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MOMAT Focus MOMATコレクション ソル・ルウィット| ウォール・ドローイング#769 2020年12月22日~公開(所蔵品ギャラリー3F|建物を思う部屋)

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ソル・ルウィット《ウォール・ドローイング#769 黒い壁を覆う幅36インチ(90cm)のグリッド。角や辺から発する円弧、直線、非直線から二種類を体系的に使った組み合わせ全部。》1994年、水溶性パステル、水性塗料、鉛筆・壁
Courtesy the Estate of Sol LeWitt, Massimo De Carlo and TARO NASU Copyright the Estate of Sol LeWitt. 撮影: 木奥恵三

ソル・ルウィット| ウォール・ドローイング#769 について

当館では2018年度にソル・ルウィット(1928–2007)のウォール・ドローイングを購入し、この作品がこのたび(2020年12月)所蔵品ギャラリー3階の「建物を思う部屋」に完成しました。

1960年代からニューヨークを拠点に、ミニマル・アート、コンセプチュアル・アートの代表的作家として活躍したルウィットは、生涯に1200点以上のウォール・ドローイングを制作しました。しかしこれらは、必ずしも彼自身が描いてはいません。彼は次のように述べています。「アーティストはウォール・ドローイングの構想を立て、その設計をする。それを具現するのはドラフトマンである(アーティスト自身がドラフトマンを兼ねるも可)。プランはドラフトマンによって解釈される。プランの範囲内で、プランの一部としてドラフトマンによってなされる決定がある。ひとりひとりがそれぞれにユニークなので、同じ指示をあたえられても解釈が異なり、違ったふうにおこなわれるだろう」(『アート・ナウ』1971年6月号)。この言葉通り、彼のウォール・ドローイングは、彼(あるいは彼のエステート)が指定するドラフトマンによって実現されます。いわば作曲者と演奏者のような関係が、そこに生じることになります。そしてまた、このようなシステムをとることによって、彼の作品は制作の主体の在り処や、観念と実体との関係など、アートの根幹について見る者に問いを投げかけるのです。

さて、このたび当館の壁面を飾るウォール・ドローイングは、その題名が示す通り約90×90cmの矩形をひとつの単位として、その矩形の中に16種類の円弧、直線、非直線が2つずつ組み合わされ、全部で120通りのパターンによって構成されます。図形が反復とずれによって生み出すリズムは、まるでミニマル・ミュージックを視覚化したような心地よい刺激を私たちの眼に届けるでしょう。

この作品はこれまで1994年パリ、1996年マドリッドで開かれたソル・ルウィット展で制作されたことがありますが(各展覧会終了後に消去)、今回は下記の方々により制作されました。

ドラフトマン:趙幸子
アシスタント:石村正美
       平川淑子

公開日:

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