東京国立近代美術館概要

 東京国立近代美術館は皇居に近い北の丸公園に、本館と工芸館、銀座に隣接する京橋にフィルムセンターを有し、広く近代美術への関心を喚起するため事業を展開しています。

 当館は、昭和27(1952)年に日本で最初の国立美術館として、中央区京橋に開館しました。同時代の美術をいつでも見ることのできる展示施設は、かねてより待望されていましたが、旧日活本社ビルを建築家の前川國男氏の設計により改装し、その活動をスタートさせたのです。

 その後、美術館はコレクションの増加や企画展の拡充に対応するために、昭和44(1969)年に千代田区北の丸公園の現在地に移転し、京橋の建物は翌昭和45(1970)年にフィルムセンターとなりました(平成7年に新築)。また昭和52(1977)年には北の丸公園内の旧近衛師団司令部庁舎(重要文化財)を利用して工芸館が開館し、現在に至ります。

 一方、組織としては、東京国立近代美術館は平成13(2001)年4月1日より、京都国立近代美術館、国立西洋美術館、国立国際美術館とともに独立行政法人国立美術館を構成する美術館となり、その後六本木に開設された国立新美術館を加えて、わが国における美術振興の中心的拠点として活動を展開しています。

美術館(本館)
photo: Norihiro Ueno

 本館の建築は谷口吉郎氏の設計によるもので、長年にわたり多くの方々に親しまれてきましたが、築30年を機に坂倉建築研究所の設計により、大規模な増改築が施されました。

 展示室の拡張、閲覧サービスのできるアートライブラリの整備、レストランやミュージアムショップの新設、休憩スペースの増設など、鑑賞環境の整備と充実ならびに耐震性の強化を図った工事は、平成13(2001)年9月に竣工し、平成14(2002)年1月、記念展「未完の世紀――20世紀の美術がのこすもの」をもって、新たな活動を再開しました。

 また平成24(2012)年には開館60周年を迎え、所蔵品ギャラリーの大規模なリニューアルを行いました。

 本館は、合計すると約4,500㎡の展示スペースを有する、国内有数の美術館です。4-2階の所蔵品ギャラリーでは、12,500点を超える充実のコレクションから選りすぐった約200点を展観する「MOMATコレクション」展を開催、日本の20世紀初頭から「いま」にいたる、日本画、洋画、版画、水彩、素描、彫刻、写真、映像などの多様なジャンルの作品を展示しています。また、1,300㎡を有する1階の企画展ギャラリーでは、特定のテーマに基づいた国内外の美術作品を展示する企画展を年4,5回開催しています。

工芸館

 工芸館は、陶磁、ガラス、漆工、木工、竹工、染織、人形、金工、工業デザイン、グラフィック・デザインなど、近現代の工芸およびデザイン作品を展示紹介する東京国立近代美術館の分館として、昭和52(1977)年11月15日に開館しました。建物は、明治43(1910)年3月に建てられた、陸軍技師・田村鎮(やすし)の設計による、近衛師団司令部庁舎を改修して美術館仕様の建物としたものです。

 第2次大戦後、荒廃したままに放置されていた旧司令部庁舎は取り壊しの対象となりましたが、明治洋風煉瓦造建築の一典型として、また、官公庁建築の遺構としても重要なことから、その建築的価値を惜しむ声がよせられ、昭和47(1972)年9月に、「重要文化財に指定のうえ、東京国立近代美術館分室として活用する」旨の閣議了解がなされ、同年10月、「旧近衛師団司令部庁舎」として重要文化財に指定されました。

 外観と玄関、広間の保存修理工事を施し、谷口吉郎による展示室の設計に基づく内部の改装によって、工芸部門の展示施設として再生された建物は、昭和52(1977)年11月、東京国立近代美術館工芸館として開館しました。修復にあたって、屋根は建築当初のスレート葺に復元され、正面ホールから2階に伸びる両袖階段に往時の重厚な装いを見ることができます。ゴシック風の赤煉瓦の簡素な外観は、四季折々に周辺の樹木と調和して、独特のたたずまいをみせています。

フィルムセンター

 東京国立近代美術館フィルムセンターは、昭和27(1952)年の国立近代美術館(現在の東京国立近代美術館)設置に際しフィルム・ライブラリーとして活動を始めた我が国唯一の国立映画機関です。美術館本館が現在の北の丸公園に移転した昭和44(1969)年に映画部門として機能を拡充し、昭和45(1970)年美術館の跡地にフィルムセンターが開館しました(平成7[1995]年に新装開館)。また、昭和61(1986)年には映画フィルムを適正な温湿度環境で恒久的に保存するための専用施設、フィルムセンター相模原分館が神奈川県相模原市に設置されました(平成23[2011]年、平成26[2014]年に保存棟を増築)。

 フィルムセンターは文化遺産、歴史資料としての映画フィルムや関係資料の収集・保存・復元に取り組み、平成元(1989)年には国際フィルム・アーカイブ連盟(FIAF)に加盟して現在に至ります。また、京橋の本部ビルでは、様々なテーマによる企画上映や展覧会を開催するとともに、映画文献専門の図書室も開室しています。

 

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