コレクション
赤陽
藤牧義夫1934
基本情報
- 作品名
- 赤陽
- 作家名
- 藤牧義夫 作家詳細
- 制作年
- 1934
- 収蔵方法
- 購入
- 素材・技法
- 木版(多色)、手彩色、一部コラージュ
- 作品サイズ(cm)
- 41.7×27.9
- 作品番号
- P01080
作品解説
1930年代前半の日本を代表する版画家の一人である藤牧義夫は、若干20歳で早くも版画界で大きな注目を浴びますが、その活動はわずか4年余りときわめて短いものでした。藤牧は一貫して、関東大震災の後で復興していく東京を主題に、近代化の進む都会の街角、駅、鉄橋、劇場、ガソリンスタンド、ビルなどを描きました。この作品は、上野広小路の光景を松坂屋百貨店から湯島方向を見下ろした構図で描いたものとされています。陽が沈む直前の一瞬がありありと想像されるとともに、この後まもなく失踪したとされる藤牧の境遇を思うと、痛切な感情も湧いてくるでしょう。藤牧は通常の版画制作からは逸脱した実験的な方法で作品を生み出しました。ここでも、一度摺った版画の下部を切り取り、上方向に引き上げて糊付けするという大胆で即興的な構図変更の跡が認められます。また、この作品の印象を決定づける夕陽も、摺られたのではなく、後から朱色で手彩色されたものです。