展覧会

会期終了 企画展

人間国宝 松田権六の世界

会期

会場

東京国立近代美術館工芸館

概要

工芸界の巨匠松田権六は、近代漆芸に偉大な芸術世界を築き上げた作家であり、わが国の伝統工芸の発展にきわめて重要な功績を残しました。

金沢に生まれた松田は、加賀蒔絵の伝統を踏まえつつ、正木直彦東京美術学校長や大茶人益田孝(鈍翁)との知遇、室町や桃山時代などの古典研究、朝鮮・楽浪漢墓出土の漆器や中尊寺金色堂をはじめとする数々の保存修復をとおして、漆芸の意匠や様式、広範な技法を鋭い洞察と鑑識とで解明し、自らの創作に応用、発展させました。その創作は、まさに近代漆芸の金字塔といっても過言ではないでしょう。

本展覧会では、1.主要作品約70点、2.その芸術の形成に深く関わった古美術作品や師の作品、3.松田の芸術を現代に継承してきた作家らの代表作、を紹介し、これまでになかった構想で、松田権六芸術の真髄と現代漆芸に示した真価をご覧いただきます。

松田権六《蒔絵螺鈿有職文飾箱》1960 東京国立近代美術館蔵

ここが見どころ

2006年は、松田権六が生まれて110年、亡くなってからは20年にあたる年です。また重要無形文化財保持者の制度ができてからも50周年となります。

工芸館で4年ぶりに松田権六を取り上げる今回は、代表作以外にも、重要文化財2点を含む、貴重な作品を多数ご覧いただける機会です。
特に次の作品は、2週間ずつのみの展示となります。
松田権六《鶴亀蒔絵棗》(出光美術館蔵) 2006年12月19日(火)~2007年1月21日(日)
松田権六《牡丹文蒔絵盤》(金沢市立中村記念美術館蔵) 2006年12月19日(火)~2007年1月8日(日)
《蒔絵秋草に垣図硯箱》(石川県立美術館蔵) 2006年12月19日(火)~2007年1月8日(日)・2月6日(火)~2月25日(日)
《重要文化財 住吉蒔絵唐櫃》(東京国立博物館蔵) 2007年1月10日(水)~1月21日(日)
《重要文化財 扇面散蒔絵手箱》(前田育徳会蔵) 2007年1月23日(火)~2月4日(日)

《重要文化財 住吉蒔絵唐櫃》
南北朝時代
東京国立博物館蔵

展覧会構成

第1章 創作の軌跡

松田権六といえばこれ、という代表作をはじめ、約70点を精選します。

松田権六
《蓬萊之棚》
1944
松田権六
《三保の富士蒔絵棗》
1977
松田権六
《赤とんぼ蒔絵箱》
1969
京都国立近代美術館蔵
松田権六
《蒔絵竹林文箱》
1965
東京国立近代美術館蔵

第2章 芸術観の形成

松田権六が研究した古典美術、保存修復を手がけた文化財資料、そして師と仰いだ六角紫水と白山松哉の作品で、「人に学ぶ、自然に学ぶ、物に学ぶ」を生涯のモットーとした、その美意識と芸術観の形成をたどります。

*加賀藩主前田家の招きにより京都から金沢へ下り、加賀蒔絵の基礎を築いた、五十嵐派の作品。松田権六では《蒔絵福寿草文小盆》などに、特にその影響をみることができる。

《蒔絵籬に秋草図箱》
(重要文化財 古今和歌集清輔本箱)
江戸時代

第3章 美の継承者たち

松田権六と縁の深い、8人の作家を取り上げ、いかに現代まで影響を与え、継承されているかを紹介します。

寺井直次/大場松魚/田口善国/前史雄/増村紀一郎/小森邦衞/中野孝一/室瀬和美

小森邦衞
《曲輪造籃胎喰籠》
1999
東京国立近代美術館蔵
室瀬和美
《蒔絵螺鈿八稜箱 彩光》
2000
文化庁蔵

作家紹介

松田権六

1896年

石川県金沢市生まれ。

1903年

兄(仏壇職人)について蒔絵漆芸の習得をはじめる。

1914年

東京美術学校に進学、教授の六角紫水に師事。

1947年

日本芸術院会員となる。

1955年

重要無形文化財「蒔絵」保持者認定。

1976年

文化勲章を受章。

1986年

心不全のため死去。

イベント情報

ギャラリートーク

2006年12月24日(日)

諸山正則(当館主任研究員)

2007年1月7日(日)

唐澤昌宏 (当館主任研究員)

2007年1月28日(日)

柳橋眞 (石川県輪島漆芸美術館長)

2007年2月4日(日)

田口善明 (漆芸作家)

2007年2月18日(日)

北村仁美 (当館研究員)

各日とも14時~/工芸館会場
参加無料(入館には展覧会チケットが必要です)・申込不要

シンポジウム

日程

2007年1月20日(土)

時間

14:00 – 15:00

場所

美術館講堂(B1F)

聴講無料・申込不要・先着150名

基調講演「松田権六の漆芸」白石和己 (山梨県立美術館長)

白石和己 × 小森邦衞 (漆芸作家、人間国宝) × 室瀬和美 (漆芸作家) × 諸山正則 (司会、当館主任研究員)

*展覧会会場の工芸館ではなく、本館の美術館で行います。

タッチ&トーク(ボランティアによるガイド)

日程

毎週水・土曜日

時間

14:00 –

場所

工芸館会場

参加無料(入館には展覧会チケットが必要です)

会場でのトークと、参考作品や制作工程などを手にとっていただける「さわってみようコーナー」とでご案内します。
毎週水・土はタッチ&トーク

開催概要

会場

東京国立近代美術館 工芸館

会期

2006年12月19日(火)~2007年2月25日(日)

開館時間

10:00-17:00
*入館は閉館30分前まで

休館日

月曜日 (1月8日・2月12日は開館、それぞれ翌日休館)
年末年始 (12月29日~1月1日)

観覧料

一般800(700/600)円、大学生500(400/350)円、高校生300(250/200)円
(  )内は前売/20名以上の団体料金の順。いずれも消費税込。

中学生以下・障害者(と付添者原則1名まで)は無料。
それぞれ入館の際、学生証、障害者手帳などをご提示ください。

前売チケット取扱:
チケットぴあ、ファミリーマート、サークルK、サンクスなど(一部店舗を除く)

*お求めいただいた当日に限り、美術館の「所蔵作品展」もご覧いただけます。

主催

東京国立近代美術館

後援

文化庁

協賛

パイロットコーポレーション、東日印刷、毎日ビルディング

巡回情報

MOA美術館 2007年3月10日~4月9日

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