展覧会
「かたち」の領分:機能美とその転生
会期
会場
東京国立近代美術館工芸館
展覧会概要
器物はもともと水をすくったり、なにかを保存しておくための道具でしたが、 それがいつ頃からか、置物として床の間に飾られたり、蒐集されるようにもなっ てきました。この展覧会は、実用の器物が芸術品に取り立てられてきた歴史と、 その現状をご紹介します。
第1部では、「室町桃山時代の茶道具」、「バウハウスのデザイン製品」、 「昭和戦前期の工芸デザイン作品」、「民芸運動が蒐集した日常雑器」を通し て、機能から美が生まれてきた歴史を振り返ります。実用の器物が芸術品へと 昇格されるとき、その器物には既成の芸術を否定していく原初的、本能的な力 があると期待されるのが常でした。桃山時代の茶の湯が実用品を茶道具に見立 てたとき、そこに唐物といわれた中国渡来の高級品を至宝と見做す価値観への 批判が込められていたのは、よい例でしょう。
第2部では、トニー・クラッグ、 小池頌子、 小清水漸、ジュゼッペ・ペノーネ、 重松あゆみ、 沈文燮の六氏による現代造形作品によって、 機能の美が今どのように継承されているのかを探ります。現代の造形作品にあっ ては、椀や皿のように何世代にも渡って見慣れてきた器物は、あたかも石や樹 木に類する自然として見做されているようです。器物にも自然から受けるのと 同じ、飼い馴らすことのできない力が備わっていると期待されだしているので す。古木を見て人格を感じるとき「自然の擬人化」といいますが、これに対応 させて器物を自然の一部と見る目を、「人工物の擬自然化」ということができ るでしょう。
イベント情報
ギャラリートーク
- 1998年10月10日(土)
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午後2時から工芸館会場にて
- 1998年11月14日(土)
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午後2時から工芸館会場にて
シンポジウム
- 1998年10月3日(土)
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午後1時から3時30分まで
本館講堂にて
先着約200名まで/聴講無料
「器物が芸術になるとき・・・」
現代の造形作品には、器物の形を模したものがみられます。今日の作家たちは 器物をいかなる眼で眺め、自身の作品のうちに取り込んでいるのでしょうか。 ほんらい道具であった器物に、いま、何かが託されようとしています。今回の 出品作家から数名と研究者をパネリストとして迎え、それを考えます。
開催概要
- 会期
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1998年10月3日(土)~ 11月23日(月)
月曜日休館、ただし月曜日が祝日の場合は開館し、翌日は休館
午前10時~午後5時(入館は午後4時30分まで) - 会場
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東京国立近代美術館工芸館
〒102-0091 東京都千代田区北の丸公園1-1
東西線「竹橋駅」下車徒歩8分(1b出口),
東西線・半蔵門線・都営新宿線「九段下駅」下車徒歩12分(出口2) - 観覧料
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区分 個人観覧 団体観覧 備考 一般 830円 680円 学生 450円 330円 高校・大学生 小人 330円 180円 小・中学生 *消費税込み
*団体観覧は20名以上 - お問い合わせ
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03‐3272‐8600(NTTハローダイヤル)