館長挨拶

2022(令和4)年12月、東京国立近代美術館は70周年を迎えました。1952(昭和27)年に東京・京橋にて開館、1969(昭和44)年には現在の北の丸公園内に移転し、活動を続けてまいりました。コレクション形成は、初年度の23点購入から始まり、現在は1万3千点の作品・資料を擁するまでになりました。この間、購入や国からの管理替えだけではなく、蒐集家の方々からのご厚意による多くの貴重な作品等のご寄贈、ご寄託をいただいております。

展覧会の開催はこの70年間で546本に及び、ご来館者数の累計は2千2百万人にのぼっています(2022年3月末現在)。展覧会の共催や協賛、ご協力いただいた企業や団体も多数にのぼります。また、支援サークルや会員などの形でご支援くださっている企業や団体、個人の皆さまも大勢いらっしゃいます。ご支援、ご協力くださっている皆さま、そして来館者の皆さまに支えられてきたことに、心から感謝申し上げます。

コロナ禍で行動の自由が制限されたときにおいても、いえ、だからこそでしょうか、人々の心の中に文化芸術に触れたいという気持ちが、大きくふくらんだように思われます。当館においても、キュレータートークや対話鑑賞プログラムの動画配信を開始し、オンラインでも作品に触れる機会を提供しております。

近年、美術を含む文化芸術から生み出される多様な価値―創造性の涵養、人々の交流の場の創出、社会包摂、経済的なイノベーションのきっかけなど―への期待は、大きく高まってきております。

このような期待に応えるとともに、今後の更なる情報通信技術の進展、アフターコロナ時代における生活スタイルの変化など、近年の社会情勢の変化を踏まえて、美術館も変わっていく必要があると考えております。ミッションステートメントにありますように、「創造の現場である美術館」として、どのような方も多様な美術を楽しみ、豊かな時を過せる美術館を目指してまいります。皆さまのご来館、ご利用をお待ちしております。

独立行政法人国立美術館 東京国立近代美術館
館長 小松 弥生

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