展覧会

会期終了 企画展

特別展「革新の工芸展」

会期

会場

東京国立近代美術館工芸館

展覧会について

富本憲吉や松田権六ら「先駆者」が築いた、日本工芸の戦後の基盤である“伝統”は、昭和30年代頃、それを受け継いだ岡部嶺男らによる“伝統の工芸”と、オブジェ焼の八木一夫らの“前衛的な工芸”へと展開され、新世代の作家によって「革新」ともいうべきあらたな局面が生まれました。

本展では、その先人たちの芸術を新たな感覚で吸収した「現代」の工芸に焦点をあて、十四代今泉今右衛門や室瀬和美、草間喆雄や八木明ら、国内外で活躍する現代作家の多様な作品を紹介します。古典的な様式美や、伝承のわざによって確立された美しさの中に、新たな素材や、独自の技法を取り入れたその作品を通じて、日本の文化を豊かに彩る現代の工芸の様相を探ります。

会場では、メインとなる「伝統の現代」と「現代の造形」の2章を、前述の「先駆者」「革新」の2章と対照しながら、陶磁、漆芸、金工を中心に、83名の作家の作品約120点を紹介します。

各章の構成

伝統の現代

江戸時代から伝わる色鍋島の「墨はじき」(白抜きの技法)に「プラチナ彩」を融合させた独自の手法や上絵の厚みに意識を向けて現代感覚に富む色絵磁器を手掛ける十四代今泉今右衛門や、華麗な伝統の蒔絵に、金粉の立体的効果や鉛を応用した、表情豊かな制作に独自の創作性を発揮している室瀬和美など、重要無形文化財保持者(※)の近作を交え、時代に即した“伝統”を作り出す作家の作品を紹介します。

現代の造形

レーヨンなどの化学繊維を用いた、草間喆雄のファイバーワーク(表紙)や、柔らかな触感を思わせる曲線に漆特有のつややかさを合わせた笹井史恵の乾漆の作品など、伝統的な様式美から造形表現に展開された作品を紹介します。さらに、幾層もの輪花が可変する八木明の吊り香炉など、工芸の素材や技法を用いて「うつわ」の形態をとりつつも、典型的な「用の美」としてではなく、あくまで個人の創作表現を訴えた作品などを通じて、現代の造形としての工芸あり方を探ります。

伝統と前衛の革新

織部や志野などの伝統技法を踏まえて独創的な創造性を確立した岡部嶺男のように、昭和30年代頃から台頭した“新世代”の作家の創意と現代的な感覚によって、新たな“伝統”の表現が見出されます。

一方で、抽象表現主義やポップアートをはじめ、同時代に流入した欧米美術の影響を受けて、工芸の分野でも伝統的な技法を用いながら、実用の形態から離れた オブジェとして「もの」の存在を訴える作品が多く生まれました。アメリカに留学して現代美術の流れを体現した中村錦平や柳原睦夫のほか、伝統的な「蠟型鋳 造」で、アルミやステンレスによる風土的な作品を発表した宮田宏平(三代宮田藍堂)など、前衛と呼ばれる作家が台頭し、工芸は伝統と前衛が対峙しながら相 互に革新の時代を迎えました。

工芸の時代の先駆者

戦後、従来の色絵から派生した、「金銀彩」と呼ばれる技法を極めた富本憲吉の晩年の作品をはじめ、松田権六、北大路魯山人など、今日まで受け継がれる“伝統”と戦後の日本工芸の基盤を築き上げた先達の名品を紹介します。

イベント

アーティストトーク

漆芸家の田口義明さんに、お話しを伺います。

日程

2016年10月9日(日)中村錦平(陶芸家)

2016年10月30日(日)八木明(陶芸家)

時間

14:00~15:00

場所

工芸館会場

※申込不要・参加無料(要当日観覧券)

中村錦平(1935-)

陶芸家。石川県生まれ。日本料理と北大路魯山人の器を研究した後、作陶活動に入る。1969年ロックフェラーⅢ世財団の招聘で欧米に滞在。日本の伝統の様式や美意識の装飾を批判的に分析しつつ、メッセージ性に満ちた作品を生み出す。

八木明(1955-)

陶芸家。京都府生まれ。陶芸家の八木一艸(いっそう)を祖父、前衛陶芸を牽引した一夫を父、ファイバーワーク作家の高木敏子を母に持つ。卓越したロクロの技法と表現や青白磁、天目の伝統的な釉薬を作品に取り入れ、現代的な感覚で形や構造、素材といった磁器の可能性を提示する造形を手掛ける。

ギャラリートーク

当館研究員が鑑賞のポイントを分かりやすく解説します。

日程

2016年11月6日(日)

時間

14:00~15:00

場所

工芸館会場

※申込不要・参加無料(要当日観覧券)

タッチ&トーク

工芸館ガイドスタッフによる鑑賞プログラム。注目の若手作家から人間国宝が手がけた作品や制作工程資料などに触れながら鑑賞する〈さわってみよう コーナー〉と、時代背景や作家の情報などの豊富なエピソードをまじえて作品のみどころをご紹介する会場トークとの2部構成で、さまざまな角度から展覧会を ご案内します。

日程

会期中の毎週水・土曜日

時間

14:00~15:00

場所

工芸館会場

※申込不要、参加無料(要観覧券)

開催概要

会場

東京国立近代美術館工芸館

会期

2016年9月17日(土) -12月4日(日)

開館時間

10:00 – 17:00
※入館時間は閉館30分前まで

休館日

月曜日(9月19日、10月10日は開館)、9月20日(火)、10月11日(火)

観覧料

一般  : 550 (350)円
大学生: 350 (150)円

高校生以下および18歳未満、障害者手帳をお持ちの方とその付添者(1名)は無料。

※( )内は20名以上の団体料金およびキャンパスメンバーズ特典料金。いずれも消費税込。
※入館の際に学生証、運転免許証等の年齢のわかるもの、障害者手帳をご提示ください。

無料観覧日

11月3日(木・祝)文化の日

主催

東京国立近代美術館

工芸館へのアクセス

東京メトロ東西線竹橋駅 1b出口より徒歩8分
東京メトロ半蔵門線,東西線,都営新宿線九段下駅 2番出口より徒歩12分

住所: 東京都千代田区北の丸公園1-1

詳しくは、アクセスをご参照ください。

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