展覧会

会期終了 企画展

河口龍夫展:言葉・時間・生命

会期

会場

東京国立近代美術館本館企画展ギャラリー

展覧会について

 河口龍夫(1940年、兵庫県神戸市生まれ)は、1960年代から今日に至るまで、現代美術の最前線で活躍を続けてきている作家です。彼は、鉄・銅・鉛といった金属や、光や熱などのエネルギー、さらに化石や植物の種子など、さまざまな素材を用いながら、物質と物質、あるいは物質と人間との間の、目に見えない関係を浮かび上がらせようという一貫した姿勢で制作を続けてきました。

今回の展覧会は、40年以上にわたる河口龍夫の制作のあゆみを、「ものと言葉」「時間」「生命」というキーワードのもとに3つの章で構成し、それぞれのテーマによる過去の主要作品と、新作とをあわせて展示します。「芸術は精神の冒険」であると河口はいいます。彼の作品の前で五感を研ぎ澄ませ、想像力をひろげるとき、私たちは、ものに対する新しい認識の仕方に驚かされたり、人間のスケールを超えたはるかなる過去・現在・未来の時間の流れに思いを馳せたり、あるいは生命の不思議に触れることになるでしょう。

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展覧会構成

第1章 ものと言葉

私たちはものの存在を認識するときに、言葉を用います。しかしひとは言葉によって、この世界を捉えきれるものでしょうか。河口はその活動の初期から、こうした「存在」と「認識」との関係に鋭い考察を加えてきました。
 この章では、石に発光する蛍光灯を貫通させ、物質である石と非物質である光とを共存させた《石と光》や、「闇」という実体のないものを封じ込めることで、逆にその存在を意識させる《Dark Box》など初期の作品から、国境線に着目した新作などをご紹介します。また、真っ暗闇の中で絵を描くことにより、「見る」ことと「描くこと」を改めて考えさせる《闇の中のドローイング》の体験コーナーをご用意いたします。

第2章 時間

私たちはふだん、遅刻しないように目覚まし時計をセットしたり、カレンダーで週末の予定を確認したりするなど、時間に律された生活をしていながら、あまりに日常的なために「時間とはなにか」と改めて問うことはないでしょう。けれども河口は長年にわたり、その不思議さを考え続けてきました。
 この章では、天体写真のひとつひとつの星の地球からの距離をもとに、その星の光が何年前に発せられたかを書き込んだ《COSMOS》シリーズや、異なる時代のさまざまな化石をフロッタージュ(こすり出し)した紙を巨大な画面に貼り合わせた新作《関係―時のフロッタージュ・5億6000万年》など、はるかな時の流れに想像力を誘う作品をご紹介します。

第3章 生命

植物の種子は、河口の重要なモティーフのひとつです。1986年のチェルノブイリ原発事故以後、彼は放射能を通さない鉛の性質を利用し、種子を鉛で封印する作品を制作し始めます。一粒の種子を、一人の人間と対等の存在として見つめながら、河口は過去~現在~未来にわたる、生命のエネルギーのつながりを、さまざまなかたちで表してきました。本展では、1989年のポンピドゥー・センター「大地の魔術師」展にも出品された代表作《関係―種子、土、水、空気》をはじめ、全長8mの木造船に種子のエネルギーをまとわせた新作《時の航海》など、生と死をめぐる壮大なイメージの作品をご紹介します。

作家紹介

河口龍夫 略歴
1940(昭和15)年 兵庫県神戸市に生まれる
1962(昭和37)年 多摩美術大学絵画科卒業
1965(昭和40)年 グループ「位」結成
1970(昭和45)年 第10回日本国際美術展(東京ビエンナーレ)「人間と物質」出品
1973(昭和48)年 パリ・ビエンナーレ、サンパウロ・ビエンナーレ出品
1975(昭和50)年 文化庁芸術家在外研修員として欧米に滞在
1983(昭和58)年 筑波大学芸術学系助教授(1991年同教授)
1989(平成元)年 「大地の魔術師」展(パリ、ポンピドゥー・センター)出品
1997(平成9)年 千葉市美術館で個展
1998(平成10)年 水戸芸術館、いわき市立美術館で個展
1999(平成11)年 京都市美術館で個展
2003(平成15)年 筑波大学を定年退官、京都造形芸術大学大学院教授、釜山市立美術館(韓国)で個展
2004(平成16)年 筑波大学芸術学系名誉教授、倉敷芸術科学大学教授
2007(平成19)年 兵庫県立美術館、名古屋市美術館で個展
2008(平成20)年 宇都宮美術館、入善町下山芸術の森発電所美術館で個展

河口龍夫 公式HP

作家自身のホームページでは、これまでの活動がくわしく紹介されています。

イベント情報

講演会

*いずれも聴講無料・申込不要(先着150名)

河口龍夫×松本透(当館副館長)×大谷省吾(当館主任研究員)

日程

2009年11月14日(土)

時間

14:00-15:30

場所

講堂(地下1階)

河口龍夫

日程

2009年11月22日(日)

時間

14:00-15:30

場所

講堂(地下1階)

河口龍夫×谷新(宇都宮美術館館長)

日程

2009年12月5日(土)

時間

14:00-15:30

場所

講堂(地下1階)

ギャラリー・トーク

*いずれも参加無料(要観覧券)・申込不要

担当:松本透(当館副館長)

日程

2009年11月27日(金)

時間

18:00-19:00

場所

企画展ギャラリー (1F)

担当:大谷省吾(当館主任研究員)

日程

2009年12月4日(金)

時間

18:00-19:00

場所

企画展ギャラリー (1F)

カタログ情報

開催概要

会場

東京国立近代美術館 企画展ギャラリー

会期

2009年10月14日(水)~12月13日(日)

開館時間

10:00-17:00 (金曜日は10:00-20:00)
(入館は閉館30分前まで)

休室日

月曜日[11月23日(月・祝)は開館]、
11月24日(火)

観覧料

一般 850円(600円)
大学生450円(250円)
※( )内は20名以上の団体料金。いずれも消費税込。

高校生以下および18歳未満、障害者手帳をお持ちの方とその付添者(1名)は無料。
※それぞれ入館の際、学生証等の年齢の分かるもの、障害者手帳等をご提示ください。

※本展の観覧料で、当日に限り「権鎮圭」展(ギャラリー4、2F、12月6日まで)と所蔵作品展「近代日本の美術」(所蔵品ギャラリー、4-2F)もご観覧いただけます。

無料観覧日

11月3日(火) [文化の日]
11月12日(木) [天皇陛下御在位20年慶祝行事]

主催

東京国立近代美術館

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