東京国立近代美術館
―― 「ここではないどこか」を生きるための10のレッスン
03/10/28-12/21
Traveling: Towards the Border
写真・映像・インスタレーション・絵画など約70点による展覧会
会期: 2003(平成15)年10月28日(火)〜12月21日(日)
会場: 東京国立近代美術館 企画展ギャラリー(1階)
*巡回の予定はありません
開館時間: 午前10時〜午後5時(入場は午後4時30分まで)
夜間開館:金曜日は午後8時まで(入場は午後7時30分まで)
休館日 月曜日(ただし11月3日、24日は開館、翌日休館)
主催: 東京国立近代美術館
助成: モンドリアン財団
協賛: コニカミノルタ
協力: 日本航空、吉野石膏株式会社
観覧料:
一般850(700/600)円
大学生450(350/250)円
高校生250(150/100)円 
小・中学生無料
旅展 割引引替券
プリントアウトしたこのページを、 チケット売場へお渡しください。 下記の料金でご観覧いただけます。

*お一人様一枚につき一回限り。
*他の割引との併用はできません。

一 般850円→800円
大学生450円→400円
高校生250円→200円

  • ( )内は前売/20名以上の団体料金の順。 いずれも消費税込み。なお前売はチケットぴあ、ファミリーマート、セブンイレブン、サンクスにて10月27日まで取り扱いいたします。

  • 旅展の観覧券で、当日に限り、以下の展覧会をご覧いただけます
    • 「あかり:イサム・ノグチが作った光の彫刻」(美術館2階 ギャラリー4にて12月21日ま で開催)
    • 「所蔵作品展 近代日本の美術」(美術館2-4階 所蔵品ギャラリーにて開催)
    • 「現代の木工家具:スローライフの生活とデザイン」(11月30日まで東京国立近代美術館 工芸館にて開催)

  • 11月3日は無料観覧日です

今日、数えきれない人々が、観光で、ビジネスで、世界中を旅しています。さまざまな理由で、移民や難民、亡命者として国境を越える人々も、大変な数にのぼります。旅する者が探し求める、日常のかなたにあるはずの「ここではないどこか」。また、亡命者が、今住む異郷ではなく、あとにしてきた故郷として思いをよせる「ここではないどこか」。いまや私たちの多くが、何らかのかたちで、旅や移動によって育まれる「ここではないどこか」への思いを持っているような気がします。

では、こうして「ここではないどこか」を心のうちに抱えて生きることは、私たちに一体何をもたらしてくれるのでしょう。

旅に出て、日常から遠ざかるにつれ、ありふれたものが、まるで初めて見るもののように目に突き刺さってくる。そんな経験を誰もが一度はしたことがあるのではないでしょうか。住み慣れた環境から身を引き離すと、世界が新鮮な色やかたちをまとって立ち上がってきます。感覚はとぎすまされ、もっともよく知ったはずの自分すら、見知らぬもののように新しい姿で現れてくるのを感じます。こうして旅を通して得た新しい世界への感覚は、やがて今いるここさえ「ここではないどこか」に変えてしまう力を持ち始めます。

美術作品もまた、いながらにして遠いところへとわたしたちを投げ出してしまう、旅にも似た力を持っています。旅立つ友人に贈られた詩人手製のパスポート。期待と倦怠がただよう空港の情景。ニューヨークの片隅で夢見られた異空間のホテル。10人の作家による約70点の作品は、あなたにきっと「ここではないどこか」を生きるための旅の力を、深く与えてくれるでしょう。

ギャラリートーク・講演会
10月28日(火)13:00-14:00大岩オスカール幸男
11月01日(土)13:00-14:00エリック・ファン・リースハウト *通訳つき
11月13日(木)14:30-15:30堀江敏幸(作家、仏文学者)「読書と旅」 *要申込
11月21日(金)18:00-19:00蔵屋美香(本展企画者)
12月06日(土)13:00-14:00雄川愛+蔵屋美香
12月07日(日)13:45-15:30松澤宥(パフォーマンス)+巌谷國士(講演) *要申込
12月12日(金)18:00-19:00渡辺剛

いずれも聴講無料(観覧料が必要)/11月13日、12月7日以外は申込不要

[11月13日、12月7日申込方法]
往復はがきに聴講希望日・住所・氏名・電話番号をご記入の上、次の宛先までご応募ください。なお一通あたり一回の申し込み、応募多数の場合は抽選となります。応募締切は2003年10月31日、当日消印有効です。

〒102-8322
東京都千代田区北の丸公園3−1
東京国立近代美術館 旅展イベント係

ジョゼフ・コーネルJoseph CORNELL
[1903-1972 America]

ジョゼフ・コーネル
《無題(旅人ホテル:アポリナリス)》
1951年
雅陶堂ギャラリー蔵

ニューヨーク州ナイアック生まれ。1931年の末頃から作品を制作しはじめる。コラージュやアッサンブラージュを用いる作品は、《無題(旅人ホテル:アポリナリス》に見られる「Apollinaris」の文字が詩人アポリネールの本名(ヴィルヘルム・アポリナリス・デ・コストロヴィツキ)を想起させるように、詩や文学と精神的に近い。自身はほとんど旅をしなかったコーネルにとって、ホテルは、人や物の「一期一会」が可能となる場として重要な意味を持っており、ボックス・コンストラクションのシリーズのなかでも重要なテーマとなっている。

出品作品:《無題 (旅人ホテル:アポリナリス)》 1951年 雅陶堂ギャラリー蔵

ペーター・フィッシュリ&ダヴィッド・ヴァイスPeter FISCHLI and David WEISS
[Fischli: 1952- / Weiss: 1946- Switzerland photography]

ペーター・フィッシュリ
&ダヴィッド・ヴァイス
《無題(チューリッヒ 緑の線)》
1997/2000年
ハウザー&ヴィルト・コレクション
(ザンクト・ガレン)

共にチューリッヒ生まれ、在住。世界各地で撮影した2800枚のスライドからなる作品《視覚世界》のように、彼らの関心は、地政学的な差異を剥奪した風景がいかなる意味を持ちうるかという点にある。出品作は、世界各地の空港で、待機中の飛行機を撮影した大型写真のシリーズ。離陸前とも着陸後ともわからぬ巨大な物体、それを「飛行」機と呼ぶにはもはやはばかられるが、実際、こうした風景を通過することなく今日の「旅」が成就することはないのである。

出品作品:シリーズ「エアポート」より7点 写真
リオ・デジャネイロ(エール・フランス)/シドニー(カンタス)*/東京/ロンドン(ブリティッシュ・エアー) /ロンドン(エアー・ヨーロッパ)*/チューリッヒ(ルフトハンザ)* /チューリッヒ(緑の線)*
*はハウザー&ヴィルト・コレクション(ザンクト・ガレン)、それ以外は協力:マシュー・マークス・ギャラリー(ニューヨーク)

雄川 愛Ai OGAWA
[1971- Japan installation]

小粥丈晴+雄川愛
《97.2.8》
1997年
提供:TARO NASU GALLERY
*出品作品ではありません

熊本県生まれ。97年より東京で小粥丈晴と共同制作を始める。2001年の初個展以降、「どこにも存在しない場所をめぐる旅」として制作を続ける。架空の風景を精巧に作った模型を写真に写し、場所をめぐる記憶の(不)確かさを指摘した作品で注目を集めた。今回出品される《New World》は、はじめて雄川単独でクレジットされる新作のインスタレーション。闇の中に浮かぶ巨大な立体と超越的なまばゆい光が、観る者を、静かに、圧倒する。

出品作品:《New World》 2003年 石膏等によるインスタレーション *新作
雄川愛《New World》カタログ用図版ダウンロード

大岩オスカール幸男Oscar Satio OIWA
[1965- Brazil painting]

大岩オスカール幸男
《ガーデニング(マンハッタン)》
2002年
作家蔵

ブラジル、サンパウロ市生まれ。1989年サンパウロ大学建築学部卒業。現在ニューヨーク在住。日系ブラジル人二世として生まれ、サンパウロ、東京、ニューヨークと、世界有数の都市を制作の拠点としてきた。絵画、立体、インスタレーションとジャンルを問わない彼の作品は、都市で生きる夢と現実とを織りまぜた風景を、シニカルさとユーモアをあわせもちつつ表現する。出品作は、壁画的とも言える彼独特の規模とパースペクティブを持つ絵画で、9.11後、あるいはイラク戦争最中でのニューヨークで制作された新作である。

出品作品:絵画4点。 *全て新作
《ガーデニング(マンハッタン)》 2002年 油彩・キャンバス 作家蔵
《虹》 2003年 油彩・キャンバス 作家蔵
《ガーデニング(平和への道)》 2003年 油彩・キャンバス 作家蔵
《WWW.Com》 2003年 油彩・キャンバス 作家蔵

小野博Hiroshi ONO
[1971- Japan photogpraphy]

小野博
《When Tomorrow Comes #8》
2003年
作家蔵

岡山県生まれ。1996年多摩美術大学彫刻科卒業。現在アムステルダム在住。世界各地を旅しながら撮影を行ってきた小野は、さまざまな土地の情景をひとつの地平線でつないだ《地球の線》(1997年、コニカ奨励賞受賞)などで注目された。今回の新作では、相互に関係のない土地を写した2枚の写真が一対に組み合わされる。そこに、異なってはいても人間が暮らす環境としてどこか通じている、しかし似ているようで違和感がある、そんな土地同士の響きあいを読み取ることができる。

出品作品:《When Tomorrow Comes》 2003年 写真 25点 作家蔵 *新作

瀧口修造Shuzo TAKIGUCHI
[1903-1979  Japan drawing]

瀧口修造
《武満徹宛 リバティ・パスポート》
1964年
武満浅香氏蔵
提供:世田谷文学館

富山県生まれ。詩人であり評論家であり作家である瀧口が、日本の近現代美術に与えた影響は、シュルレアリスムや実験工房を挙げるまでもなく、計り知れない。出品作は、友人が異国に行く際に瀧口が渡した手製のパスポート。旅行者にとって身分が「自由」となるパスポートによって所有者は、各地で様々な人々――自由な精神を持つ人々との交流を深めることとなった。なお今年は生誕100年にあたる。

《リバティ・パスポート》 1960-70年代 ドローイング等

大岡信宛(1963年)/武満徹宛(1964年)/秋山邦晴宛 (1965年)/田辺徹宛 (1965年)/加納光於宛 (1967年)/飯島耕一宛(1970年)/タージ・マハール旅行団宛 (1971年)/松澤宥宛 (1971年)/石井満隆宛 (1972年)/岡崎和郎宛(1977年)/芦川羊子宛(1978年)/巌谷國士宛(1979年)

エリック・ファン・リースハウトErik VAN LIESHOUT
[1968-  Netherlands DVD installation]

エリック・ファン・リースハウト
《ラリアム》
2001年
フローニンゲン美術館蔵

デュルン(Durne)生まれ。現在ロッテルダム在住。今年のヴェネチア・ビエンナーレでも話題を呼んだファン・リースハウトは、今オランダで最も注目される若手の一人。日本では初めてストリート感覚あふれる彼の作品を紹介する。出品作は抗マラリア薬の名前をタイトルに冠した映像インスタレーション。巨大なダンボール箱の中に入ると、作家がガーナに赴いてしかけたラップ・パーティの映像が上映されている。ガーナの人々と作家の交流の中に、旅についてのさまざまなイメージが浮かび上がってくる。

出品作品:《ラリアム》 2001年 DVDインスタレーション  フローニンゲン美術館蔵

ビル・ヴィオラBill VIOLA
[1951- America video installation]

ビル・ヴィオラ
《十字架の聖ヨハネの部屋》
1985年
ロサンジェルス現代美術館蔵
(エルパソ・カリフォルニアアート基金)

ニューヨーク生まれ。現在、ロング・ビーチ在住。作曲家デヴィット・チュードアの知遇を得て高まった音への関心、またテレビ制作に関わった際に高まった四大元素や宗教的主題への関心を根底に、映像作品を制作する。今回出品される《十字架の聖ヨハネの部屋》は、60年代以降、神秘主義者として広く知られるようになった「十字架の聖ヨハネ」の詩と生涯に着想を得た映像インスタレーション。激しさもある白黒の山の映像は、密室に幽閉された状況で見られた内的風景である。そこでは旅が、いながらにして可能になっている。

出品作品:《十字架の聖ヨハネの部屋》 1983年 ヴィデオ・インスタレーション ロサンジェルス現代美術館蔵(エルパソ・カリフォルニアアート基金)

渡辺剛Go WATANABE
[1954-   Japan photography + installation]

渡辺剛「Border and Sight」より
《Switzerland - France #3》
1998年
作家蔵
*出品作品ではありません

東京生まれ。現在、東京在住。時には自然の地形にそって、また時には全く恣意的に定められる国境や境界の様々な姿を写したシリーズ「Border and Sight」で注目される。今回は同シリーズから約2点が出品されるほか、日本人の意識上の国境とも言える日本列島の海岸線を写したインスタレーション的作品《Japan 5-O》と、新作の写真《Community》が展示される。

出品作品:
「Border and Sight」より 《Federation of Bosnia and Herzegovina(Sarajevo) - Republika Srpska(Sarajevo) #2 2001》 写真 2001年
「Border and Sight」より 《Slovakia - Hungary #1   2000》 写真 2000年
《Japan 5-O》 2002年 インスタレーション
《Community》  2003年   写真   新作2点

安井仲治Nakaji YASUI
[1903-1942 Japan photography]

安井仲治
「流氓ユダヤ」より
《題名不詳 (顔 2)》
1941年
兵庫県立美術館寄託

大阪生まれ。1930年代のモダニズム写真運動を代表する写真家のひとり。今回出品される《流氓(るぼう)ユダヤ》は、安井の代表作のひとつで、1941年、ナチスの迫害を逃れてヨーロッパから亡命する際、一時神戸に滞在したユダヤの人々を捉えたものである。暗い画面の中、不安げなまなざしや身振りの交差による静かなドラマが繰り広げられる。大戦前夜、国を追われた人々の姿の向こうに、流動する世界情勢を肌で感じとった写真家の衝撃が伝わってくる。

《流氓ユダヤ》より7点 1941年 兵庫県立美術館寄託



*出品作品は、変更される場合があります。


ギャラリートーク/ギャラリーツアー/講演会/パフォーマンスのお知らせ

出品作家によるギャラリートーク(全4回)
ギャラリーツアー(全1回)
関連講演会・パフォーマンス(全2回)

出品作家によるトーク

10月28日(火) 13:00-14:00
大岩オスカール幸男
企画展ギャラリー(1階)
聴講無料(観覧料が必要)
申込不要・集合はギャラリー入口

11月1日(土) 13:00-14:00
エリック・ファン・リースハウト
講堂(本館地下1階)
聴講無料・通訳つき
申込不要
*この回は、作品の性格上、会場内でトークができませんので講堂でおこないます。

12月6日(土) 13:00-14:00
雄川愛+蔵屋美香(本展企画者)
講堂(本館地下1階)
聴講無料
申込不要
*この回は、作品の性格上、会場内でトークができませんので講堂でおこないます。また雄川氏の希望により、スライドを見ながら、本展企画者と対談する形式となります。

12月12日(金) 18:00-19:00
渡辺剛+蔵屋美香
企画展ギャラリー(1階)
聴講無料(観覧料が必要)
申込不要・集合はギャラリー入口

ギャラリーツアー

11月21日(金) 18:00-19:00
蔵屋美香(本展企画者)
企画展ギャラリー(1階)
聴講無料(観覧料が必要)
申込不要・集合はギャラリー入口

講演会・パフォーマンス

11月13日(木) 14:30-15:30
講演 「読書と旅について」
堀江敏幸(作家、仏文学者)
講堂(本館地下1階)
聴講無料(観覧料が必要:旅展チケットの半券をご提示ください)
要事前申込:往復はがきに聴講希望日・住所・氏名・電話番号をご記入の上、次の宛先までご応募ください。なお一通あたり一回の申し込み、応募多数の場合は抽選となります。応募締切は2003年10月31日、当日消印有効です。 
〒102-8322 東京国立近代美術館 旅展イベント係

12月7日(日) 13:45-16:00 
*都合により講演会の終了時間が変更になりました。ご了承ください。

パフォーマンス「最後の旅」+講演「旅…最後のリバティ・パスポート」
松澤宥(パフォーマンス)+巖谷國士(講演)
講堂(本館地下1階)
聴講無料(観覧料が必要:旅展チケットの半券をご提示ください)
要事前申込:往復はがきに聴講希望日・住所・氏名・電話番号をご記入の上、次の宛先までご応募ください。なお一通あたり一回の申し込み、応募多数の場合は抽選となります。応募締切は2003年10月31日、当日消印有効です。 
〒102-8322 東京国立近代美術館 旅展イベント係

講演会追加募集は11月30日(日)で締め切りました。
*満席となりましたので、当日の参加受付・キャンセル待ち等はございません。
*お申込みをされた方で、12月4日(木)の時点で返信がない場合は、お手数ですが下記までご連絡ください。

「旅」展イベント係
・ファックス(03-3214-2576)
・eメール(koen@momat.go.jp)

カタログ用図版[PDFファイル]

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