展覧会

会期終了 企画展

人間国宝 三輪壽雪の世界:萩焼の造形美

会期

会場

東京国立近代美術館工芸館

《鬼萩花冠高台茶碗 銘 命の開花》2003年

概要

萩焼の重要無形文化財保持者(人間国宝)で、96歳の今なお現役の陶芸家として活躍している三輪壽雪氏(十一代休雪)。萩の伝統的な素材や技法を忠実に守り、兄・十代休雪(後の休和)が探求し、萩焼に新境地をもたらした「休雪白」(*1)・純白の藁灰釉(*2)を引き継ぎ、自身の作陶に展開させて確立しました。

その80年に及ぶ作陶生活の集大成として、茶碗や花入、置物、水指など約180点を一堂に会し、4つの時代に分けて紹介します。大きな転機となった4つの時代ごとに作風や陶技を見比べることができ、萩焼の造形美に触れる絶好の機会となっています。

*1 きゅうせつしろ:藁灰釉を用いた純白の色調
*2 わらばいゆう:釉薬の一種

《鬼萩花冠高台茶碗 銘 命の開花》2003年

[作品説明]
「花冠高台」とは割高台部を花弁形に削って仕上げた壽雪氏独自の姿。「休雪」を改め「壽雪」の号とともに発表された。

ここが見どころ

壽雪氏の作風を顕著に表現しているのが代表作《鬼萩割高台茶碗》です。個性的な造形感覚に裏打ちされた作品の最新作は、山口県萩市の工房において、先日の2006年4月27日に窯詰め、29日に火入れ、5月6日に窯出しされ、今回の展覧会にも出品されます。成形や高台づくり、釉薬のいずれにおいても、今までの萩焼にはない壽雪氏独自の世界を表現した作品となっています。

《鬼萩割高台茶碗》2006年

[作品説明]
壽雪氏96歳の最新作。素材、技法、造形が一体となった独自の造形を見せる<鬼萩割高台茶碗>の典型。

展覧会構成

(1)修業と「休」の時代
兄・十代休雪(後の休和)に作陶の手ほどきを受けながら伝統の技を学んだ修業時代から、兄の後を継いで「休雪」を襲名するまでの間に制作された作品を紹介。中でも《白萩手桶花入》は初期の代表作として、その後の壽雪氏の活動を見る上で重要な作品です。

《白萩手桶花入》1965年 山口県立萩美術館・浦上記念館蔵

[作品説明]
初期花入の代表作。大きく面をとった豪快な造形からは作者の意志が強く感じられる。

(2)十一代「休雪」襲名
「休雪」襲名後から、萩焼の重要無形文化財保持者(人間国宝)になるまでの間に制作された作品を紹介。独自の造形を追及する姿勢は「休」の時代よりもさらに強く、水指の四角や菱形など、兄の造形とは一線を画します。

紅萩菱形水指 銘 花篝》1969年

[作品説明]
白い化粧土を片方だけに掛けた伝統的な片身替わりの技法が用いられた水指。

(3)大器「鬼萩」の創生
重要無形文化財保持者(人間国宝)認定後から、「壽雪」と号するまでの間に制作された作品を紹介。「鬼萩」とは、粗砂を混ぜた土で作られた作品のことで古くから技法として伝わっていましたが、壽雪氏は造形にも独自性を追求し、<鬼萩割高台茶碗>というスタイルを確立しました。

[作品説明]
焼成時に炎や灰が直接かかる所に置かれた灰被りの花入。きれいなピンク色は窯変と呼ばれているが、すべてが偶然ではなく必然を求めた造形。

(4)「壽雪」造形の清雅
「壽雪」と号してから制作された作品を紹介。この展覧会のために作られた新作11点も出品されます。

作家紹介

1910年 山口県萩市生まれ。
中学卒業後、兄・十代休雪(後の休和)に師事し、萩焼を代表する窯のひとつ「三輪窯」の家業に励む。
1955年 「休」と号して出品活動を開始。
1967年 十一代休雪を襲名。
1983年 兄・十代休雪に引き続き、萩焼の重要無形文化財保持者(人間国宝)となる。
2003年 「休雪」号を長男に譲り、「壽雪」に改名。
2006年 96歳となった今も現役の陶芸家として活躍している。

イベント情報

ギャラリートーク(当館研究員によるガイド)

日程: 2006年7月23日(日)
時間: 14:00-
場所: 工芸館会場
*参加無料(入館に際しては観覧料が必要です)、申込不要

日程: 2006年8月13日(日)
時間: 14:00-
場所: 工芸館会場
*参加無料(入館に際しては観覧料が必要です)、申込不要

日程: 2006年9月10日(日)
時間: 14:00-
場所: 工芸館会場
*参加無料(入館に際しては観覧料が必要です)、申込不要


ギャラリートーク(当館研究員によるガイド)

日程: 2006年7月15日(土)~9月24日(日)


講演会「歴史の中の三輪壽雪」(仮称)

日程: 2006年9月3日(日)
時間: 13:30-14:30
場所: 東京国立近代美術館 地下1階 講堂
金子賢治(当館工芸課長)*聴講無料、申込不要、先着150名


トーク&イベント

トーク&デモンストレーション

日程: 2006年8月20日(日)
時間: 13:30-15:00
場所: 工芸館会議室
*聴講無料、申込不要、先着35名(正午~ 整理券を配付します)

萩で活躍する陶芸家・兼田昌尚さんをお招きしてその造形思考を伺うとともに、制作のデモンストレーションをしていただきます。

三輪壽雪氏の作品(茶碗)による呈茶

会期中の土・日曜日および祝日 午後2時~4時30分/工芸館会場
400円(茶菓代)
*先着各50名(呈茶券は午前10時~当日分のみ販売します)


タッチ&トーク(ボランティアによるガイド)

「さわってみようコーナー」で参考作品や工程見本などを手にとってご覧いただいた後、会場で見どころやエピソードをご紹介。こどもも一緒に楽しめるグループもあります。
会期中の毎週水・土曜日 午後2時~/工芸館会場
*参加無料(入館に際しては観覧料が必要です)、申込不要


ワークショップ「ワクワク!こども工芸館」

A.萩焼に挑戦!

萩の土で「夢のかたち」を作りましょう。
8月3日(木)

8月4日(金) 岡田裕(陶芸家、山口県指定無形文化財保持者)

8月6日(日) 玉村登陽(陶芸家)

B.こどもタッチ&トーク(ボランティアによるガイド)

タッチ&トークの後、粘土を使って工作にも挑戦します。
7月28日(金)・7月30日(日)

*A、Bともに
1時30分~4時
参加無料(付添の方の入館に際しては観覧料が必要です)、事前申込制、抽選各12名

応募方法
希望イベント名・開催日・氏名(フリガナ)・学年・電話番号・住所を明記の上、「ワークショップ係」までお申込みください。〆切は7月14日(金)です。
3歳~小学3年生対象:B 7月28日(金)・B 7月30日(日)
小学4~6年生対象:A 8月3日(木)・A 8月6日(日)
中学1~3年生対象:A 8月4日(金)

E-mail→cg-edu@momat.go.jp または、
Fax→03-3211-7783 (返信用Fax番号をお忘れなく)
詳細はこちら

セルフガイド「たんけん!こども工芸館~鬼萩のひみつ」

会期中、来館していただいた小学生と中学生には、萩焼の魅力を楽しく学べるセルフガイドをプレゼントします。
*申込不要

開催概要

会場

東京国立近代美術館 工芸館

会期

2006年7月15日(土)~9月24日(日)

開館時間

午前10時~午後5時
(入館は閉館30分前まで)

休館日

月曜日
 (ただし、7月17日・9月18日は開館、それぞれ翌日休館)

観覧料

一般800(600)円、大学生500(350)円
高校生300(200)円 中学生以下無料
( )内は20名以上の団体料金。いずれも消費税込。
中学生以下,障害者(付添者は原則1名まで)の方は無料です(それぞれ入館の際,生徒手帳,健康保険証,運転免許証,障害者手帳等をご提示ください)。

前売チケット取扱:
チケットぴあ、ファミリーマート、サークルK、サンクス(一部店舗を除く)

主催

東京国立近代美術館、朝日新聞社

協力

日本アイ・ビー・エム株式会社 茶道部、雪和会

巡回情報

山口県立萩美術館・浦上記念館:2006年10月7日(土)~11月26日(日)
福岡三越:2007年1月2日(火)~1月14日(日)
名古屋・松坂屋美術館:2007年2月7日(水)~2月18日(日)
茨城県陶芸美術館:2007年4月21日(土)~6月24日(日)

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