展覧会
ヴァレリオ・オルジャティ展
会期
-会場
東京国立近代美術館本館ギャラリー4
概要
作品を発表するたびに話題を集める建築家、それがヴァレリオ・オルジャティです。彼が今事務所を構えているのは、グラウビュンデン地方の山里であるフリムス。このことからもわかるように、オルジャティは、時流にとらわれることなく、建築の本質と向き合い続けてきました。
その建物の特徴は、「概念性」と「職人性」と「芸術性」とが高いレベルで融合しているところにあります。篠原一男(1925-2006)や安藤忠雄(1941- )などの影響もうかがえる幾何学的なプラン(平面図)に、時には土着的と思える形や模様を与えていくオルジャティの建築は、過激さと懐かしさとユーモアを同時に備えることに成功しています。そこで求められているのは、新しい建築などではなくて本当の建築である、そう言い換えることもできるでしょう。

ここが見どころ
- ヘルツォーク&ド・ムーロンやピーター・ズントーの次の世代を代表するスイスの建築家。
- 日本を大好きな建築家。彼が敬愛するのは、出雲大社、篠原一男、安藤忠雄、そして腰掛蟻継。
- オルジャティは今回が初来日。講演会も、特別に、夜に開催いたします。
- 展示される模型の一部は、妹島和世さんがディレクターを務めたヴェネツィア・ビエンナーレ国際建築展にも出品されていました。
- カタログには、オリジナルのインタビューを掲載予定です。
- 世界でもっとも有名な建築雑誌のひとつ『El Croquis』の最新号はオルジャティ特集です!
- 本展は国際巡回展の最終会場。日本国内でも東京のみの開催です。
- 東京国立近代美術館としては、2001年のリニューアル以来、3つめとなる建築展。これまでと同様に、「美術館ならではの建築展」を考え、提案します。
- 東京では、ほぼ同時期に、いくつもの建築展が開催されます。
展覧会構成
本展に展示されるのは、模型と図版です。と書くと、普通の建築展のように聞こえますが、これはヴァレリオ・オルジャティの、美術館で開催される展覧会。もちろん違います。模型は、小さな住宅も、大きな美術館も、すべて同じ1:33の縮尺でつくられていて、細かい部分は省略され、まるで彫刻のように見えます。白くて美しい模型9点を前にすると、建築の強度とはいったいなんによるのかと、考えさせられることでしょう。
そして図版。これは、オルジャティが自らに影響を与えたものとして集めた、建物や庭園や空間や絵画などのイメージによって構成されています(それを彼は「図像学的自伝」と呼んでいます)。古今東西のさまざまなイメージが水平にひろがる中に、模型が、あるいは「建築」が、垂直に立っている。この対照性が本展の特徴です。
この展覧会は、オルジャティ本人との密接なやりとりのもと、スイス連邦工科大学チューリヒ校(ETH, Zurich)建築理論・建築史研究所(gta)によって企画されました。スイス連邦工科大学(チューリヒ)から出発し、ロンドンの英国王立建築家協会(RIBA)などを経て、当館が最終会場になります。しかもオルジャティは、日本会場のために、ふたつ模型を追加してくれました。
作家紹介
ヴァレリオ・オルジャティ
1958年スイスの古都クールに生まれたヴァレリオは、スイス連邦工科大学チューリヒ校(ETH, Zurich)で建築を学びます。チューリヒ、そしてロサンゼルスで働いた後、1996年自らの事務所をチューリヒに開設。2008年以降は、故郷のフリムスを拠点とします(チューリヒからは、電車とバスを乗り継いで2時間ほどかかる場所です)。主な建築作品には、《学校》(パスペルス)、《黄色い家》(フリムス)、《リナルド・バルディルのアトリエ》(シャランス)、《スイス国立公園ヴィジターセンター》(ツェルネッツ)、《プランタホフ農業学校の講堂》(ランドクアルト)などがあります。2002年からは、スイス・イタリア語圏にあるメンドリジオ建築アカデミーの教授を務め、2009年には客員教授としてハーヴァード大学で教鞭を執りました。
オルジャティの建築のご紹介
春と冬で階数が変わるんです
水に浮かんでいるようなこの建物。一階建てに見えますが、渇水期(冬)には、下の部分が現れるというすごい建物です。雪解け水による自然の変化をうまく使っているという点では、スイス的と言えるでしょうか。残念ながら、諸事情あって実現しませんでしたが。
CGでも、騙し絵でもありません
右と左に分かれ行く階段……よーく見ても、まんなかに鏡はありません。CGでもありません。この厳密に左右対称な階段を(しかも線遠近法を強調して、先が細く=狭くなっていく階段を)、オルジャティは実際に設計したのです。しかも、スイスで唯一の、国立公のヴィジターセンターを兼ねたミュージアムとして! (これは実現しています。)
スイス版看板建築?
赤い壁に散らばる模様。抽象的なのに、懐かしく、それに楽しい感じもします。屋根をよく見ると、左側に「山型(切妻)」はありますが、真ん中は抜けていることに、つまりどうやら屋根がないことに気づきます。実はこの建物のある村(シャランス)では、景観を守り続けるために、建物の外形を変えてはいけないという決まりがあるそうなのです。オルジャティはその条件を逆手にとって、大きな中庭を持つアトリエを、ミュージシャンのためにつくりました。写真に見える扉を開けて出会うのは、室内ではなくって、光の降り注ぐ庭なのです。
イベント情報
講演会
ヴァレリオ・オルジャティ(建築家)
「75分間」
日程: 2011年11月1日(火)
時間: 19:00-20:15
場所: 当館地下1F講堂
*日英同時通訳付
要申込(応募者多数の場合は抽選)聴講無料(130名)
(参加者は講演会終了後午後9時まで本展覧会を無料でご覧いただけます)
応募は10月19日(水)をもって、締め切りました。たくさんのご応募ありがとうございました。
講演会は、当選通知が届いた方のみ聴講いただけます。
ご了承ください。なお、講演会につきましては下記ご留意くださいますようお願い申し上げます。
*当日キャンセル待ちの予定はございません。
*当日1900~2100は、当選者以外は美術館の敷地内に入れませんこと、ご了承ください。
*建築家本人の希望により、ユーストリーム等での放映はいたしません。
ギャラリートーク
日程: 2011年11月5日(土)
時間: 14:00-15:00
保坂健二朗(当館研究員・本展担当者)
日程: 2011年12月9日(金)
時間: 18:00-19:00
保坂健二朗(当館研究員・本展担当者)
※いずれも会場にて。参加無料(要観覧券)。申込不要
カタログ目録情報
ショップにて好評発売中
定価700円
カタログには、スイスから東京まで巡回してきた、全ての会場風景の写真と図面を掲載。ヴァレリオ・オルジャティ本人へのインタビューは本カタログのみの掲載です!
開催概要
- 会場
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東京国立近代美術館 ギャラリー4
- 会期
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2011年11月1日(火)~2012年1月15日(日)
- 開館時間
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10:00-17:00 (金曜日は10:00-20:00)
※入館は閉館30分前まで - 休館日
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月曜日[2012年1月2日、1月9日は開館]、12月28日(水) ~ 1月1日(日・祝)、1月10日(火)
- 観覧料
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一般 420円(210円) 大学生130円(70円)
※( )内は20名以上の団体料金。いずれも消費税込。※高校生以下および18歳未満、障害者手帳をご提示の方とその付添者(1名)は無料。
※それぞれ入館の際、学生証等の年齢のわかるもの、障害者手帳等をご提示ください。※お得な観覧券「MOMATパスポート」でご観覧いただけます。
※キャンパスメンバーズ加入校の学生・教職員は学生証または教職員証の提示でご観覧いただけます。
※入館当日に限り、同時開催の所蔵作品展「近代日本の美術」もご観覧いただけます。無料観覧日
(所蔵作品展「近代日本の美術」、「ヴァレリオ・オルジャティ展」のみ)
11月3日(木・祝)、11月6日(日)、12月4日(日)、2012年1月2日(月) - 主催
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東京国立近代美術館
スイス連邦工科大学チューリヒ校建築理論・建築史研究所 - 助成
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スイス大使館科学技術部 スイス連邦内務省教育研究局
スイス・プロ・ヘルヴェティア文化財団
スイス連邦工科大学チューリヒ校建築学科 - 特設HP
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11月1日、特設ウェブサイトオープンしました。
「Valerio Olgiati and His Architecture」リンクはこちらから
コンテンツは随時更新していきます。
オルジャティの建築紹介や日本の建築との関わりなど、オルジャティに関する情報が満載です。ぜひご覧ください。
