展覧会

会期終了 企画展

ジュエリーの今:変貌のオブジェ

会期

会場

東京国立近代美術館工芸館

概要

指輪や首飾りを身につける習慣が長い間途絶えていた日本で、ジュエリーが用いられるようになったのは、明治時代以降、服装の西欧化が進んだ時代のなかでのことでした。作家がジュエリーを制作の対象として意識し始めるのは、それよりさらに遅れ、ようやく昭和に入った頃からです。以後、今日まで芸術の一分野としての地位を求めて、活発な制作活動が繰り広げられてきました。そのなかで、同時代の思想や芸術の動向を吸収しつつ「ジュエリー」は多くの概念の変遷を遂げました。展覧会では、この流れを、①美を念として:戦前期、②ジュエリーの地位:1950年代~1970年代、③素材の解放:1970年代~1980年代、④変わる身体:1990年代以降という4つの大きなテーマのもとでご覧いただきます。

身体をいわばキャンバスとするジュエリーは、それを身につける人物のイメージを内外から大きく変える働きを持っています。自他との親密なコミュニケーションの装置としてのジュエリー、その独自のあり方に魅了され、制作する作家36人の作品との対話をお楽しみください。

平松保城《ブローチ》1978年

ここが見どころ

◇ 36作家によるおよそ200点の作品で、戦後日本のジュエリーの流れを概観する初めての展覧会です

◇ ジュエリーとは何かをめぐって展開される近年の動向にもご注目ください

展覧会構成

第一章 美を念として:戦前期

海外から輸入されたジュエリーなどほとんど見ることのできなかった戦前期、「すぐれたグウとよきエスプリ」が与えられた納得のいく指輪が世の中にないという不満から、洋画家・奥村博史(1891-1964)は、ジュエリーを制作するようになります。本来ジュエリーデザインを職業としていなかった奥村が、石を集め、それを切り磨き、土台となる金属の加工までを一貫して手がけるという方法で、指輪を制作するようになったのです。その原動力となったのは、美しいもの、美しい生活を創りあげようとするひたむきな情熱だったと言えるでしょう。美しい生活を希求する奥村の姿勢は、陶芸家、富本憲吉の共感を呼び、富本が焼いた陶器をブローチにした作品も生まれました。

*主な出品作家:奥村博史、内藤四郎、増田三男

奥村博史《指環》制作年不明
個人蔵
撮影:関フォトス

第二章 ジュエリーの地位:1950年代~70年代

急速な生活スタイルの変化にともない、戦後、新しいジュエリーの創出への気運も高まってきました。1956年には本格的なジュエリー団体、UR(ウル)アクセサリー協会(現・URジュウリー協会)が、また1964年には日本ジュウリーデザイナー協会が結成され、ジュエリーの地位を高めようとする運動が起こります。
この時代には、東京藝術大学工芸科で彫金を学んだ作家たちを中心に、伝統的な技術が自己の表現の手段として読みかえられ、ジュエリーの芸術表現が積極的に模索されるようになりました。

*菱田安彦、平松保城、岩倉康二、宮田宏平(三代藍堂)、山田禮子、松江美枝子

松江美枝子《銀ブローチ(金棒付)》1976年
東京国立近代美術館蔵

第三章 素材の解放:1970年代~90年代

ジュエリーの素材として伝統的に使用されてきた金や銀といった貴金属を中心に、実験的な制作が展開されてきましたが、オリジナリティを求める上で、この貴金属という素材の限定に疑問が投げかけられるようになります。伝統的にジュエリーでは使われてこなかった銅やアルミニウム、あるいは紙や繊維であっても、ジュエリーとなりうる、という考えが広がってきたのです。一方で、素材にこだわらないという考えは、ジュエリーをジュエリーとして成立させているものは何かという、根源的な問いを提起しました。これ以後、コンテンポラリー・ジュエリーには、ジュエリーをいかに捉えるかという概念の問題がつねにつきまとうことになります。

*中山あや、ビジャノフスキー・佐藤・裕子、光島和子、舟串盛雄、小倉理都子

小倉理都子《チョーカー》1999年
個人蔵
撮影:HITOSHI NISHIYAMA

第四章 変わる身体:1990年代以降

戦後、大きく発展してきたコンテンポラリー・ジュエリーは、今や自分自身に根源的な問いを投げかけ、深い自省に沈潜しているかのように見えます。ジュエリーとは何か―これまでさまざまな定義が試みられてきました(コンテンポラリー・ジュエリーの歴史自体がこの問いに対する回答のいくつかを提出しています)。このセクションでは、近年の動向を「身体」と「祈り・祝祭」というキーワードで紹介します。造形性とともに、ジュエリーに対する作家の姿勢を鮮明にした作品は、それと対峙する私たちの問題意識や考え方も鋭く問うてきます。

*中村ミナト、伊藤一廣、河辺由利、周防絵美子、栗本夏樹、佐藤ミチヒロ

河辺由利《ネックピース Spikey Feather》1994年
東京国立近代美術館蔵

イベント情報

ギャラリートーク

出品作家によるギャラリートーク

10月22日(日)

佐藤ミチヒロ

10月29日(日)

薗部悦子

11月5日(日)

藤田恵美

担当学芸員によるギャラリートーク

10月8日 (日)

北村仁美(当館研究員)

11月26日(日)

木田拓也(当館研究員)

タッチ&トーク(ボランティアによるガイド)

会期中の毎週水・土曜日は当館ボランティアスタッフが、会場でさまざまなエピソードを織り交ぜながら、今展覧会の見どころをご紹介します。また実際の作品をお手にとってご覧いただけるコーナーもご用意しています。

各トークはいずれも工芸館会場にて午後2時より
参加無料(要観覧料)申込不要

パフォーマンス「金色の光彩」

~山口小夜子 日本のアートジュエリーと遊ぶ~

日程

2006年10月14日(土)

時間

15:00-16:00

場所

東京国立近代美術館

谷崎潤一郎の「陰翳礼讃」をモチーフに、山口小夜子氏が日本のジュエリーアーティストの精神をまとい、音と映像を組み合わせた独自の美学にいざないます。

★観覧応募受付は終了しました★

 構成・演出・衣装・選曲・出演 山口小夜子(ウエアリスト)
 映像 生西康典(アートディレクター)
 映像 掛川康典(ディレクター)
 照明 関根 聡(照明プランナー)
 音響 稲荷森 健(サウンドエンジニア)
 制作 ヴィヴィアン佐藤(建築家、アーティスト)
 製作協力 ㈱オフィスマイティー
 協力 ㈱タグチ

申込方法(先着順130名)
住所、氏名、電話番号をご記入の上、往復葉書(1枚につき1名)で下記宛先までお申し込みください。
*お申し込みの際ご提供いただいた個人情報は、当該の目的にのみ使用させていただきます。

申込先
〒102‐0091東京都千代田区北の丸公園1-1
東京国立近代美術館工芸館 「ジュエリーの今」展イベント係

開催概要

会場

東京国立近代美術館 工芸館

会期

2006年10月7日(土)~12月10日(日)

開館時間

10:00-17:00
入館は16:30まで

休館日

月曜日(ただし10月9日は開館、翌10日休館)

観覧料

一般500(400/350)円、大学生300(200/150)円、
高校生150(100/50)円 小・中学生は無料
( )内は前売/20名以上の団体料金の順 いずれも消費税込
中学生以下、障害者(付添者は原則1名まで)の方は無料です(それぞれ入館の際、学生証、障害者手帳等をご提示ください)

前売チケット取扱

チケットぴあ、ファミリーマート、サンクス(一部店舗を除く)

無料観覧日

11月3日(文化の日)

主催

東京国立近代美術館

助成

財団法人 花王芸術・科学財団

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