東京国立近代美術館 概要

 東京国立近代美術館は皇居に近い北の丸公園に本館と工芸館を有し、広く近代美術への関心を喚起するための事業を展開しています。

 当館は、日本で最初の国立美術館として、昭和27年(1952年)12月1日に中央区京橋に開館しました。かねてより待望されていた、同時代の美術をいつでも見ることのできる国立の展示施設として、旧日活本社ビルを建築家の前川國男氏の設計により改装し、その活動をスタートさせたのです。

 その後、所蔵作品の増加と企画展の拡充等により、コレクションの展示が次第に制約されるようになったことから、美術館の移転が検討されていたところ、石橋正二郎評議員より美術館建築の寄附申し入れがあり、その厚意によって、昭和44年(1969年)、千代田区北の丸公園の現在地に、建築家谷口吉郎氏設計による新館が開館しました。また昭和52年(1977年)には北の丸公園内の旧近衛師団司令部庁舎(重要文化財)に工芸館が開館し、現在に至ります。

 

美術館(本館)
photo: Norihiro Ueno

 本館の建築は、長年にわたり多くの方々に親しまれてきましたが、築30年を機に坂倉建築研究所の設計により大規模な増改築が施されました。 

 展示室の拡張、閲覧サービスのできるアートライブラリの整備、レストランやミュージアムショップの新設、休憩スペースの増設など、鑑賞環境の整備と充実ならびに耐震性の強化を図った工事は、平成13年(2001年)9月に竣工しました。そして平成14年(2002年)1月、記念展「未完の世紀――20世紀美術がのこすもの」をもって、新たな活動を再開しました。

 また平成24年(2012年)年には開館60周年を迎え、所蔵品ギャラリーの大規模なリニューアルを行いました。

 本館は、合計すると約4,500㎡の展示スペースを有する、国内有数の美術館です。4-2階の所蔵品ギャラリーでは、13,000点を超える充実のコレクションから選りすぐった約200点を展観する「MOMATコレクション」展を開催、日本の20世紀初頭から「いま」にいたる、日本画、洋画、版画、水彩、素描、彫刻、写真、映像などの多様なジャンルの作品を展示しています。また、1,300㎡を有する1階の企画展ギャラリーでは、特定のテーマに基づいた国内外の美術作品を展示する企画展を年3~4回開催しています。

工芸館

 工芸館は、東京国立近代美術館の分館として、陶磁、ガラス、漆工、木工、竹工、染織、人形、金工、工業デザイン、グラフィック・デザインなど、近現代の工芸およびデザイン作品を展示紹介しています。その建物は、明治43年(1910年)3月に陸軍技師・田村鎮(やすし)氏の設計により建てられた近衛師団司令部庁舎を、美術館仕様に改修したものです。

 第2次大戦後、荒廃したままに放置されていた旧司令部庁舎は一度取り壊しの対象となりましたが、明治洋風煉瓦造建築の一典型として、また、官公庁建築の重要な遺構として、その建築的価値を惜しむ声がよせられたことから、昭和47年(1972年)年9月、「重要文化財に指定のうえ、東京国立近代美術館分室として活用する」旨の閣議了解がなされ、同年10月、「旧近衛師団司令部庁舎」として重要文化財に指定されました。

 外観および玄関、広間の保存修理工事と、谷口吉郎氏による展示室の設計に基づく内部の改装によって、工芸部門の展示施設として再生した建物は、昭和52年(1977年)11月15日、東京国立近代美術館工芸館として開館しました。修復にあたって建築当初のスレート葺に復元された屋根や、正面ホールから2階に伸びる両袖階段には、往時の重厚な装いを見ることができます。また、ゴシック風の赤煉瓦の簡素な外観は、四季折々に周辺の樹木と調和して、独特のたたずまいをみせています。

 一方、組織としては、東京国立近代美術館は平成13年(2001年)4月1日より、京都国立近代美術館、国立西洋美術館、国立国際美術館とともに独立行政法人国立美術館を構成する美術館となりました。現在、独立行政法人国立美術館は上記4館に、平成19年(2007年)1月21日に開館した国立新美術館、さらに平成30年(2018年)4月1日に当館より独立した国立映画アーカイブを加えて、わが国における美術振興の中心的拠点として活動を展開しています。

 

 平成30年(2018年)3月まで東京国立近代美術館の映画部門であったフィルムセンターは、平成30年(2018年)4月1日に当館より独立し、独立行政法人国立美術館の6館目の組織となる「国立映画アーカイブ」として新たな一歩を踏み出しました。

 昭和27年(1952年)、国立近代美術館(現・東京国立近代美術館)のフィルム・ライブラリーとして活動を開始したフィルムセンターは、昭和44年(1969年)の美術館本館の移転に際し映画部門として機能を拡充し、京橋の建物を利用して昭和45年(1970年)に開館しました(その後、平成7年(1995年)に建て替えを行い、現在に至ります)。また、昭和61年(1986年)には映画フィルムを適正な温湿度環境で恒久的に保存するための専用施設として、分館が神奈川県相模原市に設置されました(平成23年(2011年)、平成26年(2014年)に保存棟を増築)。

 平成元年(1989年)には国際フィルム・アーカイブ連盟(FIAF)に加盟し、現在は我が国唯一の国立映画機関「国立映画アーカイブ」として、文化遺産、歴史資料としての映画フィルムや関係資料の収集・保存・復元に取り組むとともに、様々なテーマによる企画上映や展覧会を開催しています。

 

東京国立近代美術館 概要(平成29年度版)

東京国立近代美術館 データ集