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Exhibition 展覧会情報
〈地名論〉より 淀橋 1997/東京造形大学蔵 © Y.TAKANASHI
〈地名論〉より 淀橋 1997/東京造形大学蔵 © Y.TAKANASHI

高梨豊 光のフィールドノート

Yutaka Takanashi: Field Notes of Light
2009.1.20-3.8
会場

東京国立近代美術館 企画展ギャラリー (1F)

会期

2009年1月20日(火)~3月8日(日)

開館時間

10:00-17:00 (金曜日は10:00-20:00)
(入館は閉館30分前まで)

休館日

月曜日

一般 850(600)円/大学生 450(250)円
*( )内は20名以上の団体料金。いずれも消費税込。
*高校生以下・18歳未満、障害者手帳をお持ちの方とその付添者1名は無料。それぞれ入館の際、学生証等の年齢の分かるもの、障害者手帳等をご提示ください。
*入館当日に限り、「コラージュ――切断と再構築による創造」展所蔵作品展「近代日本の美術」特別公開「横山大観《生々流転》」を含む)もご観覧いただけます。

出品協力

東京造形大学

協力

キヤノンマーケティングジャパン株式会社[デジタルプリント出力]
フォトグラファーズ・ラボラトリー

高梨豊(たかなし ゆたか 1935年東京生まれ)は、1950年代末に写真家として出発して以来、コマーシャルやファッションの分野の第一線で活躍する一方、現代社会へのするどい洞察をはらんだ作品によって、同時代の写真表現をリードしてきました。とりわけ、その50年近いキャリアを通じて、高梨は、さまざまな方法論を駆使して「都市」という主題にとりくんできたことで知られます。

『カメラ毎日』1966年1月号の巻頭36ページを一挙につかって発表された〈東京人〉や、60年代末に中平卓馬、森山大道らとともに刊行した写真同人誌『PROVOKE』を舞台として、時代の先端を疾走、写真における表現の根拠を先鋭に問いつつ、のちに写真集『都市へ』へとまとめられていった作品群は、つづく「コンポラ写真」の世代にも大きな影響を及ぼし、今日の写真表現へ直接つながる大きな転換点における、エポックメイキングな仕事として記憶されています。

その後も、高梨は、大胆に方法論を転換しながら、『町』(1977)や『初國』(1993)といったきわめて完成度の高い写真集を世に問いつづけ、また近年では、美術家赤瀬川原平、秋山祐徳太子と結成した「ライカ同盟」の活動でも知られています。しかし意外にもこれまで、美術館での大規模な個展というかたちで、その仕事が紹介される機会はありませんでした。

高梨豊の個展としては過去最大規模のものとなる今回の展覧会は、都市をめぐる作品群を軸に、最初期の作品から、未発表の最新作まで、15のシリーズによって構成されます。一作ごとに、歩行の速度を変え、カメラを換え、方法論を転換しながら重ねられてきた作品群は、それ自体が重層的な構造を持つ「都市」として、展示空間に立ち現れるでしょう。

【左】〈silver passin'〉より 
2008/作家蔵
【右】〈NEXT〉より 淀川長治 映画評論家 1988/作家蔵

© Y.TAKANASHI
【左】〈silver passin'〉より 
2008/作家蔵
【右】〈NEXT〉より 淀川長治 映画評論家 1988/作家蔵

© Y.TAKANASHI
歩行の始まり、疾走の時代
〈東京人〉より 豊島区 西武デパート 1965/東京国立近代美術館蔵
〈東京人〉より 豊島区 西武デパート 1965/東京国立近代美術館蔵
〈都市へ〉より 磐城 1970s/東京国立近代美術館蔵

© Y.TAKANASHI
〈都市へ〉より 磐城 1970s/東京国立近代美術館蔵

© Y.TAKANASHI

「既成の分類にとらわれない方がいいでしょう。はみ出る写真こそ大切にすべきです」。師事した写真家大辻清司の言葉に励まされ、写真家高梨豊の歩行は始まります。東京を撮り歩いた作品は既成の枠ぐみとはべつの何か-somethin’elseと題する初個展へと結実。期待の若手として注目されるようになった高梨は、『カメラ毎日』誌を舞台に、〈オツカレサマ〉や〈東京人〉といった意欲作を発表していきます。1968年には中平卓馬、森山大道らとともに写真同人誌『プロヴォーク』を刊行、同時代の写真表現の最前線を疾走します。

 somethin’ else 1950s-1960
 オツカレサマ 1964
 東京人 1964-1965
 都市へ 1960s-1974

方法論の模索

政治の季節の過ぎ去った1970年代、時代の速度の変化のなかで高梨は一転、大判カメラとカラーフィルムを用いた都市へのアプローチを試みます。旧い町並みの残る下町を撮影した〈町〉、新宿をひとつのテキストと見立て、都市計画のキーワードをヒントに読解を試みた〈新宿 / 都市のテキスト〉。一方〈東京人Ⅱ〉では、〈東京人〉でのスナップショットという方法論を、あえて時代の速度のかわった東京において再度試みています。 

 町 1975-1977
 東京人Ⅱ 1978-1983
 新宿 / 都市のテキスト 1982-1983

〈町〉より 神田 千代田区淡路町二ノ八 加島屋酒店 1977/作家蔵
〈町〉より 神田 千代田区淡路町二ノ八 加島屋酒店 1977/作家蔵
〈東京人Ⅱ〉より 千代田区 地下鉄二重橋駅 1983/東京造形大学蔵

© Y.TAKANASHI
〈東京人Ⅱ〉より 千代田区 地下鉄二重橋駅 1983/東京造形大学蔵

© Y.TAKANASHI
時空の彼方へ
〈初國〉より 四国 徳島県徳島市 観音寺 1984/東京造形大学蔵
〈初國〉より 四国 徳島県徳島市 観音寺 1984/東京造形大学蔵
〈都の貌〉より 台東区 浅草六区 東京クラブ 1986/東京造形大学蔵

© Y.TAKANASHI
〈都の貌〉より 台東区 浅草六区 東京クラブ 1986/東京造形大学蔵

© Y.TAKANASHI

日本各地の「神さびた土地」を訪ねての10年に渡る歩行の軌跡〈初國〉、1920-30年代のモダン建築をモティーフに都市の始原へとさかのぼる試み〈都の貌〉、そしてバブル景気の時代を通過して「界隈」のまとまりが失われた東京で、旧い地名を頼りに、「垂直の歩行」を試みた〈地名論〉。80年代から90年代にかけての高梨の仕事は、時間軸を導入することで新たな次元を獲得していきます。

 初國[はつくに] 1983-1992
 都の貌[みやこのかお] 1988-1989
 地名論 1994-2000
 NEXT 1988

21世紀のフィールドノート

21世紀の東京、「“底なしの深さのなさ”その表面性と対峙する」ために高梨はカラーポジフィルムをつめた中判カメラを肩に、新たな歩行を開始します。その成果、写真集『ノスタルジア』には、同時期にモノクロフィルムをつめた35mmカメラを手に、列車の窓から一瞬すれちがう光景をつかまえることで「風景の始原」へと遡行する試み、〈WINDSCAPE〉のシリーズが別冊として挿入されていました。そして最新作〈silver passin’〉。“銀塩写真の終焉”ともいわれる今日、写真家は愛用のライカを手に、バスの車窓から、あらためて東京の街へとそのまなざしを投げかけます。

 ノスタルジア 2002-2004
 WINDSCAPE 2001-2003
 囲市[かこいまち] 2004-2006
 silver passin’ 2008- 

〈ノスタルジア〉より 東京都江戸川区東小岩 2003/東京造形大学蔵
〈ノスタルジア〉より 東京都江戸川区東小岩 2003/東京造形大学蔵
〈囲市〉より 池袋 2006/作家蔵

© Y.TAKANASHI
〈囲市〉より 池袋 2006/作家蔵

© Y.TAKANASHI

出品予定点数約250点
作品は東京造形大学、作家および東京国立近代美術館所蔵

1935年 東京・牛込生まれ。
1957年 日本大学芸術学部写真学科卒業。
1961年 桑沢デザイン研究所リビングデザイン科卒業。
     日本デザインセンターに入社(1970年退社)。
1964年 『カメラ毎日』1~12月号に〈オツカレサマ〉を連載、
     第8回日本写真批評家協会新人賞を受賞。
1966年 『カメラ毎日』1月号に〈東京人〉を発表。
     東京国立近代美術館「現代写真の10人」展に参加。
1968年 中平卓馬、多木浩二、岡田隆彦と季刊誌
     『プロヴォーク 思想のための挑発的資料』を刊行
     (第2号から森山大道も参加、1970年に同人活動を休止)
1974年 初の写真集『都市へ』(イザラ書房)刊行。
     東京国立近代美術館「15人の写真家」展に参加。
1977年 写真集『町』(朝日新聞社)刊行。
1980年 東京造形大学助教授に就任
     (1983年より教授、2000年に退任、現在は客員教授)
1983年 写真集『東京人1978-1983』(書肆山田)刊行。
     同書により1985年第34回日本写真協会賞年度賞を受賞。
1993年 写真集『初國 pre-landscape』(平凡社)を刊行。
     同書などにより第9回東川町国際写真フェスティバル
     国内作家賞を受賞。
     翌年、同書により第43回日本写真協会賞年度賞を受賞。
1995年 赤瀬川原平、秋山祐徳太子と「ライカ同盟」を結成。
2000年 写真集『地名論』(毎日コミュニケーションズ)刊行。
2004年 写真集『ノスタルジア』(平凡社)刊行。
2007年 写真集『囲市』(クレオ)刊行。

日程: 2009年2月7日(土)
時間: 14:00-15:30
場所: 講堂(地下1階) *聴講無料、申込不要(先着150名)

増田玲(本展企画者、当館主任研究員)

日程: 2009年2月13日(金)
時間: 18:30-19:30
日程: 2009年2月28日(土)
時間: 14:00-15:00

*いずれも企画展ギャラリー (1F) にて
*参加無料(要観覧券)、申込不要

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The National Museum of Modern Art, Tokyo