展覧会

会期終了 企画展

アジアにめざめたら:アートが変わる、世界が変わる 1960-1990年代

会期

会場

東京国立近代美術館本館企画展ギャラリー

アジア各地のアヴァンギャルド・アートが東京に集結!

本展はかつてないスケールで、アジア各地の現代アートの黎明期である1960 年代から1990 年代に焦点をあてる展覧会です。

10を超える国と地域から、激動の時代に生まれた挑戦的かつ実験的な約140点の作品を一堂に集め、その共通点と違いを発見していきます。

日本、韓国、シンガポールの国立美術館3館と国際交流基金アジアセンターによる5年に及ぶ共同プロジェクトの集大成として日本で開幕、その後韓国とシンガポールに巡回します。

本展のポイント

  • 東アジア・東南アジア・南アジアという広範囲を対象に、1960 年代から1990 年代に発生した近代美術から現代美術への転換期に焦点をあてる初の展覧会です。
  • 本展は、東京国立近代美術館、韓国国立現代美術館、ナショナル・ギャラリー・シンガポールと国際交流基金アジアセンターによる、アジアの戦後美術を再考する5年に及ぶ国際共同プロジェクトの集大成です。日本で開幕し、その後2019年にかけて、韓国とシンガポールに巡回します。
  • 日本、韓国、台湾、中国、香港、インドネシア、シンガポール、タイ、フィリピン、マレーシア、インドなど、10を超える国と地域の90組以上の作家による約140点の作品が東京に集結。絵画、彫刻、版画、写真、映像、パフォーマンス、インスタレーションなど、多様なアヴァンギャルド・アートを一挙にご紹介します。
  • この時期のアジアは、植民地支配からの独立と急速な近代化、東西冷戦によるイデオロギーの対立やベトナム戦争の勃発、民族間の対立や民主化運動の高揚など、社会を揺るがす大きな出来事が続きました。今回ご紹介するのは、その時代を生きたアーティストたちが、自らの生きるローカルな現実にとって「美術」とは何かを問いかけ、既存のジャンルにとどまらない表現方法を開拓した末に生まれた、挑戦的かつ実験的な作品の数々です。
  • 本展では、時代や場所の異なるアートを、国の枠組みを越えて比較することで、思いがけない響き合いを発見することを目的としています。近年、アジアからの観光客が急増し、日本とアジアの文化交流が新たな段階に移行しつつある中、本展で得られる体験は、アートと世界の見方を変え、アジアとの新たな関係を築くヒントに繋がるでしょう。

展覧会の構成

時系列や国・地域の枠にとらわれず、テーマごとに分類した3章から構成されています。第1章では「美術」の表現方法が多様なメディアに拡張していく局面を、第2章では新しい芸術動向が展開した「都市」という舞台を、第3章では社会の変革につながる「集団」を形成するアートの力を考察します。アジアの多様な歴史とアートの変化をつなぐ、いくつもの視点が盛り込まれています。

イントロダクション

展覧会の全体像を理解しやすいよう、今回取り上げるアジアの地域とその複雑な社会背景を、時代を象徴する作品に地図や年譜を加えて紹介します。

1. 「美術」を問い直す…新たな表現方法の開拓

1968 年以降世界中に波及した学生運動を契機に、アジア各地では近代化に対する問題意識が芽生え、「美術」という西洋由来の概念にも疑問が投げかけられました。若い作家たちは、従来の絵画や彫刻という形式にとらわれず、自らの身体や日常的な素材を活用し、それぞれの地域性に即した新たな表現方法を開拓していきます。

絵画を燃やすダダ的な行為や、ギャラリーの中に酒場を仮設する体験型のイベントなど、「美術」という制度を批評する仕事とともに、石、クッション、ガラス、わら、ドライアイスなど物質との新たな対話をうながす作品を紹介します。

2. 芸術家と「都市」…新しいアートが展開した場

1960 年代以降、アジアの主要都市では、急速に進行した近代化によって人々の生活が激変しました。同時に消費社会による共同体の崩壊や貧困問題、民族紛争など都市の日常に潜んでいる矛盾が強く意識されるようになりました。

光と影の両面をもつ都市のイメージを新鮮な感覚で表現した映像作品や、広告イメージを活用して消費社会を皮肉るような絵画が登場します。さらに美術館やギャラリーを飛び出して路上という公共空間でパフォーマンスが行われました。このように「都市」は実験的な表現をはぐくむ場となったのです。

3. 新しい「連帯」を求めて…アーティスト・グループの誕生

自由を求める若い表現者たちは、抑圧的な体制や社会的なタブーにも臆することなく、新しい表現を可能にするスペースをこじ開けようとしました。

民衆との「連帯」を主張するマニフェストを掲げるグループや、ジャンル横断的な活動を展開したグループなど、多くの芸術家集団が誕生したのもこの時期の特徴です。とりわけ民主化運動の過程では、壁画やバナー、看板、ヴィデオなどを使ってリアルな現実を多くの人々と共有する試みが登場しました。アジアの現実にめざめた作家たちは、アートがもつコミュニケーションの力に活路を見いだしたのです。

出品作家・グループ( 一部)

  • 日本:ゼロ次元、中村宏 
  • 韓国:キム・グリム、ホン・ソンダム
  • 台湾:張照堂、陳界仁 
  • 中国:王晋、宋冬 
  • 香港:エレン・パウ、フロッグ・キング
  • インドネシア:F X ハルソノ、ジム・スパンカット
  • シンガポール:タン・ダウ、ラジェンドラ・グール
  • タイ:モンティエン・ブンマー、アーティスト・フロント、ワサン・シッティケート
  • フィリピン:ホセ・テンス・ルイス、パブロ・バエン・サントス
  • マレーシア:レッザ・ピヤダサ、ウォン・ホイ・チョン
  • インド:ナリニ・マラニ、グラムモハメド・シェイク

イベント

※詳細等は都合により変更される場合がございますので、
最新情報は随時このページをご確認ください。

専門家をお招きしてのレクチャー(全3回)

展覧会のテーマとなっている1960~90年代のアジア各国・地域に焦点を当て、
当時の文化・芸術をめぐる社会状況を専門家の方々にお話しいただきます。
第1回と第2回は、レクチャーに先立ち映画上映もいたします。

■開催日:
第1回 12月8日(土)13:00-16:30
第2回 12月22日(土)13:00-16:30
第3回 12月23日(日)14:30-16:00

■会場:地下1階講堂(開場は開演30分前)
申込不要(先着140名)、参加無料、要観覧券(使用済み半券可)

■内容:
12月8日(土)…「越境する中華圏の文化と社会 ―中国、香港、台湾」
ゲスト 倉田 徹(立教大学教授)、林 ひふみ(明治大学教授)
上映映画『あの頃、この時』(監督 楊力州、台湾、2014年、113分)

12月22日(土)…「光州事件と80年代民衆美術―韓国」
ゲスト 真鍋 祐子(東京大学東洋文化研究所教授)
上映映画『光州5・18』(監督 キム・ジフン、韓国、2007年、121分)

12月23日(日)…「東南アジアの民衆演劇運動とマレーシア現代演劇:
ファイブ・アーツ・センターの活動から」
ゲスト 滝口 健(ドラマトゥルグ、翻訳家)

■お問合せ先:国際交流基金アジアセンター(TEL 03-5369-6140)

※詳しくはこちらから

タイ、地獄の想像力 ―地獄寺からアピチャッポンまで トーク&上映会

今秋10月15日に刊行された書籍『タイの地獄寺』著者の椋橋彩香氏と、森美術館アソシエイト・キュレーターの徳山拓一氏を迎えて、1960~70年代に市井の人々により作られた奇妙な造形物「タイの地獄寺」の魅力や、当時の現代アートシーンとの共通点、社会情勢との関係などを探ります。
地獄寺(諸説あり)で撮られたアピチャッポン・ウィーラセタクンの映像作品《Fireworks(Archives)》も特別上映いたします。

■開催日:2018年12月2日(日)13:30~15:00

■会場:地下1階講堂(開場は開演30分前)
申込不要(先着140名)、参加無料、要観覧券(使用済み半券可)

■ゲスト:椋橋彩香(研究者・早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程)、徳山拓一(森美術館アソシエイト・キュレーター)

ギャラリートーク

本展企画者の鈴木勝雄と桝田倫広(共に当館主任研究員)による
会場内でのトークイベント。(各回とも約1時間)

■開催日:
第1回 11月3日(土)13:30~14:30 担当・鈴木(主に1章を中心に)
第2回 11月11日(日)13:30~14:30 担当・桝田(主に1章を中心に)
第3回 11月23日(金)19:00~19:45 担当・鈴木(主に2章を中心に)
第4回 12月7日(金)19:00~19:45 担当・鈴木(主に3章を中心に)
第5回 12月9日(日)13:30~14:30 担当・桝田(主に2章を中心に)
第6回 12月14日(金)19:00~19:45 担当・桝田(主に3章を中心に) 

■会場:1F企画展ギャラリー
申込不要、聴講無料、要観覧券

アートライブラリでの資料展示

「アジアにめざめたら」展の関連企画として、アートライブラリにて
資料展示を開催。展示資料は全て閲覧可能です。

■開催日:
2018年11月16日(金)~12月22日(土) 

■会場:アートライブラリ
入場無料

※詳しくはこちらから

ゼロ次元「いなばの白うさぎ」(オリジナル版)上映会&トーク

1960年代の高度経済成長期の日本に登場し、街頭で裸体のパフォーマンスを展開して時代の寵児となった前衛芸術集団・ゼロ次元。今回、彼らの活動の総決算ともいえる1970年制作の映画『いなばの白うさぎ』のオリジナル版を上映します。「アジアにめざめたら」展で上映されているダイジェスト版とは異なり、2時間を越える長大なオリジナル版を鑑賞できる貴重な機会です。上映後には、美術・メディア研究者、映像作家の細谷修平氏に、ゼロ次元の活動を歴史的に位置づけるいくつかの視点をお話いただきます。

■開催日:2018年11月25日(日)13:00~16:30

■会場:地下1階講堂(開場は開演30分前)
申込不要(先着140名)、参加無料、要観覧券(使用済み半券可)
※作品には一部過激な表現が含まれますのでご注意ください。

■上映会スケジュール:
13:00 「いなばの白うさぎ」上映(2時間12分)
15:30 ゲスト細谷修平氏によるトーク
16:30 終了予定

■ゲスト:細谷修平(美術・メディア研究者、映像作家)
アーティストの活動に関わる聞き取りや調査、記録を通して、アート・ドキュメンテーションを行なっている。主には1960年代の芸術と政治、メディアを研究テーマとして、映像やテキストによる記録を行い、シンポジウムや書籍のプログラムを通した活動を展開。東日本大震災後は仙台に在住し、記録と芸術についての考察と実践を継続している。

国際シンポジウム

「アジアのアヴァンギャルドをネットワーク化する:
 『アジアにめざめたら』展をてがかりに」

この国際シンポジウムは、アジアという「地域」の枠組みで思想や文化の流通や連関を探る本展を、「グローバル」な視座に開くことを目的に企画されました。「アジアにめざめたら」展を担当したキュレーターに、東南アジアを拠点に活動する研究者を加え、「ローカル」、「リージョナル」、「グローバル」という異なるレベルの視座を行き来しながら、戦後美術の歴史の新しい捉え方について展覧会に即して具体的に議論します。
展覧会が取り上げた三つのトピック──①制度批評とオルタナティヴの希求、②身体/物質/都市、③アートと社会参画──をもとに、本展が試みた比較論的なアプローチについて意見を交わしたのち、シンポジウムの締めくくりとして、トランス・ナショナルな美術史、あるいはグローバル美術史の可能性と課題について論点を整理します。
なお、国際交流基金が石橋財団の特別助成を受け、実施する「現代美術キュレーター等交流事業(米国)」へ参加するために来日するアメリカのキュレーターも参加予定です。

■開催日:2018年10月13日(土)10:30~17:00

■会場:地下1階講堂(開場は開演30分前)
申込不要(先着130名)、聴講無料、要観覧券(使用済み半券可)
※同時通訳つき

■登壇者:
展覧会担当者
鈴木勝雄(東京国立近代美術館)
桝田倫広(東京国立近代美術館)
ペ・ミョンジ(韓国国立現代美術館)
セン・ユージン(ナショナル・ギャラリー・シンガポール)

アメリカからの参加者
サラ・クライェヴスキー(ポートランド美術館)
ナンシー・リム(サンフランシスコ近代美術館)
ロリー・パデケン(サンノゼ美術館)          
アン・フイキョン(グッゲンハイム美術館)

アジアからの参加者
サイモン・スーン(マラヤ大学) 

■プログラム:
10:30~10:55 開会のあいさつ、シンポジウムの趣旨説明
11:00~12:00 セッション1「制度批評とオルタナティヴの希求」
12:00~13:00 休憩
13:10~14:20 セッション2「身体/物質/都市」
14:30~15:40 セッション3「アートと社会参画」
15:40~16:00 休憩
16:00~17:00 まとめ「グローバル美術史の可能性と課題」

開催概要

会場

東京国立近代美術館 1F 企画展ギャラリー

会期

2018年10月10日(水)~ 2018年12月24日(月・休)

開館時間

10:00-17:00(金・土曜は10:00-20:00)*入館は閉館30分前まで

休館日

月曜(12/24は開館)

観覧料

一般1,200(900)円
大学生800(500)円

リピーター割引

本展使用済み入場券をお持ちいただくと、2 回目以降は特別料金 (一般 500 円、大学生 250 円)でご覧いただけます。

無料観覧日

11月3日

主催

東京国立近代美術館、国際交流基金アジアセンター、韓国国立現代美術館、ナショナル・ギャラリー・シンガポール

巡回

韓国国立現代美術館 2019年1月31日(木)~5月6日(月)

ナショナル・ギャラリー・シンガポール 2019年6月13日(木)~9月15日(日)

出品作品リスト

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