展覧会

会期終了 企画展

竹内碧外展:木工芸・わざと風雅

会期

会場

東京国立近代美術館工芸館

展覧会概要

竹内碧外(1896-1986)は、福井県に生まれ、郷里で当時、唐木 の名工と謳われていた堀田瑞松について修業しました。その後京都に移り、 京指物の技術を研鑚して、大正9年に独立して活動するようになりました。 彼の木工芸は紫檀、黒檀といった唐木材の用法に優れたわざを発揮していま すが、唐木ばかりでなく、柿、楓、欅など様々な材料を使った指物、刳物な ど自由な発想で幅広い制作を行っています。

また、碧外は唐木に限らず各種の用材やその技法に精通しており、後年に は正倉院御物の木器調査に従事して、詳細な記録を作成、復元模造を行いま した。こうした古典の徹底した研究をはじめ、名物裂、硯などについても研 究し、そうした研究の成果、さらに煎茶や漢詩などの素養を深めて、文人的 な趣味を制作に反映させるなど、広い視野に立った独特の作品を創りました。 しかし、碧外は、公募展や団体展に出品することがなかったため、これまで は余り知られていませんでした。この展覧会では、初期の制作品から晩年に いたる代表的な作品を陳列し、あわせて、自作の漢詩や拓本、愛用の印箱、 文房具飾り、木工芸の材料や組み見本などの資料も展示して、竹内碧外の高 い芸術性を示す木工芸の世界を紹介しようとするものです。

竹内碧外・作品のみどころ

行雲流水文硯箱・文台(こううんりゅうすいもんすずりばこ・ぶんだい) 1970 朽木,紅梅,黒柿,栂  京都国立近代美術館蔵

朽木と紅梅、黒柿を寄せてはぎ合わせた、指物による硯箱と牡丹杢の現れた栂の文台 とが組合わせられた作品で、風雅と意匠の洗練さにおいて優れた制作です。

黄楊浄香座(つげじょうこうざ) 1950 黄楊木,陶器  個人蔵

国内産の黄楊木を用いた、茶席を飾る線香立て。蓮の華や葉のすがたを表裏ともに きわめて写実的かつ風趣豊かに表わした、長年月をかけた彫刻の労作。

爐屏(ろびょう) 1960頃 黒柿,名物裂,古色紙  個人蔵

真黒の黒柿材を主に用いた、煎茶の炉先に飾る二枚折の屏風。片面に錦や金襴等の名物裂、片面に古色紙や墨流懐紙等がはられており両面で用いることができる。茶 家の嗜好に適うよう意識され、固有の風趣に充ちた作品。

朽木莨筺(くちきたばこばこ) 1970 朽木, 斑柿,紫檀,黄楊木,桐  個人蔵

正倉院御物の〈朽木菱形木画箱〉をもとに着想されたたばこ入れ。台付き。蓋の表 面の朽木や側面の斑柿、また紫檀や黄楊木等を用いた木画の箱で、用材への博識や 技法にきわめて卓越した制作となっており、気品に富んでいる。

イベント情報

ギャラリートーク

1998年6月13日(土)午後2時

工芸館会場にて
大坂弘道氏(木工作家・人間国宝)

1998年7月11日(土)午後2時

工芸館会場にて
諸山正則(当館主任研究官・企画展担当)

6月13日のギャラリートークは、木工作家で人間国宝の大坂弘道氏を講師とし てお迎え致します。かつて碧外より薫陶を受けた大坂氏からは、師の人となり や、唐木木工の技法、そして京指物の正統を現代に伝える風雅な作風にまつわ るお話を列品解説とともに伺いたいと思います。また、7月11日は、会場の竹 内碧外の作品を鑑賞しながら、その木工芸のわざと精神について、今展の担当 研究官が分かりやすく解説致します。当館のギャラリートークは事前のお申し込みや特別な料金は不要です。両日とも無料観覧日にもあたっておりますので、 どうぞお気軽にお集まり下さいますよう、皆様のご来場をお待ち申し上げてお ります。

開催概要

会期

1998年5月22日(金)~ 7月20日(月)
月曜日休館(但し7月20日は開館)
午前10時~午後5時(入館は午後4時30分まで)

会場

東京国立近代美術館工芸館/西翼
〒102-0091 東京都千代田区北の丸公園1-1
東西線「竹橋駅」下車徒歩8分(1b出口),東西線・半蔵門線・ 都営新宿線「九段下駅」下車徒歩12分(出口2)

観覧料
区分個人観覧団体観覧備考
一般420円210円
学生130円70円高校・大学生
小人70円40円小・中学生

*消費税込み
*団体観覧は20名以上

お問い合わせ

03-3272-8600(NTTハローダイヤル)
東京国立近代美術館ホームページ http://www.momat.go.jp/

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