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旅
―― 「ここではないどこか」を生きるための10のレッスン
03/10/28-12/21
Traveling: Towards the Border
写真・映像・インスタレーション・絵画など約70点による展覧会
展覧会趣旨
今日、数えきれない人々が、観光で、ビジネスで、世界中を旅しています。さまざまな理由で、移民や難民、亡命者として国境を越える人々も、大変な数にのぼります。旅する者が探し求める、日常のかなたにあるはずの「ここではないどこか」。また、亡命者が、今住む異郷ではなく、あとにしてきた故郷として思いをよせる「ここではないどこか」。いまや私たちの多くが、何らかのかたちで、旅や移動によって育まれる「ここではないどこか」への思いを持っているような気がします。 では、こうして「ここではないどこか」を心のうちに抱えて生きることは、私たちに一体何をもたらしてくれるのでしょう。 旅に出て、日常から遠ざかるにつれ、ありふれたものが、まるで初めて見るもののように目に突き刺さってくる。そんな経験を誰もが一度はしたことがあるのではないでしょうか。住み慣れた環境から身を引き離すと、世界が新鮮な色やかたちをまとって立ち上がってきます。感覚はとぎすまされ、もっともよく知ったはずの自分すら、見知らぬもののように新しい姿で現れてくるのを感じます。こうして旅を通して得た新しい世界への感覚は、やがて今いるここさえ「ここではないどこか」に変えてしまう力を持ち始めます。 美術作品もまた、いながらにして遠いところへとわたしたちを投げ出してしまう、旅にも似た力を持っています。旅立つ友人に贈られた詩人手製のパスポート。期待と倦怠がただよう空港の情景。ニューヨークの片隅で夢見られた異空間のホテル。10人の作家による約70点の作品は、あなたにきっと「ここではないどこか」を生きるための旅の力を、深く与えてくれるでしょう。
ギャラリートーク・講演会
いずれも聴講無料(観覧料が必要)/11月13日、12月7日以外は申込不要 [11月13日、12月7日申込方法] 〒102-8322 ジョゼフ・コーネルJoseph CORNELL
[1903-1972 America]
![]() ジョゼフ・コーネル 《無題(旅人ホテル:アポリナリス)》 1951年 雅陶堂ギャラリー蔵 ニューヨーク州ナイアック生まれ。1931年の末頃から作品を制作しはじめる。コラージュやアッサンブラージュを用いる作品は、《無題(旅人ホテル:アポリナリス》に見られる「Apollinaris」の文字が詩人アポリネールの本名(ヴィルヘルム・アポリナリス・デ・コストロヴィツキ)を想起させるように、詩や文学と精神的に近い。自身はほとんど旅をしなかったコーネルにとって、ホテルは、人や物の「一期一会」が可能となる場として重要な意味を持っており、ボックス・コンストラクションのシリーズのなかでも重要なテーマとなっている。 出品作品:《無題 (旅人ホテル:アポリナリス)》 1951年 雅陶堂ギャラリー蔵 ペーター・フィッシュリ&ダヴィッド・ヴァイスPeter FISCHLI and David WEISS
[Fischli: 1952- / Weiss: 1946- Switzerland photography]
![]() ペーター・フィッシュリ &ダヴィッド・ヴァイス 《無題(チューリッヒ 緑の線)》 1997/2000年 ハウザー&ヴィルト・コレクション (ザンクト・ガレン) 共にチューリッヒ生まれ、在住。世界各地で撮影した2800枚のスライドからなる作品《視覚世界》のように、彼らの関心は、地政学的な差異を剥奪した風景がいかなる意味を持ちうるかという点にある。出品作は、世界各地の空港で、待機中の飛行機を撮影した大型写真のシリーズ。離陸前とも着陸後ともわからぬ巨大な物体、それを「飛行」機と呼ぶにはもはやはばかられるが、実際、こうした風景を通過することなく今日の「旅」が成就することはないのである。 出品作品:シリーズ「エアポート」より7点 写真 雄川 愛Ai OGAWA
[1971- Japan installation]
![]() 小粥丈晴+雄川愛 《97.2.8》 1997年 提供:TARO NASU GALLERY *出品作品ではありません 熊本県生まれ。97年より東京で小粥丈晴と共同制作を始める。2001年の初個展以降、「どこにも存在しない場所をめぐる旅」として制作を続ける。架空の風景を精巧に作った模型を写真に写し、場所をめぐる記憶の(不)確かさを指摘した作品で注目を集めた。今回出品される《New World》は、はじめて雄川単独でクレジットされる新作のインスタレーション。闇の中に浮かぶ巨大な立体と超越的なまばゆい光が、観る者を、静かに、圧倒する。 出品作品:《New World》 2003年 石膏等によるインスタレーション *新作 大岩オスカール幸男Oscar Satio OIWA
[1965- Brazil painting]
![]() 大岩オスカール幸男 《ガーデニング(マンハッタン)》 2002年 作家蔵 ブラジル、サンパウロ市生まれ。1989年サンパウロ大学建築学部卒業。現在ニューヨーク在住。日系ブラジル人二世として生まれ、サンパウロ、東京、ニューヨークと、世界有数の都市を制作の拠点としてきた。絵画、立体、インスタレーションとジャンルを問わない彼の作品は、都市で生きる夢と現実とを織りまぜた風景を、シニカルさとユーモアをあわせもちつつ表現する。出品作は、壁画的とも言える彼独特の規模とパースペクティブを持つ絵画で、9.11後、あるいはイラク戦争最中でのニューヨークで制作された新作である。 出品作品:絵画4点。 *全て新作 小野博Hiroshi ONO
[1971- Japan photogpraphy]
![]() 小野博 《When Tomorrow Comes #8》 2003年 作家蔵 岡山県生まれ。1996年多摩美術大学彫刻科卒業。現在アムステルダム在住。世界各地を旅しながら撮影を行ってきた小野は、さまざまな土地の情景をひとつの地平線でつないだ《地球の線》(1997年、コニカ奨励賞受賞)などで注目された。今回の新作では、相互に関係のない土地を写した2枚の写真が一対に組み合わされる。そこに、異なってはいても人間が暮らす環境としてどこか通じている、しかし似ているようで違和感がある、そんな土地同士の響きあいを読み取ることができる。 出品作品:《When Tomorrow Comes》 2003年 写真 25点 作家蔵 *新作 瀧口修造Shuzo TAKIGUCHI
[1903-1979 Japan drawing]
![]() 瀧口修造 《武満徹宛 リバティ・パスポート》 1964年 武満浅香氏蔵 提供:世田谷文学館 富山県生まれ。詩人であり評論家であり作家である瀧口が、日本の近現代美術に与えた影響は、シュルレアリスムや実験工房を挙げるまでもなく、計り知れない。出品作は、友人が異国に行く際に瀧口が渡した手製のパスポート。旅行者にとって身分が「自由」となるパスポートによって所有者は、各地で様々な人々――自由な精神を持つ人々との交流を深めることとなった。なお今年は生誕100年にあたる。 《リバティ・パスポート》 1960-70年代 ドローイング等 エリック・ファン・リースハウトErik VAN LIESHOUT
[1968- Netherlands DVD installation]
![]() エリック・ファン・リースハウト 《ラリアム》 2001年 フローニンゲン美術館蔵 デュルン(Durne)生まれ。現在ロッテルダム在住。今年のヴェネチア・ビエンナーレでも話題を呼んだファン・リースハウトは、今オランダで最も注目される若手の一人。日本では初めてストリート感覚あふれる彼の作品を紹介する。出品作は抗マラリア薬の名前をタイトルに冠した映像インスタレーション。巨大なダンボール箱の中に入ると、作家がガーナに赴いてしかけたラップ・パーティの映像が上映されている。ガーナの人々と作家の交流の中に、旅についてのさまざまなイメージが浮かび上がってくる。 出品作品:《ラリアム》 2001年 DVDインスタレーション フローニンゲン美術館蔵 ビル・ヴィオラBill VIOLA
[1951- America video installation]
![]() ビル・ヴィオラ 《十字架の聖ヨハネの部屋》 1985年 ロサンジェルス現代美術館蔵 (エルパソ・カリフォルニアアート基金) ニューヨーク生まれ。現在、ロング・ビーチ在住。作曲家デヴィット・チュードアの知遇を得て高まった音への関心、またテレビ制作に関わった際に高まった四大元素や宗教的主題への関心を根底に、映像作品を制作する。今回出品される《十字架の聖ヨハネの部屋》は、60年代以降、神秘主義者として広く知られるようになった「十字架の聖ヨハネ」の詩と生涯に着想を得た映像インスタレーション。激しさもある白黒の山の映像は、密室に幽閉された状況で見られた内的風景である。そこでは旅が、いながらにして可能になっている。 出品作品:《十字架の聖ヨハネの部屋》 1983年 ヴィデオ・インスタレーション ロサンジェルス現代美術館蔵(エルパソ・カリフォルニアアート基金) 渡辺剛Go WATANABE
[1954- Japan photography + installation]
![]() 渡辺剛「Border and Sight」より 《Switzerland - France #3》 1998年 作家蔵 *出品作品ではありません 東京生まれ。現在、東京在住。時には自然の地形にそって、また時には全く恣意的に定められる国境や境界の様々な姿を写したシリーズ「Border and Sight」で注目される。今回は同シリーズから約2点が出品されるほか、日本人の意識上の国境とも言える日本列島の海岸線を写したインスタレーション的作品《Japan 5-O》と、新作の写真《Community》が展示される。 出品作品: 安井仲治Nakaji YASUI
[1903-1942 Japan photography]
![]() 安井仲治 「流氓ユダヤ」より 《題名不詳 (顔 2)》 1941年 兵庫県立美術館寄託 大阪生まれ。1930年代のモダニズム写真運動を代表する写真家のひとり。今回出品される《流氓(るぼう)ユダヤ》は、安井の代表作のひとつで、1941年、ナチスの迫害を逃れてヨーロッパから亡命する際、一時神戸に滞在したユダヤの人々を捉えたものである。暗い画面の中、不安げなまなざしや身振りの交差による静かなドラマが繰り広げられる。大戦前夜、国を追われた人々の姿の向こうに、流動する世界情勢を肌で感じとった写真家の衝撃が伝わってくる。 《流氓ユダヤ》より7点 1941年 兵庫県立美術館寄託 *出品作品は、変更される場合があります。 ギャラリートーク/ギャラリーツアー/講演会/パフォーマンスのお知らせ
出品作家によるギャラリートーク(全4回)
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