸業務だけではなく美術業界の他の関係者の業務を見学しました。特に見学では普段会えない日本画の修復家、油彩画の修復家、他館の学芸員、美術作品運送業者、ギャラリー関係者、コレクター、美術作品専門写真家など美術作品に関わる多様な業界の方とお会いする貴重な機会を頂きました。 しかし、見学がない限り、コレクション側の業務は一日中一人で作業することが多く、直属学芸員以外の学芸員さんとお話する機会が少ないので、是非積極的に直属の学芸員さんだけではなく他の学芸員さんともお話することをお勧めします。修士論文の悩みの相談ももちろん、どのように学芸員になったのか、学芸員としての美術作品を見る観点など、他のところでは聞けない貴重なお話を頂ける唯一の機会がインターンだと思います。皆さん仕事で忙しいですが、とても優しく、いつでもお話聞いてくださるので迷わずお声をかけてみてください。 A 学芸・コレクション Yさん インターンが始まってすぐ、応募して良かったと思ったことがあります。それは、学部の時には全く想像できなかった、美術館の裏側を見られたことです。大学院に進学する時、私は「学芸員になりたい」という非常に漠然な気持ちしかなかったと思います。しかしインターンの中で、自分が「どういう仕事をしたいのか」「展覧会を企画する学芸員になるのか、教育普及担当か」など将来を具体的にイメージできるようになりました。これだけでも参加して本当に良かったと思っています。 なかでも東近美で勉強になったことは2つです。まず、素晴らしい作品に間近で関わったことです。私は貸出・返却の作品チェックに何度も立ち会わせて頂きました。また図面作成、作品出納記録、作品調査を通じて自ら勉強する機会も多くありました。日本の(海外作品も勿論ですが)近代美術の知見を一気に得られ、大きな財産となりました。2つ目に、学芸員さんとお話が出来たことです。展示の意図を伺ったあとで展示作業にご一緒し、展示室をお客さんが入った状態で再度見るという体験もしました。細かい気づきであっても学びは多く、展示の上手さを肌で感じました。周りで聞こえる学芸員同士の会話を通して、美術館の課題を現場の声として知られた点は非常に良かったです。 今回のインターンは自分の人生の中でとても貴重な経験でした。今回学んだことを胸に、自分なりの美術との関わり方を考えていきたいです。 B 学芸・企画展 Tさん 企画展インターン活動では、主に翻訳、参考文献収集などのデスクワークを中心とした作業と、展覧会の設営や展示、撤収などの作業を行いました。 展覧会が企画された時点から、実現に移していくまでの過程に興味があり応募したため、カタログ作成などの紙面上での作業から、作品説明の記述、そして実際に会場に作品を運び込み、作品の状態チェックや修復作業などを交えながら設営していく様子を間近で見られたこと、そしてその過程に参加できたことは大きな収穫となりました。特に、長期で準備に関わることのできた展覧会「アジアにめざめたら」については、3カ国共同で企画された巡回展だったこともあり、展示作品決めから設営まで、各国の学芸員の方々と意見を交わしながら作られていく過程がとても印象的でした。 また、準備に関わった展覧会に何度も足を運び、集客状況、展示やお客様の様子などを、細かく見ることができたことは、とても勉強になりました。そして何よりも、様々な専門性を駆使して業務に当たられている学芸員の方々とお話しする機会があったことは、大変貴重な経験となりました。担当した展覧会開催までの期間、日々交渉にあたったり、細部にまで気を配ってより良いものを仕上げていく姿勢や、そこから学んだノウハウは、しっかり今後も心に留めておきたいと思います。企画展のインターン活動は、新たな発見や学びに溢れていたのと共に、今後自分が関わっていきたいこと、伸ばしていきたい部分を明確にすることのできた、充実した一年間でした。 C 美術館教育 Mさん 私は、美術館が公共に開かれた施設であるために、教育普及プログラムがどのような役割を果たしているのかを学ぶという目的をもってインターン活動に取り組んできました。教育普及部門では、所蔵品ガイド、学校などの団体向けギャラリートーク、アートカードやセルフガイドの準備などの日常的な業務から、おやこでトークや夏休みこども美術館、美術館を活用した鑑賞教育の充実のための指導者研修などの行事的な業務まで、年間を通じて幅広く関わらせていただきました。 毎日行われる所蔵品ガイドでは、日毎に参加者も鑑賞する作品も変わることで、美術館の中で一期一会の出会いが生まれていることや、参加者が対話によって作品の新たな楽しみ方に気付く様子が印象的でした。そしてそれを可能にしているガイドスタッフの努力や、ガイドスタッフと美術館の関係を間近で見ることができたことは、書籍や論文からは得られない、現場の実態に触れられた貴重な経験でした。さらに、学校向けのギャラリートークでトーカーとして実践する機会をいただいたことで、見学だけでは気付かなかったトーク上の工夫や難しさ、面白さを実感することができました。 ギャラリートークでは対象者に合わせて作品へのアプローチを変化させることを学んだ一方で、教員を始めとした指導者研修では美術館のプログラムをいかに有意義に使うか、美術館のプログラムに対してどのような需要があるのかを学びました。 東近美でのインターン活動を通して、今後もますます多様な需要に合わせて美術館の教育プログラムが発展していくことを感じるとともに、美術館が社会の中で果たす役割が大きくなっていくことへの期待が高まりました。この経験を今後の研究の糧とし、美術と社会を結ぶことに貢献できるよう学び続けたいと思います。 C 美術館教育 Hさん インターンでは、年間を通じて所蔵品ガイドの見学や教育プログラム・教員研修の補助等を行い、後半からは子どもを対象としたギャラリートークを担当させていただきました。インターンを通して、私が自分なりの答えを見出したいと思っていたことは二つあります。 一つは、集団でトークをする際の、積極的な参加が難しい来館者に対する支援の在り方についてでした。自身でも実際にトークを担当し、参加者一人一人に向き合う気持ちで耳を傾け、発言したくなるような問いかけや共感的な雰囲気づくりに配慮しながら、トーク以外の時間にも積極的にコミュニケーションを図ること等が重要なのではないかと考えました。 もう一つは、トークにおいて作品情報をどの程度提供するのが適切なのかという点でした。作品にまつわる不変の事実はあるかもしれませんが、作品をどのように鑑賞し解釈するかは来館者に委ねられています。トークの組み立てや実践を通して、作品の知識は自由な発想を制限するものではなく、むしろ出し方を工夫すれば参加者の発想を広げ考えを深めることにつながるのだということを実感しました。作者の思いも大切にしながら、参加者が自分の眼と耳と頭を最大限に使って作品を楽しむことができるような鑑賞活動の在り方をこれからも考え続けていきたいです。 一年間、学ぶ機会をいただきありがとうございました。 D 工芸館 Sさん 工芸館でのインターンでは、資料の調査・記録の補助、展示解説の執筆及びその前段階の資料調査、図録の校正、展示撤収作業、教育普及活動の補助、教員研修プログラムの運営補助、広報業務の補助、資料整理等の活動を通じて学芸員の多岐にわたる仕事の一端を経験させていただいた。一般に博物館学において学芸員の業務は資料の収集・整理・保存、調査・研究、教育・普及の三つに大別されるが、上記の活動はこれら全ての分野に及ぶものであり、博物館・美術館における仕事の全体像を朧げながらも掴むことができたように思う。 そうした活動を行う中、展示撤収作業では作品の取り扱いについて一からご指導いただいた。展示解説の執筆にあたっては該当作品の調査から執筆の心構えまでを丁寧に教えていただいた。教育普及活動では来館者との対話を通じて工芸作品の魅力に迫る様子を間近で見学し、先進的な取り組みのノウハウを学ぶことができた。また同活動ではボランティアの方々が工芸に対する強いご関心を持たれながら献身的に努力されていたことが特に印象的だった。これらは学芸員課程で得た理解を深め、実際の現場へと視野を広げる上で大変有意義であった。お世話になった方々には衷心より御礼申し上げたい。 D 工芸館 Mさん 主に美術教育普及活動、保管資料の整理や展覧会準備補助などを経験しました。特に教育普及に関する活動が多く、工芸館独自の「タッチ&トーク」においては多くのことを学びました。「タッチ&トーク」の活動を通して研究員、ガイドスタッフ、インターン生そして参加者の間で互いに情報や思考が共有されており、美術館がまさに教育の場として機能していることを当事者として実感することができました。研究員からの一方通行の教育ではなく、それぞれの立場を超えて教育的なコミュニケーションが生まれていたことがとても印象的でした。 展覧会準備においては、作品調書整理や展示室内の温室度記録の整理などの展覧会開催のためのかなり地道な作業から、研究資料収集補助や文章校正、そして展示作業、レセプション補助に至るまで様々な業務を経験しました。中でも展示作業では、普段はガラス越しにしか見ることができない作品を、手に取り、少しでしたが鑑賞する機会もあり、とても貴重な経験でした。同時に作品の扱い方や、作品を扱う際の身のこなし方などの基本的なことも学ぶことができました。 一年間を通して、大学の授業では経験できない実践的な研修をさせていただきました。工芸館の中の美術館としての機能や業務に関してはたくさん学ぶことができたのですが、個人的には美術館とアートギャラリーやオークションハウス、作家、コレクターなどとの関係、つまり美術館が外でどのような役割を担っているのかを間近で経験してみたかったです。 一年間ありがとうございました。 D 工芸館 Fさん 短期的な実習ではわからない美術館の仕事を、一年間じっくりと学ぶことができたのは、とても貴重な時間でした。 夏休みの「こども+おとな工芸館」でのタッチ&トークや「キュレーターに挑戦」では、子供たちに作品を自由に感じてみてもらうことの重要性を感じました。鑑賞者同士が、知識だけではなく、どのように感じたか素直な意見を聞きあうことで、作品との距離が縮まり、細かいところまで見ることに繋がっていました。その裏では、ジロジロ眼鏡という作品をよくみてもらうための仕掛けの装置を作ったり、ワークシートを作ったりと、作品をみる前の準備や工夫が徹底されているからだと感じました。おとなもこどもも目を輝かせて話をされている様子をみて、美術館では話せる場、話が聞ける場が重要であると改めて感じました。 また、作家のご遺族から寄贈された資料の整理、記録作業に携われたこともとても勉強になりました。資料の整理はとても地道な作業でしたが、その中で様々な発見があり、学芸員の真髄をみられたように思いました。 調査研究と教育普及という学芸全般を学べる貴重な経験をさせていただいたことに、心から感謝いたします。
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平成29年度 インターンシップ生のことば
A 学芸・コレクション Sさん 学芸・コレクションのインターン活動では、様々な仕事を通して非常に近い距離で所蔵作品に接することができ、多くのことを学べたと感じています。他館への作品貸出では、貸出前の作品の状態を入念に確認し、新しい傷や染みがある場合には作品カードに記入する仕事を任せていただきました。この仕事を通して、作品も時間の経過によって変化する「もの」であることを再認識しました。展示替えの際には、軸を展示ケース内に掛けるなど、実際に作品に触れる機会を得ることができたことも非常に貴重な体験でした。また収蔵庫内の作品の保管状況を確認する作業では、作品の素材や技法によって保管の方法が異なり、また広さの限られた収蔵庫内で上手く場所を使って収蔵することが美術館にとって重要な問題であることを知り、作品をいかに保存し後世に残していくかということについて考えるきっかけとなりました。こうした活動を通じて、大学で美術史を学んでいる限りでは「観賞して楽しむもの」「研究対象として論じるもの」であった美術作品を、よりリアルなものとして感じることができ、美術作品を今までとは違った視点から見ることができるようになったと感じています。以上のようなインターンを通じて学んだことを存分に活かして、今後美術作品に関わる仕事に携わっていければと考えています。 A 学芸・コレクション Aさん インターン活動を通して、多くの「現場」に触れさせていただきました。大きく「情報としての作品に関わる現場」と「モノとしての作品に関わる現場」に分けられます。前者は、所蔵作品の展覧会歴をデータベース化する作業、ツイッターのネタを考える仕事、所蔵作品が報道機関に公開・使用された際の記事のクリッピング作業など。後者には、収蔵庫にある作品の場所の確認、展示替えに関する作業(展示図面作成、展示室での展示替の見学)、作品カードへ出陳記録を記入する作業、修復作業の見学、作品の借用・返却の立ち会い、作品の状態チェック補助などがありました。 前者からは、SNSをはじめとし広報のかたちが多様化する中、美術館と作品の情報をどのように発信しているのかを学びました。後者では、作品と美術館のバックヤードを間近でみることができる点でとても貴重な経験ができましたが、一方で限られた空間で作品を保存・展示していくことの難しさなども目の当たりにしました。また、インターン用の机に座っている際、学芸員どうしの会話、外部との電話でのやりとり、会議室での打ち合わせなど、「現場」ならではの生の声をきくことができたことも私にとって大切な体験です。 上に示した「現場」いずれも、美術館と作品の力を最大に引き出す為の工夫にあふれている事を実感した一年間でした。どのようなかたちであれ、この貴重な経験を今後の人生に活かして行きたいと思っています。 B 学芸・企画展 Kさん 美術館の学芸員になりたいという思いで大学院に進学した私は、その実務的な仕事内容や勤務状況の雰囲気を実際に知り、具体的な目標として目指す手がかりを得たいと考えて、インターンに応募しました。 企画展インターンでは、展覧会が出来上がるまでの業務の補助を通じて、それぞれの仕事内容を垣間見ることができました。例えば、出展作品画像の整理、作品調書の作成、広報やイベントの打ち合わせ会議への同席、書誌情報の整理、カタログの奥付の編集、設営撤収作業や作品点検、イベントやワークショップのお手伝いなどが挙げられます。 いずれの業務においても、個性豊かな担当学芸員の方々が、それぞれ展覧会づくりのどこの段階にあるのかを踏まえながら実際のやり方を優しく丁寧に教えてくださったので、毎回の勤務が新鮮で一年間があっという間でした。 これらの業務を通じて、普段来場者として展覧会を訪れただけでは見えにくい要素であると言える、美術館内外の連携についても間近で見る事ができました。そして、広報や教育普及と事務部門、共同主催者のメディアや法人団体、運送会社や設計業者や印刷会社のプロの皆様、作品の所蔵先や作家関係者の方々など、多くの方々の知恵と努力が集合して、一つの展覧会が成り立っていることを改めて実感しました。 さらに、展覧会の骨格である企画内容とコンセプトには、学芸員の方々の専門性やそれぞれのご興味関心、そして綿密な調査や議論の成果が反映されていることを知りました。時には調査旅行や出張のお話をうかがう機会もあり、その準備の様子も垣間見ることができたので、自身がこれから大学院で学んでいくうえで身が引き締まる思いでした。今回のインターンで学んだ経験を活かしながら、今後もさらに精進していきたいと思います。 C 美術館教育 Iさん 一年間のインターンを通じて、おやこでトークや子ども美術館などたくさんの活動に関わらせていただきました。トークラリーや学校受け入れでは、自らトーカーとして子どもたちと作品をよくみてトークする機会もありました。また子どもたちの深い鑑賞を促すセルフガイドも制作しました。これらの現場での活動と並行し、鑑賞教育の理論についても学びました。東近美では理論と実践を共に重要視しているからこそ、実施されているプログラムは、その場限りのものではなく、継続され、そしてさまざまに応用できるとわかりました。 東近美でインターンをしたからこそ、得られた経験が数多くありました。東近美は、とても柔軟で、変化を恐れることがない美術館であると感じました。また現状で満足するのではなく、館全体で現代において美術館はどう在るべきなのかと突き詰め、より良くするために更なる改善や挑戦が常に行われていることも知ることが出来ました。教育普及の現場においても、より多くの人に作品を「よくみる」機会を持ってもらうために新たな試みが、多くの方との連携によって実行されていました。 インターンは大変貴重な経験でした。今後の活動の中で、このインターンの経験を生かして行きたいと思います。 C 美術館教育 Kさん 大学の博物館教育学の授業で東近美の教育普及活動についての話をきき、漠然と美術教育に興味を持ち学びたいと思いインターンに応募しました。 現場で学べることは、想像をはるかに超えるものでした。日々行われるプログラムを見学させていただいた時は、来館者が作品をみた時にどのようなことを感じるのか、人の数だけこたえがある面白さや、居合わせた人同士の考えがつながることで鑑賞が深まることなど、多くのことを吸収できました。また、その鑑賞をふかめるきっかけとなるトーカーの問いかけや「対話」がこの鑑賞の要になっていることを体感しました。 そして、見学だけでなく実践の機会を度々いただくことができたことで、より学びが深まりました。特に小学生に2作品のギャラリートークをしたことが印象に残っています。それまでの見学や学芸員さんからの御助言をもとにプランをたてて挑みましたが、プラン通りには行かないこともあり回毎にトーク内容は異なるものとなりました。しかしそれは美術作品を前にしたときに生じた感想・対話という生ものゆえのことであり、大変興味深く、楽しみながら一緒に鑑賞を行うことが出来ました。 様々な対象に向けての美術教育関係のプログラムを、一年間通して体感させていただけた大変貴重な日々でした。教育普及室での活動を通して学んだことをこれからに活かしてまいります。 D 図書資料 Yさん アートライブラリは自館の展覧会資料を保存するだけでなく、様々な作家の資料を記録しています。この資料は展覧会を開く際、説明文などを書くための資料になったりします。館内電話で資料の問い合わせがあったりするのをみて、ライブラリは美術館の縁の下の力持ちなのだと感じました。また、自館の資料だけでなく閉鎖することになってしまった美術館から資料を寄贈されることもあります。私が関わった仕事はこの寄贈された資料のアーカイブ製作です。具体的には寄贈された資料を分類し検索しやすいようOPACに登録するというものでした。 初め、アーカイブを作るといわれた時は雑誌やカタログを一覧にするのだと思っていました。しかし、実際の資料の殆どは展覧会ハガキやパンフレット・写真・新聞の切り抜きでした。これらをOPACに登録できるようにするにはまずは典拠をとって正確な情報にする必要があります。不確かな情報では資料としての価値がなくなってしまうからです。しかし典拠をとるには、資料が古かったり情報が欠けていたりしていてとても難しく一つ一つに時間がかかってしまいました。けれど、その分達成感があり一日が終わるごとに充実感がありました。いつか自分が関わった作業が誰かの役に立つのかもしれないという実感があったからです。 幸運にも私は春から学校図書館での職を得ることが出来ました。そこでの仕事は完成された情報の中から求められたものを探し提供をするのだと思います。その際、情報を確かなものにし提供する側に立ったこの一年間の経験は何物にも代えがたいものになると感じています。このような機会を与えて下さり本当にありがとうございました。 F フィルムセンター・学芸全般 Kさん 留学先のストックホルム大学でスウェーデン映画協会のアーカイヴについて学んだ際、日本からの留学生として自国の現状について実地で知識を深めたいと考え、フィルムセンターでのインターンシップに応募しました。 最初の配属先の事業推進室では、実際の上映会にサポートとして立ち会うとともに、企画上映の準備として、HP・プログラムの校正・上映作品の紹介文執筆・海外作品の人名表記チェック・来年度の上映候補作品の下調べなどを行いました。次の映画室では、フィルムの運用管理やデータベースの内容修正などに加え、相模原分室にて可燃性フィルムの検査作業への立ち会いや保存庫の見学など、アーカイヴならではの非常に貴重な経験をさせていただきました。最後の情報資料室では、ノンフィルム素材のコレクションの見学、寄贈パンフレットの整理・登録作業などを通じて、日本における映画受容の歴史を垣間見ることができました。 活動期間中は、研究員の方々の該博な知識に触れ、今後の自分の研究意欲を刺激される日々でした。また、デジタル化の中で忘れてはならない映画というメディアの本来の物質性、それと不可分な技術の継承の重要さを改めて実感し、自分の中の「映画」の概念がより豊かになったように思います。各配属先で専門領域のスウェーデン映画に関連した業務を用意していただき、知識を広げられたことも大きな収穫でした。夏休みを利用した1ヶ月半の短い期間でしたが、非常に学びが多く充実したインターンシップでした。
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平成28年度 インターンシップ生のことば
A 学芸・コレクション Sさん 3000平方メートルにも及ぶ企画展並みのスペースで、どのようにして所蔵作品展(MOMATコレクション)が組み立てられてゆくのかを学びたく、インターンを志望しました。 この1年間、展示会場案の図面・実際の展示会場図面の記入、展示替え作業の見学、作品の出陳記録の記入などを通して、どのようにして展覧会が組み立てられてゆくのかを学びましたが、それだけではなく、美術館の「素顔」は所蔵作品展にあるという、これまでに気づくことのなかった「本質」を学ぶことができました。所蔵作品展は、他館から作品を借りて行われる企画展とは異なり、その館の所蔵作品のみで構成されますが、作品同士の間隔や前後の作品によって、作品が鑑賞者に与える印象は、まるで人間の表情のように無限大に広がることを知りました。 とりわけ、私がインターン活動の中で最も印象に残っているのは、所蔵作品の他館への貸出・返却作業の立ち合いでした。この作業を通して、所蔵作品は自館だけでなく、他館の展覧会を構成する重要な要素であることを学びました。さらに、その際に行う作品状態の点検を通して、作品を後世に残すことの重要さと、それが学芸員の使命であることを痛感しました。 幸運にも、春から学芸員の職に就くことができました。東京国立近代美術館のインターン活動で学んだことを活かし、美術館の「素顔」である所蔵作品展をどのようにして組み立てるかをこれから追究したいと思います。 A 学芸・コレクション Hさん 美術課写真室のインターンでは、作家調査・収蔵庫での作品整理・作品カード管理などの作業を主に担当しました。心に深く残っているのは、一年間を通じて、同じ展示を繰り返し丹念に見るという行為だったかもしれません。毎週の勤務の度に、コレクション展や企画展の展示室を訪れると、前の週には分からなかった違いが見えてくることは、とても新鮮な経験でした。展示替えの期間を経て、新しい展示のために生まれ変わった展示室を見ると、その空間の変貌に驚かされました。それは、繰り返しの鑑賞が与えてくれた発見だったように思います。インターンの期間も半ばを過ぎた頃からは、研究対象として魅かれ続けてきた写真家の収蔵作品についての調査を任されました。館の貴重なコレクションの一角を担う作品群の調査を通じて、より一層の責任感を覚えるとともに、美術館という現場における実践的な調査の手法についても多くのことを学びました。展示替えや収蔵品の撮影、作品の貸出・返却の合間に交わされる会話を通じて、それぞれの学芸員の方々の知識の深さ、微小な単位で指示を出される真剣な態度、運送会社や他館の学芸員の方々との協働性、個性を学びました。目の前で生の作品に触れることで、作品の持つ力に圧倒されるという経験を幾度もしたことは、美術の研究に関わる者として、必ず糧になってゆくと思います。本当にありがとうございました。 B 学芸・企画展 Iさん 企画課インターンでは、主に企画展の準備段階から展覧会後の撤収まで、また、企画展にまつわる広報の仕事を経験させていただきました。過去の展覧会の調査や参考文献の収集、他館への出品依頼の資料作成などを行ったことは、展覧会の根幹となる「調査」の重要さを改めて考える良い機会となりました。また、会期が近くなると、図録に掲載される文章の校正や設営作業の見学、搬入された作品の状態チェックなどを通して、展覧会が作られる過程をより間近で体感することができました。それらに加えて、自分が美術館での仕事について疑問に思っている点を学芸員の皆さんに直接質問することもでき、現場を知る貴重な経験となりました。美術は社会とどのように関わっていけばよいのか、考える上での手がかりを得たいという思いでこのインターンシップに応募しましたが、今まで何となくのイメージしか持っていなかった学芸員の仕事を一年間経験できたことで、様々な専門性が集約されて展覧会が作られていることを改めて実感するとともに、これから自分が養わねばならない能力は何かを考えることもできました。 B 学芸・企画展 Sさん 東京国立近代美術館の企画展は、国内であまり紹介されてこなかった作家の回顧展が多いことが特徴だと考えます。私は研究の蓄積がない作家の展示が企画されるプロセスを知りたいと考え、平成28年度のインターンシップを志望しました。 先行研究が不十分な作家の展覧会の準備をする上で最も重要だと感じたのは、やはり年表や文献リストの作成、資料のスキャン、作品画像の整理などの地道な作業です。資料整理やカタログ校正が曖昧だと後世に間違った情報を伝えてしまうため、最も神経を使って臨んでいると感じました。 次に重要だと感じたのは、より多くのお客様に来てもらうための戦略です。例えば美術館で詩人・吉増剛造氏の作品を展示するという異色の企画展では、作品展示に留まらず毎週のように対談、朗読、音楽演奏、映画上映などが催され、イベントのお手伝いをするなかで、普段美術館に馴染みのない方も来館していると感じました。また一般にはあまり耳慣れない山田正亮という画家の回顧展のプロモーションにおいては、担当学芸員だけではなく事務の方も交えた意見交換の場を初めて設けたり、私自身も一若者として意見させて頂いたりと、全館一体となって知恵を絞る重要性を感じました。 この一年を通じて学んだ「未踏の領域に挑戦するための執念や緻密さ」、「時代に合わせて従来のやり方を変える柔軟性」を忘れず、後世の研究に貢献し、多くの人々にとって魅力的な展覧会について考え続けていきたいと思います。 C 美術館教育 Mさん 作家の考える「芸術」「美」と、鑑賞者の考える其れとの間の距離を、もう少し縮めることは出来ないだろうか。そう思い、美術館の教育普及に興味を持ちました。 本インターンで見学させて頂いた数々のギャラリートークにおいて、鑑賞者の方々は、「この絵はどうして描かれたのだろう?」という疑問まで、自然と導かれて行きました。ガイドスタッフの方々の丁寧な対話術により、鑑賞者と作者が一瞬出会うような時間が生まれ、それが鑑賞となるのだと思いました。 しかし、自らがトークを実践する中でその印象に少し変化がありました。二者が近付くことは確かに鑑賞の充実を図ることが出来ますが、必ずしもそれが全てではありません。例えば子どもの感性は、作者からどんどん離れていっても、自分の世界を構築することができます。知らない人の知らない作品に、平気で自分のタイトルをつけることが出来るのです。トーカー側が参加者の新鮮な言葉に影響を受ける機会は度々あり、その様な場面からこのことを強く感じました。対話というツールが、ここまで美術鑑賞の幅を広げるのだと、とても強い印象を受けました。 「対話」という形により、美術鑑賞の充実と誰にでも可能な美術鑑賞を実現し得ること、それを得て美術は社会において多くの可能性を持つこと。インターンで私が得たこれらの見解はまだ「気付き」に過ぎませんが、ここから更に勉強して行きたいと強く思うようになりました。 C 美術館教育 Oさん 長いようであっという間だったインターン活動がもうすぐ終わろうとしています。正直、まだまだやりたいというのが本音です。一年を通して、美術館で行われている美術教育関係のプログラムに参加できたことは大変貴重な体験でした。 毎日行われる所蔵品ガイドから、学校やクラス単位で訪れるスクールプログラムの受け入れ、KIDS MOMAT、おやこでトーク、夏の指導者研修…どれも内容の濃いものばかりでした。こうしたプログラムを通して、来館者のみならずガイドスタッフさんや学校の先生とも多くのコミュニケーションをとれたことも収穫の一つです。夏の指導者研修では、普段滅多に関わることの出来ない、日本全国の図工美術の先生方や美術館の教育普及の方から、学校や美術館で行われている鑑賞教育について直接お話しをうかがえました。この研修で得たものが、後日行われた小中学生向けのギャラリートークにも生かせたのではないかと感じています。 普段は見学しているギャラリートークに一度トーカーとして参加させていただきました。 作品の選定からトークの内容まで自分で考えて計画を練りますが、実際は参加者の意見によりトークの流れは大きくブレていきます。参加者の意見をうまくキャッチして、投げ返すことは容易ではありません。まったく予想外の展開が起きることもあります。しかし、参加者によって毎回まったく別のトークが行えることが、ギャラリートークの面白いところです。 鑑賞する人の数だけ鑑賞教育でできることがあるのだと強く感じた一年でした。今後もまだまだ変化を続けていく鑑賞教育の行く末を見守ると同時に、そのために私自身何ができるのか考えていきたいと思います。 E 工芸館・学芸全般 Aさん 工芸館のインターンを終えて、私は学芸業務について広く知ることができました。主に教育普及や展覧会準備、広報活動に携わりました。 教育普及では、実際に作品を手に取り作品理解を様々な角度から深める「タッチ&トーク」が大変興味深いものでした。素材を知ることで、さらに工芸作品の良さを知ることができると思いました。展覧会準備では、日本と西洋の近代工芸に関する展覧会に携わりました。展覧会コンセプトの設定から展覧会会場での展示に至るまで、どのように展覧会の見せ場を作るのかという点が参考になりました。広報業務では、集客を意識した段階的な広報活動が行われており、展覧会の成功も広報活動によって支えられていることを感じました。 インターンを通して様々な経験をさせていただき、美術館の役割について考えることができました。インターンで学んだことを活かし、今後も学芸員として精進してゆきたいと思います。1年間ありがとうございました。 E 工芸館・学芸全般 Hさん 私は本インターンシップで資料整理や展示準備、ワークショップ補助等を行いました。特に記憶に残っている活動は夏休みに行ったこどもタッチ&トークや陶芸ワークショップです。こどもを対象としたワークショップは、大人を相手にするよりも様々な面で配慮が必要であり、学ぶことも多くありました。こどもの視線の高さを考えた視線の合わせ方や、作品に触れる際にどこまで補助を行えばいいのか、どのように補助をすればいいのかといった点は中々上手くできませんでした。他には企画展の展示変え作業が初めての経験であった為、多くの事を学ばせていただきました。漆を使った作品に対しての慎重な取り扱いや、反対にとても大きく、重量のある作品を館内で組み立てた際には多くの人で協力する必要があるなど、作品毎に適切なやり方があると知りました。 美術館では幅広い層の多くの人が利用する施設であり、学芸員にはコミュニケーション能力が重要であると再認識しました。また、私のインターンシップの目的であった美術館における教育普及活動については、ワークショップ等で実際に体験することが重要であり、ただ作品を見るだけでなく、直に触ることでこどもが何を考え、感じるのかということを考えていかなければならないと思いました。本インターンシップを通して美術館が作品を展示するだけの場ではなく、積極的に活動を行っていく施設なのだと改めて考えさせられました。 E 工芸館・学芸全般 Kさん 工芸館のインターンシップにおいては、学芸員業務のさまざまな側面を体験することができ、大変貴重な機会となりました。作品の取り扱いなどの学芸員特有の技能だけでなく、電話応対や来客対応、基本的な機器操作や資料等の作成などといった、どのような形で社会に出るとしても欠かせない能力が身につきました。 私が一年間の研修を通じて美術館の大きな役割の一つは、作品と人間を繋ぐことだと実感しました。工芸館においては、来館者は展示されている作品を観賞するだけでなく、タッチ&トークという定期イベントを通して作品を直接手で触れて観賞することが可能です。そのイベントの補助を行いつつ参加者の様子を見ていると、やはり展示室で観賞を行っているだけでは引きだせない反応も多数確認することができ、こうした教育普及活動の重要性を感じました。 また、学校行事の一環として団体で来館した児童・生徒の鑑賞授業や、美術の教員研修にも参加した経験から、教育普及活動を学校現場で行うにあたっては、教員との連携も欠かすことができないと学びました。美術の授業として教室内での鑑賞活動には限界があると多くの教員が感じている一方で、なかなか美術館へ鑑賞活動を行う時間を取ることができない実情があると教員研修で伺い、強い問題意識を持つきっかけとなりました。 この研修の経験を通じて得たさまざまな技能や考え方を今後の人生においても生かしていきたいと思います。一年間お世話になりました皆様に心より御礼申し上げます。 F フィルムセンター・学芸全般 Kさん 院生生活1年間を通して映画研究の基盤となるのは古典作品なのではと考えたことをきっかけに、古典作品に触れる機会を求めてフィルムセンターのインターンシップに応募しました。 大まかな研修活動を記すと、事業推進室ではホームページ作成や資料・雑誌から情報を集める作業などを通して上映・企画に関わる事業のサポートを体験しました。映画室では、研究員の方がロシアのフィルム保存機関で集めた情報を整理するという、一般学生が滅多に携われないであろう機会に恵まれました。情報資料室ではパンフレットや脚本等の整理を行い、フィルムと同様に重要な保存物であるノンフィルム資料にも触れることができました。ほかにも相模原分館での研修、試写会や映画関係施設の見学に同行させていただくこともありました。 このようにみると多様な研修内容ではありますが、一方で作業としては「地味」なものが多かったです。そうした地味な作業は、資料とひたすら向き合うという院生生活にも似た感覚があり、日々コツコツと続けていく大変さをフィルムセンターでも改めて実感しました。また、日本で唯一の国立映画機関であるフィルムセンターですが、研究員・職員の方々の仕事も決して派手なものではなく、地道な作業が多いことに驚き、その細かな作業が実を結んで「保存」という結果につながるのだということもこのインターン活動を通して感じることができました。 フィルムセンターでの経験は、単なる就労体験以上のもので、またインターンシップ応募の目的をも越えた経験となり、今後の選択肢が広がったように思います。そして、ここでの経験を残りの学生生活や論文執筆にも活かしていきたいです。 F フィルムセンター・学芸全般 Mさん 東京国立近代美術館フィルムセンターでのインターンを希望した理由は大学院での映画の研究を進めるうちに日本における映画史料の保存について関心を持ち、そのような史料の保存活用を行う日本の中心機関であるフィルムセンターの仕事は実際どのようなものなのかを知りたいと考えたためです。 最初に配属された事業推進室では上映会準備や上映映画の確認、紹介文などの執筆を行いました。上映会準備では映画雑誌や書籍などを探し、これを基に文章を作り上げていくため大学で学んだ史料収集などを活用できました。次に配属された映画室ではNFCDの管理に関わらせて頂きました。NFCDにまだ入力されていない作品内容を入力したり、寄贈された小型映画の調査、整理をするなどしました。また相模原にある分館に行く機会もあり、実際に収蔵庫や寄贈された映画の確認作業などを見学しました。最後の配属先となった情報資料室ではパンフレットなど紙史料の管理に携わらせて頂きました。こちらも入力作業や整理が中心でしたが、展示会準備にも携わらせて頂き、照明の調整作業など実習ではあまり触れる機会の無いものをやらせて頂き、とても良い経験になりました。 全体としては入力や整理といった裏での地味な作業が多かったですが、こういった作業によって映画史料の保存や上映、研究といった外部からのアクセスなどを支えていることが分かりました。今回学んだことを今後も活かしていきたいと思います。
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平成27年度 インターンシップ生のことば
A 学芸・コレクション Kさん 東京国立近代美術館のインターンシップを通して学んだことは大きく2点あります。 1点目は美術館における学芸業務が、対「美術作品」であることはもちろん、対「人」の業務である、ということです。様々な業務を経験しましたが、展示作業の補助・取材見学・寄贈作品の調査補助といった業務を通じて、多くの職種の方々が、美術館を支えてくださっていました。「美術館(作品)―研究員(学芸員)―観賞者」という単純な関係ではない多様で複雑な人と人、人と美術作品の関係が存在することを学びました。こうした様々な人や作品と関わることができるのも学芸業務の醍醐味の一つでもあるのだと思います。 2点目は、改めて美術作品の持つ魅力を知ることができたということです。展示案を図面にまとめる作業や、出品作品のチェックあるいは寄贈予定作品の調査補助などを通じて、作品・画家について調べたり、作品を見たり、運送業者の方や研究員の方のご指導のもと実際に展示作業に関わる機会を得ました。ガラスケースなどの隔たりなしに、間近で作品と対することになり、画集などの図版では知ることのできない作品の持つ力というものを実感できました。さらに自身の研究に関わる画家の作品の調査補助ができたのは、本当に幸運でした。自分の手で作品に触れ調査したことは今後の研究においても大きな糧になると思います。 東京国立近代美術館での経験を、大いに活かしつつ今後とも勉強を重ねて参ります。1年間ありがとうございました。 A 学芸・コレクション Sさん インターンでは、主に館の常設展示に関わる仕事に携わりました。展示替えの際に職員の方々が参照する会場図面、実際の展示風景を記録した図面の両方を作成し、さらには展示替え作業に立ち会わせてもらうことで、館の要と言ってよい、コレクション展示がどのように形作られていくのかを学びました。また、作品のコンディションチェックや額装作業、作品カードの整理や新収蔵品の撮影作業を手伝う中で、作品の収集や展示、保管といった美術館の重要な仕事の一部を間近で見ることができたことは、大変貴重な経験となりました。そもそも私がインターンを志望した最大の理由は、学芸員の日常を自分の目で直接確かめたかったことにありましたが、一年間の活動を通じて 、憧れであった学芸員のイメージがより強固になったと思います。プリントスタディの補助もさせていただき、今まで殆ど知識のなかった「写真」に興味を持つきっかけとなりました。写真専門の学芸員の方々の影響で、写真の展覧会を観に行ったり、気になる作家の写真集を手に取ったりするようになりました。 非常に多くのことを学ばせていただき、普段の鑑賞態度も一変しました。学芸員の方々が、美術館はどうあるべきかという話を常々してくださり、美術館の存在意義や展覧会の将来像を考える機会を与えられことが何よりも印象深く、今後一層リアルな課題として取り組んでいきたいと思います。 B 学芸・企画展 Sさん 私は当初より学芸員の職に就きたいと考えており、その具体的な内容を知るために平成27年度のインターンを志願いたしました。その中でも企画課を選んだのは、学芸員の仕事の「花形」である展覧会の企画・実現について、より詳しく学びたいと思ったからです。 学芸員に求められること、重要な能力とは何なのだろうと考えながら、インターンとして活動して気付いたのは次のようなことです。まず、学芸員は必要な業務を早く、正確にこなしていかなければならないということ。学芸員は一つの展覧会開催にあたって、資料整理・会場構成・カタログの執筆および校正・関係各所との打合せ・展示・イベント立ち会いなどを遂行しながら、それ以外の様々な仕事を同時並行しなければなりません。一年間を通じてこの各ステップの仕事を垣間みることができたのは、非常に良い経験となりました。次に、以上のような膨大な量の仕事をしつつも、自身の関心や興味を深める努力をしていかなければならないということです。インターン活動中に個性豊かな東京国立近代美術館の学芸員の方々とお話しさせて頂くなかで、皆様がお忙しい合間を縫って研究をされ、また展覧会等を見に行かれていることがわかりました。美術界でのトレンドを追うだけではなく、じっくりと自身の関心を見極めてかたちにしていくことの重要性に改めて気付かされました。いつも優しく丁寧にご教示頂いた美術館の皆様に、心より御礼申し上げます。 B 学芸・企画展 Mさん 私は学芸員になりたいと考えて修士課程に進んだものの、その内実については殆ど何も知っておらず、ただインターンの機会を得られたのが嬉しく、当初は通用門をくぐる度に緊張していたのを思い出します。特に深く心に残っている事柄は2つあり、1つは学芸員1人がカバーする仕事の広さとその速さです。会場設計、展示の指示、講演会の裏方からカタログの送付まで、自ら手を動かしながら千変万化の指示を出し、瞬く間に展覧会が始まり終わっていく。美術館に流れる静止したようなシンとした時間、あるいは美術研究科に漂う悠長な雰囲気がどこか世間からの隔絶を感じさせるのに対して、社会と美術が濃密に結びついている場を直に感じました。もう1つは安田靫彦展の準備に際して20冊程の美術年鑑を6時間繰り続けて展覧会の歴史を調べたことです。基礎研究の末端に触れただけなのでしょうが、全身を眼にして事実を探し続ける作業は思った以上に難しく根気が必要で、本気で1人の作家を研究する際に必要な態度を少しは身体で知ることが出来た最高に貴重な勉強でした。最後に、忙しい合間に色々なことを教えてくださった学芸員、広報の方々には心から感謝を申し上げたいと思います。 C 美術館教育 Hさん 私は、この一年のインターンを通して、美術館という施設の中で自分以外の「他者」の存在について考えるようになりました。時には美術を楽しむ受け手として、時には自身が美術を伝える話し手として参加し、美術を「鑑賞」した時に誰しもが持つ「感じたこと」「思ったこと」を「他者」に伝えることが、鑑賞体験としてとても大切であることを感じました。 「他者」との対話をその場で発生させることによって、一人では考えられなかった見方、感じ方を共有する瞬間を間近で体験することで、「静かで一人で見るもの」と捉えられがちな美術館で作品を見るという行為が、「他者と話をしながら、楽しく見るもの」という認識に変わっていきました。「他者との関わり」という点において、インターン活動の中で印象に残っていることは、7月に行った、「夏休みトークラリー」のプログラムです。そこで私は実際に話し手(トーカー)となり、小学生~中学生に対話式のギャラリートークを行いました。事前にトークのプランをしっかり立てて臨んだものの、子どもによって感じたこと、思ったことが違うため、どんどん対話が発展し、最初に作ったプランから離れていくことも何度もありました。しかしそれが「対話」であり、私自身も受け手という「他者」の存在をとても感じる瞬間でもありました。 私にとって、インターン活動の一年は、「他者」と共に楽しむ、新しい「美術鑑賞」の形を、肌で感じた一年間でした。 C 美術館教育 Mさん 美術館への来館に、作品との出会いに加え何か新たな価値を与えたい。そうした思いから主に対話型鑑賞に関心を持ち、この一年間活動してきました。所蔵品ガイドの見学に加え、夏にはこども向けプログラムの企画から実施まで一連のプロセスに関わらせて頂き、活動の最後にはパンフレット型鑑賞ツールの制作、配布を行いました。 私が美術館の教育普及活動に関わらせて頂く中で特に感じたのが、世代や関心など来館者のもつ様々な背景により有意義な美術館での学びの形、またアプローチの仕方は変化するということです。【知的好奇心を満たすために参加される大人の方が多い所蔵品ガイドでは、対話を皮切りにトーカーが参加者の興味関心に合わせて作品情報を提供する形が、高い満足度につながっていると感じました。一方、鑑賞と施設見学を組み合わせた今年の夏のこども美術館では、美術館そのものに慣れ親しんでもらうことがねらいの一つでした。おやこでトークは、未就学児と保護者の美術を介したコミュニケーションが好評を博していました。自主制作のパンフレットは大人向けと対象を定めたものの、配布してみることでターゲットがより明確になりました。】 美術館教育においては、どの来館者にとっても最善となるただ一つの手法というものはありません。東近美はコレクションに恵まれた素晴らしい環境ですが、対象に合わせた館側の働きかけによりその来館体験の価値はさらに高めることができると、様々なプログラムを通じて感じました。また、それらプログラム一つ一つの裏には膨大な準備のプロセスと多くの方の尽力があるということも知りました。 一年間のインターン活動を通し、美術館における教育普及活動の役割の大きさ、可能性を改めて実感しました。美術が社会の中で果たす役割について、今後も考え続けていきたいと思います。 D 図書資料 Nさん 私がインターンシップに応募した理由は、アートライブラリでの業務を実際に体験し、その役割を学びたいと考えたからです。結果としてインターンシップに参加した1年間をふりかえると、アートライブラリの多様な業務を体験する機会を頂き、このような体験を通じてアートライブラリの使命や役割について学ぶことができました。 アートライブラリでは、東京国立近代美術館が所蔵している作品の作家に関する資料をはじめとして、広く美術に関連した資料を取り扱っています。このような資料を収集し、整理や保存をし、求めに応じてアートライブラリの利用者へ提供することが、アートライブラリの主な仕事です。アートライブラリが受け入れた資料は大きく、図書・カタログ・雑誌に区分することができ、それぞれの資料は、資料特性にあわせた整理や保存が行われます。インターンシップでは、図書やカタログを中心として多くの資料に実際に触れ、そして整理や保存のための作業を体験することができました。 1年間のインターンシップを通して多くのことを学びましたが、長い時間をかけて収集・蓄積してきた多大な情報や資料を、必要としている人々に効率的かつ適切に提供するためにはどうすればいいのかを、常に考えながら働いているアートライブラリ職員のみなさんの姿が非常に印象に残っています。貴重な体験をありがとうございました。 E 工芸館・学芸全般 Oさん 一年間の研修を終え、予想以上に多くのことを学ぶことができたと感じています。展覧会の準備では、展示作業を通して多くの作品に触れる機会を得ました。作品の具体的な取り扱い方法についてはもちろんのこと、学芸員の方の作品への接し方、姿勢から、その心構えを学ぶことができたように思います。また、図録制作にも作品の写真撮影および校正の補佐として関わらせていただきました。一つ一つの作品について、位置や色合いを確認しながら撮影を進め、校正では、細かい数字やフォントなど何度もチェックを繰り返しました。いずれもとても根気のいる作業でしたが、完成した時には大きな達成感を得ることができました。さらには、様々な教育普及活動にも参加しました。特に印象に残っているのは、東京都図画工作研究会の先生方と一緒に実施した小学6年生、3年生対象の対話型鑑賞の授業です。6年生の子供たちがどうやったら相手に興味を持ってもらえるか真剣に考えて、オリジナルのガイドを作り上げていく姿に驚かされると同時に、作品に触れた時のきらきらとした表情から、身体性を伴う実体験の重要性を感じました。美術館で働く方々にとどまらず、先生やカメラマンの方など様々なプロの仕事を間近で拝見し、仕事に対する姿勢を学べたことは、今後社会人となって仕事をしていく上で貴重な経験となって生きてくることと思います。 E 工芸館・学芸全般 Sさん 美術館学芸員を目指すにあたり、工芸館でのインターンシップは美術館のあり方や来館者との関係性について考えを深めるとても良い経験となりました。それまでの美術館や博物館での経験を元に教育普及について自分なりに考えていたことがあったものの、工芸館での活動はそこから更に2歩、3歩も先のことでした。 教育普及活動の一環である「タッチ&トーク」は作品の紹介と解説はもちろん、実際に作品に触れることも出来るプログラムで、そのようなことができるプログラムを実施している美術館は日本にはまだまだ少ないものです。更にそれを行っているのがボランティアの方々だということに加え、非常に完成度の高い内容にとても驚いたことを覚えています。作品と人をつなぐ場所としての美術館を、活動を通して再認識することができました。大学では制作を学びましたが、展示方法や展示中の鑑賞者との関わり方について明確な目的や意味を持たせることができず、それが完成度の低さにもつながっているのが悩みのひとつでしたが、インターン活動をきっかけに一つの答えを出すことも出来ました。美術館は作品を展示すことで様々な可能性をひとから引き出すことが出来る。それをより多くのひとに体験してもらえるように、就職先の美術館でも考え続けていきたいと思います。 F フィルムセンター・学芸全般 Mさん 日本の映画遺産の収集や保存と公開利用に関する実践的な知識を実際の現場で学びたいと国際的な映画保存期間に加盟している東京国立近代美術館フィルムセンターでのインターンを希望し、アーカイブの活動全般を実習をさせていただきました。 フィルム管理を担う、映画室でフィルムセンターのデータベースNFCDに入力する作業では、フィルムセンターの所蔵品の必要な情報を管理し、保存や修復、上映や展示において有益な情報を管理し、参照可能にするための重要な作業を経験させていただきました。また、情報資料室でのスチル写真やプレス資料などのノンフィルムにおいての分類・整理、NFCDへの資料の状態の入力作業を通して、映画のフィルム同様に人の目や手での管区人することが重要であるということを実感いたしました。 そして事業推進室では見せるという作業に関わらせていただき、なかでも今回フィルムセンターで行われた8㎜映画普及50周年記念としての上映会と講演会のイベントでは、展示の準備やイベントの補佐として参加させていただきました。家庭や地域で撮られた小型映画までも個人にとっての歴史的貴重な価値となることの意識をもたせる機会を得る・与える、ということのとても大切な経験となりました。本当にほかにも相模原分館の見学など色々な経験をさせていただきました。ここで学んだいろいろなことを今後是非とも活かしていきたいです。
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平成26年度 インターンシップ生のことば
A 学芸・コレクション Nさん 東京国立近代美術館の学芸(コレクション)のインターンとしての業務は、所蔵作品に関わる作業が主であり、特に所蔵作品展の運営の補助がその中心となる仕事でした。私個人としては、展示替え前の準備や展示替え後の記録、あるいは展示替えの現場の指示出しの補佐として、この一年間で五つの展覧会に関わり、その内の四つの展覧会の展示替えの現場に立ち会いました。 展示替え前の準備では、各種リストの作成の他、展示替えをスムーズに進めるための会場図面の作成やいくつかの作品の収蔵場所の確認作業等に携わり、複数の学芸員によって運営される所蔵作品展の成立までの段取りの一部を学び、展示替え後の記録では、作品台帳への出陳記録の記入や会場図面、キャプション等の情報を整理する作業を通して、美術館における情報管理の一つの方法を学びました。展示替えの現場においては、学芸員だけでなく運送業者や施工業者といった様々な専門分野を持つ方々とコミュニケーションをとりながら作品が設置されていく過程を見学し、その厳密かつ柔軟な作業を拝見しながら、指示出しの補佐を務めました。 所蔵作品展の業務以外にも、作品の修復や貸出、自らの研究領域に関わる作品の会議を見学させて頂く等、様々な経験をさせていただいたのですが、この一年間で学んだこと、そして、学芸員の方々にかけて頂いた言葉は、これからの人生の糧となっていくと思います。本当に有り難うございました。 A 学芸・コレクション(写真) Kさん 今から振り返ると、活動が始まった当初は写真作品や作家についての知識がほとんどないままでした。その様な中で、業務としてプリントスタディの補助をする機会を与えていただき、そのため収蔵作品を間近で鑑賞する機会を多くえることができました。額に入らずに目の前にある作品のオーラに圧倒され、そこから写真の魅力に大いに惹かれていきました。それからは、もっと知識をつけたいと感じて図書室で写真集や本を借りて収蔵されている作品や作家について詳しく調べるようになり、普段通っている大学でも写真に関する本を見つけると、手に取るようになりました。 お二人の学芸員の方の間近で働かせていただけたことも大きな経験になりました。とくに印象に残っているのは、奈良原一高展のギャラリートークに参加したときのことです。ギャラリートークが開催される半年ほど前から展覧会の準備に携わらせていただく中で、「王国」シリーズの写真は繰り返し何度も見ており、作品の背景や作家についても一通り学んだつもりでいました。それにもかかわらず、いざギャラリートークでお話しをきいてみると、私が見落としていた作品のすばらしさに次々と気付かされる思いでした。何度も繰り返しみたと思っていた作品を、新たな視線で鑑賞しなおすことはとても新鮮で興奮する体験だったと記憶しています。 この一年間で、美術は日々の生活をより豊かにしてくれるものだということを実感し、またそれを後世の人々に長く伝えていく必要があることを学びました。この経験を糧に、将来は美術を通して社会に貢献できるようこれからも精進していきます。 B 学芸・企画展 Hさん 企画展インターンでは、年間をとおして展覧会準備や広報、そしてイベントやアンケートの振り返りなど、展覧会にかかわる様々な局面の補助を経験しました。まず、企画展の準備では、作品のデータと図版の整理や、素描の撮影、ポジフィルムの管理をおこなったことで、展覧会の基礎となる作業に、私にとってははじめて、直に接することができました。そして、図録や出版物の校正の仕事をおこないながら、作品の出品依頼から輸送・撤収までのスケジュールと並行して、広報や講演会の準備をしてゆく各段階に触れました。研究員の方々のそばでインターンとして活動することができ、展覧会をつくりあげる過程を間近に見ることができたことは、実務を知るだけでなく、企画展室の皆さんの姿勢や心がけを知り、自分の気を引き締める機会にもなり、本当に貴重な体験になりました。また、もっとも長くかかわることのできた「高松次郎ミステリーズ」展では、会場設営と展示の作業に立ち会い、研究員の方々を中心に、展示に携わる多くの方々の工夫と苦労を感じとることができました。一年をとおして様々な経験をさせていただき、幸いに私自身、美術館の仕事に携わることができました。インターンのあいだに教えていただいたことを活かして、今後も学芸員として日々学んでゆきたいと思います。 C 美術館教育 HSさん 美術館だからこそできる教育普及活動とは何か、ということを考えていきたいと思いインターンへ通い始めてから1年が経ちました。毎日行われる所蔵品ガイドや通年で受け入れる学校向け鑑賞ガイドのほか、イベント的に開催される先生やエデュケーターのための研修会、子どもや親子に向けたプログラム、セルフガイドの配布・開発など、本当に様々な仕事の中に関わらせていただきました。そしてどの仕事も、事前の計画や準備の段階から事後のまとめ、振り返りに至るまで、一連の流れを経験することができました。 部分的にではなく全体の流れに携わり気づいたことは、美術と人、人と人との関わりをつくっていくことは、本当に時間のかかることであるということ、また協力する周りの理解者が必要であるということです。1つのプログラムを実践することも大切ですが、流れの中では、実施前の綿密な計画やリハーサル、実施後の内容研究や、共有、発信、保存の繰り返しが、活動を次へとつなぎ、続けていくための重要な時間であったように思います。そこには本当にたくさんの方たちが関わっていて、そうして少しずつ、確かに、美術教育の理解が広まっていくのだと実感しました。 特に東近美は、人が集まり、また発信もしやすい拠点のような場で、美術と人を結ぶきっかけをつくり続け、また振り返っていくことができるのだと感じました。公的な美術館という場所だからこそ、様々な作品を活用でき、来館者も安心して鑑賞をたのしむことができるのだと思います。 インターン活動を通じてエデュケーターや先生、スタッフの方、お客様など、美術と鑑賞に関わる様々な方たちとお会いし、お話しでき、改めて美術の面白さや鑑賞の喜びを感じさせていただいた1年でした。今後は東近美の経験で得た思いを胸に、自分のフィールドで美術や鑑賞、美術教育の間口を開いていきたいです。 C 美術館教育 HCさん 大学で美術史を学び、人と美術とを仲介したいと望む私は、人と美術との関わりを深めるために美術館がどのようなアウトプットを行っているのかを知りたいと思い、教育普及のインターンを志望しました。 結果学んだのは、美術館と来館者とのコミュニケーションこそが、充実した鑑賞の場を生み出していくのだということです。つまり、単に人が作品に触れる機会を提供するのみならず、常に来館者と同じ目線になって寄り添い、来館者にもオープンになっていただくという双方向性が欠かせないのだと感じました。毎週見学した所蔵品ガイドや、学校向けギャラリートーク、こども美術館やおやこでトークでのアクティビティにおいて、心の中にしまっている考えや想いをガイドスタッフさんとの会話やワークによってひとつひとつ解放されていくにつれ、どんどん作品にのめりこみ、笑顔で帰っていく参加者の様子を拝見するにつけ、それを確信していきました。また学校の美術教育の使命と、美術館の教育普及の実践が密接に連関していることもわかりました。 一方でHSさんと共同制作した「MOMAT for 2」配布における来館者同士のコミュニケーション促進の試みでは、美術館で対話する行為自体が一般的にはほとんど浸透していず、上記の理由から美術館教育における対話鑑賞の効果を絶対視していた自分が、もう一度その存在意義に疑問をさしはさむ契機となりました。 この一年間、来館者の呼吸を一番身近に感じられる教育普及室で活動し学んだことを、これから美術館での鑑賞、作品との向き合い方を考えていく上で生かしてまいります。 E 工芸館・学芸全般 Sさん 私は、学芸員の仕事を間近に体験し、理解を深めることを一つの目標に研修に参加しました。 資格取得に際し、大学で学芸員の基本的な仕事内容については学んでいました。しかしながら、実際に見る学芸員の仕事は、展覧会企画をはじめ、ワークショップのスケジュール作成、ボランティアスタッフに対する対応まで、ありとあらゆる作業が存在していました。その作業の一端を手伝わせていただくことで、大学で講義を聞くだけでは知り得なかった多くのことを自分の体験として学ぶことができました。特に印象に残っているのは、作品の集荷です。一般の家庭にある作品を美術館が保存するために作品をお預かりに伺ったのです。今まで、美術館で展示されている作品は、作家やオークションなどから購入されたものだと思い込んでいたので、一般の家庭に収集されるべき作品があるという事実に大変驚きました。 学芸員の仕事は、展示や教育普及など展覧会に関わるものが目立ちますが、その中でも根本的な使命である収集を経験したことで、学芸員の仕事に対しての理解が、より深まったと感じています。実際に体験することは、見聞きすることよりもはるかに自分の力となることを体感した一年間でした。 E 工芸館・学芸全般 SMさん 工芸館インターンとして行った活動の中で得たことは、美術館の運営は様々な人が関わってはじめて成り立っており、そのような方々をどのようにサポートするのか、ということを学ぶことができた点です。 教育普及のタッチ&トークではボランティアの方々の協力が不可欠でした。ギャラリートークや勉強会があれば積極的に参加し、来館者に対して情報を発信する方法を熱心に考え、対話の中から出てきたユニークな発想を活かして、工芸館の活動を盛り上げてくださっていました。 作品を観察し印象を言い合うガイドのフォローアップ研修では、作品の本質を鋭く捉えた意見が飛び交っていました。ガイドの方々が意見を出しやすく、対話が生まれやすい環境を研修を担当する研究員が整えることで、トークの語調も洗練され、より広い視野を持っていただくことができているように思いました。 もちろん、展覧会そのものがあってこそではありますが、企画を実行するだけではなく、いかに、協力していただく方々の能力を引き出す環境をつくるかも同様に重要であることを実感することができた点にインターンシップとして関わった成果がありました。このような経験は、大学での授業や短期の実習では感じることができなかった点です。 E 工芸館・学芸全般 NCさん この一年の工芸館でのインターン研修は、事務作業から館内イベントの運営や展示の現場での作業など、多岐に渡るものでした。 普段はデータベースの構築や展覧会に必要な書類作成、ガイドの方の補助などが主な業務でした。時々、団体来館者を対象とする大規模な見学会があり、その運営をサポートすることもありました。 館内でのイベント運営を通じて、工芸館では教育普及関連イベントが非常に充実していると感じました。「タッチ&トーク」という解説プログラムや、子ども向けの鑑賞プログラムやワークショップなど、子どもから大人までが楽しめる内容です。その裏で工芸館の学芸員だけでなく、解説する多くのボランティアの方々が充実した、それぞれが創意工夫し解説を行っていた姿も印象に残っています。 そして、実際に展覧会がつくられる場に立ち会えたことが最も印象深い体験でありました。展示作業では、作品に触れるだけでなく、展示の配置を考える機会もあり、「どうすれば見栄えがよくなるか、作品の良さを引き出せるか」など試行錯誤しつつ作業に臨みました。さらに、展覧会図録の作品撮影の補助をしたこともあり、長丁場でありましたが貴重な経験となりました。 これだけの内容でこの一年の研修について語りきれませんが、工芸館インターンでの経験をすこしでも将来に活かしたいと思います。 E 工芸館・学芸全般 NNさん インターンとして過ごした1年間は、学芸員業務に対する具体的なイメージを構築する重要な経験となりました。特に、美術館における教育普及活動について深く考える機会となりました。 これまで教育普及活動というと、「もの作り体験」ばかりを考えていましたが、工芸館において定期的に行われている「タッチ&トーク」は「鑑賞」を主軸にした企画であり、参加者は作品に触れ意見交換をする中で、作品への理解を深めるというものでした。この企画に携わる中で、参加者が作品に触れ、ふと感想をつぶやく場面を目にし、「実物」を通じた体験は、人の自主性に訴える力を持つことを知りました。また、作品に触れた参加者がつぶやく「つるつる」・「重い」・「お花畑」などの直感的な言葉を、他の参加者との対話へと繋げ、より深い鑑賞活動へと展開するために、スタッフがタイミングよく言葉を投げかけることの必要と難しさを間近で学びました。 この研修を通し美術館での教育普及活動に携わる中で、その多様性と発展性に気づくことができました。そして、大学の学びとは異なり、学芸員の果たす役割の根幹には人々と美術とを繋ぐ使命があることに改めて気付かされたことは、今後の自分自身にとり貴重な経験となりました。 F フィルムセンター・学芸全般 Yさん 私は大学院にて建築のアーカイブを専門としているが、建築アーカイブはノウハウを未だ持たない状況にある。そのため本インターンでは、既にそのノウハウを蓄積しているフィルムセンターで、その技術を学ぶということを目的として臨んだ。 この点で、情報資料室で行ったポスターおよびパンフレットの資料整理では、紙媒体の資料の保存について学ぶことができた。建築の図面等の資料とは、同じ紙でも大きく性格が異なり、よい比較となった。また、展示場に関する様々な作業は、これら資料をどう公開し、周知してゆくかという点でも勉強になった。 次に映画室での建設記録映像の情報追加作業であるが、この建設映像は、映像として建築をアーカイブする方法として考えられる。そこでこれらを、建築の”映像”としてどう評価できるか、また映像の中の”建築”をどう評価するか、その2点の評価軸の設定を考えた。そしてそれを提案し情報を補足する作業を行ったが、これは大変貴重な経験となった。またNFCDに入力する中で、アーカイブ情報の構造をどう構築するかという点でも刺激を受けた。 何れの体験も、建築アーカイブにとって大いに参考になるものであったが、今後はこの経験を元に、フィルムセンターのアーカイブのあり方、および建設記録映像という”建築アーカイブ”を建築界に紹介することで、建築アーカイブの整備向上や機運を高めつつ、アーカイブ間のネットワークをつなげてゆきたい。
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平成25年度 インターンシップ生のことば
A 学芸・コレクション Kさん この1年間通年で行った主な活動は、常設展の展示替えにむけた準備(会場図面の清書、作品の所蔵場所の確認、出品リストや音声ガイドリストの作成)、会場設営のお手伝い(作品の所蔵場所や展示位置をお伝えする、壁にかけた作品の傾きを確認)、そして展覧会の記録(会場図面の決定版をつくり、出品リストや章解説と共にファイリング)でした。展覧会がつくりあげられる過程に少しでも関わったり、現場に立ち会うこと自体初めてだったため、とても新鮮な経験で、外からでは見えない美術館と展覧会の姿をよく知ることができました。一方、常設展に関わる活動以外では、資料整理や作品調書づくりなどをしました。たとえば、瑛九資料(書簡)の整理を企画展のインターン生と一緒にお手伝いしました。そしてまた、岸田劉生資料の作品調書を作成し、ならびにその貸し出しの際には、作品や資料の状態をチェックしました。前者では、自分が関心を寄せる作家に関するものでしたので、興味深くかつ生き生きとした資料の内容に触れることのできた貴重な機会でした。後者の作品や資料の状態をチェックする作業は、本物を観察しつつ他館の学芸員の方とコミュニケーションをとりながらの実践的な活動で、緊張の中にも責任を感じながら取り組みました。このインターン活動で知り、体験し、学んだたくさんのことを今後の自分の研究や将来的な職業へ生かしていきたいと思います。ありがとうございました。 A 学芸・コレクション(写真) Kさん 東京国立近代美術館の学芸活動に共感し、インターンに応募しました。一年間の研修では、美術課写真室にてプリントスタディ(写真作品閲覧制度)の運営、写真企画展の準備、コレクションの整理業務の補助的な作業をおもに行いました。インターン初日のことをいまでも鮮明に思い出します。初日は、プリントスタディの希望者の方に写真作品をお見せする作業を任せていただきました。白い手袋をはめて、額に入れられていないマット装されただけの写真作品を、細心の注意を払いながら保存箱から取り出し、閲覧台に並べる。普段であればフレームとガラスでがっちり守られ、一定の距離をとらないと鑑賞できなかった写真作品が、なまなましく間近に、目の前に存在しているという事実に興奮しながらも、作品を取り扱うことにたいする責任を感じた経験でした。そのほかにも、写真企画展の広報用の文章を考えたり、新規収蔵品の作品データを管理したりと、責任ある作業を任せていただきました。一介の学生である私に責任あるさまざまな場を与えてくださった今回の研修をつうじて、インターン活動をふくめた社会教育の施設である美術館が、いかに有り難い存在であるかを実感しています。私自身、いつか美術館で働くことができたならば、今回の担当学芸員の方のように教育的配慮にあふれた学芸員になりたいと強く思っています。ありがとうございました。 B 学芸・企画展 Eさん 私は企画課のインターンとして企画展の基礎となる作品データの整理や広報の補助など、展覧会に関わるさまざまなことに取り組みました。特に印象に残っているのは、「工藤哲巳展」の一連の仕事に携わったことです。最初は作家についてあまり知りませんでしたが、繰り返し作品を見て知識を深めるにつれ作品に愛着がわき、1960 年代当時の様子や同時代の他の作家についても自主的に調べるようになりました。展覧会開催までの各段階で、施工の打ち合わせに参加させてもらったり、展示に立ち会ったりしたことで、他の美術館の学芸員の方や関係する会社の方々とやりとりをしている様子を直に見ることができ企画展業務の幅広さを感じました。また、展示作業は想像以上に集中力を要することでしたが、作品の近くで仕事をしているという実感とともに、構想した美術展が形になっていく喜びを感じ取ることができました。そして、工藤哲巳展の広報活動をお手伝いした際、誰を対象にしどの媒体を使うかということや自分が感じる作品の魅力をわかりやすく発信していくことの難しさを感じました。これらのことを通じて美術館のあり方について考えた充実した1年間でした。今後もこの経験を活かして、より多くの人が美術館に足を運んでもらえるように、学芸員と作品と鑑賞者という三者のつながりについて考えていきたいです。 C 美術館教育 Hさん 教育普及室での1年間は、私にとって未だかつてない程に、四季の移ろいを意識し、感じた1年間でした。春にインターンとして仲間入りし、すぐに夏休みの子どもたちに向けたプログラムについての検討が始まりました。試作や発表の流れを自ら行い、対象の学年それぞれの子どもの目線になり、技術的・読解力をふまえて可能か、プログラムの一つひとつ過程において、恥じらいや楽しさ等を感じる度合いを検討しました。また、高学年向けのトークラリーにて、一作品のトーカーを任せて頂きました。アントニー・ゴームリーの作品を子どもにトークする原稿を考えることで、ガイドスタッフの皆さんの普段の活動が、いかに難しく、やりがいのある事であるかを実感しました。トークする作品に愛情を持ち、まず自分が作品と向き合い、ありのまま感じてみる。そして、高学年の子どもの目線になり、想定できる言葉を考えてみる。この経験は大変貴重な学びとなりました。真夏になり、元気いっぱいの子ども達が館にやってきました。予想を越えた、楽しそうな顔、分からない出来ないという困った顔を見て、私も一緒に喜び、悩みました。子どもの思ってもみない言葉や制作物に、何でも受け入れる柔軟な心や想像力を感じました。私は、トークでゴームリーを担当したことからの愛着で、日々のインターン活動での所蔵品ガイド見学で通りすがるゴームリー作品の背景で広がる木々の変化、館の日本画室の展示替えのたび、変わる季節を強く感じ、それに付随して、所蔵品ガイド、教育普及室での会話、サマープログラム、学校受け入れの思い出と学びが刻み込まれています。美術の楽しさを伝えるために、まず子どもから年配の方まで、その立場に立ち、考える。より一層言葉が人に伝わるだけでなく、楽しさや感動を教えられる側学ぶ側ともなれるということを知りました。美術館だからこそ作ることができるコミュニケーション、コミュニティがあるということを改めて感じ、これから社会人となり、その可能性を忘れることなく、いつか活かすような事を仕事で作れたらと思います。 C 美術館教育 Kさん 大学では日本美術史専攻ですが、以前から美術を介して人と人とを繋ぐ教育普及の仕事に興味をもっていました。その仕事を実践的に学ぶことを目標にインターンに参加しました。子ども美術館では鑑賞・工作の準備、当日の運営補助を行いました。準備段階から当日まで全てに関われたことで、子どもの目線に立って試行錯誤を繰り返しながら、いかに教育プログラムが作り上げられていくのかということを、実践を通して学ぶことができました。活動日はほぼ毎回、所蔵品ガイドや学校受け入れを見学することができました。ガイドの質問の仕方、参加者の言葉の拾い方と話題の広げ方などは、対話型鑑賞のみならず、人とモノ、人と人とを繋ぐコミュニケーション全てにおいて参考になるものでした。それぞれの個性を活かしたトークが、来館者のより良い鑑賞を支えていることを実感しました。そしてガイドスタッフの皆様がインターンと積極的に交流してくださったこと、研究員とガイドの関係性を間近で見られたことで、美術館を支えるボランティアの活動を深く知ることができ、その重要性を改めて感じました。この1年間の経験を活かし、インターン活動を通して見えてきた課題に取り組みながら、今後も美術教育や美術館の教育普及の分野に携わっていきたいです。 C 美術館教育 Sさん 人と美術が出会い、関わり合い、更にそこに、互いに学びあい成長しようとする意味での教育が重なるとき、その場で何が起こり得るのか、その先に何が生まれ得るのか。その追求の糧とするべく、1年間美術館教育インターンに取り組んできた。活動の中でも、日々の所蔵品ガイドへの参加は特に、毎回とても刺激的な時間だった。エントランスでの集合の段階から、1作品ずつトークに参加し、最後の解散まで、ガイド参加者の方々の言葉だけでなく、表情や姿勢、参加者同士の関係などの変化を毎回見続けることができた。参加者が作品の前で発する言葉が素直な柔らかいものになっていったり、逆にとても批評的な内容になっていったり、作品を見る姿勢が、直立不動から徐々に動き、最後には前のめりになっていたり。参加者にとって、作品が見るものから関わりあうものになっていく様を多く目にする時間であった。また、人々と美術が出会う場を、ガイドスタッフの方々がそれぞれの手法で創り出していく現場に居合わせることも、所蔵品ガイド参観の刺激的な面の1 つであった。上記のような参加者の変化を、時に徐々に、時に突然引き起こす、ガイドスタッフの声や表情、身振り手振りの多様さを観て、人と美術の出会いに教育的な姿勢が関わることの可能性を感じることができた。インターンとしての1年間は、人が美術に出会い、人と人とが美術のある場で関わることの価値を体感できた1年間だった。 E 工芸館・学芸全般 Tさん 学芸職を志望している私にとり、この一年間のインターン活動はとても充実したものとなりました。毎週行われる対話型鑑賞プログラムでは、ガイド補佐として解説ボランティアの方々の取り組みを間近で繰り返し見学する機会を得ました。作品に触れたり、ガイドの問いかけに答えるうちに、初めは硬かった参加者の方々の表情が、次第に興味津々としてくる変化が印象的でした。また、ガイドスタッフ養成講座の記録係を通して、プログラムの構成方法やトーキングスキルを学ぶと同時に、鑑賞者が主体的に作品と向き合い、驚きや発見を自由に発言できる環境を整えることが、クリエイティブな鑑賞の場を実現するために重要であることを理論と実践の両面から学びました。さらには、研修開始以前より携わってみたいと考えていた、展覧会カタログに掲載される用語解説の執筆もよい経験となりました。限られた字数の中で過不足なく説明することの難しさを知る一方で、学んだことを自分の言葉で伝えられる喜びを感じることができました。活動が学芸業務全般の一通りの経験に終わらず、実り多きものとなったのは、スタッフの一人として迎えて頂けたからだと感じています。この一年間の活動を通して得た達成感や自らの至らなさを反省する気持ちは、将来希望の職に就けたときに、原点となって私を支えてくれることと思います。 E 工芸館・学芸全般 Oさん 1 年という工芸館でのインターンの期間に私は、様々なことを学び体験致しました。電話対応からはじまり、「ボディ3」展では、実際に『箱の男』という作品を同じインターン生と一緒に展示させていただきました。ケースがないため、その点も考慮しつつ配置を考えるのは難しく、何度も組み立てては練り直しを繰り返しました。夏休みには、こどもタッチ&トークという体験プログラムの補助として参加させていただき、主に記録係として子ども達が見せる一瞬の表情をカメラにおさめました。毎回、作品に対して違う反応を見せるその子どもたちの着眼点に驚かされ、新たな気づきもありました。展示替えでは、特に染織の展示を学ばせていただきました。隣の作品との間のあけ方や、左右の傾きなどによって、鑑賞した際に受ける印象がガラリと変わっていきます。作品の良さを損なわないよう、十分配慮が必要だと感じました。夏の指導者研修運営補助は、一番印象に残りました。ワークによって考えるべき美術教育の一端を見ることができましたし、アートカードを使用したゲームを先生たちに提供した経験は、数少ない機会であったからです。実際にどうアートを感じてもらうか考える機会にも繋がりました。最後に、この研修で企画展の舞台裏を知ることができ、多くの作品に触れ、体験プログラムを通して作品に触れる人々の感じ方の違いも学ぶことができました。ありがとうございました。 E 工芸館・学芸全般 Nさん 学部でデザインについて学んでいたことも有り、工芸を主軸にデザインのコレクションを保有する工芸館でのインターンを希望しました。美術館の運営や作品の取り扱いなど、現場での実践を通じて学芸に携わる仕事がどのようなものなのか経験することができたのはもちろんのこと、美術館が教育の場としてどのような「役割」を担っているのか見直す研修となりました。工芸館は「タッチ&トーク」という独自の教育・鑑賞プログラムを行っています。このプログラムでは参加者は作品を見るだけでなく、実際に触ることで得た気づきを鑑賞につなげることで、さらに深く工芸の魅力を味わうことができます。今期はこのプログラムでガイドを務めるボランティアスタッフの養成研修が行われ、美術館教育に携わる人間を育む現場に立ち会うことができました。工芸館では教育に携わる人材育成も美術館が提供する教育プログラムの質に直結する重要な任務だとしています。インターン研修を通じて、知識や経験を増やすだけでなく、それを人々と共有する喜びと美術館教育の多面的な可能性を感じ、将来的に美術館で職を得たいという気持ちを一層強くいたしました。 F フィルムセンター・学芸全般 Tさん 私は6 月から9 月にかけての4 ヶ月間、フィルムセンターでのインターン研修を受けることとなりました。[中略]私が最初に配属されたのは情報資料室でした。情報資料室で与えられた仕事はプレス資料整理であり、寄贈された映画のチラシをNFCD と呼ばれるデータベースに入力するための準備作業でした。具体的には作品名や興行館名をExcelでまとめ、さらにテキストファイルにまとめるというものでした。映画のチラシは40~50 年ぐらい前のものから最近のもの、誰もが知る有名なものから知る人ぞ知るもの、邦画・洋画と様々な種類がありました。これらの名称等をExcelにまとめる作業は、修士論文の実験データを解析する際にExcel に打ち込む行為と似ているので、ある意味得意分野であり、さくさく進ませることができました。[中略]邦画だけ終わればよいと言われたところを、邦画どころか洋画の最後まで終わらせてしまいました。非常にキリがよく終わらせることができ、私はとても満足しました。またこの作業のほかにも図書室の書架にある昔のパンフレットの整理も行いました。このようにフィルム以外の資料に直接触れることができ、1 ヶ月と短い間でしたが楽しく情報資料室での研修を受けることができました。次に配属されたのは事業推進室でした。この部屋ではさまざまな種類の仕事をこなしました。NFC カレンダーに載せる作品のタイトルやスタッフ名の入力、雑誌や新聞に掲載されたフィルムセンターに関しての記事のファイリング、原稿の校正、等々。それらの仕事の中でも一番印象に残り楽しかったのがこども映画館に関するものでした。一般の子供連れの方々を招き行うこの上映会は、サークルの上映会と通ずるものがあり今回の研修で一番面白いイベントでした。私は当日使われる映像の制作などの準備を行い、上映会当日は会場の撮影と受付を担当しました。特に受付ではフィルムのプレゼントを行っていたので、子供たちのフィルムに対しての直の反応を見ることができました。フィルムどころかおそらくビデオも知らないであろう今の子供たちがフィルムをもらった時の、何だろうとキョトンとしたり、好奇心から目を輝かせたりする素直な反応は見てて面白く、このような姿を見ていると事業推進室の業務に共に参加できてよかったなと思いました。そして最後に配属されたのが映画室でした。映画室では基本的に保管されているVHS のラベルに書かれた番号をNFCDに入力する作業を行いました。パソコン作業という点では他の部屋と変わらないのですが、映画室では神奈川の相模原分館の見学やデジタル復元された作品の試写等、館外に出ることが非常に多かったです。相模原分館ではこのインターンを受けるきっかけとなったテレビ番組で取材していた実際のフィルムの保管庫を見ることができました。分館の新館は画面サイズやフィルム幅などの映画に関する物事をデザインに取り入れていて非常に綺麗な建物だと感じました。また保管庫内は一定温度湿度に保たれ、セキュリティは幾重にも敷かれており、私の想像以上にフィルムは厳重に守られているのだととても感心しました。さらに、重要文化財である「紅葉狩」のフィルムなど所蔵フィルムを見せていただき、貴重な体験をすることができました。またデジタル復元作品の試写では主に小津安二郎監督の「彼岸花」と「秋日和」の2 作品を観ることができました。[中略]後日レンタルDVD で改めて作品を観ましたが、試写で見たものとはまるで画質が異なりました。試写でのフィルムのほうが画質が圧倒的に優れており、フィルムがデジタルメディアに対し劣るものでは決してないことを実感しました。2 ヶ月間の映画室での研修は映画の良さ、そしてフィルムの良さを改めて知ることができました。[中略]フィルムを管理し整理し将来に残すことは、映画の文化を伝えることであり、そして文化とは先人たちが将来に伝える有形または無形の思いである。その思いに大小や優劣はあるかもしれないが、それを残さず遍く伝えることが後人たちの義務である。その義務の重要性を再確認できたこの研修は、私にとって非常に有益なものでありました。
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令和元(2019)年度 インターンシップ生のことば
A 学芸・コレクション Hさん 幼少期に東京国立近代美術館に足繁く通い、自分にとって身近な美術館だったということもありますが、学部の時から写真で作品制作をしていて、自分が行っている展示と、[美術館]の展示がどのように違うのかを知りたかったというのが、今回インターンに応募した理由の一つです。今まで感覚的要素の強い、言葉にできないような展示の見方だったものが、意識的な、自分の言葉ではっきりと考えられるような展示の見方になったことが、一年間で大きく変わった事です。 今年度は、コレクションのインターンが自分だけだったということもあり、写真室だけでなく、美術課の業務も携わる機会が多々ありました。写真室では、プリントスタディーの補助、作品の保管・管理に加え、収蔵作品を目の前で見させて頂くこともありました。作品がどう撮られ、作家のどのような意図が加わり、この一枚になったのか、作品を見ながら作品の中のことまで教えて頂くという、本当に貴重な経験になりました。美術課では、コレクションの会期が変わるタイミングでの図面制作、どの作品が出品されるのか、どこに戻されるのか、自分の作った図面で作業が行われるという、緊張感がありましたが、図面での見方と、実際の見方の変化などを間近で感じる事ができました。展示の入れ替え作業を、何度も見させて頂きました。 一年間、毎回毎回のインターン活動で、自分の中でいい方向に変わっていく感覚がありました。[学芸員]という視点が、遠いものではなく少し近いものなりました。その感覚を忘れずに、自分のこれからに生かしたいと思います。 B 学芸・企画展 Hさん 企画展が出来上がるまでの業務全般として、出展作品の調書や目録の作成、フォトショップなどを用いての作品画像の編集、カタログのテクスト翻訳や校正、出版社や印刷所との会議参加などを行いました。さらには美術館運営のフロー改善のために、日々企画展室に届き山積していく展覧会チラシやギャラリーからのDMなどの仕分け、これらを整頓するための什器やラベル作成なども行いました。いずれの業務も、カタログ制作に対する私自身の興味関心や技術的な能力について聞き取りながら提案していただけたことに、感謝の念でいっぱいです。私は多様な業務が並走するさまに目のまわる思いでしたが、担当学芸員の方々は事あるごとに連絡を綿密に取りあい、機転を利かせて難所を切り抜けて行かれました。できる作業はテキパキと、しかし紙面校閲やデザイン校正などの経験や感性が問題となるところは声をかけあってうーんと悩む。その然るべき減り張りは、講義室では味わえない濃密な時間のなかで、目と手と言葉を培ってくれました。 また研究や将来のことも相談でき、多くの学びや励ましをいただけたことも貴重な経験でした。これから学芸職への応募を控える身において、美術史や美学、博物館学ではなく外国語文学を専攻している私が、いかに視覚美術を語りうるかは喫緊の課題でした。展示替えの期間には職種や館の垣根を超えて、多くの学芸員さんとお話しする機会があり、専攻の強みを生かす助言の一方で、彼らが作品を配架する際の、順番や位置を次々と策定し千変万化の指示を出す、知識と経験と美的感性に裏打ちされた鮮やかな手さばきを見るにつけ、ビジュアル・シンキングの重要性を説得的に体感しました。この一年の経験は、必ずや私の人生選択の試金石となって、いつ振り返っても今後の励みの糧となることを確信しています。 B 学芸・企画展 Yさん 作品の媒体を問わない展覧会をつくることができるような美術館の学芸員になりたく、今回学芸・企画展のインターンとして業務を体験させていただきました。「学芸員になりたい!」という思いは昔から強く持っていましたが、いざその現場に立ち合わせていただくと、何もかもが驚きの毎日でした。 業務内容としては、主に今後行われる展覧会の資料作成、展示作業の見学等々を行いました。展覧会がどのように企画され、作品が選ばれ、展示をされ、運営されていくのか。また、学芸員の方々のどのような視点、思いを通過して展覧会が出来上がっていくのか。その現場を体験させていただいたことで、インターンを経験する以前の自分とは学芸員や展覧会に対する見方や考え方が変化しました。 自身の研究対象が音を扱う作品であることから、そのような作品を展示する難しさは重々承知していましたが、学芸員のみなさまから、いろいろな角度の的確なアドバイスをいただき、大変貴重な時間、知識を得ることができました。また、展覧会が作られる過程を見るなかで溢れ出てくる驚きや疑問に快くこたえていただき、学芸員の方々から学ぶことがたくさんありました。 美術館は美術を現代の人々の関心との関連のなかで捉え直す大切な場であるということを再確認し、学芸員の皆様の手によってこの空間ができあがっていることをひしひしと感じた1年間でした。 C 美術館教育 Mさん 学芸員を志す人は美術史や理論を学んでいる人が多く、大学で制作活動をしてきた私はコンプレックスを強く感じていました。また社会経験も少なく人前に立つことも苦手な性格だったので、美術館教育の現場で何か出来るのだろうかと半信半疑の中、1年間のインターン生活が始まりました。 インターンでは毎週、所蔵品ガイドの見学と、教育プログラムの補助をさせていただきました。後半からは教育プログラムの記録映像制作をさせていただきました。1年を通して、参加する立場・受け入れる立場・普及する立場といった3方向の体験ができたと感じています。所蔵品ガイドでは、何度も見た作品でもトーカーによって見え方が変わるため、日に日に作品への関心が増していきました。この奥深さを誰かに伝えたいという思いになった時、教育が教育に繋がるのだと何時も気付かされ、励まされました。その思いはプログラム運営へも繋がり、プログラムに迎えるこどもたちや参加者の方にも同じ体験をしてもらいたいという目標を持って準備や当日運営の補佐をすることができました。映像制作では、プログラム内容を客観的によく振り返り、どんなところを見せていくのか学芸員の方にアドバイスをいただきながら、制作していきました。 こうして振り返ると、たくさんの経験をさせていただいたと同時に、自分のミスや欠点に落ち込むことも多くありました。しかし職員の皆様は何時も真摯に私と向き合ってくださり、失敗をした時も次はもっといい働きをしようと前向きに活動に取り組むことができました。東近美で得たこの気持ちと学びを忘れず、よりよい教育者になれるようこれからも精進いたします。1年間ありがとうございました。 E 工芸館 Oさん インターンでは、多岐に渡る学芸業務の入り口を経験させていただきました。キャプションの試作、展示室の照明、寄贈作品の記録や埃の除去等を行い、学芸員には広汎な知識や洗練されたセンスだけでなく、手先の器用さ、体力も求められると実感しました。 更に工芸作品の魅力を写真家の眼を通して引き出す撮影、また自身の作品を寄贈された作家の深い理解と協力に基づくタッチ&トーク、さらには所蔵品展「パッション20」でのギャラリートークでは、作家と館が協働することで、館の活動が高度化する現場を体感できました。 またガイドスタッフ、監視・警備・清掃を担う方々と関わる機会もあり、各自の仕事や学芸員との連携を知ったことで、おぼろげながらも、館の運営という包括的な視野を持てたのではと思っています。警備担当の方から温かい声をかけていただいたこともあり、お客様だけでなく、共に館を支える方々に対して、自分はどんな貢献ができるかを考えるようにもなりました。 この一年間で得た学びと感動を糧に、将来学芸員として作家・作品・お客様のために尽くしていきたいという思いを強くしました。今後はインターンを通して見えてきた私の課題、事務能力と注意力の欠如を改善し、学芸員になるための努力を重ねていきます。 インターンで関わった皆様には大変お世話になりました。心より感謝申し上げます。ありがとうございました。 E 工芸館 Fさん 今まで工芸の分野に携わることの少なかった私にとって、この一年間のインターン活動は大変有意義な体験でした。学芸員の授業を履修している時は、理論から実習までさまざまな知識を身につけてきましたが、工芸館という場で、私は理論を踏まえて現場で活動することで、さらにより多くのものを勉強することができました。 大学では体験・実践できないこと、作品の扱い方から保管資料の整理や展覧会準備補助まで、また教育普及プログラムの参加やサポートなど、たくさんのことを間近で経験させていただきました。 その中でも、教育普及に関わる夏のイベントはとても印象的でした。「こどもタッチ&トーク」に参加する時に、私も子供たちと同じ新鮮な気分でした。大人とはまた違って、子供たちの斬新な視点からの感想や発見など、自分にとっても勉強になりました。芸術は本当に身近なものであることを実感しました。新しいことを体験し、さらに興味を持つことになる。それこそが教育普及プログラムの意味でしょう。 これまで学んだことを今後も活かし、さらなる成長を目指し努めて参ります。 一年間本当ににありがとうございました。
