展覧会

会期終了 企画展

安田靫彦展

会期

会場

東京国立近代美術館本館企画展ギャラリー

展覧会について  

《黄瀬川陣(きせがわのじん)》や《飛鳥の春の額田王(ぬかだのおおきみ)》など歴史画の名作で知られる安田靫彦(1884‐1978)。東京・日本橋に生まれ、日本美術院の再興に参画し、中核のひとりとして活躍しました。「美しい線」、「澄んだ色彩」、「無駄のない構図」……。日本画に対して誰もが抱くこのようなイメージは、すべて靫彦が作ったといっても過言ではありません。また、生涯かけて歴史画に取り組み、誰も描かなかった主題にゆるぎないかたちを与え、古典の香り豊かに表現したことも特筆されます。

東京国立近代美術館では1976年に回顧展を開催しており、本展覧会はちょうど40年ぶりの開催となります。教科書や切手で見たあの有名作品から、初公開となる作品まで、100点を超える代表作を一堂に集める本展は、端正で香り高い靫彦芸術の魅力を再確認するまたとない機会となるでしょう。

また、94年の人生を生きた靫彦は、若くして亡くなった菱田春草や今村紫紅とさほど年も違わないながら、昭和戦前期のナショナリズムの高揚や戦後の価値観の激変を、身をもって経験しています。時代の大きな流れのなかで、靫彦は何をどう描いたか、そしてそれはどのように変わっていったのか。本展では、靫彦の生きた時代の問題も視野に入れながら、彼の画業をたどりたいと思います。

見どころ

出品作はすべて本画          

100点を超える出品作はすべて本画。
代表作を集めた真っ向勝負の回顧展で、靫彦芸術の真髄をご覧いただきます。

歴史好きの人必見            

ヤマトタケル、聖徳太子、源頼朝、源義経、織田信長、豊臣秀吉、宮本武蔵……など、時代のヒーローたちを描いた、教科書でもおなじみの作品が並びます。
靫彦戦後の3大美女、《王昭君》、《卑弥呼》、《飛鳥の春の額田王》もお忘れなく。

服飾、武具、装飾品などにもご注目   

古代、中世、近世の歴史人物たちがまとう、服飾、武具、装飾品などにもご注目を。
元ネタとなった古物、古器と照合できるものも多数あります。

展覧会構成

1章 「歴史画に時代性をあたえ、更に近代感覚を盛ることは難事である」1899-1923

東京・上野で開かれていた日本絵画協会展で下村観山や菱田春草の作品に感動した靫彦は、1898(明治31)年、14歳で歴史画の小堀鞆音(ともと)に入門します。これが80年に及ぶ画生活の始まりでした。

絵の参考品を処分して写生に取り組みはじめたのは翌年のこと。小堀鞆音風の武者絵を脱し、写実によってもっと新しい絵画を生みだそうとしたのです。そして、個の表現が重視された大正時代には、色やかたち、構図に大胆な試みを行いました。

この時期の靫彦を一言で表すとすれば、「挑戦」。結核の発症で療養を強いられ、親友の今村紫紅とも死別した失意のなか、生来の知性と探究心が、彼の挑戦を支えました。

2章 「えらい前人の仕事には、芸術の生命を支配する法則が示されている」1924-1939

この時期、靫彦の制作はひとつの方向へと集約されてゆきます。端正な線の魅力を追求すること、それを活かすために余白と図を画然と分けること、そして淡泊でさわやかな色彩をそえること。そうして生み出された作品は、古典芸術に通じる簡潔さと優美さをそなえはじめます。

と同時に、靫彦は古典芸術や有職故実、考古学の新知見にいたるまで深い関心を寄せ、作品に説得力を与えました、誰も見たことのない新しい主題であっても、誰もがゆるぎない正統性を感じる、そんな靫彦芸術がここに誕生するのです。

3章 「昭和聖代を表象するに足るべき芸術を培ふ事を忘れてはならない」1940-1945

靫彦はまさに画業の高揚期を迎えていました。深い古典研究の上に成り立つ靫彦芸術は冴えわたり、畢生の大作《黄瀬川陣》もこの時期に生み出されました。一方、靫彦をとりまく社会は右傾化を強め、1931(昭和6)年の満州事変、1937年の日中戦争開戦、そして1941年の太平洋戦争開戦と、戦争の時代へと突き進んでゆきます。

社会の在りようと、靫彦芸術の成熟は決して別々のものではありません。挙国一致の体制下で期待された報国の役割が、主題の選択にも、情動を抑えた表現にも、画面の緊張感にも密接に関わっています。

4章 「品位は芸術の生命である」1946-1978

61歳で終戦を迎えた靫彦は、以降、時勢の重圧から解放されたかのように、さまざまな歴史人物を優美かつ色彩華やかに描き出すようになります。主題も、富士図や花と骨董をとりあわせた静物など、これまで以上に豊かに広がってゆきました。

この時期に描かれた作品は、たとえば《飛鳥の春の額田王》のように、美術のみならず歴史の教科書にも採用された例が少なくありません。靫彦芸術は歴史人物の肖像画としても機能するほどに、研究、考証、表現が高い次元で融合したものだったのです。

カタログ情報

イベント

ギャラリートーク

鶴見香織(東京国立近代美術館主任研究員・本展企画者)

2016 年3 月26 日(土) 11:00-12:00
2016 年4 月 1  日(金) 18:00-19:00

場所:1階企画展ギャラリー
*申込不要、要観覧券

講演会

本展関連イベントとして、下記講演会を開催いたします。

4月9日(土)14:00-15:30 (開場:13:30)

「安田靫彦の生涯と芸術」
尾﨑正明(茨城県近代美術館長)
申込締切:3月11日(金)必着

4月16日(土)14:00-15:30 (開場:13:30)

「《黄瀬川陣》に描かれた鎧・兜」
池田宏(東京国立博物館上席研究員)
申込締切:3月18日(金)必着

講堂(地下1階)にて・聴講無料(定員140名) *両日とも

往復はがきに次の必要事項を記入の上、お申し込みください。

往信用裏面:希望する講演日・郵便番号・住所・名前(ふりがな)・電話番号
返信用表面:郵便番号・住所・名前

申込先:「安田靫彦展」広報事務局 講演会係
〒103-0014 東京都中央区日本橋蛎殻町1-28-9 ウインダム内
*1枚で2人まで応募可。2人応募の場合は往信用裏面に2名分の名前を明記。
*応募者多数の場合は抽選。当選・落選いずれの場合も返信はがきを返送します。

当落についてのお問い合わせはご遠慮ください。

開催概要

会場

東京国立近代美術館 1F企画展ギャラリー

会期

2016年3月23日(水)~2016年5月15日(日)

開館時間

10:00-17:00 (金曜日は10:00-20:00)

  • 入館は閉館30分前まで
休館日

月曜(3/28、4/4、5/2は開館)

観覧料

一般 1,400(1,200/1,000)円
大学生 900(800/600)円
高校生 400(300/200)円

  • ( )内は前売/20名以上の団体料金。いずれも消費税込。
  • 前売券は2015年12月1日(火)~2016年3月22日(火)販売。
  • 中学生以下、障害者手帳をお持ちの方とその付添者(1名)は無料。それぞれ入館の際、学生証等の年齢のわかるもの、障害者手帳等をご提示ください。
  • キャンパスメンバーズ加入校の学生は、学生証の提示で割引料金600円でご鑑賞いただけます。
  • 本展の観覧料で入館当日に限り、同時開催の「MOMATコレクション」もご覧いただけます。本展に関連し、靫彦がコメントを寄せた日本画を紹介する「靫彦★リコメンド」や、菱田春草の小特集など、盛りだくさんの「MOMATコレクション:春らんまんの日本画まつり」をお見逃しなく
  • 主なチケット販売場所:東京国立近代美術館(*開館日のみ)、本展特設サイト(オンラインチケット)、セブンチケット(セブンコード:042-726)、チケットぴあ(Pコード:767-220)、ローソンチケット(Lコード: 33152)、イープラス、JTB、CNプレイガイド
  • 手数料がかかる場合があります。

頼朝・義経券(観覧券2枚セット)

前売り券:2,000円 当日券:2,500円
販売期間:前売券=2015年12月1日(火)~2016年3月22日(火)、当日券=2016年3月23日(水)~4月17日(日)

  • 作品の展示替えがございますので、会期中2回のご来館に便利でお得な観覧券2枚セットをご用意しました。お二人でのご来館(各1回のみ有効)にもお使いいただけます。
  • 販売場所:東京国立近代美術館(*開館日のみ)、本展特設サイト(オンラインチケット)、セブンチケット(セブンコード:042-726)、 チケットぴあ(Pコード:767-220)、ローソンチケット(Lコード: 33152)、イープラス

リピーター割引

東京国立近代美術館の券売所で本展の半券(使用済み可)をご提示いただくと当日観覧料よりも一般100円、大学・高校生50円割引となります。

  • 半券1枚につき1回のみ有効。他の割引との併用はできません。
主催

東京国立近代美術館、朝日新聞社、BS朝日

協賛

野崎印刷紙業

協力

あいおいニッセイ同和損保

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