展覧会

会期終了 企画展

写真の現在4 そのときの光、そのさきの風

会期

会場

東京国立近代美術館本館ギャラリー4

概要

1970年代以来、日本の写真界においては、写真家たち自身が運営するギャラリーがさまざまに個性的な活動を展開してきました。近年、そうした動きは再び活発になり注目も高まっています。また写真集や、ZINEとよばれるより簡便な冊子形式の出版物からも、注目すべき仕事が次々に登場していますが、それらの多くも自主制作です。今回の展覧会では、こうした発表の手段や場も自分たちの手でつくる写真家たちの活動に注目します。

ここが見どころ

注目すべき中堅、若手作家の仕事から写真表現の現在地点を考えるシリーズの4回目。今回は、有元伸也、本山周平、中村綾緒、新井卓、村越としやの5人の写真の近作、新作を紹介します。

有元と村越は、現在、都内でそれぞれ仲間たちと自主ギャラリーを運営し、活発に展覧会を重ねています。本山と中村は、かつて同じ自主ギャラリーに参加することから、発表活動を始めた写真家で、自主制作のユニークな写真集でも知られています。ダゲレオタイプという最古の写真技法にとりくむ新井の作業は、イメージを定着させる感光性のある金属板を自らの手で用意するところから始まります。

彼らはもちろん写真雑誌やギャラリーなど、既存のメディアや場を通じても、作品を発表しています。またそれぞれウェブサイトやソーシャルメディアなどを作品発表や情報発信の手段として活用しています。しかし一方でその活動は、撮影から発表まで、いつもリアルで手応えのある等身大の世界とのつながりに軸足を残しているように見えます。

もともと故郷の福島の風景を撮り続けていた村越の作品がそうであるように、今回の展覧会は、「震災以後の現実」と向かい合う写真の現在という側面も持ちます。そうした状況下、日々写真を介して等身大の世界と出会い、精力的に作品を発表し続ける、5人の写真家たちの持続的な営みに、写真の現在地点を探ります。

これまでの「写真の現在」

第1回「写真の現在―距離の不在」(1998年)
会場:フィルムセンター展示室
出品作家:齋藤さだむ 畠山直哉 楢橋朝子 松江泰治 金村修

第2回「写真の現在2 サイト―場所と光景」(2002年)
会場:本館企画展ギャラリー (1F)
出品作家:伊藤義彦 小林のりお 港千尋 鈴木理策 兼子裕代 勝又邦彦 野口里佳 横澤典

第3回「写真の現在3 臨界をめぐる6 つの試論」(2006年)
会場:本館ギャラリー4 (2F)
出品作家:伊奈英次 小野規 浅田暢夫 北野謙 鈴木崇 向後兼一

展覧会構成

2012年の“写真”表現の地平―展示空間には、最古の写真技法であるダゲレオタイプから、フィルムカメラで撮影されたモノクローム作品、デジタルカメラで撮影された映像作品まで、多彩な技法によるインスタレーションが展開されます。

有元伸也

都市の路上を中心に撮り続けられてきたariphoto シリーズより新作を含む「ARIMOTO TOKYO 2006-2011」を出品予定

本山周平

「SM TABLOID」シリーズから写真集『日本』、今年創刊の『GRAF』誌まで、ここ10年ほどの活動から、プリントと印刷物を組み合わせた展示を予定

中村綾緒

昨年から今年にかけて発表した「water」「pray」などを中心に、写真と映像作品によるインスタレーションを予定

新井卓

震災以前から撮影していた東北での近作に、震災後の新作を加えて構成したダゲレオタイプ(銀板写真)作品によるインスタレーションを予定

村越としや

震災以前から撮影していた近作に加え、震災後撮影された故郷福島の風景をめぐる作品を出品の予定

作家紹介

有元伸也
ありもと・しんや(b.1971)

1994年ビジュアルアーツ専門学校大阪卒業。1997年第35回太陽賞受賞。2006-2008年元田敬三と「LOTUS ROOT GALLERY」を運営。2008年より「TOTEM POLE PHOTO GALLERY」を運営。写真集に『西蔵より肖像』(1999)、『ariphoto selection vol.1』(2010)、『ariphoto selection vol.2』(2011)

本山周平
もとやま・しゅうへい (b.1975)

「1999年第20回「キヤノン写真新世紀」佳作。2000年東京ビジュアルアーツ写真学科研究科卒業。2001-2006年「photographers’ gallery」に参加。 2007-2009年「ギャラリー街道」にて連続展。写真集『SM TABLOID』1-14(2002-2005)、『世界1 』(2005)、『ルクセンブルグ、オランダ』(2005)、『日本 2001-2010』(2010)。2011年さがみはら写真新人奨励賞受賞

中村綾緒
なかむら・あやお(b.1976)

東京造形大学造形学部デザイン科Ⅱ類織専攻卒業。2001-2004年「photographers’ gallery」に参加。2006-2009年アトリエ兼ギャラリー「1号室2号室」運営。写真集に『魔法』(2011)、『Water』(2011)

新井卓
あらい・たかし(b.1978)

国際基督教大学中退。東京綜合写真専門学校卒業。主な個展に2006年横浜美術館「鏡越しのランデヴー」、2011年川崎市市民ミュージアム「夜々の鏡」、2011年銀座および大阪ニコンサロン「Here and There―明日の島」など。

村越としや
むらこし・としや(b.1980)

2003年日本写真芸術専門学校卒業。2009年より自主ギャラリー「TAP」を運営。2011年日本写真協会賞新人賞受賞。写真集に『あめふり』(2006)、『草をふむ音』(2008)、『浮雲』(2009)、『雪を見ていた』(2010)、『土の匂いと』(2011)

カタログ情報

イベント情報

講演会
出品作家によるスライドショーとトーク

日程:2012年6月16日(土)
時間:14:00-15:30
有元伸也+本山周平+中村綾緒

日程:2012年7月21日(土)
時間:14:00-15:30
新井卓+村越としや

*いずれも東京国立近代美術館講堂(地下1階)にて。 申込不要、参加無料 (先着140名)

開催概要

会場

東京国立近代美術館本館 ギャラリー4(2F)

会期

2012年6月1日(金)~7月29日(日)

開館時間

10:00-17:00 (金曜日は10:00-20:00)

  • 入館は閉館30分前まで
休館日

月曜日(7月16日[海の日]は開館)、7月17日(火)

観覧料

一般420円(210円)/大学生130円(70円)

  • ( )内は20名以上の団体料金。いずれも消費税込。
  • 高校生以下および18歳未満、65歳以上、障害者手帳をご提示の方とその付添者(1名)は無料。
  • それぞれ入館の際、学生証等の年齢のわかるもの、障害者手帳等をご提示ください。
  • お得な観覧券「MOMATパスポート」でご観覧いただけます。
  • キャンパスメンバーズ加入校の学生・教職員は学生証または教職員証の提示でご観覧いただけます。
  • 入館当日に限り、同時開催の所蔵作品展「近代日本の美術」もご観覧いただけます。

東京国立近代美術館 開館60周年記念企画
誕生日は無料 !!!

開館60周年を記念して、ご自身の誕生日当日にご来館いただいた方は、全館(本館・工芸館とも)無料で入館いただけます。券売窓口で、誕生日のわかる証明書(免許証等)をご提示ください。

無料観覧日

6月3日(日)、7月1日(日)

主催

東京国立近代美術館

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