展覧会

会期終了 企画展

生誕120年 小野竹喬展

会期

会場

東京国立近代美術館本館企画展ギャラリー

展覧会について

小野竹喬(おの ちっきょう 1889-1979)は、1918(大正7)年に京都で設立された国画創作協会のメンバーの一人として、日本画の新しい表現を模索したことで知られます。他方、後年には、温雅な色彩と簡潔なかたちを特徴とする画風を打ち立て、「風景の中にある香りのようなもの」(画家のことば)を画面にとらえようと、さりげない自然の表情に眼を向け続けました。
本展覧会は竹喬の生誕120年を記念し、初公開作品11点を含む本制作119点とスケッチ52点により、およそ75年にわたる創作活動を回顧するものです。本展では“色”に重きをおく作画へと転じた1939(昭和14)年頃を大きな転換期とみなし、それを境に竹喬の作品を2章に分けて紹介します。また、各章にそれぞれ「竹喬の渡欧」、「奥の細道句抄絵」と題した特集展示を設け、竹喬の生涯と作品に迫ります。

会期中、一部の作品を展示替します。
前期:3月2日-3月22日
後期:3月24日-4月11日

ここが見どころ

10年ぶりの大回顧展

1999年におこなわれた生誕110年・没後20年記念展以来、10年ぶりとなる大回顧展です。記念展にふさわしく、本画119点、スケッチ52点の出品は過去最大。

11点の新出作品

この10年の間に確認された作品もありました。本展では11点の新出作品を紹介します。

《奥の細道句抄絵》10点すべてが一堂に

晩年の代表作《奥の細道句抄絵》(1976年 京都国立近代美術館蔵)10点すべてがずらりと並びます。これもやはり東京では10年ぶり。さらに参考資料として、この10点に付属する竹喬直筆の短冊を紹介します。東京会場のみの特別出品です。

解説を多くつけました

作家と作品についてより詳しく、深く知りたい人に向けて、解説の多いカタログを作りました。章解説2本、特集展示解説2本、作品解説39本、コラム9本、テキスト3本。参考資料も満載です。

音声ガイドは竹下景子さん

音声ガイドは女優の竹下景子さんによるやさしい語りです。
(有料500円)

展覧会構成

第1章 写実表現と日本画の問題

1903年-1938年
竹喬は1903年に京都の竹内栖鳳に入門しました。西洋近代絵画の写実表現をとりいれた栖鳳の制作に学びながら、自らも西洋絵画のエッセンスを貪欲にとりこんでゆきました。この時期、竹喬をとらえたのは<写実>でした。それは技法だけの問題ではなく、いかに自然の真実をつかむかという問題でもあったため、竹喬は東洋の南画や、竹喬と同時代の画家たちの作品にも学びながら、画風を変化させてゆきます。
1918年、竹喬は土田麦僊らとともに国画創作協会を立ち上げます。しかし、やがて日本画材で写実を追及することに困難を覚えるようになります。1921年からの約1年のヨーロッパ旅行をはさみ、竹喬は東洋絵画における線の表現を再認識することになり、線描と淡彩による南画風の表現に到達します。

特集展示Ⅰ 竹喬の渡欧

竹喬は国画創作協会の仲間である土田麦僊、野長瀬晩花、そして洋画家の黒田重太郎とともに、1921年にヨーロッパへと出発しました。日本画家がヨーロッパで学びたかったものとは何だったのでしょう。この特集展示では、黒田の「芸術巡礼紀行」連載の挿図のために、竹喬と麦僊が描いたスケッチを紹介します。

第2章 自然と私との素直な対話

1939年-1979年
1939年頃から竹喬の画風には変化が現れます。新しい画風は、色の面によって対象を把握し、かつ日本画の素材を素直に活かそうとするものでした。この時期、竹喬は大和絵の表現を手本とし、線も色も古い大和絵に学ぼうとしたのです。
この転換はその後の竹喬作品の方向性を決定づけました。それ以降、竹喬はおおらかで単純な形と温雅な色彩を特徴とする表現を深めます。そして「風景の中にある香りのようなもの」をとらえようと無心の境地で自然と向き合うことで、ゆるぎない独自の世界を確立してゆきます。

特集展示Ⅱ 奥の細道句抄絵

10点からなる《奥の細道句抄絵》は竹喬晩年の代表作です。竹喬はこの作品で、江戸時代の俳人、松尾芭蕉の『おくのほそ道』をもとに、その句意を絵にしようと試みました。この特集展示では、この連作を制作するために竹喬がおこなったスケッチや下図など10点を、《奥の細道句抄絵》全10点とともに紹介します。

作家紹介

1889年 11月20日、現在の岡山県笠岡市に生れる。
1903年 京都に出て竹内栖鳳に入門。
1909年 京都市立絵画専門学校が設立され、別科に入学。
1916年 文展で特選受賞。
1918年 土田麦僊、野長瀬晩花、村上華岳、榊原紫峰と国画創作協会を設立。
1921年 黒田重太郎、土田麦僊、野長瀬晩花とともに渡欧。翌年帰国。
1928年 国画創作協会展解散。翌年、帝展に復帰。
1947年 京都市立美術専門学校の教授となる。
1950年 京都市立美術専門学校が京都市立美術大学にかわり、53年まで教授をつとめる。
1958年 社団法人日展の常務理事となる。
1968年 文化功労者の表彰を受ける。
1969年 京都市美術館で「小野竹喬回顧展」開催。
1976年 朝日新聞社主催「小野竹喬 奥の細道句抄絵展」開催。11月、文化勲章受章。
1979年 5月10日、逝去。

イベント情報

ギャラリー・トーク

日時

2010年3月6日(土)15:00-16:00
2010年3月12日(金)18:00-19:00
2010年3月19日(金)18:00-19:00

場所

企画展ギャラリー(1F)

担当

鶴見香織(当館主任研究員)

申込不要、参加無料(要観覧券)

小野竹喬展開催記念 俳句コンテスト

自ら俳句に親しみ、松尾芭蕉の「おくのほそ道」を絵にした小野竹喬にちなんだ俳句イベントです。

たくさんのご応募をありがとうございました。
黛まどか氏、石寒太氏による選考を経て、最優秀作品を含む約20句を小野竹喬展会場内に掲示します。
3月20日(土)~4月11日(日)を予定しています。

募集期間

3月2日(火)~3月7日(日)

場所

企画展ギャラリー(1F)

選者

黛まどか(俳人)、石寒太(「炎環」主宰、「俳句αあるふぁ」編集長)

俳句コンテスト記念トーク

俳句コンテストを記念した、選者によるトークイベントです。
トークの終わりに、俳句コンテストの講評をおこないます。

日程

3月22日(月・振休)

時間

14:00-15:30

場所

講堂(B1F)

講師

黛まどか(俳人)、石寒太(「炎環」主宰、「俳句αあるふぁ」編集長)

定員

130名(要申込・聴講無料)

申込方法

郵便往復はがきの「往信用裏面」に郵便番号・住所・氏名(ふりがな)・電話番号を、「返信用表面」に郵便番号・住所・氏名を明記の上、下記広報事務局までお申し込みください

申込締切

3月8日(月)【消印有効】

※一枚のはがきで2名まで申込可。2名の場合は「往信用裏面」にもう1名の氏名もご記入ください。
※応募多数の場合は、抽選のうえ聴講券をお送りします。

申込・問合せ

〒102-0083 東京都千代田区麹町3-7
「小野竹喬展」広報事務局(ピーアールコンビナート内)
「俳句コンテスト記念トーク」係
電話:03-3263-5637

こども鑑賞プログラム 絵から感じる五七五

閉館後の美術館で竹喬作品をじっくり鑑賞。好きな絵を見つけて、自分のイメージを五七五に思いのままに表します。

日時

3月29日(月) 16:30-18:15

対象

小学校3~6年生

定員

32名(要事前申込、抽選)

参加費

無料(ただし高校生以上の付添の方は観覧券が必要です)

申込方法

郵便往復はがきの「往信用裏面」に郵便番号・住所・氏名(ふりがな)・学年・電話番号を、「返信用表面」に郵便番号・住所・氏名を明記の上、下記広報事務局までお申し込みください。

申込締切

3月8日(月)【消印有効】

※一枚のはがきで2名まで申込可。2名の場合は「往信用裏面」にもう1名の氏名・学年もご記入ください。
※応募多数の場合は、抽選のうえ参加券をお送りします。

申込・問合せ

〒102-0083 東京都千代田区麹町3-7
「小野竹喬展」広報事務局(ピーアールコンビナート内)
「こども鑑賞プログラム」係
電話:03-3263-5637

関連企画 教職員鑑賞プログラム
「小野竹喬展」先生のための鑑賞講座(講演+展覧会観覧)

*学校教職員が対象のプログラムです

日程

2010年3月5日(金)

時間

(講演)18:00-19:00/(展覧会観覧)16:00-20:00

カタログ情報

開催概要

会場

東京国立近代美術館 企画展ギャラリー

会期

2010年3月2日(火)~4月11日(日)
会期中、一部の作品を展示替します。
前期:3月2日-3月22日
後期:3月24日-4月11日

開館時間

10:00-17:00 (金曜日は10:00-20:00)
※入館は閉館30分前まで

休室日

月曜日[2010年3月22日と3月29日は開館]、3月23日(火)

観覧料

一般 1300円(1100/900円) 
大学生900円(800/600円) 
高校生400円(300/200円)
※( )内は前売/20名以上の団体料金。いずれも消費税込。

中学生以下、障害者手帳をお持ちの方とその付添者(1名)は無料。
※それぞれ入館の際、学生証等の年齢の分かるもの、障害者手帳等をご提示ください。
※本展の観覧料で、当日に限り「水浴考」(ギャラリー4、2F)、所蔵作品展「近代日本の美術」(所蔵品ギャラリー、4-2F)、工芸館所蔵作品展「近代工芸の名品―花」(工芸館)もご観覧いただけます。
※お得な前売券は12月1日から3月1日まで発売。

主催

東京国立近代美術館、毎日新聞社、NHK、NHKプロモーション

協賛

日本写真印刷、毎日ビルディング

巡回

大阪市立美術館 2009年11月3日~12月20日
笠岡市立竹喬美術館 2010年1月3日~2月14日

Page Top