令和4年度 インターンシップ生のことば

A 学芸・コレクション Mさん

13,000点を超えるコレクションを持ち、会期ごとに異なるテーマで様々な作品を展示している東京国立近代美術館において、どのようなプロセスを経て所蔵作品展が出来上がっていくのかを学びたいと考え、インターンを志望しました。

インターンでは所蔵作品にまつわる幅広い仕事を体験・見学させて頂きました。作品の展示・撤収のための図面作成や展示替えの見学などを通じて所蔵作品展が出来上がるまでの流れを学ぶことができたほか、作品の出展履歴の記録やキャプションの整理、作家情報の調査などの作業にも携わらせて頂くことで、作品を「モノ」として扱うだけでなく、作品が持っている「情報」も合わせて管理していくことの重要性を実感しました。またオンラインレクチャーでは、企画展や美術館教育、図書資料を担当する他部門の仕事内容についても理解を深めることができました。

こうした様々な活動の中で特に印象に残ったのが、インターンに訪れるたびに他館への作品貸出・返却の予定が入っていたことでした。所蔵作品にまつわる仕事は自館の内側を見つめる仕事だという先入観がありましたが、定期的に作品貸出・返却の現場を拝見し、多くの作品が全国各地へ旅立つ瞬間を見届けることで、この仕事が自館の外側に広く開かれた仕事であることを実感し、さらに興味が深まりました。

今回のインターンを通じて、美術館が作品を滞りなく展示できているその背景には、多くの関係者の存在と多くの地道な仕事の積み重ねがあることを認識でき、大変貴重な機会となりました。一年間お世話になりました職員の皆様に心より御礼申し上げます。

B 学芸・企画展 Yさん

展覧会の現場で学芸員の方の実践的な視点を学びたいという思いを持って一年間のインターン活動に取り組みました。

まず、展覧会の準備に関わる業務として、校正や資料作成、展示現場や会議等への立ち会いを経験させていただきました。大学の授業では知り得ない現場の様子や、ひとつの展覧会を実現するために想像していた以上の多様な業界の方が携わっていることを知り、学芸員として専門的な見地から他の業界の方々と協働することの大切さを学びました。

また、分野課題として取り組んだ企画展の立案では、構想を一から練り、企画書や作品リスト、会場の図面を作成しました。これまでの研究成果や展覧会を踏まえながら、新しい視点を提示することの難しさを感じながらも、学芸員の方々から講評をいただき多くの気付きを得ることができました。この課題を通じて美術館で展覧会を開催することの意義を改めて実感することができたと思います。

これらの活動を通じて、これまで漠然と抱いていた学芸員としてのあり方をより明確に思い描くことができるようになりました。何より些細な疑問にも丁寧に答えてくださり、学生の立案した企画展案にも真摯に向き合っていただいた学芸員の方々には感謝の気持ちでいっぱいです。インターンを通じて得られた学びや経験を糧に、今後もいっそう励んでまいります。一年間お世話になりました皆様に改めて感謝申し上げます。

B 学芸・企画展 Oさん

一年間、企画展分野のインターンとして非常に多くの貴重な経験をさせていただきました。活動を通して特に大きな学びとなった点のひとつは、展示が企画されてから形になるまでを、より現場に近い場所で詳しく知ることができた点です。

一年を通して企画展に関する多くの打ち合わせに同席させていただきましたが、そこでは美術館及び学芸の仕事だけでなく、協賛の会社や図録等のデザイン事務所、印刷会社の方々、またフレーマーやアートハンドラーの方々など、企画展に関わる幅広い役割の人たちそれぞれの仕事について学ぶことができました。また搬入出を見学する際には、その都度生じた疑問について学芸員の方々にすぐに教えていただけるという非常に贅沢な経験を得ました。そしてこれらの経験を通して、展覧会が様々な役割を持つ人たちとの協働によって成り立つものであるということを本当の意味で理解することができたように思います。

分野課題では企画展を考えて発表し、それに対して企画展室の学芸員の方々から二度もフィードバックを頂きました。企画展案の作成において最も痛感したことは、鑑賞者に寄り添いながらも作品のもつ歴史を損なうことなく展示するという、東近美の企画展で常に行われている実践がいかに難しく、徹底的なリサーチに基づいているのかということです。そして資料整理や調書の作成などの作業を通して、そのような徹底的な研究作業の一端を担うことが出来たことも極めて貴重な経験となりました。

最後になりましたが、常に温かい視点から的確なサポートをしてくださった企画展部門の方々に、改めて感謝申し上げます。ありがとうございました。 

C 美術館教育 Aさん

一年を通して、アートカードやセルフガイドといった教材の管理、対話鑑賞をはじめとする教育プログラムの見学および補助などの活動をしました。本インターンに応募した動機は主に二つで、一つは大学の授業で体験した東近美の対話鑑賞を学びたいということでした。11月から展示室での「所蔵品ガイド」が再開となり、オンライン開催と展示室開催両方の対話鑑賞プログラムを見学する機会に恵まれました。題名や作家の意図をゴールとせず、自由な対話で鑑賞を展開するための進行を学ぶことができました。もう一つの応募動機は、子どもが参加しやすい教育プログラムの作り方を学びたいということでした。ファミリー向けオンラインプログラム「おやこでトーク」では、画像と動画を用いて美術館を紹介するコーナーを職員の方と協同でつくり、準備段階から多くのことを学びました。色紙やシール、紙テープといったツールを使うことで子どもたちのワクワク感を高めることができることや、双方向性を感じにくいオンラインプログラムであっても効果的な問いかけをすることで子どもたちや保護者の参加を促すことができることがわかりました。

教育普及室での活動に加え、全体レクチャーで各分野の学芸員の方々のお話を伺い、業務について知ることができたことは貴重な経験でした。機会をくださった職員の皆様に感謝申し上げます。

D 図書資料 Eさん

小さい頃から美術館が大好きで学芸員に憧れていたことから、大学進学後は学芸員を目指し、美術館運営について学んでいました。授業の中で、資料保存について触れた際に、はじめて美術館を支えるライブラリの存在を知り、強く意識するようになりました。そこでライブラリという立場で美術館に関わることができる、東京国立近代美術館のインターンシップに参加しました。

東京国立近代美術館では図書や雑誌だけでなく、展覧会カタログやチラシなども収集・保存しています。また、利用者と資料をつなぐレファレンスサービスも行っています。実習では、資料の登録方法から、配架・出納といった閲覧対応の仕方、展覧会関連の特集展示の準備など、幅広く図書室業務について学ぶことができました。実際に資料に触れるなかで、こうした活動が、現在だけでなく未来にもつながっているように感じました。

インターンシップに参加すること自体が初めてだった私にも、一から丁寧にお教えいただきました。アートライブラリの皆様に感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございました。

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