開催予定

ヒルマ・アフ・クリント展|岡﨑乾二郎講演会「ヒルマ・アフ・クリントに驚くこと、知ること」

会期

対象

どなたでも

造形作家・批評家の岡﨑乾二郎氏をお招きし、講演会を開催いたします。岡﨑氏は早くからヒルマ・アフ・クリントに注目され、主著『抽象の力 近代芸術の解析』(亜紀書房 2018年)において卓抜なアフ・クリント解釈を提示されました。そして、さらに論を深められた「認識の階梯――ヒルマ・アフ・クリントの絵画」を、本展図録にご寄稿くださっています。講演では、現在望みうる、最もアクチュアルなアフ・クリント論をお話しいただきます。

すなわちアフ・クリントの絵画が体系的な理解へ誘い、認識の対象として包摂するのは、世界のすべてである。アフ・クリントの作品群を美術作品とみなすとしても、その美術(普遍芸術と呼ぼう)は既存の美術史あるいは美術館(に収集され分類され制度化された美術)よりも集合として大きいばかりか、それが体系として包摂するものは美術を超えた世界のすべてだった。したがって当然ながら、制度的な既存美術はアフ・クリントの作品を包摂して、正当に位置づけることはできない。反対にアフ・クリントの作品は既存美術を体系として包摂できる(つまりアフ・クリントの作品群を通して、既存美術のランダムな集合はようやく体系化されうる)。

 そのとき、既存の美術史がアフ・クリントの作品にも適用しようとしていた(世界最初の)「抽象」という概念は変容を迫られることになるだろう。世界を理解する体系性(個別の絵画に制約できない体系的拡がり)を内包しない絵画は抽象とはもはや言えない。

本展図録所収|岡﨑乾二郎「認識の階梯:ヒルマ・アフ・クリントの絵画」より
開催日時

2025年5月31日(土)14:00-16:00(開場は13:30)

登壇者

岡﨑乾二郎氏(造形作家・評論家)

司会:三輪健仁(東京国立近代美術館美術課長)

会場

東京国立近代美術館 地下1階講堂

定員

130名(先着順)

参加方法

開催当日の10:00より、1階インフォメーションカウンターにて整理券を配布します。

  • 整理券は、定員に達し次第、配布終了となります。
  • 整理券の配布枚数はお一人につき1枚まで、参加者ご本人が直接お受け取りください。
  • 整理券に番号はありません。開場時刻になりましたら、会場におこしください。
  • 会場内は全席自由です。
注意事項
  • 参加無料(観覧券不要)
  • イベントの撮影、録画、録音はお断りしております。
  • イベント当日に有効の本展チケットをお持ちの方は、イベント参加後の展覧会への再入場が可能です。
  • 内容や日時は都合により変更となる可能性があります。あらかじめご了承ください。
  • イベントのオンライン同時配信はありません。

登壇者プロフィール

岡﨑乾二郎(おかざき・けんじろう)

造形作家、批評家。
1955年東京生まれ。1982年パリ・ビエンナーレ招聘以来、数多くの国際展に出品。総合地域づくりプロジェクト「灰塚アースワーク・プロジェクト」の企画制作、「なかつくに公園」(広島県庄原市)等のランドスケープデザイン、「ヴェネツィア・ビエンナーレ第8回建築展」(日本館ディレクター)、現代舞踊家トリシャ・ブラウンとのコラボレーションなど、つねに先鋭的な芸術活動を展開してきた。東京都現代美術館(2009~2010年)における特集展示では、1980年代の立体作品から最新の絵画まで俯瞰。2014年のBankART1929「かたちの発語展」では、彫刻やタイルを中心に最新作を発表した。長年教育活動にも取り組んでおり、芸術の学校である四谷アート・ステュディウム(2002~2014年)を創設、ディレクターを務めた。2017年には豊田市美術館にて開催された『抽象の力―現実(concrete)展開する、抽象芸術の系譜』展の企画制作を行い、2019〜20年には同美術館で大規模な個展「視覚のカイソウ」が開催された。
主著に『而今而後 批評のあとさき(岡﨑乾二郎批評選集 vol.2)』(亜紀書房 2024年)、『頭のうえを何かが』(ナナロク社 2023年)、『絵画の素 TOPICA PICTUS』(岩波書店 2022年)、『感覚のエデン(岡﨑乾二郎批評選集 vol.1)』(亜紀書房 2021年)、『抽象の力 近代芸術の解析』(亜紀書房 2018年)、『ルネサンス 経験の条件』(文春学藝ライブラリー、文藝春秋 2014年)、『芸術の設計―見る/作ることのアプリケーション』(フィルムアート社 2007年)。『ぽぱーぺ ぽぴぱっぷ』(絵本、谷川俊太郎との共著、クレヨンハウス 2004年)。作品集に『TOPICA PICTUS』(urizen 2020年)、『視覚のカイソウ』(ナナロク社 2020年)。
『感覚のエデン(岡﨑乾二郎批評選集 vol.1)』にて2022年、第76回毎日出版文化賞(文化・芸術部門)受賞。『抽象の力 近代芸術の解析』にて、2018年、平成30年度(第69回)芸術選奨文部科学大臣賞(評論等部門)受賞。

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