展覧会

会期終了 コレクションによる小企画

寝るひと・立つひと・もたれるひと

会期

会場

東京国立近代美術館本館 ギャラリー4(2F)

展覧会について

萬鉄五郎(よろず・てつごろう、1885-1927)作の重要文化財、《裸体美人》 は、不思議な作品です。草原に寝ているはずの裸婦が、視覚的なトリックにより、まるで立っているようにも見えるからです。
人間が大地に立つ、あるいは横たわる。そんな私たちにとってごくふつうの感覚を、時に絵画はさまざまな方法で揺るがします。
萬の代表作を手がかりに、今日の作品まで、当館のコレクションから19点をご紹介します。

ここが見どころ

《裸体美人》は草原に寝そべる裸婦を描いています。
しかし萬は、裸婦を縦に置き、おまけに背後の草原を垂直に立ち上がるように描くことで、裸婦が「寝ている」のではなく、一瞬「立っている」と見えるよう、わざわざ工夫を凝らしています。
絵画とは一枚の平らな面であって、裸婦が横になるような奥行きは実際には存在しません。ここで萬は、壁にかけられた絵の中で、裸婦は実際に私たちに面して「立っている」のだ、と主張しているのです。

熊谷守一の《畳の裸婦》。実は《裸体美人》とほとんど同じポーズです。しかし、裸婦が横方向に置かれているため、畳がやはり垂直に立ち上がるように描かれていても、《裸体美人》よりずっときちんと「寝て」見えます。
ところで、今度はこの図版を縦にしてみましょう。すると、たちまち裸婦は立って踊っているように感じられます。
このように、私たちが絵の中の人物を「寝ている」「立っている」と判断することは、きわめてあいまいな部分を持っているのです。

イケムラレイコの《横たわる少女》では、少女が横方向に置かれており、さらにその右半身が空間の奥へとめりこんでいるため、きちんと大地に横たわって見えます。

アメリカの女性写真家、ルース・バーンハートの作品はどうでしょう。裸婦は奥行きのある箱の中に寝そべっています。しかし、この箱がただの長方形に見えた瞬間、奥行きの感覚が失われ、裸婦がどこにどう寝そべっているのか、見る者は混乱してしまいます。まるでだまし絵のようですね。

イベント情報

キュレーター・トーク

蔵屋美香(本展企画者・当館美術課長)

日程

2009年7月4日(土)

時間

11:00-12:00

場所

2F ギャラリー4

蔵屋美香(本展企画者・当館美術課長)

日程

2009年8月7日(金)

時間

18:00-19:00

場所

2F ギャラリー4

カタログ情報

開催概要

会場

東京国立近代美術館本館 ギャラリー4(2F)

会期

2009年6月13日(土)~9月23日(水)

開館時間

10:00-17:00 (金曜日は10:00-20:00)
*7月3日(金)~9月23日(水・祝)は、金曜日に加えて土曜日も20時まで開館(入館は閉館30分前まで)

休室日

月曜日、ただし7月20日(月・祝)、8月17日(月)、8月24日(月)、9月21日(月・祝)は開館、7月21日(火)は休館

観覧料

一般 420円(210円) 大学生130円(70円)
*高校生以下および18歳未満、65歳以上および障害者手帳をお持ちの方とその付添者(1名)は無料。
*それぞれ入館の際、学生証、運転免許証等の年齢の分かるもの、障害者手帳等をご提示ください。

  • ( )内は20名以上の団体料金。いずれも消費税込。
  • お得な観覧券「MOMATパスポート」でご観覧いただけます。
  • キャンパスメンバーズ加入校の学生・教職員は学生証または教職員証の提示でご観覧いただけます。
  • 本展の観覧料で、当日に限り所蔵作品展「近代日本の美術」(所蔵品ギャラリー、4-2F)もご観覧いただけます。
無料観覧日(所蔵作品展、「寝るひと・立つひと・もたれるひと」展のみ)

7月5日(日)、8月2日(日)、9月6日(日)

主催

東京国立近代美術館

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