展覧会

会期終了 企画展

トーマス・ルフ展

会期

会場

東京国立近代美術館本館企画展ギャラリー

見どころ

本展はその世界が注目する写真家の,初期から初公開の最新作までを紹介する展覧会です。ルフは初期に発表した高さ約2メートルにもなる巨大なポートレート作品で注目されました。それ以降,建築,都市風景,ヌード,天体などさまざまなテーマの作品を展開,それらを通じ,現代人をとりまく世界のあり方についてのユニークなヴィジョンを提示してきました。

私たちの視覚や認識に深く組みこまれた写真というメディアそれ自体も,ルフ作品の重要なテーマのひとつです。ルフは自ら撮影したイメージだけでなく,インターネット上を流通するデジタル画像からコレクションしている古写真まで,あらゆる写真イメージを素材に用い,新たな写真表現の可能性を探究しています。作品選択や展示構成にルフ自身が参加するなど,作家の全面的な協力を得て実現する今回の展覧会では,未発表の新作を含む作品世界の全貌を紹介します。

トーマス・ルフ展のみどころ

■日本では初めての本格的回顧展
ルフ作品は1990年代から日本の美術館やギャラリーで紹介されてきましたが,美術館で開催される本格的な回顧展は今回が初となります。待望されていた日本国内での個展が,ついに実現します。

■初期から最新作まで,主要シリーズで作品世界を紹介
本展は初期作品である「Interieurs」や評価を高めた「Porträts」,少年時代からの宇宙への関心を背景とする「cassini」や「ma.r.s.」,インターネット時代の視覚・情報空間を問う「nudes」や「jpeg」など,全18シリーズ,東京会場は約125点の作品で構成されます。

■最新作「press++」シリーズでは,本展が世界初公開となる作品も
ある新聞社のプレス写真アーカイヴを入手したことから着想された「press++」。かつてのメディア空間で使用されていた紙焼写真とそれにともなう文字情報を素材に生まれた最新作です。本展では読売新聞社から提供されたプレス写真を素材とした世界初公開となる作品も発表されます。

■会場はすべて撮影可能です
アーティストの許可により、会場はすべて撮影可能です。

出品される主なシリーズの紹介

Porträts
一 見ありふれた証明写真のようにも見えるポートレート。しかし巨大なサイズ(210×165cm)に引伸ばされた作品の前に立つと,そうした印象は一変しま す。ありふれた人物写真が,どこか不可解で不可思議な存在にすら見えてくるとすれば,そこには写真というメディア独自のメカニズムが働いているのではない でしょうか。ルフの評価を高めた初期作品は,シンプルな手法でさまざまな問題を提起します。巨大なカラープリントという現代写真のフォーマットの先駆と なったシリーズでもあります。

l.m.v.d.r.
「l.m.v.d.r.」 とは,モダニズム建築を代表するドイツ出身の建築家ルードヴィッヒ・ミース・ファン・デル・ローエの頭文字。ルフはある美術館からミースの建築の撮影を依 頼され,さらにミースのある時期の全建築作品を撮影するプロジェクトをてがけます。その過程で,ルフはすでに撮影されたミース建築の写真を徹底的に研究 し,そのうえで自ら撮影し,あるいは既存の写真を収集し,さらにはそれらのイメージをデジタル処理することで,この近代建築の巨匠についての視覚的な探求 を試みました。

cassini
ル フは少年時代から一貫して宇宙への関心を抱き続けています。2008年に発表された「cassini」はNASA(アメリカ航空宇宙局)などが1997年 に打ち上げた宇宙探査船cassiniが撮影した土星とその衛星の画像を素材にした作品。ときに抽象的,幾何学的なデザインのようにも見える天体のイメー ジは,インターネット上で公開されている画像の色彩やトーンを操作することで生み出されたものです。

ma.r.s.
「ma.r.s.」 もまたNASAの探査船が撮影した画像を素材とする作品です。2006年以来火星を周回する探査船のカメラは,火星の表面のさまざまな情報を地球に送り続 けています。ルフはその画像情報の角度や色彩をデジタル処理で加工することで,このはるか彼方で火星を見つづけるレンズを通じた「風景写真」の可能性を探 ります。

photogram
このシリーズのタイトルとなっている「フォトグラム」とは,1920年代後半にモホイ=ナジ・ラースローらによって開発された写真技法のひとつで,カメラを用いず感光紙上に物体を置いて直接露光し,その影や透過する光をかたちとして定着させる技法です。ルフは2012年よりこの技法を用いた作品制作に取り組みはじめました。従来のフォトグラムではやり直しがきかず,モノクロームの表現に限定されるのに対して,かねてより作品制作にデジタル技術によるマニピュレーションを導入していたルフは,コンピューター上のヴァーチャルな「暗室」で物体の配置と彩色を自在に操作し像をつくりあげています。

Substrate
インターネット上に溢れる,もはや計測することすら不可能な量の画像は,何らかの現実を表象しうるのでしょうか。それとも単にRGB3色の画素の組み合わせがつくる視覚的な刺激にすぎないと言えるのでしょうか。ルフはネット上に氾濫する匿名のポルノグラフィに着目し,「nudes」シリーズの制作をはじめましたが,このシリーズではさらに「イメージ」の解体へと踏み込んでいます。日本の漫画やアニメから取り込んだ画像に原形がわからなくなるまでデジタル加工を繰り返し,画像から意味や情報を剥ぎとっています。

jpeg
「nudes」 や「Substrate」シリーズと並んで,デジタル画像の解体が主題となっていますが,このシリーズではそうしたデジタル画像がもっている「構造」への 関心が加わっています。シリーズ名のjpegとはデジタル画像の圧縮方式のひとつで,現在,全世界で使用されもっとも標準的なフォーマットの名称です。圧縮率を高めすぎるとブロックノイズが発生し,画面がモザイク状になってしまうという,この画像フォーマットの特性を用いて,画像の構造そのものを視覚化しています。

zycles
2008 年より制作がはじめられたこのシリーズでは,ルフの関心は数学や物理学へと拡がっています。イギリスの物理学者ジェームズ・クラーク・マクスウェル (1831-1879)の著した電磁気学の研究書の中に収められていた銅版画による電磁場の図版に触発されたルフは,さまざま数式がつくる線形を3Dプロ グラムによって再現し,コンピューター上の3次元空間で再構成しました。ルフによって平面作品へと変換された,こうした曲線の複雑な組み合わせは,惑星の軌道のようにも,あるいは抽象的なドローイングのようにも見えます。

イベント

講演会

■塚本由晴(建築家、アトリエ・ワン代表)
2016年10月2日(日)14:00-15:30

■ホンマタカシ(写真家)
2016年10月8日(土)14:00-15:30

場所:講堂(地下1階)
*開場は開演30分前、聴講無料(先着140名)、申込不要

ギャラリートーク

■増田玲(東京国立近代美術館主任研究員・本展企画者)
2016年9月9日(金)18:00-19:00
2016年10月22日(土)14:00-15:00

場所:1階企画展ギャラリー
*参加無料(要観覧券)、申込不要

Music Dialogue

■Music Dialogue「主題と変奏─トーマス・ルフ展によせて」
2016年9月11日(日)13:00-15:15

世界的ヴィオラ奏者で指揮者の大山平一郎さんらによる室内楽の演奏と解説、客席との「対話」で構成する音楽&トークイベントです。

場所:講堂(地下1階)
*開場は開演30分前、有料(一般4,000円、学生2,000円)、要事前申込(webのみ)
*主催:一般社団法人Music Dialogue *外部ページ
*お申込み、お問い合わせはMusic Dialogueまでお願いします。

トーマス・ルフ展スペシャルディナー

■レストラン ラー・エ・ミクニが「トーマス・ルフ展」スペシャルディナーをご用意
2016年8月30日(火)~11月13日(日)

美術館に併設するレストラン ラー・エ・ミクニは、三國清三シェフがプロデュースするフレンチとイタリアンの融合をアートする本格レストランです。トーマス・ルフ展にあわせて、展覧会特別企画のスペシャルディナーをご用意します。

*価格:おひとり様5,000円(税・サ別)
 特別価格のため、現金でのお支払いをお願いします。
*コース内容:アミューズ、前菜、パスタ、魚料理、肉料理、季節のデザート、小菓子、カフェ、乾杯のシャンパン付(注:画像は一例です)
*時間:17:30~21:00 のうち、お席のご利用が2時間制
*1日限定10組様のスペシャルプラン!前日11:00までに直接お電話にてご予約下さい。(ホームページからはご予約いただけません)火曜日のご予約は前々日まで。
 TEL:03-3213-0392

*展覧会特典:展覧会の観覧券を持参いただいた方には、来年春の桜の季節のお席を誰よりも早くご予約いただける優先権を差し上げます。皇居をバックにした窓一面の桜は格別なことから、例年予約で満席になるため、予めご連絡先を頂戴し、一般の予約開始前にレストランからご案内をお送りします。

開催概要

会場

東京国立近代美術館 1F企画展ギャラリー

会期

2016年8月30日(火)~2016年11月13日(日)

開館時間

10:00-17:00 (金曜日は10:00-20:00)
*入館は閉館30分前まで

休館日

月曜日(9月19日、10月10日は開館)、9月20日(火)、10月11日(火)

観覧料

当日(前売/団体)
一般  1,600(1,400/1,300)円
大学生 1,200(1,000/900)円
高校生  800(600/500)円

  • ( )内は、前売/20名以上の団体料金。いずれも消費税込。
  • 前売券は2016年6月4日(土)~2016年8月29日(月)販売。
  • 中学生以下、障害者手帳をお持ちの方とその付添者(1名)は無料。それぞれ入館の際、学生証等の年齢のわかるもの、障害者手帳等をご提示ください。
  • キャンパスメンバーズ加入校の学生は、学生証の提示で割引料金900円でご鑑賞いただけます。
  • 本展の観覧料で入館当日に限り、同時開催の「MOMATコレクション」(4F-2F)、「奈良美智がえらぶ MOMAT コレクション:近代風景 ~人と景色、そのまにまに~」(2Fギャラリー4)もご覧いただけます。

*この展覧会は下記の条件で写真撮影ができます。
・フラッシュ、三脚、自撮棒は使用できません。
・他の来館者の鑑賞を妨げないようご注意ください。
・作品の接写はできません。
・動画の撮影はできません。

 撮影された写真の利用に関して
・私的な利用に限ります。営利目的ではご利用になれません。
・画像に変更を加えることはできません。
・ブログやSNS、写真共有サービス等で使用する場合は、下記の情報をあわせて掲出してください。

作家名、作品名、「トーマス・ルフ展」、東京国立近代美術館

・ブログやSNS、写真共有サービス等で他の来館者が写った写真を公表する場合、写っている方の肖像権に触れる場合があります。ご注意ください。
・ブログやSNS、写真共有サービス等での利用は、利用者の責任においてお願いします。美術館は一切の責任を負いません。

*主なチケット販売場所:東京国立近代美術館(*開館日のみ)、チケットぴあ(Pコード:767-685)、ローソンチケット、イープラス、セブンチケット、JTB店舗ほか
*手数料がかかる場合があります。

■ルフ展 × ダリ展 セット券
前売り券:2,600円
販売期間:2016年8月29日(月)まで
*ダリ展(9月14日~12月12日、国立新美術館)の前売券がセットになって、ルフ展とダリ展の2つの展覧会を特別価格でご鑑賞いただける前売券です。消費税込。
*販売場所:チケットぴあのみで販売(Pコード:767-689)
*手数料がかかる場合があります。

■特大PRポスター付きチケット
料金:3,000円
販売期間:売り切れ次第終了(限定1,000枚)
*特大PRポスターが付いた前売券を、1000枚限定で販売します。展覧会に出品されるポートレート作品をデザインした特大の縦長ポスター(縦177cm×横125cm)です。ポスターはチケット発券後、16分の1サイズに折った状態で特製封筒にお入れして別途お送りいたします。消費税・ポスター配送料込
*販売場所:チケットぴあのみで販売(Pコード:767-700)
*手数料がかかる場合があります。

■Tシャツ付きチケット
料金:4,800円
販売期間:売り切れ次第終了(S・M・Lサイズ 各100枚限定)
*展覧会に出品される作品をプリントしたTシャツ付き前売券です。消費税込
*販売場所:チケットぴあのみで販売(Pコード:767-801)
*手数料がかかる場合があります。
*Tシャツは、会期中トーマス・ルフ展特設ショップにてチケットと一緒に発券される引換券とのお引き換えとなります。

主催

東京国立近代美術館、読売新聞社、ぴあ、WOWOW

後援

J-WAVE

協力

Lufthansa Cargo AG、全日本空輸(株)

巡回

金沢21世紀美術館
2016年12月10日(土)~2017年3月12日(日)

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