松田権六の仕事場

金沢出身の重要無形文化財保持者(いわゆる人間国宝)の漆芸家・松田権六(1896-1986)の工房を移築・復元しました。文化庁による工芸技術記録映画『蒔絵—松田権六のわざ—』の上映と、実際に制作で使われた道具や素材類などをはじめとする関連資料が展示できるケースを設置し、松田権六の制作を多角的に紹介しています。

展示解説

1. 定盤
制作時に用いられる作業台。この上で漆濾しや各種漆の調合等を行います。被せ蓋形式で、蓋は裏返して粉盤としても使用可能となっています。台座に引出しがつき、制作で使われた下絵や参考用の切抜写真などが入っていました。

2. 粉箪笥
蒔絵用の粉や道具を収める小箪笥。上部の引出しは内部が黒塗になっており、粉を処理する粉盤(蒔絵をする際に粉を受けるための大きな盤)としています。粉や道具は下部の引出しに納めます。

3. 漆風呂
漆を乾燥させるための戸棚。漆は適度に温湿度がある条件で硬化するため、漆風呂内は一定の温湿度に保たれます。湿度が足りない時は、漆風呂内部の上方にめぐらせた穴のあいたパイプから、水が側面の板を濡らすように設計されています。

4. 副資材庫
色漆に用いられる顔料系物質や、油やアルコールなど制作上必要となる備品や消耗品が入っています。ここに並ぶ様々な資材から、漆のことで応用できることは何でも試してみようという松田の探究心旺盛な一面がうかがえます。


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