展覧会

会期終了 企画展

夏の家

会期

会場

東京国立近代美術館 前庭

世界で注目される建築事務所スタジオ・ムンバイによる日本初の建築プロジェクト

東京国立近代美術館は2012 年に開館60 周年を迎えました。この機会に、美術館(本館)の所蔵品ギャラリー(2-4F)を大幅にリニューアルするため、7月30 日-10 月15 日の間、美術館は休館いたします。本企画「夏の家」は、休館中も多くの方々に来ていただくために、美術館の前庭に東屋を設置し、憩いの場として開放するものです。設計・施工を担当するのは、話題の建築事務所スタジオ・ムンバイ(インド)。世界で注目を集める彼らの、日本初となる建築プロジェクトです。彼らの得意とする、オーガニックな素材をつかった心地よい空間で、散歩の合間に休憩したり、夕涼みをしたり、多くの方々に気軽にお過ごしいただけます。また、多くの大工職人を抱え、自ら建設まで行うスタジオ・ムンバイの特徴を多くの方に知っていただけるよう、今回はインドから大工を招聘し、施工の様子を公開します。

What is “barakku” ? ―スタジオ・ムンバイによる「バラック」

東京国立近代美術館が開館した1952 年は戦後復興の途中であり、東京にはまだまだバラックが多く残っていました。それらは、何もかもを失い、家をつくる必要に迫られた人々が、建設の知識がないまま自分の手で工夫を重ねてつくりあげたすまいの原型であるといえます。そしてバラックには、人々が自分の過ごす場所をその都度工夫していく、未完の建物ならではの魅力があります。新築/改修、職人/素人に関わらず建物を建て、日々更新していくという建築のあり方は、スタジオ・ムンバイが建築に取り組む方法と重なります。

本来バラック(barrack)は兵舎という意味ですが、日本人がイメージするバラックは英語のshelter やhut(小屋)も含んでいます。今和次郎は、『震災バラックの回顧』(1927 年)において、この日本語の「バラック」が指すものを丁寧に調査し、示しました。そして、関東大震災後に地面から湧き出るように次々と建てられた「バラック」の数々と、田舎の農家や開墾地の家々を、同質の視点で見つめ、それら原始的な建て方の小屋に、人がすまいを自ら工作することの価値を見出したのです。この視点は、震災を経た2012 年の日本において重要な問題でもあります。

かねてよりインドの田舎の集落や移動住居を調査してきたスタジオ・ムンバイは、今のバラック調査に大きく共感しました。そこで、本プロジェクトでは、小さな建築を建てることを通して、日本語の「バラック」が持つ可能性を追求します。また、今和次郎の他、ジョン・ラスキンやバーナード・ルドルフスキー『建築家なしの建築』などにも共通する民俗的な建築の魅力を、スタジオ・ムンバイがどう思考し、実践するかが本プロジェクトのみどころのひとつです。

Process : “making” and “doing” ―考えること、つくること、使うこと

スタジオ・ムンバイが設計をするときの大きな特徴は「つくりながら考える」ことです。スタジオ・ムンバイでは、大工職人が、先人から引き継いできた技術をもとにまず手を動かします。そして、つくられたモノを軸に、デザイナーと大工が一緒になってデザイン、また手を動かします。この絶え間ない往復によって、徐々に設計が進んでいくのです。「考えること」と「つくること」を同時に進めていくこの方法は、設計や施工をすることだけに対応するものではありません。終わることのない試行は、建物が竣工したのちも、その空間を使う人によって続けられるのです。

今回は、日本で施工するためにインドから大工がやってきます。また、施工風景は一般に公開されます。大工が手作業で建てる様子は、建築に馴染みがない人でも面白く見ることができるはずです。それは料理をつくったり、針仕事をしたり、家のどこかを直したり、私たちの普段の生活に身近な出来事と同じことだからです。デザインをする人と使う人が分かれてしまい、建築をつくるものだと考える人は少なくなってしまった現在、彼らの施工の様子を見ることは、「建築をつくることは日々の生活の延長線上にある」と多くの人が考えるきっかけになることでしょう。

プロフィール

スタジオ・ムンバイ

1995 年、ビジョイ・ジェインがムンバイに設立した、大工職人と設計者による、設計から施工まで一括して手掛ける建築事務所。当初15 名程度だったスタッフは、現在120 名を超える。土地の材料や伝統的な技術を重んじ、手作業による施工をベースにしたオーガニックな建築作品を数多くつくる。職人や芸術家とともに独自の建材をつくり、スケッチや大きなモックアップでの検討を何度も繰り返すプロセスそのものがデザインになることが特徴。建築作品の殆どはインドに建設されているが、ヴェネチア・ビエンナーレ建築展(2010 年)への出品をはじめ、建築雑誌『El Croquis』で特集されるなど、世界で注目を集める。

カタログ情報

イベント情報

ビジョイ・ジェイン氏(スタジオ・ムンバイ代表)講演会

ビジョイ・ジェイン(スタジオ・ムンバイ代表)
(講演タイトル未定、逐次通訳付)

2012年9月1日(土)
14:00 – 16:00(開場13:30- )
東京国立近代美術館講堂(地下1階)

*要申込(応募者多数の場合は抽選)、聴講無料(130名)
申込は終了いたしました。

申込方法:
電子メールでお申し込みください。
件名を「ビジョイ・ジェイン講演会」とし、本文に氏名、ふりがなを明記のうえ0901@momat.go.jpにお送りください。締切後受講証(抽選の場合は抽選結果および受講証)を送付します。携帯電話のメールアドレスでご応募の方は、必ず@momat.go.jpからのメールを受け取れるよう設定をお願いいたします。

締切 2012年8月20日(月) 午後12時

申込は終了いたしました。定員を上回るご応募ありがとうございました。

*応募はお一人さま1回、1通につき1名までとさせていただきます。
*個人情報につきましては、講演会申込手続のみに利用させていただき、その他の目的による利用は一切行いません。

8/25更新情報:定員を上回るお申込がありましたため、Ustreamでの配信をおこないます。

9月1日(土)14:00~ (リアルタイム配信)
URL:http://www.ustream.tv/channel/studiomumbai-momat

*リアルタイム配信終了後も、上記URLから視聴可能。

公開は終了しました。

連続レクチャーシリーズ「青空教室」
―考える、つくる、動く、また、つくる

9月1日に竣工予定の「夏の家」。完成後、夏の家を会場に、レクチャーシリーズ「青空教室」をおこないます。

「家とはなにか?」そして、「家を自分でつくること」。
「夏の家」にこめられたこれらのコンセプトについて、世代を超えて、多彩な方々をお招きし、世界の事例や、歴史的な出来事、今現在の状況を取り上げながら、3回にわたり、お話しいただきます。

「考える、つくる、動く、またつくる」という流れは、スタジオ・ムンバイの建物の建て方、とりわけ今回のプロジェクトの軌跡―スタジオ・ムンバイが考え、手を動かし、つくり、それを日本に移築する―に当てはまります。そして、建てられた「夏の家」でレクチャーが開催され、さまざまなトピックについて参加するみなさんと考えることは、つくられた建築が更新されていく=また、つくる ことになるはずです。
ふるってご参加ください。

いずれも会場は「夏の家」にて。聴講無料。申込不要です。

第1回|動く|
牧紀男(計画家)、中谷礼仁(歴史工学家)、坂口恭平(建築家など) 
9月22日(土)18:00-20:00

テーマ:「動く家、仮の家」

「夏の家」は、住まい手が自ら材料を集め、自力で建設するバラックにインスピレーションを得ています。さまざまな素材をブリコラージュすることによってつくられるバラックは、一時的な不便をしのぐ仮のすまいであるがゆえに、移動さえも可能な、軽やかな家の在り方を示しました。実際にインドから日本へ動き、期限付きの家である「夏の家」を通じて、動く家、仮の家のもつ軽やかさについて考えます。

第2回|考える|  
藤森照信(建築史家)、塚本由晴(建築家) 司会:後藤治(建築史家) 
9月28日(金)19:00-21:00

テーマ:「家の条件」

「家」が「家」であるのは、屋根があるから?壁で囲まれているから?インフラがあるから?これからのすまいをつくるための、家のガイドラインについて、世界の民家を参照しながら、考えていきます。

第3回|つくる|
内田祥哉(建築家)、高橋てい一(「てい」は青偏に光))(建築家) 司会:戸田穣(建築史家) 
9月29日(土)18:00-20:00

テーマ:「建築の造り方」

戦後以降の日本の街並みをつくったともいえる高層ビルやプレハブ住宅の草創期に着目し、工業化が進む建築の生産の背景にあった、「どのように建築を造るのか?」の試行錯誤を辿っていきます。

お月見会

小さなお月見台もある「夏の家」。秋の夜長を楽しむイベントとして、お月見会を開きます。当日は予想では弓のような月ですが、屋外投影や、BEER MOMATの特別メニューなど、お月見ならではのスペシャルコンテンツを多々ご用意しています。
ぜひご参加ください。

日時:9月15日 18:00-21:00 (雨天順延)

参加無料、申込不要

スケジュール:
18:00-18:30 ギャラリートーク 
本プロジェクト企画者による、「夏の家」の解説をおこないます。

18:00- お月見会終了まで
当館で7月まで開催していた「写真の現在4」の出品作家である中村綾緒さんによる映像を投影します。
コンセプトは、「あつめたひかりをそらにかえす」です。

当日は、BEER MOMATに出店している料理家のyoyo.さんとお仲間による、お月見にちなんだスペシャルメニューも販売します。

秋の夜長にぜひご参加ください!

開催概要

会場

東京国立近代美術館 前庭

会期

8月26日(日)~ 2013年1月14日(月・祝)

  • 9月1日(土)完成予定。8月26日(日)~ 31日(金)は、職人が施工している様子をご覧いただけます。
  • リニューアル工事に伴い、敷地内に車両搬入等を行う場合があります。一時的にご迷惑をおかけする可能性がありますが、ご理解・ご協力をお願いいたします。
  • 入場無料(申込不要)
開館時間

8月26日(日)~ 9月8日(土) 10:00 – 22:00
9月11日(火)~ 10月13日(土) 10:00 – 17:00
(9月13日(木)から29日(土)までの、毎週木・金・土は21:00まで)
10月16日(火)~ 2013年1月14日(月・祝) 10:00 – 17:00(金曜日は20:00まで)

休館日

8月26日(日)~ 9月8日(土):無休

9月11日(火)~ 10月13日(土):日曜日、月曜日

10月16日(火)~ 2013年1月14日(月・祝):月曜日(12月24日、2013年1月14日は開館)、年末年始(12月28日(金) ~ 2013年1月1日(火・祝))

主催

東京国立近代美術館

特設ウェブサイト

インドのスタジオ・ムンバイで、着々とプロジェクトが進む様子をブログで紹介しています

公開を終了しました。

Page Top