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台風接近による開館及びプログラム中止の対応について(6月26日19時更新)
台風7号の接近に伴い、明日6月27日(土)は開館時間等について臨時に変更を行う場合がございます。 6月27日(土)は通常開館の予定ですが、臨時休館または開館時間の変更を行う場合は、決定次第、当ウェブサイト、当館公式SNSアカウントにてご案内いたします。 東京国立近代美術館 X アカウント 東京国立近代美術館 Facebook ページ 東京国立近代美術館 Instagramアカウント なお開館状況に関わらず、6月27日(土)に予定している下記は中止いたします。 ガイドスタッフによる所蔵品ガイド レストラン「ラー・エ・ミクニ」 は貸し切りのみ営業
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MOMAT DONORS’ CLUB
MOMAT DONORS’ CLUB(略称:MDC)は東京国立近代美術館(竹橋)の活動をご寄附で支えてくださる個人の皆さまのための会員制度です。 当館は、充実した所蔵作品展と魅力的な企画展の開催、学校団体、ファミリー、ビジネスパーソンや外国人のお客様など、多様な層に向けた教育普及事業の実施など、活発で積極的な活動に日々取り組んでおりますが、快適な鑑賞環境の整備や来館者サービスの向上、老朽化するインフラの維持・修繕、作品を適正に保存するための光熱費など、美術館活動にかかる費用は、国からの予算と自助努力だけでは補いきれません。私たちの活動や想いを支え、文化を守り育ててくださる寄附者の皆さまのご支援が必要不可欠です。 1952年の開館当時から守り伝え、発展させてきた、時代の記憶である当館のコレクションを、重ねてきた対話を、たくさんの方の暮らしの彩りを、今を生きる私たちだけでなく、100年、200年先の未来の世代にも確実に届けるために、ぜひMDCを通して当館をご支援いただけますようお願い申し上げます。 会員種別・寄附金額 ダイヤモンド会員:100万円 プラチナ会員:50万円 ゴールド会員:30万円 シルバー会員:10万円 ブロンズ会員:5万円 ※有効期限は会員証の発行日より1年間(入会月の翌年同月末まで)※期間内に退会されても寄附金の払い戻しはいたしかねますのでご了承ください。 入会方法 1. 券売窓口にて 東京国立近代美術館(竹橋)の券売窓口にてお申し込みいただけます。会員証をその場で発行し、当日からご利用いただけます。 2. ウェブサイトから 専用ページからお申し込みいただけます。※決済方法はクレジットカードまたはd払いです。※会員証は郵送いたします。お申し込み完了(決済完了)からお手元に届くまで1週間ほどお時間をいただきます。近日中にご来館予定の方は窓口にてお申し込みください。※会員証の有効期限、または発送日を指定してのお申し込みは承っておりません。※会員証及び返礼等の発送先は日本国内のご住所に限ります。 返礼 ご入会いただいた方には、感謝の気持ちを込めてさまざまな返礼をご用意しております。 ●東京国立近代美術館(竹橋) 所蔵作品展の無料観覧(同伴者1名まで) 企画展の招待券進呈 企画展の特別内覧会(開会式)へのご招待 ミュージアムショップ10%割引(現金でのお支払い時のみ適用・一部対象外商品あり) レストラン「ラー・エ・ミクニ」10%割引(一部対象外商品あり) MDC感謝デーへのご招待 館長との食事会&研究員による所蔵作品展のご案内(ダイヤモンド・プラチナ会員のみ) ご芳名の掲出(ウェブサイト・館内) ●国立工芸館、国立西洋美術館、京都国立近代美術館、国立国際美術館の所蔵作品展・常設展と、国立映画アーカイブの7階展示室の無料観覧(同伴者1名まで) など 会員区分に応じた返礼一覧はこちらから(PDF)ご確認いただけます。 会員御芳名 ダイヤモンド会員 1名 ゴールド会員 三田 武志 様山野 俊治 様(他1名) シルバー会員 加藤 浩之 様志波 幹雄 様古瀬 敏 様服部 彰子 様山田 玲司 様福谷 尚久 様津村 健文 様新角 卓也 様関口 和也 様木越 純 様 堀内 豊太郎 様(他4名) ブロンズ会員 直江 智子 様菊地 さつき様永瀬 祐一 様寄本 健 様杉山 裕保 様中山 敦子 様中島 淑乃 様菊地 美帆 様小出 陸 様林 可南子 様須貝 英 様堀川 佳津美 様 五嶋 滋之 様島崎 美香 様坂詰 貴司 様布施 優子 様菊地 明子 様小代 魁之助 様牛嶋 龍之介 様川島 和孝 様加納 隼人 様尾崎 英司 様土肥 松男 様(他18名) 税制の優遇 MDCの会費につきましては、寄附金控除(所得控除)が適用されます。入会の翌月に領収書を発行しお送りしますので、確定申告の際にご利用ください。 お住まいの都道府県・市区町村が、条例で独立行政法人国立美術館を寄附金控除の対象法人として指定している場合、個人住民税額の控除を受けることができます。詳細については各自治体の条例をご確認ください。 ※令和3年度税制改正により、確定申告時に提出する領収書については、押印を要しないとされたことを受け、当館におきましては、令和7年3月1日以降に受領した会費については、領収書への押印を廃止いたします。(参照:国税庁webサイト) お問い合わせ 〒102-8322東京都千代田区北の丸公園3-1東京国立近代美術館 寄付担当TEL:03-3214-2619(直通/土日祝日を除く9:30~17:00)FAX:03-3214-2577
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こども・ファミリー
こども・ファミリーが美術館を楽しめるプログラムをご用意しています。対象年齢やご都合にあわせてご参加ください。開催日・テーマなどはイベント検索からご覧いただけます。 近日開催のプログラム こども・ファミリー向けプログラム Family Day こどもまっと 「Family Day こどもまっと」は子どもと一緒に気兼ねなく美術館を楽しめる特別なイベントです。周りが気になって美術館から足が遠のいていた方も、お子さんと一緒に、はじめての、ひさしぶりの美術館へ来てみませんか? 「Family Day こどもまっと」紹介動画(約1分) https://youtu.be/kQXDmGpVSrw 「Family Day こどもまっと2024」の記録映像です。当館ガイドスタッフ(ボランティア)と一緒に、作品をよくみて、感じたことやかんがえたことを、お話しする「MOMATコレクション発見隊」や、ボランティアがナビゲーターとなって美術館の中や外を探検する「MOMATまるごと探検隊」を実施しました。 中高生プログラム 当館所蔵作品や、様々なジャンルのアーティスト・専門家とのワクワクするような出会い、ワークショップ、参加者同士のコミュニケーションなどを通じて、美術への理解を深め、美術のいろいろな魅力に触れます。過去の実施の様子については、下記よりご覧ください。(次回の実施については、「イベント」ページより最新情報をご確認ください) 中高生プログラム 自分をちょっとはみ出ると… (2025~26) 中高生プログラム(2025~26)記録動画(約6分) https://youtu.be/LvGwq0dKh-A 全8回を通して中高生が当館で様々なジャンルのアーティスト・専門家と出会い、小学生に美術の楽しさを伝える「ビジュツ発見隊」を自分たちで企画し、案内役を担いました。 「Family Day こどもまっと」および「中高生プログラム」は、こどもたちが芸術に触れる機会の拡大を目指す国立美術館全体の取り組みである「Connecting Children with Museums」のひとつで、Adobe Foundationのご支援のもと実施されています。 「Connecting Children with Museums」のその他の取り組みについては、こちらからご覧いただけます。 Connecting Children with Museums initiative is supported by the Adobe Foundation おやこでトーク 幼児とその保護者を対象としたギャラリートークです。子どもたちの目に映るアートの世界はどんなものでしょう? ガイドスタッフ(当館ボランティア)と一緒に、展示室で作品を鑑賞しませんか。 「おやこでトーク」紹介動画(約5分30秒) https://player.vimeo.com/video/925724744?h=573c67e4b1 2023年に実施されたプログラムの記録映像です。 幼児とその保護者間のコミュニケーションを大切にしながら、ガイドスタッフと作品の中の色や形を見つける、ことばと作品をつなげる、身体を使って表すなどのアクティビティを通して、作品との出会いを楽しみました。 こども美術館 小学生を対象に鑑賞を中心としたプログラムを実施します。 こども向け教材 さまざまな年齢の子どもが鑑賞に親しめるよう、対象年齢の異なる教材を開発しています。 こども向け印刷物 みつけてビンゴ! 所蔵作品展を観覧する子ども(幼児)が大人の方と一緒に使用して所蔵作品展を楽しむためのツールです。対象者に無料で配布しています。 デジタル教材 MOM@T Home こどもセルフガイド 小・中学生向けの書き込み式セルフガイド(ワークシート)をデジタル化した教材です。 タブレット端末で快適に利用でき、展示室はもちろん、自宅や学校など、どこからでも、東京国立近代美術館の作品や鑑賞のヒントを閲覧できます。
MOMATハイライトツアー
撮影:落合由利子 東京国立近代美術館の所蔵作品5~6点の紹介を通して、MOMATガイドスタッフ(当館ボランティア)の視点から「日本の近代美術」の魅力を伝えるツアープログラムです。 2026年7月24日(金)、31日(金)、8月7日(金)、14日(金)、21日(金)、28日(金)、9月4日(金)、11日(金) 18:00~/19:00~(各回30分) 8月1日(土)、8日(土) 16:00~/17:00~(各回30分) どなたでも なし 4階エレベーター前ホール(MOMATコレクション展示室内) 無料(要観覧券) ご参加にあたって: プログラムの特性上、ガイドスタッフや作品の事前周知はしておりません。ご了承ください。 天候や館内の状況その他により、予告なく中止することがあります。 お問い合わせ 東京国立近代美術館 教育普及室メール: volunteer@momat.go.jp
ガイドスタッフによる所蔵品ガイド
撮影:加藤健 ガイドスタッフによる所蔵品ガイド MOMATガイドスタッフ(ボランティア)が選んだ所蔵作品2点を、対話を交えて鑑賞します。ガイドスタッフ・作品は毎回変わります。その日出会った作品や参加者との対話をお楽しみください。 開館日の11時~(30分程度) なし 4階エレベーター前ホール(MOMATコレクション展示室内) 無料(要観覧券) ご参加にあたって: プログラムの特性上、ガイドスタッフやガイド作品の事前周知はしておりません。ご了承ください。 災害や会場の混雑状況等により、予告なく中止することがあります。 お問い合わせ 東京国立近代美術館 教育普及室メール: volunteer@momat.go.jp
所蔵作品展 MOMATコレクション(2026.5.26–2026.9.13)
2026年5月26日-9月13日の所蔵作品展のみどころ 萬鉄五郎《裸体美人》1912年、重要文化財 MOMATコレクションにようこそ! 当館コレクション展の特徴をご紹介します。まずはその規模。1952年の開館以来の活動を通じて収集してきたおよそ14,000点の所蔵作品から、会期ごとに約200点を展示する国内最大級のコレクション展です。そして、それぞれ小さなテーマが立てられた全12室のつながりによって、19世紀末から今日に至る日本の近現代美術の流れをたどることができる国内随一の展示です。 今期の見所紹介です。1階で開催する企画展と連動した展示を所蔵作品展で展開できるのは、豊富なコレクションを有する当館の強みです。今回は3階の8室、9室と10室の一部を使って「杉本博司 絶滅写真」展(6月16日~)にちなんだ関連展示を行います。また今期も、新収蔵作品が多く展示されています(作品横に貼られた「新収蔵作品」マークが目印です)。長く館を代表してきた顔ぶれにフレッシュな新星と、盛りだくさんのMOMATコレクションをお楽しみください。 今会期に展示される重要文化財指定作品 今会期に展示される重要文化財指定作品は以下の通りです。 2室 原田直次郎《騎龍観音》1890年、寄託作品、護国寺蔵 2室 菱田春草《王昭君》1902年、寄託作品、善寳寺蔵(展示期間: 5月26日~7月20日) 2室 和田三造《南風》1907年 3室 萬鉄五郎《裸体美人》1912年 原田直次郎《騎龍観音》1890年、寄託作品、護国寺蔵 菱田春草《王昭君》1902年、寄託作品、善寳寺蔵 和田三造《南風》1907年 萬鉄五郎《裸体美人》1912年 展覧会について 4階 1-5室 1880s-1940s 明治の中ごろから昭和のはじめまで 「眺めのよい部屋」 美術館の最上階に位置する休憩スペースには、椅子デザインの名品にかぞえられるベルトイア・チェアを設置しています。明るい窓辺で、ぜひゆったりとおくつろぎください。大きな窓からは、皇居の緑や丸の内のビル群のパノラマ・ビューをお楽しみいただけます。 「情報コーナー」 導入部にある情報コーナーには、MOMATの歴史を振り返る年表と関連資料を展示しています。関連資料も随時展示替えしておりますのでお見逃しなく。作品貸出中の他館の展覧会のお知らせや、所蔵作品検索システムも提供しています。 1室 ハイライト 藤田嗣治《五人の裸婦》1923年 3000㎡に200点近くが並ぶ、所蔵作品展「MOMATコレクション」。「ハイライト」では近現代美術を代表する作品を揃え、当館のコレクションの魅力をぎゅっと凝縮してご紹介しています。 今期は日本画にご注目ください。前期(7月20日まで展示)には北野恒富《戯れ》(1929年)や小倉遊亀《浴女 その一》(1938年)、《浴女 その二》(1939年)、そして後期(7月22日から展示)には福田平八郎《雨》(1953年)など、当館の日本画コレクションのなかでも屈指の人気を誇る作品が登場します。ケースの外には、国内各地の展覧会にひっぱりだこだった藤田嗣治《五人の裸婦》(1923年)が、約3年の不在を経てMOMATコレクション展に帰ってきました。ポール・セザンヌ、ピエール・ボナール、パウル・クレーなど、この部屋の常連となっている作品や、ひきつづいてのご紹介となる奈良美智《Harmless Kitty》(1994年)とあわせ、じっくりとご堪能ください。 2室 坂の上の雲 和田三造《南風》1907年 日清戦争(1894–95年)、日露戦争(1904–05年)の勝利によって、日本は列国との不平等条約を改正し、真の独立国としての地位を獲得します。東アジアの新秩序の担い手を自任し、「世界の中の日本」という意識が芽生え始めるのもこの頃のことです。司馬遼太郎が『坂の上の雲』で描きだしたように、明治維新以来追い求めてきた近代日本の国家像がひとつの完成を見たのです。それはまた、当時の国際関係の中で日本が「帝国」としての一歩を踏み出したことを意味します。日露戦争の結果、日本は1910(明治43)年に韓国を併合し、大陸進出への足がかりを得たのです。 文部省主催の美術展覧会(文展)が始まったのは、日露戦争直後の1907(明治40)年のこと。第1回文展出品作の中には和田三造の《南風》のように、英雄的な男性像によって時代の気運を捉えたものも含まれていました。しかし、その一方で戦争遂行の負担を強いられてきた民衆の政府に対する不満が爆発。世間の関心の比重は次第に「国家」から「個人」に移りつつありました。 3室 わたしと太陽 川上涼花《鉄路》1912年 「僕は芸術界の絶対の自由(フライハイト)を求めている。従って、芸術家のPERSOENLICHKEIT(人格)に無限の権威を認めようとするのである。[…]人が『緑色の太陽』を画いても僕はこれを非なりと言わないつもりである」。1910(明治43)年に高村光太郎が発表したエッセイ、「緑色の太陽」の中の一文です。外界の自然の姿すら変えることが可能な、芸術家のものの見方、感じ方の絶対の自由をうたう、大正デモクラシーの幕開けを告げる文章です。さて、赤いはずの太陽が補色の緑で描かれる―このたとえの背後には、オレンジと青の二つの補色で太陽を描くヴァン・ゴッホの作品のイメージがあったはずです。同じ1910年に発刊された雑誌『白樺』には、ゴッホの複製図版が多数紹介されました。輝くような色彩(図版の多くはモノクロでしたが)、息せき切った作画のスピード感を示す絵具の厚塗り、そして周囲に理解されない悲劇の生涯―ゴッホはたちまちのうちに、若い芸術家たちの拡張を求めて止まない「わたし=自我」を照らし出す、心の「太陽」となったのです。 4室 海を渡った新版画 吉田博《帆船 朝日》1921年(展示期間:5月26日-7月20日) 吉田博《帆船 夕日》1921年(展示期間:7月22日-9月13日) 大正時代に始まり、浮世絵と同じ分業体制によって制作され、その復興と近代化を目指した版画を新版画といいます。現在海外の美術館やコレクターも多く新版画を所蔵していますが、1930年と1936年には、アメリカでその認知度を高めた巡回展が行われていました。どちらの展示も10人の作家が選ばれ、300点前後の作品が出品される大規模なものでした。作品のジャンルも風景画、美人画、役者絵、花鳥画と多岐にわたり、その多くを日本らしいモチーフがしめていました。そして出品作品のほとんどが版元に注文可能というシステムだったこともあり、多くの版画が海を渡ってアメリカへ輸出されることになったのです。なお、この新版画展は1936年以降5年おきの開催が目論まれていましたが、戦争へ向かっていく時局の影響もあり、その後継続されることなく終わっています。この部屋では、当時アメリカの観衆にお披露目された版画の一部を、出品作家・仲介役として展覧会開催に貢献した吉田博の作品とともに振り返ります。 5室 風景の動員 梅原龍三郎《北京秋天》1942年 島国である日本に暮らす人々にとって、大陸の果てしなく続く地平線や、抜けるような青い空は、憧れを誘う異郷の象徴でした。その眼差しは、明治以降、日本が台湾や朝鮮を植民地として支配し、アジアへ版図を広げるにつれて政治的な意味合いを急速に強めていきます。例えば、梅原龍三郎が戦時下に描いた北平(現在の北京)の紫禁城に、当時の人々は異国趣味と領土拡大のイメージを重ね見たことでしょう。 兵士として海を渡ることは、日本の戦争遂行のために命を捧げることと同義でした。実際に、靉光や浅原清隆は応召して大陸へ渡り、そのまま帰らぬ人となっています。また辻晋堂の木彫のモデル、大伴家持が詠んだ『万葉集』の一節は、国民歌謡「海ゆかば」の歌詞として斉唱されました。太平洋戦争中、「海ゆかば」は玉砕報道に伴う鎮魂のテーマ曲として定着していきます。大陸や海の風景は、単なる鑑賞の対象を超えて、人々を戦地へと駆り立てる装置として「動員」されていったのです。 3階 6-8室 1940s-1960s 昭和のはじめから中ごろまで9室 写真・映像10室 日本画建物を思う部屋(ソル・ルウィット《ウォールドローイング#769》) 6室 鋼鉄の夢、廃墟の傷 鶴岡政男《転がっている首》1950年 撮影:大谷一郎 海軍作戦記録画に描かれた大海原や、臨場感あふれる戦艦の戦闘シーン。これらのイメージは、雑誌『機械化』に掲載された空想科学兵器の挿絵などと共に、軍国少年たちの夢と憧れをかき立てていきました。しかし、1945年の敗戦によってその幻想は解体されます。古沢岩美の《餓鬼》は、廃墟と化した街に傷痍軍人や街娼が佇む敗戦直後の世相を色濃く反映した作品です。 戦後、朝鮮戦争の特需景気で社会が復興へ向かうなか、作家たちはその忘却の流れに抗うかのように、苦悶する人間の身体へと目を向けました。近年新たに収蔵した鶴岡政男《転がっている首》や漆原英子《Midnight Circus》は、戦後日本における変形し、断片化された身体表現を象徴する作品です。この部屋では、勇ましいプロパガンダから、痛ましい肉体へと変容した表現の軌跡を通じて、戦争の記憶を振り返ります。 7室 オヘソの手術 河原温《孕んだ女》1954年 昨年度、当館は世界的な日本人美術家・河原温の初期の重要作品《洪水期》を収集しました。そのお披露目を兼ねて、戦後日本の前衛の実践を紹介します。 戦後に岡本太郎が提唱した「対極主義」─相反する要素を矛盾したまま共存させて新たな価値を生み出す芸術思想─を踏まえ、それを発展させるアイディアを河原は「オヘソの手術」と呼んでいます。曰く、「従来のなまぬるい(…)空間造形を破壊して、観客の視覚と画との矛盾、対立をさらに先鋭化」する試みです。画面の中心点(オヘソ)を崩す制作過程を惜しげもなく公開した雑誌記事からは、この時期に河原が変形キャンバスを多用していた理由がわかります。画面の左右対称性を崩し、見る者の視線の更新に挑戦すること。それは、モンタージュを駆使する中村宏、視点を固定させず流動させる山口勝弘、あるいはまさしく中心を持たない宮脇愛子など、他の作者の表現と並べてみると、同時代的な関心であったことも見えてきます。 8室 物質化か非物質化か 高松次郎《No.273(影)》1969年 1階で開催する「杉本博司 絶滅写真」にちなみ、1970年代を中心とする美術を紹介します。杉本博司は1970年に渡米して写真を学ぶことで作家として出発しました。この頃、世界各地で表面化していた傾向が「美術の非物質化」です。目を楽しませる手わざや造形などの物質的・視覚的要素によらず、作品を通して本質的な概念を見せようとする─アメリカの批評家ルーシー・リパードが指摘したこの傾向は美術の唯一性や商業性に切り込み、いわゆるコンセプチュアル・アート(概念芸術)の興隆につながっていきます。多くの作家が色彩を排し、物質性から距離を置くために版を用いて制作を間接化させる表現がしばしば試みられました。もちろん、それでもなお、美術作品は物質であることを逃れられません。物質によって物質を裏切り、あるいは物質を概念として提示するというチャレンジや思考は、たとえば高松次郎の作品の原図に残されたメモから推し量ることができます。 9室 ヴィデオ(私はみる) リンダ・ベングリス《ナウ》1973年 Courtesy Electronic Arts Intermix (EAI), New York 20世紀前半、音声信号を示す技術用語として生まれたaudio(ラテン語で「私は聞く」)と対になる用語として、視覚信号を指すために使われるようになったvideo(同じく「私は見る」)。1960年代に入って持ち運び可能なヴィデオカメラが開発されると、この装置を使ってアーティストたちは新たな創造へと繰り出しました。この部屋では初期にあたる1970年代初頭に制作された代表的な作品3本を紹介します。 視覚像を信号に変換してすぐさま再生する、つまり自分で撮影した映像を自分が再確認し続けるという機械独自の構造、そして、見ることがすでに「ヴィデオ」であり「ヴィデオ」が見る行為を規定しているという二重の名称。この自己言及的な性格に応答して、誰が/何を見ているのかを鏡写しにして省みるような作品が多く生まれることになりました。初期のヴィデオアートに作者自身が登場することが多いのは、それが最も身近なモデルであるからというより、そうした性格に基づいているといえるでしょう。 10室(前期:5月26日―7月20日) 劇場・海景・スギモトノート/風を表す 杉本博司《カボット・ストリート・シネマ、マサチューセッツ州》1978年 Ⓒ Hiroshi Sugimoto / Courtesy of Gallery Koyanagi 手前のコーナーでは、1階企画展ギャラリーで開催中の「杉本博司 絶滅写真」展のサテライト展示として、当館所蔵の杉本作品13点と、その制作の過程を記録したノートを紹介しています。初期の代表作として知られる〈劇場〉と〈海景〉は、ともにコンセプチュアルな作品ですが、一方で、今回展示するノートからは、暗室作業において、杉本が試行錯誤を重ねながら写真プリントとしての質を究めようとしていたことがうかがわれます。 奥の部屋は、風や空気のゆらぎに注目した特集です。近代の日本画家は総じて、それまでに定型化していた絵のあり方から脱却することを課題としましたが、伝統的な、いわゆる「花鳥風月」を愛でる心は失われなかったようです。ここに並んでいる明治から平成にいたるまでの作品は、「風」とかかわりがあるといえるでしょう。風を表すなかに、どのような近代の新しい表現や伝統の再解釈が見られるでしょうか。 10室(後期:7月22日―9月13日) 劇場・海景・スギモトノート/近代日本画の鳥 竹内栖鳳《宿鴨宿鴉》1926年(展示期間: 7月22日-9月13日) 手前のコーナーでは、1階企画展ギャラリーで開催中の「杉本博司 絶滅写真」展のサテライト展示として、当館所蔵の杉本作品13点と、その制作の過程を記録したノートを紹介しています。初期の代表作として知られる〈劇場〉と〈海景〉は、ともにコンセプチュアルな作品ですが、一方で、今回展示するノートからは、暗室作業において、杉本が試行錯誤を重ねながら写真プリントとしての質を究めようとしていたことがうかがわれます。 奥の部屋では、前期の「風」に続き、花鳥風月の「鳥」を描いた日本画を特集します。私たちの身近にいる鳥は、日本では古くから絵画に描かれてきました。近代の日本画家たちは定型化した伝統的な花鳥画から脱却するため、鳥だけを取り出して造形や構図の工夫を試みたり、画面に生命感を与えるために風景に鳥を加えるなどしました。ここに並べられた作品の鳥たちには、どのような近代の特徴が表れているでしょうか。 2階 11–12室 1970s-2010s 昭和の終わりから今日まで 11室 イメージ:出現と消失 横溝静《That Day/あの日》(2020年)@ Shizuka Yokomizo 横溝静による映像インスタレーション《That Day/あの日》(2020年)を収蔵後、初めて展示します。このお披露目を契機に、イメージ(像)の出現と消失、という視点からいくつかの作品を紹介します。 写真の現像プロセスを映し出す横溝の映像では、イメージの定着(出現)、そしてそれと表裏一体で進行する記憶の風化(消失)が重なり合います。小林正人の絵画においては、「空」というイメージの到来に立ち会う経験(と同時に生じる絵具やキャンバスといった物質性の消失)が露わになります。あるいはロラン・フレクスナーのドローイングでは、シャボン玉が割れる(消失する)と同時に、イメージが痕跡として現れ出ます。このイメージの出現と消失というテーマは、12室のビル・ヴィオラの映像作品へもゆるやかにつながっていきます。 物理的な意味において、作品は見る者の前に安定的に存在しています。けれどそのイメージ(像)はというと、案外と不確かなものです。イメージは、いつ、どのように私たちの前に出現し、あるいは消失するのでしょうか。 12室 イメージ:内なる力 イケムラレイコ《横たわる少女》1997年 ここに集められた作品に現れる身体は、断片的であったり、実体がなかったり、どこかうつろです。毛髪を用いて作られた白井美穂の作品、自身の存在や身体への不安や葛藤から生まれた前本彰子の亡霊のようなドレス、男性への恐怖心を克服するために、男性器を増殖させた草間彌生のソフトスカルプチャー。村上早の描く顔のない人間や傷ついた動物は、作家の心の奥底に眠る不安やトラウマとつながっています。意識と無意識、覚醒と眠りのあいだを漂うように横たわるイケムラレイコの少女。ミリアム・カーンの描く輪郭のない難民たちは、帰る場所を失い彷徨いつつ歩みを進めています。これらの作品における身体のイメージは、空虚でありながらも、抑圧や不安、痛みや恐怖を受け入れながら生きようとする内に秘めた力を感じさせます。また、ビル・ヴィオラの映像作品《映り込む池》では、時間の経過と共に男性の身体が画面から消えていきますが、その消失によってこそ、映像に力強い緊張感が生まれています。 開催概要 東京国立近代美術館所蔵品ギャラリー(4~2階) 2026年5月26日(火)~2026年9月13日(日) 月曜日(ただし7月20日は開館)、7月21日(火) 10:00–17:00(金・土曜は10:00–20:00) 入館は閉館30分前まで 一般 500円 (400円) 大学生 250円 (200円) ( )内は20名以上の団体料金。いずれも消費税込み。 5時から割引(金・土曜) :一般 300円 大学生 150円 高校生以下および18歳未満、65歳以上、「MOMATパスポート」をお持ちの方、障害者手帳をお持ちの方とその付添者(1名)は無料。入館の際に、学生証、運転免許証等の年齢の分かるもの、障害者手帳等をご提示ください。 キャンパスメンバーズ加入校の学生・教職員は学生証または教職員証の提示でご観覧いただけます。 「友の会MOMATサポーターズ」、「賛助会MOMATメンバーズ」会員の方は、会員証のご提示でご観覧いただけます。 「MOMAT支援サークル」のパートナー企業の皆様は、社員証のご提示でご観覧いただけます。(同伴者1名まで。シルバー会員は本人のみ) 本展の観覧料で入館当日に限り、コレクションによる小企画(ギャラリー4)もご覧いただけます。 東京国立近代美術館
MOMATサマーフェス 2026
ひんやり、のんびり、モダンアート 涼しく過ごす夏のMOMAT 7月から8月にかけて、暑い夏でもアートを楽しみながら涼しい館内でゆっくり過ごしていただけるイベント「MOMATサマーフェス」を開催します。 金曜・土曜の17時以降に所蔵作品展「MOMATコレクション」のみどころをご紹介する「MOMATハイライトツアー」や「研究員ショートレクチャー」など、夏の時期限定のイベントを多数ご用意しました。美術館の前庭にはキッチンカーによるドリンクやフードを販売、ビールやワインなどアルコールドリンクもお楽しみいただけます。 金曜・土曜は20時まで開館し、お得な夜の割引料金で所蔵作品展「MOMATコレクション」をご観覧いただけます。 ひんやり、のんびり、この夏はMOMAT で、いろいろな美術館の過ごし方をお楽しみください。 みどころ 気軽に!MOMATラリー 所蔵作品展「MOMATコレクション」展示作品から、展示担当キュレーターが選んだ14点のオススメ作品を、キュレーターの楽しいコメント付きでご紹介します。オススメ作品の横に掲出されるイベントロゴを目印に、ウォークラリーのような感覚で展示をお楽しみいただけます。 作品解説アプリ「ブルームバーグ・コネクツ」内のデジタルツアーを聞きながらの鑑賞もおすすめです。 この夏初披露の、新収蔵品にもご注目を! 三岸好太郎《雲の上を飛ぶ蝶》1934年 萬鉄五郎《裸体美人》1912年、重要文化財 前本彰子《大紅蓮》1986年 所蔵作品展「MOMATコレクション」 2026年5月26日(火)~9月13日(日)※期間中展示替えがあります。「気軽に!MOMATラリー」の展示は7月24日(金)から。 一般500 円、大学生250 円金曜・土曜の17時以降は一般300 円、大学生150 円※高校生以下および18 歳未満、65 歳以上、障害者手帳をお持ちの方とその付添者は無料。 トーク・レクチャーイベント 「MOMATコレクション」から新収蔵品と特集展示についてのトークイベントを開催します。より多くの方にご参加いただけるよう、すべてのトークイベントに手話通訳が入ります。 ※手話通訳は、公益財団法人 日本テレビ小鳩文化事業団からのご支援をいただいております。 アーティストトーク 新収蔵品作家の前本彰子さんをお迎えし、作品について語っていただきます。 8月9日(日)14:00–15:30 (13:30開場)登壇:前本彰子(美術作家)、横山由季子(当館研究員) ※地下1階講堂、参加無料、申込不要、定員140名 ショートレクチャー 当館研究員が新収蔵品と特集展示についてわかりやすくレクチャーします。 ※いずれも地下1階講堂、参加無料、申込不要、定員140名 「新しいコレクション・漆原英子《Midnight Circus》について」登壇:佐原しおり 「長谷川三郎と国立近代美術館について」登壇:長名大地 「新しいコレクション・河原温《洪水期》について」登壇:桝田倫広 参加型プログラム MOMATサマーフェスをより一層楽しめる参加型のイベントをご用意しました。ぜひご参加ください。 ※いずれも当館ガイドスタッフ(ボランティア)によるガイド。※参加無料(要観覧料)、申込不要 MOMATハイライトツアー 所蔵作品展「MOMATコレクション」のみどころをコンパクトに紹介します。 7月24日(金)、31日(金)、8月7日(金)、14日(金)、21日(金)、28日(金)、9月4日(金)、11日(金) 18:00– /19:00–(各回30分) 8月1日(土)、8日(土)16:00– /17:00–(各回30分) 所蔵品ガイド ガイドスタッフと対話を交えながら、所蔵作品2点をみていきます。 イベント期間中の毎開館日 11:00–(各回30分程度) 参加型プログラムイメージ 撮影:藤川琢史 夏のキッチンカー出店! 気持ちのよい屋外で「おいしい」ひとときを。金曜・土曜の夜間開館時間限定で夏のキッチンカーが登場! レストラン「ラー・エ・ミクニ」によるキッチンカーが前庭に登場。ビールやワインなどのアルコール等ドリンクとフードをご用意、テイクアウト販売します。「MOMATコレクション」イメージドリンクもお見逃しなく!フードは、2階テラスのテーブルでお召し上がりいただけます。 営業時間:金曜・土曜17:00–20:00(フードは17:30–L.O. 19:00、ドリンクL.O. 19:30) キッチンカーメニューイメージ 「MOMATサマーフェス」フォトスポット 館内の2階テラス前にはフォトスポットが出現。MOMATサマーフェスの思い出を撮影してお持ち帰りください。 同時開催 企画展関連イベント イベント同時期に開催中の企画展「杉本博司 絶滅写真」でも関連イベントを実施します。 映画「はじまりの記憶 杉本博司」上映会 7月24日(金)、25日(土)17:30–19:00 地下1階講堂※上映会には「杉本博司 絶滅写真」一般観覧チケット&映画上映会セット券の事前購入が必要です。 講演会「何人もの杉本博司」8月8日(土)11:00–12:30 地下1階講堂 講師:増田玲(当館主任研究員)※参加無料、当日整理券配布 金曜・土曜は夜間開館 毎週金曜・土曜は夜20時まで開館します。夕方17時からは、お得な夜の割引料金で所蔵作品展「MOMATコレクション」をご観覧いただけます。お仕事帰りに、お休みの日に、ゆったりとお過ごしください。 開催概要 MOMATサマーフェス 2026 東京国立近代美術館 2026年7月24日(金)~2026年9月13日(日) 月曜日 10:00–17:00(金曜・土曜は20:00まで) いずれも入館は閉館の30分前まで キッチンカー営業時間は金曜・土曜17:00–20:00(フードは17:30–L.O. 19:00、ドリンクL.O. 19:30) 企画展「杉本博司 絶滅写真」(1F 企画展ギャラリー)所蔵作品展「MOMATコレクション」(4-2F 所蔵品ギャラリー)コレクションによる小企画「生誕120周年 長谷川三郎と国立近代美術館」(2F ギャラリー4)
杉本博司 絶滅写真
杉本博司 《相模湾、江之浦》 2025年 © Hiroshi Sugimoto / Courtesy of Gallery Koyanagi 展覧会概要 様々な領域で活動する現代美術作家、杉本博司(1948-)。小田原文化財団 江之浦測候所をはじめ建築分野でも活躍し、日本の古典芸能など舞台芸術の演出では国内のみならずヨーロッパ数都市やニューヨークにも進出。その活動分野は書、陶芸、和歌、料理と多岐にわたっています。 そんな多才な杉本の芸術の原点は銀塩写真にあります。確たるコンセプトに基づく、独自の表現による作品はまた、銀塩写真の技術としても頂点を極めるものであり、写真がデジタルに置き換わった今、その技法は今やまさに「絶滅が危惧される」ものと言えます。 本展では杉本の初期(1970 年代後半)から現在に至る銀塩写真約60点を展観します。 写真作品で構成する美術館での個展は、国内では2005年の森美術館以来の開催となります。 さらに、所蔵品ギャラリー3階にて当館所蔵杉本作品全点、また制作の秘密を明かす未公開資料「スギモトノート」をサテライト展示します。 「スギモトノート」:写真作品制作における、撮影時および暗室での作業工程の覚書を記したノート。1970 年代半ばより記録は始まる。 展覧会構成と見どころ 初期から近作まで全13 のシリーズを3章構成で展示 本展は、3つの章、全13 シリーズにより、ゆるやかに時系列に沿いつつ杉本博司の作品世界の展開をたどります。 1章「時間・光・記憶」では、1970年代から80年代に着手され、杉本の評価を確立することになった〈ジオラマ〉〈劇場〉〈海景〉の3つのシリーズなどにより、作品世界の始まりを紹介します。 2 章「観念の形」では、人間の知性や想像力がつくりだしたさまざまな「かたち」を主題とした〈観念の形〉〈スタイアライズド・スカルプチャー〉など90年代末から展開されたシリーズにより、作品世界が拡張・深化していくプロセスを紹介します。 3章「絶滅写真」では、終焉を迎えつつある銀塩写真というメディアの始原にさかのぼる〈前写真、時間記録装置〉〈フォトジェニック・ドローイング〉から、近作〈Opticks〉まで、6つのシリーズにより、杉本が予見する“絶滅”をめぐるヴィジョンの行方を探ります。 初公開の新作 本展では初期代表作として知られる〈ジオラマ〉〈海景〉のシリーズ、そして〈スタイアライズド・スカルプチャー〉において、初公開となる新作の展示を予定しています。とくに杉本のデビュー作として知られる〈ジオラマ〉では、《ポコット族》などいくつかの新作を加えた構成により、1975 年、シリーズの始まりからひそかに構想され、半世紀を超えてついに実現に至った、人類史をめぐる深淵なストーリーが初めて提示されます。 “絶滅”をめぐって 本展のタイトルでもある「絶滅写真」とは、銀塩写真というメディアの終焉と自らの作家活動の終幕を見すえて浮上した主題です。しかし本展で示される“絶滅”をめぐるヴィジョンとは、それにとどまるものではありません。それではいったい何が“絶滅”しようとしているのか? 半世紀にわたって写真というメディアによる表現の可能性を拡張・深化させてきた杉本の作品世界の全体像を見わたす本展において、通奏低音として示される“絶滅”という主題にご注目ください。 《観念の形 0003》 2004年 ゼラチン・シルバー・プリント 149.2 × 119.4 cm © Hiroshi Sugimoto / Courtesy of Gallery Koyanagi 《スタイアライズド・スカルプチャー 120 [クリスチャン・ディオール、Bar、1947]》 2025年 ゼラチン・シルバー・プリント 149.2 × 119.4 cm © Hiroshi Sugimoto / Courtesy of Gallery Koyanagi 《カリブ海、ジャマイカ》1980年 ゼラチン・シルバー・プリント 119.4 × 149.2 cm © Hiroshi Sugimoto / Courtesy of Gallery Koyanagi 《パレス・シアター、ゲーリー》 2015年 ゼラチン・シルバー・プリント 119.4 × 149.2 cm © Hiroshi Sugimoto / Courtesy of Gallery Koyanagi 《ポコット族》 2025年 ゼラチン・シルバー・プリント 119.4 × 185.4 cm © Hiroshi Sugimoto / Courtesy of Gallery Koyanagi 杉本博司プロフィール 1948年生まれ。1970年渡米後、1974年よりニューヨークと日本を行き来しながら制作を続ける。 初期代表作に〈ジオラマ〉〈海景〉〈劇場〉シリーズがある。2008年に建築設計事務所「新素材研究所」、2009年に公益財団法人小田原文化財団を設立。2017年には構想から10年をかけて建設された文化施設「小田原文化財団 江之浦測候所」を開設。 演出と空間を手掛けた『At the Hawk’s Well / 鷹の井戸』が2019年秋にパリ・オペラ座にて上演。著書に『苔のむすまで』『現な像』『アートの起源』『江之浦奇譚』『影老日記』などがある。2001年ハッセルブラッド国際写真賞、2009年高松宮殿下記念世界文化賞(絵画部門)受賞、2010年秋の紫綬褒章受章、2013年フランス芸術文化勲章オフィシエ叙勲。 2017年文化功労者に選出、2023年日本芸術院会員に就任。 カタログ 杉本博司 絶滅写真 図録 刊行日:2026年6月15日 価格:4,400円(税込) 仕様:A4変形頁数:212ページ言語:日本語、英語発行:日本経済新聞社 目次 ごあいさつ 「盲いるような」眩しさの記憶―初期三部作について 杉本博司絶滅写真と竹橋 増田 玲名指しがたい像―杉本博司の写真における未分化の形象 小林紗由里 Plates 1 章 | 時間・光・記憶ジオラマ劇場華厳滝海景 2 章 | 観念の形建築スタイアライズド・スカルプチャー観念の形 3 章 | 絶滅写真前写真、時間記録装置フォトジェニック・ドローイング肖像放電場Opticks陰翳礼讃 シリーズ解説 略歴主な著書・個展図録作品リスト 開催概要 東京国立近代美術館 1F企画展ギャラリー 2026年6月16日(火)~9月13日(日) 月曜日(ただし7月20日は開館)、7月21日(火) 10:00-17:00(金・土曜は10:00-20:00) 入館は閉館の30分前まで 一般 2,300円(2,100円) 大学生 1,200円(1,000円) 高校生 700円(500円) ( )内は20名以上の団体料金、ならびに前売券料金(販売期間:4月21日~6月15日)。いずれも消費税込み。 中学生以下、障害者手帳をお持ちの方とその付添者(1名)は無料。それぞれ入館の際、学生証等の年齢のわかるもの、障害者手帳等をご提示ください。 キャンパスメンバーズ加入校の学生・教職員は、学生証・職員証の提示により団体料金でご鑑賞いただけます。 本展の観覧料で入館当日に限り、所蔵作品展「MOMATコレクション」(4-2F)もご覧いただけます。 東京国立近代美術館の窓口では会期中の開館日に限り当日券を販売いたします。前売券の販売はございません。 前売券やスペシャルチケット、オンラインチケットや各種プレイガイドでのご購入方法は本展公式サイトをご確認ください。 東京国立近代美術館、日本経済新聞社 DIOR セイコーグループ、サンエムカラー 公益財団法人小田原文化財団、ギャラリー小柳
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ガイドスタッフによる所蔵品ガイド
ガイドスタッフ(当館ボランティア)とともに、所蔵作品数点を対話を交えて鑑賞します。 担当するガイドスタッフによって、取り上げる作品や内容が異なり、何度参加されてもお楽しみいただけます。 「MOMATガイドスタッフによる所蔵品ガイド」紹介動画 実際のプログラムの様子は下記の動画からご覧いただけます。 #1 アントニー・ゴームリー《反映/思索》2001年(約1分) https://www.youtube.com/embed/EqqlJ2IyeaU #2 岸田劉生《道路と土手と塀(切通之写生)》1915年、重要文化財(約1分30秒) https://www.youtube.com/embed/wZspo2KMxtI ガイドスタッフによる所蔵品ガイド 詳細は「イベント」ページよりご確認ください。 どなたでも なし 無料(要観覧券) ご参加にあたって プログラムの特性上、担当ガイドスタッフ名や作品タイトルなどをおしらせしておりません。ご了承ください。 災害や会場の混雑状況等により、予告なく中止することがあります。 お問い合わせ 東京国立近代美術館 教育普及室メール: volunteer@momat.go.jp
竹久夢二 時代を創る表現者
展覧会概要 竹久夢二(1884–1934)は、画家、詩人、ジャーナリスト、デザイナー、イラストレーターなど、いくつもの顔をもつ表現者として、明治の終わりから昭和のはじめにかけて活躍しました。「夢二式」と呼ばれた女性像や、レトロモダンなデザインによって、大正ロマンを象徴する人物として知られています。 青春の感傷や郷愁、江戸情緒と異国趣味、都会の洗練への憧れが描き出された抒情あふれる作品は、雑誌や絵葉書、展覧会などを通して人々の共感を呼び、一世を風靡します。また、暮しを彩る日用雑貨のデザイン、子どものための本や雑誌作り、流行歌「宵待草」の作詩、関東大震災の記録など、時代をリードする仕事により、続く世代にも大きな影響を与えました。幅広いジャンルで活躍した夢二は、アートとメディアを横断した先駆的なクリエイターと言えるでしょう。 本展覧会は、夢二の最高傑作と名高い《黒船屋》をはじめ、日本画や油彩画、木版画、スケッチ、多種多様なデザイン、スクラップブックなど、全国の夢二コレクションから約500点の作品や資料を集めることで、その多岐にわたる仕事に迫ります。「美術」という枠を超えて、時代を捉え、流行を生み、人々に愛された表現者、夢二にご注目ください。 《黒船屋》 1919(大正8)年竹久夢二伊香保記念館 晩年の夢二 竹久夢二伊香保記念館 見どころ 1 最高傑作《黒船屋》、約40年ぶりに東京へ 夢二の最高傑作と名高い《黒船屋》。黄八丈の着物をまとい、黒猫を腕に抱いて、「黒船屋」と書かれた木箱に腰かけた女性のイメージには、日本の浮世絵と西洋の近代絵画のエッセンスがみごとに融合されています。黄色と黒のコントラストに加えて、襟のオレンジや帯のグリーン、袖と裾からのぞく襦袢のピンクと紫など、夢二のモダンな色彩感覚が光ります。また、江戸時代には、黒猫を飼うと結核が治ると信じられていたことから、制作当時、結核を患っていた恋人の彦乃を想って描いた作品と思われます。本作品を所蔵する竹久夢二伊香保記念館の協力により、約40年ぶりに東京で公開されます。 《黒船屋》(部分) 1919(大正8)年 竹久夢二伊香保記念館 2 全国の夢二コレクションが集結! 竹久夢二伊香保記念館、夢二郷土美術館、金沢湯涌夢二館、竹久夢二美術館、千代田区(龍星閣竹久夢二コレクション)といった全国の夢二コレクションから、夢二の代表作や知られざる名作をはじめ、約500点の作品や資料が集結! また円熟期の日本画である《黒船屋》や《秋のいこい》《九連環》などが勢ぞろいする大変貴重な機会です。絵画だけでなくデザインや資料も交えて夢二の全貌に迫る、夢二展の決定版にご期待ください。 《秋のいこい》 1920(大正9)年 夢二郷土美術館 3 レトロモダンな夢二のデザインを一挙紹介 本の装幀、雑誌や楽譜の表紙、ポスターなどのグラフィックデザインから、千代紙、絵封筒、手拭い、浴衣、半襟などの日用雑貨や、ファッションのデザインまで、夢二のデザインの仕事を余すところなく紹介します。大正時代の人々を魅了したレトロモダンなデザインは、100 年以上経った今も色褪せない魅力を放っています。 千代紙「桜草」(港屋版) 1914–1916(大正3–5)年 竹久夢二伊香保記念館 『婦人グラフ』第3巻第5号(国際情報社) 1926(大正15)年5月1日 竹久夢二伊香保記念館 章立て・主な展示作品 1章 夢二式のはじまり 岡山県出身の竹久夢二(本名・茂次郎)は、1901(明治34)年、17歳になる夏に上京、苦学しながらの投書家時代を経て新聞や雑誌のために絵や文章を手がけるようになります。日常のなにげない情景を掬い上げる新鮮な視点と、大ぶりな筆使いの素朴な絵の親しみやすさが人々の共感を呼び、明治時代末期から大正時代初期にかけて、夢二の仕事は雑誌や詩画集、絵葉書などを通じてたちまち人気を博しました。細身の体つきで黒目やまつげの強調された大きな目を持つ独特の女性像は「夢二式」と称され、従来の浮世絵系の挿絵とは異なる、近代的な美意識を反映したものとして若い人々の支持を得ました。 【前期展示】《草に憩う女》 大正初期 静岡市美術館 【前期展示】『夢二画集 春の巻』(洛陽堂) 1911(明治44)年 [1909年初版]千代田区(龍星閣竹久夢二コレクション) 《無題》 『直言』第2巻第20号(直行社)1905(明治38)年 6月18日 金沢湯涌夢二館 2章 夢二式のデザイン 夢二は、千代紙、便箋や封筒、手拭いやうちわ、浴衣や半襟、書籍や楽譜などのデザインによって、人々の暮らしを美しく豊かにすることを提案しました。国内外の美術雑誌を参照して古今東西の美術や工芸のイメージを取り入れながら、植物や幾何学などを鮮やかな色彩で大胆に配置することにより、それまでにない斬新なデザインを次々と生み出します。夢二のデザインした品々は、1914(大正3)年に日本橋に開店した「港屋絵草紙店」や、大阪の「柳屋」で売り出され、人気を博します。美術家が自らの作品を商品化して販売するという画期的な試みであった港屋には、恩地孝四郎や東郷青児ら若き芸術家や作家も集いました。 《港屋絵草紙店(港屋版)》 1914(大正3)年 金沢湯涌夢二館 半襟図案原画[赤い実と小鳥] 1914–1916(大正3–5)年 竹久夢二伊香保記念館 【前期展示】セノオ楽譜 No. 106『待宵草』 1921(大正10)年[1918年 初版] 千代田区(龍星閣竹久夢二コレクション) 3章 レトロモダンの創出 懐かしくて新しいものは、いつの時代も人々をも惹きつけてやみません。とりわけ急速に近代化が進んだ明治末期から大正時代にかけて、次第に遠のきつつある江戸時代への追憶や、まだ見ぬ異国の文化への憧憬が、人々の情緒の基調をなしました。この時代に絵かきと物書きの道へと進んだ夢二は、古く過ぎ去りゆくものと、新しく渡来してくるもの、いずれにも心を動かし、それらを矛盾なく自己の表現の中で統一してゆきます。レトロモダンという新しい価値の創出、そこにこそ、夢二があれほどまでに大衆の人気を得た理由があるのではないでしょうか。 【前期展示】《猪苗代の秋》1923(大正12)年頃 竹久夢二美術館 【前期展示】《嵐狭の春》 1923(大正12)年頃 竹久夢二美術館 《九連環》1918(大正7)年 個人蔵 4章 生活の美の理想郷を求めて 関東大震災は東京の街を灰と化し、夢二人気も終焉に向かいます。そんな中、夢二は自ら設計した自宅兼アトリエである「少年山荘」で取り組んだ創作人形の分野で新風を起こす一方、群馬県の榛名(はるな)の自然に心を寄せ、生活と結びついた芸術への関心から、「榛名山美術研究所」を構想します。それは、身近な自然や手仕事を尊ぶ姿勢に根ざしつつ、社会生活の変化をとらえる尖鋭的な視点から生まれたものでした。研究所の開設は産業美術の視察を目的とする外遊のために延期され、帰国後も実現には至りませんでしたが、この理想郷の夢が叶っていたならば、時代を表す活動の一つとなったでしょう。 《榛名山賦》 1931(昭和6)年 竹久夢二伊香保記念館 《立田姫》 1931(昭和6)年 夢二郷土美術館 《震災スケッチ 築地三一教会》 1923(大正12)年 竹久夢二伊香保記念館 5章 着物と洋服のモダンガール 関東大震災からの復興が進んだ大正末期から昭和初期にかけて、都市に花開いた大衆文化を享受し、新しいファッションに身を包んだ「モダンガール」たちが登場します。かつて「夢二式」の女性像で一世を風靡した夢二は、移り行く時代の中で、洋服を着用し、髪を短く切り揃え、西洋風の装身具を身に着けた女性や、流行のウェーブヘアで着物をモダンに着こなす女性たちの姿を描き出しました。雑誌やポスターを中心に、夢二が生み出した着物と洋服のモダンガールで、展覧会を締めくくります。 『若草』第1巻第1号(宝文館) 1925(大正14)年10月1日 竹久夢二伊香保記念館 《四季の女》 1929(昭和4)年 朝日町立ふるさと美術館 開催概要 東京国立近代美術館 1F企画展ギャラリー 2026年10月23日(金)~2027年1月11日(月・祝) [前期]2026年10月23日(金)~11月23日(月・祝)[後期]2026年11月25日(水)~2027年1月11日(月・祝)キャプションに前期後期の記載がない作品は通期展示。 月曜日(ただし11月23日、1月11日は開館)、11月24日、年末年始(12月28日~1月1日) 10:00 –17:00(金曜・土曜は10:00 –20:00) ※入館は閉館の30 分前まで 東京国立近代美術館、毎日新聞社 DNP大日本印刷、JR東日本 静岡市美術館(2027年1月23日–3月28日)富山県美術館(2027年4月24日– 6月13日予定)大阪中之島美術館(2028 年予定) 050-5541-8600(ハローダイヤル)
