展覧会

会期終了 企画展

菱田春草展

会期

会場

東京国立近代美術館本館企画展ギャラリー

概要

菱田春草(1874-1911)は日本近代で最も魅力的な画家の一人です。春草は草創期の東京美術学校を卒業後、岡倉覚三(天心)の日本美術院創立に参加、いわゆる「朦朧体(もうろうたい)」の試みや、晩年の装飾的な画風によって、それまでの「日本画」を色彩の絵画へと変貌させました。生誕140年を記念して開催する本展では、《落葉(おちば)》連作5点すべてに加え、《黒き猫》をはじめとするさまざまな“猫作品”や、新出作品等を含む100点を超える作品を、最新の研究成果とともにご紹介します。

会期中、展示替があります。
前期:9月23日~10月13日/後期:10月15日~11月3日

ここが見どころ

(1)重要文化財4点がすべて出品されます

36歳で亡くなった春草の画業はおよそ15年。短い生涯ながら、重要文化財に指定されている作品は、近代芸術家の中で最多の4点を誇ります。本展では、重要文化財《王昭君(おうしょうくん)》、《賢首菩薩(けんしゅぼさつ)》、《落葉》、《黒き猫》4点すべてをご覧いただけます。

(2)《落葉》の連作5点がすべて出品されます

《落葉》連作とは、文展に出品された《落葉》及び「落葉」と題された制作時期の近い作品全5点のこと。いずれも木立を描いた屏風ですが、見比べると構図や描法にそれぞれ少しずつ違いがあります。文展の《落葉》を制作したとき、春草は大事な「距離」の表現と「画の面白味」との間で悩んだと告白しています。この両者のバランスの違いが、《落葉》それぞれの違いとなって表れているのです。

(3)《黒き猫》をはじめ、猫は9匹

《黒き猫》は、近代日本画でもっとも有名な猫だと言えるでしょう。この作品がなければ、竹久夢二や速水御舟が「黒猫」を描くことはなかったかもしれません。それだけ後世の画家たちに与えたインパクトは大きいものでした。本展覧会では《黒き猫》だけではなく、白、ぶち、別の黒猫など、9匹の猫が集まります。猫の絵だけを見て、春草の画風の変遷を理解することもできるかもしれません。また、なぜ春草が重要文化財《黒き猫》をたった5日で描き上げることができたのか、その秘密もきっと明らかになるでしょう。

(4)春草生誕140年を記念した大回顧展です! 108点が出品

岡倉覚三(天心)没後100年(2013)、下村観山生誕140年(2013)、日本美術院再興100年(2014)と、日本美術院に関連するメモリアルが続く今年。いよいよ、春草生誕140年を記念する回顧展を開催します。108点の出品作は、いずれも春草の画業を理解する上で重要な作品ばかり。質量ともに充実のラインナップで、春草の真価に迫ります。

(5)新出作品および数十年ぶりの公開となる作品も多数出品されます

秘蔵作品が多いのも春草の特徴の一つです。なかなか見ることのできない重要作品や、回顧展初出品となる作品も多数ご紹介します。今回は特に、アメリカ・ヨーロッパ遊学から《賢首菩薩》までの時期(1904-07)の作品を充実させています。空間表現や色彩表現について試行錯誤を繰り返した様子を、実作品でご覧いただきます。

(6)絵具の科学調査をすすめています

いくつかの代表的作品について、使用絵具の科学調査をすすめています。先行しておこなった《賢首菩薩》の調査では、何種類かの西洋顔料が使用されていたことが判明しました。「色彩研究」を課題とした朦朧体後期以降の試みを、具体的に示す事例といえます。こうした調査結果をふまえ、春草の色彩表現について考察します。

展覧会構成

第1章  日本画家へ : 「考え」を描く 1890-1897年

第2章  「朦朧体」へ : 空気や光線を描く 1898-1902年

第3章  色彩研究へ : 配色をくみたてる 1903-1908年

第4章  「落葉」、「黒き猫」へ : 遠近を描く、描かない 1908-1911年


展示替情報

会期中、作品の入れ替えがあります。

【前期(9月23日~10月13日)のみ展示】
《水鏡》1897(明治30)年 東京藝術大学
《菊慈童》1900(明治33)年 飯田市美術博物館
《白き猫》1901(明治34)年 春草会
《落葉》1909(明治42)年 重要文化財 永青文庫(熊本県立美術館寄託)
 など23点

【9月23日~10月5日、10月15日~11月3日に展示】
《落葉(未完)》1909(明治42)年 個人蔵

【10月7日~11月3日に展示】
《落葉》1909-1910(明治42-43)年 福井県立美術館

【後期(10月15日~11月3日)のみ展示】
《寡婦と孤児》1895(明治28)年 東京藝術大学
《釣帰》1901(明治34)年 山種美術館
《風神雷神》1910(明治43)年 LING SHENG PTE. LTD (SINGAPORE)
《黒き猫》1910(明治43)年 重要文化財 永青文庫(熊本県立美術館寄託)
 など21点

※詳細は出品リストをご覧ください。

作家紹介

1874(明治7)年9月21日
現在の長野県飯田市に生まれる。

1890(明治23)年9月
東京美術学校に入学。

1895(明治28)年7月
卒業制作《寡婦と孤児》が最優等で卒業。

1896(明治29)年9月
日本絵画協会第1回絵画共進会に《四季山水》を出品し画壇デビュー。

1898(明治31)年
東京美術学校事件が起こり、校長岡倉覚三(天心)の辞職に殉じて美校教員を辞する。7月、日本美術院の創立に参加し正員となる。

1900(明治33)年
春草らによる線を描かない色彩画(没線描法)の試みが「朦朧体」と揶揄されるようになる。

1903(明治36)年
約半年にわたってインドに遊学し、ベンガル地方の芸術家と交友する。

1904(明治37)年
約1年半にわたってアメリカ・ヨーロッパに遊学する。没線描法の意義を再確認し、色彩研究を課題に掲げる。

1906(明治39)年
日本美術院の縮小移転にともない、家族を連れて茨城県五浦に転居する。

1907(明治40)年10月
第1回文部省美術展覧会(文展)に《賢首菩薩》を出品する。その制作中より眼病の兆候が現れる。

1908(明治41)年5月
病気治療に専念するため、五浦を離れ代々木に転居する。再び絵筆をとれたのは約半年後のことだった。

1909(明治42)年10月
第3回文展に《落葉》を出品し、最高賞を受賞する。

1910(明治43)年10月
第4回文展に《黒き猫》を出品する。

1911(明治44)年2月
第11回巽画会展に《早春》を出品するが、この頃より再び病状が悪化する。9月16日、満36歳で死去。

カタログ情報

イベント情報

講演会

高階秀爾(大原美術館長、東京大学名誉教授)

日程: 2014年9月27日(土)
時間: 14:00-15:30

申込締切:9月1日(月)必着

尾﨑正明(茨城県近代美術館長)

日程: 2014年10月11日(土)
時間: 14:00-15:30

申込締切:9月10日(水)必着

※いずれも東京国立近代美術館講堂(地下1階)にて。参加無料(定員140人)
※受付は終了しました
要申込(応募者多数の場合は抽選とさせていただきます)

《申込方法》
郵便往復はがきに次の必要事項を記入のうえ、お申し込みください。
【往信用裏面】希望する講演日・郵便番号・住所・名前(ふりがな)・電話番号
【返信用表面】郵便番号・住所・名前

※応募者多数の場合は抽選のうえ、ご案内いたします。
※1枚で2人までの応募可。2人応募の場合は往信用裏面に2人分名前を明記。

《申込み先》
〒106-0032 東京都港区六本木4-8-7 六本木三河台ビル7F
「菱田春草展」広報事務局 講演会係

開催概要

会場

東京国立近代美術館 企画展ギャラリー

会期

2014年9月23日(火)~11月3日(月)

開館時間

10:00-17:00 (金曜日は10:00-20:00)
※入館は閉館30分前まで

休館日

月曜日(10月13日、11月3日は開館)、10月14日(火)

観覧料

一般1400(1200/1000)円
大学生900(800/600)円
高校生400(300/200)円

  • ( )内は前売/20名以上の団体料金。いずれも消費税込。
  • 中学生以下、障害者手帳をお持ちの方とその付添者(1名)は無料。
  • それぞれ入館の際、学生証等の年齢のわかるもの、障害者手帳等をご提示ください。
  • 本展の観覧料で入館当日に限り、同時開催のコレクションを中心とした小企画「美術と印刷物―1960-70年代を中心に」(ギャラリー4、2F)、所蔵作品展「MOMATコレクション」(所蔵品ギャラリー、4-2F)もご覧いただけます。

《主なチケット販売場所》
チケットぴあ(Pコード:766-100)
ローソンチケット(Lコード:32403)
セブン-イレブン(セブンコード:029-257)ほか主要プレイガイド
東京国立近代美術館(開館日のみ)

※お得な前売券は2014年5月7日(水)から9月22日(月)まで販売。

販売は終了しました

「青磁のいま」(東京国立近代美術館 工芸館、9/13~11/24)、「ボストン美術館浮世絵名品展 北斎」(上野の森美術館、9/13~11/9)との相互割引を実施!

「青磁のいま」、「ボストン美術館浮世絵名品展 北斎」観覧券(半券可/招待券を除く)を本展チケット売り場でご提示いただくと、本展当日券が一般100 円引き、大学生・高校生50円引きになります。
また、本展観覧券(半券可/招待券を除く)で「青磁のいま」、「ボストン美術館浮世絵名品展 北斎」一般当日券はどちらも100 円引き、大学生・高校生は「北斎」は100円引き、「青磁のいま」は50円引きに!

  • 割引の併用はできません。
  • 一枚につき、一回限りご利用頂けます
  • 「ボストン美術館浮世絵名品展 北斎」は、上野の森美術館(上野)での開催となります。ご注意ください。
  • それぞれの展覧会の会期や休館日、開館時間は異なりますので、事前にご確認ください。

割引料金の詳細(PDF)はこちら

猫ペアチケット

当日一般チケット2枚で2800円のところを、2000円でお買い求めいただけるお得なチケットです。大人気の「猫作品」には、期間限定で公開されるものがあります。「猫チケ」で前期・後期にそれぞれ1回ずつお越しいただけば、猫をモチーフとした作品すべてをご覧いただけます!

価格 : 2枚で2000円
販売期間:5月7日(水)~9月22日(月)

  • 販売は終了しました
  • 猫をモチーフとした作品がデザインされた猫ペアチケットの実券は、東京国立近代美術館、ちけっとぽーと、チケットビューローで販売します。(オンラインチケットで購入された場合、ご希望の方は会場で猫デザインのチケットと引き換えます。)

《猫ペアチケット販売場所》
東京国立近代美術館(開館日のみ)
ちけっとぽーと
チケットビューロー

  • 会期中、展示替があります。
主催

東京国立近代美術館、日本経済新聞社、NHK、NHKプロモーション

協賛

損保ジャパン日本興亜、大伸社

協力

旭硝子

助成

公益財団法人ポーラ美術振興財団

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